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施工管理 2026年8月27日

竹中工務店、2026年9月に手書き図面AI認識の加工機レンタル開始

竹中工務店、2026年9月に手書き図面AI認識の加工機レンタル開始

竹中工務店と内装工事業の爽美は、技能者が現場で端材などに描いた手書き図面をスマートフォンで撮影するだけで、仕上げ材加工用のCADデータへAIが自動変換する新システムを共同開発した。専門的なCAD操作スキルを持たない技能者でも高精度な自動加工機を扱える環境が整い、内装工事における省力化と生産性向上の両立につながる。

手書き図面からCADへ即時変換する「AI i-Bow」の概要と開発経緯

建築現場の内装仕上げ工程では、石膏ボードなどの部材を現場の取り合いに合わせて微調整・加工する作業が頻繁に発生する。従来は技能者が手作業で切断するか、現場に持ち込んだ自動加工機向けに端末上でCADデータを作成・入力して加工を行っていた。しかし、狭小な現場環境や作業の合間に細かなデジタル作図を行うことは技能者にとって大きな負担となっていた。

竹中工務店と株式会社爽美(大阪市北区)は、こうした現場のボトルネックを解消するため、建築内装仕上げ材加工アシスト機「i-Bow」シリーズの進化系として、生成AIを活用した新システム「AI i-Bow」を開発した。

「i-Bow」シリーズの進化と実証実験の歩み

竹中工務店と爽美は、現場での加工自動化に向けて段階的に機能拡張を進めてきた。

年月 取り組み内容 特徴と技術的進展
2020年11月 初代「i-Bow」発表 ボード材の切断作業を自動化する現場用加工アシスト機を実用化。
2022年9月 「i-Bow2」共同発表 無人自動加工機能と、手動でCAD作図を行う専用アプリ「YUBI CAD」を搭載。
2025年9月 株式会社オクジューで初適用 関東圏内の作業所にて、手書き図面をAI認識する新システムの先行実証を実施。
2026年6月30日 生成AI連携システムを公式発表 クラウド基盤「i-Bow Cloud」と連携し、手書き図面の自動CAD化機能を本格リリース。
2026年9月(予定) 加工機レンタルサービス開始 新システムを組み込んだ加工機レンタルを近畿地方から順次展開。

手書き認識AIと加工機を直結するシステム構成

新システムは、以下の3つの要素が連携して機能する。

  1. CAD自動生成アプリ「AI i-Bow」
    現場の技能者がボードの端材の裏や紙などに鉛筆で描いた寸法入りの手書き図面を、スマートフォンやタブレットのカメラで撮影する。技能者間で使われている特有の図面記号や手書き文字をAIが解析し、仕上げ材加工用のCADデータ・CAMデータを自動生成する。
  2. クラウド管理基盤「i-Bow Cloud」
    生成された加工データや撮影画像はクラウド上で一元管理される。現場内の施工管理者や協力会社間でリアルタイムに共有でき、必要に応じて従来の作図アプリ「YUBI CAD」上で寸法の微修正や再編集を行うことも可能である。
  3. 内装仕上げ材加工アシスト機「i-Bow2」
    クラウドから送信された加工データを読み込み、石膏ボードなどの内装材を高精度に自動切断する。

参考記事: 国土交通白書、民間AI投資は米国の250分の1|現場導入1割の打開策

内装施工に関わる主要プレイヤーへの波及効果

「AI i-Bow」の登場と加工機レンタルサービスの開始は、現場技能者、元請けゼネコン、建機レンタル各社に実務的な変化をもたらす。

職人・技能労働者:CAD操作の習得負担を排除し、加工精度を均一化

従来、自動加工機を現場で扱うには、タブレットやPC上でのCADソフト操作を覚える必要があった。これがデジタル機器に不慣れなベテラン技能者や、作業に追われる職人にとって加工機導入の障壁となっていた。

新システムでは、普段通りに端材の裏へ手書きで寸法を書き込むだけでデータが生成されるため、CADの操作習熟度に関わらず誰でも高精度な自動加工を行える。手作業による切り間違いや粉塵の吸入リスクを低減しつつ、若手から熟練工まで作業効率を均一に高められる。

元請けゼネコン:施工品質の安定と工程遅延リスクの抑制

内装仕上げ工事は現場の進捗の最終段階に位置し、先行工種の誤差や現場特有の納まり調整が集約される工程である。現場での採寸から加工までのリードタイムが長引くと、全体の引き渡し工程に直接影響を及ぼす。

手書き図面から即座に加工データを起こして自動切断できる仕組みが普及すれば、手戻り工事や端材廃棄の削減、現場加工待ち時間の短縮が実現する。元請け側にとっても、施工品質のバラつきを抑えながら工期遵守の確実性を高められる利点がある。

参考記事: 矢作建設が2026年8月にAI共同開発を開始|独自工法の積算効率化へ

建機メーカー・レンタル事業者:単体機器から「AI連携型サービス」への転換

加工機本体の販売だけでなく、AIによるデータ自動生成基盤を組み込んだレンタルサービスの提供は、建設資機材流通のビジネスモデル変化を示している。

ハードウェア単体の貸し出しでは価格競争に陥りやすいが、技能者の手間を直接削減するソフトウェア基盤を付加価値としてパッケージ化することで、現場での継続利用と単価維持を図りやすくなる。近畿地方での展開を皮切りに、他地域への展開や他工種の加工機への波及が期待される。

参考記事: 建設業働き方改革加速化プログラムとは?2024年適用後の3本柱と現場の対応手順を解説

ConShiftの視点|「超アナログ」をAIで直結するデータ入力負担の解消

建設DXが進まない最大の要因として、長年「現場におけるデータ入力の手間」が挙げられてきた。高機能な施工管理システムやBIMツールを導入しても、現場の作業員が端末に向かって文字や数値を打ち込む負担が大きければ、ツールは定着しない。

竹中工務店と爽美による「AI i-Bow」の取り組みは、現場の既存の作業様式である「端材への手書き」を否定せず、そのアナログなメモを画像認識AIで直接デジタルデータに変換するアプローチをとっている点が本質的である。技能者に新たなUI操作を強要するのではなく、AI側が職人の慣習(手書きの記号やラフな寸法線)に歩み寄る設計こそが、労働集約的な現場におけるデジタル実装の解となる。

今後は内装加工にとどまらず、配管加工や鉄筋加工、日々の施工管理記録など、現場の超アナログなメモ書きや印付けをAIが自動でBIM/CIMデータや点検記録へ連動させる仕組みが各工種へと広がっていくと考えられる。

まとめ

竹中工務店と爽美が開発した手書き図面CAD化システムは、2026年9月からのレンタル展開を通じて、内装施工の現場運用を大きく変える可能性を秘めている。現場リーダーや経営層が明日から意識すべき点は以下の通りである。

  1. 技能者に新たな入力負担を課さない「現場起点」のDXツールを選定する
    現場の作業フローを無理に変更するツールではなく、既存の作業習慣を生かしたままデータを取得・活用できるインターフェースを重視する。
  2. 加工工程の自動化による残業削減と端材ロスの最小化を推進する
    現場内での手加工や採寸の繰り返しによる作業ロスを数値化し、AI加工機などの導入効果を検証する。
  3. 自社現場のノウハウや独自記号をデータ化する体制を整える
    熟練技能者が無意識に使っている現場ルールや手書き情報をAIで解析・再利用できるよう、社内および協力会社とのデータ共有基盤を整備する。

出典: 日経クロステック(xTECH)
出典: 株式会社竹中工務店 公式発表(2026年6月30日)
出典: BUILT

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにて設備保全プロジェクトに従事。 その後、スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してConShiftを立ち上げ。 現在は建設DXメディア「ConShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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