Skip to content

Conshift(コンシフト)

  • 施工管理
  • 人材マネジメント
  • 積算・受発注
  • 政策動向
  • ツール紹介
  • 統計分析
  • 用語辞典
Home > 法規制・制度> 国交省、2040年の技術者27万人減を見据え施工管理チーム制を検討
法規制・制度 2026年8月24日

国交省、2040年の技術者27万人減を見据え施工管理チーム制を検討

国交省、2040年の技術者27万人減を見据え施工管理チーム制を検討

国土交通省の有識者会議において、建設現場の施工管理を複数人の技術者で分担する「チーム制」の導入に向けた本格的な検討が始まりました。従来の「一人一現場」を基本とする専任制から組織的な管理体制へと移行することは、深刻化する技術者不足の緩和だけでなく、現場の働き方改革や技術承継のあり方を根本から再構築する契機となります。

国土交通省「技術者制度検討会」が主導する専任制見直しとチーム制の論点

建設業界では、建設業法に基づき主任技術者や監理技術者を原則として現場ごとに専任配置することが義務付けられてきました。しかし、担い手の高齢化と若手入職者の減少が急速に進む中、限られた有資格者に過度な業務負担と責任が集中する構造が課題視されています。

こうした状況を受け、国土交通省は2026年7月13日に「適正な施工確保のための技術者制度検討会(第2期)」を約2年半ぶりに再開しました。2026年度中に計4回の会合を重ね、技術者制度の中長期的な見直しを集中的に議論しています。

技術者不足の推計と専任配置の限界

制度見直しの大きな要因となっているのが、将来的な技術者の大幅な減少です。国の推計によると、54歳以下の技術者数は2025年の約33万人から2040年には約27万人へと縮小する見通しです。これまでのように経験豊富なベテラン技術者1人に現場管理のすべてを依存するモデルは、物理的に維持が困難になりつつあります。

さらに、時間外労働の上限規制の適用や週休二日制の推進といった労働環境の改善を進める上でも、1人の技術者が常時現場に張り付く専任要件が柔軟なシフト調整や休暇取得の障壁となっていました。

検討会で浮き彫りとなった「見えない仕事」と責任分担の課題

現場の技術者は、建設業法で定められた施工計画の作成、工程管理、品質管理、技術的指導にとどまらず、環境・安全法令への対応、設計変更時の協議、近隣対策、現場代理人としての事務処理など、多岐にわたる「見えない仕事」を担っています。

チーム制の導入にあたっては、これらの業務を複数人で分担した際に「事故や施工不良が発生した際の法的な責任の所在をどう整理するか」が最大の焦点です。また、業務を細分化した場合に、個々の技術者の実務経験をコリンズ(CORINS)や建設キャリアアップシステム(CCUS)へどのように登録し、適正に評価するかという仕組みの整備も不可欠となります。

検討項目 現行制度(専任原則) チーム制導入(検討案)
配置体制 主任技術者・監理技術者の1人専任配置が基本 複数人の技術者による業務分掌・連携体制
責任の所在 配置された技術者個人に全責任が集中 担当業務ごとの責任範囲または組織責任を明確化
働き方・休暇 担当者の不在が難しく休暇取得が困難 チーム内のバックアップにより柔軟なシフトが可能
実績・評価 現場担当実績が専任者個人に一括帰属 分担した職務内容に応じた実績登録・評価へ見直し

参考記事: 監理技術者資格者証とは?講習修了証との違いや有効期限・更新手続きを解説

参考記事: 建設業働き方改革加速化プログラムとは?2024年適用後の3本柱と現場の対応手順を解説

施工管理のチーム制移行が関係各所に与える影響

技術者配置のあり方が個人完結型からチーム型へと舵を切ることで、現場の施工管理者だけでなく、行政機関やITベンダーを取り巻く環境にも大きな変化が生じます。

現場監督・施工管理者への影響

現場を統括する技術者にとっては、過度な心理的プレッシャーと長時間労働から解放される契機となります。急な体調不良や有給休暇の取得時にも、チーム内の他メンバーが業務をカバーできる体制が整えば、現場の稼働を止めることなくワークライフバランスを確保できます。

また、若手技術者にとっては、いきなり現場の全責任を負うことなく、ベテランの指導を受けながら特定工程の管理業務から段階的に経験を積める利点があります。孤立による早期離職を防ぎ、実践的な技術承継をスムーズに進める環境が整備されます。

行政・規制当局への影響

法制度を運用する行政側には、建設業法に基づく監督体制の再構築が求められます。これまでのように「特定の1人が現場に常駐しているか」を確認する形式的な監査から、「現場全体として適切な施工管理体制と指揮命令系統が構築されているか」を実質的に確認する仕組みへの転換が必要です。

施工体制台帳の記載内容やコリンズの登録基準を見直し、複数技術者の役割分担を公的に証明・把握できる枠組みを整備することが今後の重要な施策となります。

参考記事: 施工体制台帳の作成義務と実務|施工体系図との違いや電磁的保存のポイント

BIM・施工管理SaaSベンダーへの影響

チーム制が円滑に機能するためには、情報共有の透明性と意思決定の履歴管理(トレーサビリティ)が不可欠です。施工管理SaaSやBIMプラットフォームを提供するITベンダーには、「誰が、いつ、どの指示や承認を行ったか」を正確に記録・可視化するログ管理機能の強化が求められます。

業務の進捗状況や安全指示がクラウド上で一元管理されることで、複数技術者間での引き継ぎミスが防止され、チーム制運用の確実性を支える基盤となります。

ConShiftの視点|属人管理からデータ主導の「組織的施工管理」への構造転換

今回の技術者制度検討会における議論は、単なる専任要件の規制緩和にとどまらず、建設業における施工管理のパラダイムシフトを意味しています。

これまで日本の建設業は、個々の現場代理人や監理技術者の属人的な勘と経験、そして過剰な責任感に依存して品質と安全を担保してきました。しかし、54歳以下の技術者が2040年に約27万人まで減少するという人口構造の制約下では、従来の「個人の責任による管理」を維持することは不可能です。

チーム制の実現によって、現場管理は「個人」から「組織とデータ」が担保する形態へと変化します。施工管理アプリやBIMデータの共有を前提に業務が標準化・分業化されれば、遠隔臨場やテレワークを活用したバックオフィスとの連携など、施工管理の近代化が一気に加速します。制度改正を単なるルール変更と捉えるのではなく、自社の業務プロセスを組織型へと移行させる好機と捉える必要があります。

まとめ|技術者チーム制を見据えて企業が備えるべき実践方針

国土交通省による技術者制度の見直しは、2026年度中の集中的な議論を経て、今後の法改正や運用基準の改定へと進む見込みです。施工企業は制度の確定を待つだけでなく、自社の体制整備に着手することが求められます。

  1. 現場業務の棚卸しと業務分掌の標準化
    現行の現場監督が担っている「見えない仕事」を含めた全業務を可視化し、工程管理、品質検査、安全書類作成などの業務ごとに切り分け可能なタスクを整理します。
  2. クラウド型施工管理ツールによる情報共有体制の確立
    複数人で現場を管理する前提として、写真、図面、指示履歴をリアルタイムで共有できるデジタル基盤を導入し、属人化を排除した情報共有の仕組みを構築します。
  3. 育成計画と連携したペア配置の試行運用
    現行制度の専任要件を満たしつつ、実質的にベテランと若手をペアで現場に配置し、役割分担と技術承継を両立させる社内運用を先行して検証します。

出典: 建設通信新聞Digital
出典: 国土交通省(適正な施工確保のための技術者制度検討会)

Share this article:

監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにて設備保全プロジェクトに従事。 その後、スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してConShiftを立ち上げ。 現在は建設DXメディア「ConShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

関連記事

政府重要インフラ指針案、150項目提示で閉域網過信を否定し設備BCP変革へ
2026年8月24日

政府重要インフラ指針案、150項目提示で閉域網過信を否定し設備BCP変革へ

国交省、27年度予算で上限1/2補助へ拡充!復興住宅のDX推進
2026年9月4日

国交省、27年度予算で上限1/2補助へ拡充!復興住宅のDX推進

積水化学の特許訴訟で7月3日仮処分|パナ製雨どい差し止めと現場の仕様変更対策
2026年8月6日

積水化学の特許訴訟で7月3日仮処分|パナ製雨どい差し止めと現場の仕様変更対策

ConShift

建設業のビジネス知識に関心を持つ経営層・現場リーダーのための課題解決メディア。現場のノウハウから最新のDX事例まで、ビジネスを加速させる情報をお届けします。

カテゴリー

  • 施工管理
  • 品質・安全
  • コスト管理
  • 人材マネジメント
  • 積算・受発注

もっと探す

  • 政策動向
  • BIM/CIM
  • 法規制・制度
  • 海外トレンド
  • ツール紹介
  • 統計分析
  • 建設業界用語辞典

サイト情報

  • 運営者情報
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • LogiShift
  • TechShift

© 2026 ConShift. All rights reserved.