- キーワードの概要:施工体制監査とは、建設現場で施工体制台帳や施工体系図が正しく作成・運用されているか、下請契約や技術者配置に違反がないかを点検・確認することです。
- 実務への関わり:立入検査による行政処分や工事成績の減点リスクを防ぎ、書類の記載漏れや契約トラブルを未然に防止・是正することができます。
- トレンド/将来予測:書類作成や点検作業の負担を減らすため、クラウドや電子化ツールを活用した施工体制の管理と自動チェックの導入が進んでいます。
国土交通省が実施する「公共工事の施工体制に関する全国一斉点検」や、地方整備局・都道府県による建設業法第31条第1項に基づく立入検査において、毎年多くの建設業者が書類の作成不備や技術者配置の不適正を指摘されている。直轄工事を対象とした一斉点検結果によると、施工体制台帳の作成自体は概ね実施されているものの、下請契約の変更手続き漏れ、契約書面への必須事項未記載、掲示された施工体系図と現場実態の不一致といった不備が継続して確認されている。行政の立入検査においてどの項目が確認されているかを把握し、事前是正を完了させるための実務チェックポイントを解説する。
- 【立入検査対策】国土交通省の点検結果から見る違反事例と監査チェックポイント
- 建設業法 立入検査で指摘が集中する「台帳不備・体系図未掲示」のワースト傾向
- 一括下請負 禁止違反および監理技術者・主任技術者の不適正配置の摘発パターン
- 【作成義務・判定フロー】施工体制台帳と施工体系図が必要となる工事・金額基準
- 発注者区分(公共・民間)および下請契約金額による作成義務の判断フロー
- 監理技術者 配置基準・専任要件と施工体制台帳作成の連動整理
- 【書式・記入例】施工体制台帳・施工体系図・再下請負通知書の実務作成手順
- 施工体制台帳・再下請負通知書で誤記・記載漏れが多い項目と具体的な記入例
- 現場掲示用「施工体系図」の正しい書き方と適切な掲示場所・運用ルール
- 【現場トラブル対応】下請書類の遅延・途中変更・不備発生時の即効解決Q&A
- 再下請負通知書が未提出・遅延している場合の下請指導と是正催告手順
- 工期途中の下請交代・技術者変更に伴う施工体制台帳・体系図の更新フロー
- 【監査完全対策】自社現場の是正を完了させる社内点検チェックリストとDX運用手順
- 立入検査直前でも網羅できる建設業法準拠の「施工体制・現場自主点検シート」
- 施工体制台帳のクラウド・電子化による作成工数削減と是正漏れ防止の構築手順
【立入検査対策】国土交通省の点検結果から見る違反事例と監査チェックポイント
建設業法 立入検査で指摘が集中する「台帳不備・体系図未掲示」のワースト傾向
民間工事・公共工事を問わず、特定建設業者が一定規模以上の下請契約を締結する際には施工体制台帳の作成義務が生じる。また、発注者から直接請け負った公共工事では、下請代金額にかかわらずすべての工事で台帳の作成および発注者への写しの提出が義務付けられている(建設業法第24条の8、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第15条)。
建設業法の立入検査において、監督官が現場書類をチェックする際に指摘が集中する項目とリスクの全体像は以下の通りである。
| 検査対象項目 | 立入検査で多発する不備内容 | 監督官の確認手法 | 発生する法的なリスク |
|---|---|---|---|
| 施工体制台帳の記載事項 | 下請契約締結年月日の空欄、工種別内訳(材料費・機械費)の未記載 | 注文書・注文請書控えとのつき合わせ確認 | 建設業法第24条の8違反(指示処分の対象) |
| 添付書類の整備状況 | 再下請負通知書の欠落、建設業許可書の期限切れ更新漏れ | 台帳原本および下請負人からの提出書類の照合 | 施工体制不備による工事成績評定の減点・改善指示 |
| 施工体系図の掲示と更新 | 現場入口等への掲示欠如、工事変更後の下請体制・技術者名の未更新 | 現場掲示板の実地確認および作業員名簿との照合 | 建設業法第24条の8第4項違反(指導・指示処分) |
| 下請契約の書面化 | 追加・変更工事における注文書・注文請書の発行遅延 | 変更指示書・打ち合わせ記録と契約書の期日確認 | 建設業法第19条違反(不適正取引としての指導) |
立入検査においては単に書類の形式的な存在だけでなく、契約書面の実効性と現場の実質的な施工体制が整合しているかが検証される。
一括下請負 禁止違反および監理技術者・主任技術者の不適正配置の摘発パターン
立入検査において行政庁(国土交通省地方整備局や都道府県の建設業課)が重点的に確認するのが、建設業法第22条で規定される一括下請負の禁止(丸投げの禁止)違反と、第26条に定める技術者の不適正配置である。
一括下請負(丸投げ)の摘発パターン
元請負人は、工事現場において「施工計画の総合的な企画」「工程管理」「品質管理」「安全管理」「下請負人への技術指導・監督」という5つの役割(実質的関与)を自ら果たさなければならない。
中規模改修工事等で現場に自社技術者を置いている場合であっても、施工計画の策定や資機材の手配、下請負人間での調整をすべて一次下請負の現場代理人に任せ切りにしている実態が確認された場合、実質的関与がないと判定される。立入検査では施工計画書の発行名義、安全衛生協議会の議事録、資機材注文元、現場での指示記録が精査され、違反と判定された場合は元請・下請の双方が営業停止処分の対象となる。
監理技術者・主任技術者の配置基準違反
発注者から直接工事を請け負った特定建設業者が、下請代金の総額5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上で工事を施工する場合、監理技術者を配置しなければならない。また、請負金額が4,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上の公共性のある工事では、技術者の現場専任が義務付けられている。
立入検査で摘発される主なパターンは以下の通りである。
- 名義貸し・雇用関係の不備:恒常的な雇用関係(原則として入社後3ヶ月以上の直接的・継続的な雇用)がない技術者を一時的に配置する行為。監査では健康保険被保険者証の写しや標準報酬月額決定通知書の提示を求められ、直接雇用が証明できない場合は無資格配置・専任違反と判定される。
- 他現場との兼務(専任違反):CORINS(工事実績情報システム)への登録情報と実際の現場出勤記録の照合により、専任義務のある工事現場の技術者が別現場の現場代理人や専任技術者を兼ねている実態が発覚するケース。
立入検査対策として、発注者との打ち合わせ記録、日常の施工管理日誌、安全パトロール記録に技術者自らの署名捺印を残し、実質的な配置と関与を行っている証拠を常時整理しておく。
【作成義務・判定フロー】施工体制台帳と施工体系図が必要となる工事・金額基準
建設業法に基づく施工体制台帳および施工体系図は、発注者が公共か民間か、および元請が下請に出す契約金額の規模に応じて法的な作成義務の有無が分かれる。建設業法施行令改正により、特定建設業許可や施工体制台帳の作成が必要となる下請代金の閾値が改定されたため、最新の法定基準に沿った判定体制を整える必要がある。
発注者区分(公共・民間)および下請契約金額による作成義務の判断フロー
施工体制台帳の作成義務の有無は、発注者区分(公共工事か民間工事か)と、元請から下請へ発注する下請代金の合計額(税込)の2つの指標で判定される。
| 発注者区分 | 下請代金の合計額(閾値) | 施工体制台帳の作成・備置義務 | 施工体系図の作成・掲示場所 |
|---|---|---|---|
| 公共工事(入契法対象) | 金額を問わず(1円以上) | 義務あり(発注者への写し提出要) | 工事関係者および公衆が見やすい場所 |
| 民間工事(建築一式以外) | 5,000万円以上 | 義務あり(現場備置き) | 工事関係者が見やすい場所 |
| 民間工事(建築一式) | 8,000万円以上 | 義務あり(現場備置き) | 工事関係者が見やすい場所 |
| 民間工事(全業種) | 上記閾値未満(5,000万/8,000万未満) | 義務なし(任意作成) | 義務なし(任意作成) |
作成判断の実務においては、以下の点に注意して運用を進める。
- 公共工事での一律義務:国、地方自治体、独立行政法人等が発注する公共工事では、公共工事入札契約適正化法第15条に基づき、下請代金に関わらず1件でも下請契約を締結した時点で作成義務が発生する。元請は作成した台帳の写しを発注者へ提出し、施工体系図を外部の公衆からも確認できる現場の見やすい場所に掲示する。
- 累計額での判定:民間工事における判定基準額(5,000万円/8,000万円)は、数回に分けて下請発注を行った場合や途中で追加変更工事が発生した場合、それらの累計額で判定する。追加発注により閾値を超えた時点から即座に作成義務が生じる。
- 特定建設業許可と丸投げ防止:民間工事で下請代金総額が5,000万円(建築一式8,000万円)以上となる場合、元請企業は特定建設業許可が必要となる。一般建設業者がこの閾値を超えて下請発注を行った場合は建設業法第3条違反となり、実質的な施工管理を行わない場合は同法第22条(一括下請負の禁止)にも抵触する。
施工体系図の作成にあたっては、元請から一次下請・二次下請・三次下請へと続く施工分担関係を樹形図(ツリー形式)で表現し、各業者の商号・建設業許可番号、配置される技術者の氏名、担当工事内容、安全衛生責任者名を明記する。
監理技術者 配置基準・専任要件と施工体制台帳作成の連動整理
現場に配置する技術者が主任技術者で足りるか、それとも1級資格等を有する監理技術者が必要かは、施工体制台帳の作成基準および特定建設業許可の要件と連動している。
| 区分 | 下請発注金額・元請受注金額 | 配置すべき技術者 | 専任要件(他現場との兼務) |
|---|---|---|---|
| 一般規模工事(民間) | 下請代金合計5,000万円未満(建築一式8,000万円未満) | 主任技術者(2級資格・実務経験者等) | 元請受注額4,000万円(建築一式8,000万円)未満は非専任可 |
| 大規模工事(公共・民間) | 下請代金合計5,000万円以上(建築一式8,000万円以上) | 監理技術者(1級資格者等・資格者証保有) | 元請受注額4,000万円(建築一式8,000万円)未満は非専任可 |
| 特定専任工事(公共・民間) | 請負代金(元請額)4,000万円以上(建築一式8,000万円以上) | 監理技術者(または主任技術者) | 工事現場ごとに専任が必要(原則兼務不可) |
元請として発注者から請け負った工事で下請発注の総額が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上となる場合、元請は特定建設業許可を保持した上で監理技術者を配置しなければならない。さらに元請の受注金額(請負代金)が4,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上で公共性のある施設等の工事である場合、その監理技術者は他の現場と兼務できない専任義務を負う。
立入検査では、施工体制台帳に記載された監理技術者の氏名や保有資格、専任・非専任の区分が、実際の現場配属状況や出勤記録、発注者への通知書類と完全一致しているかが確認される。複数の専任現場へ同一の監理技術者を重複して台帳登録・配置した場合、監理技術者の不適正配置および施工体制台帳の虚偽記載として指示処分や営業停止処分の対象となるため、現場着工前に下請契約の累計額と元請受注額の双方を算定し、技術者配置と台帳記載の整合性を確認するフローを徹底する。
【書式・記入例】施工体制台帳・施工体系図・再下請負通知書の実務作成手順
立入検査や工事検査において、施工体制台帳や再下請負通知書(全建統一様式第1号・第3号等)、施工体系図の不備は是正指導の対象となる代表的な項目である。一括下請負の禁止遵守や技能者の社会保険加入の適正化を証明するため、法的要件に基づいた作成の手順と記述基準を確定させる必要がある。
施工体制台帳・再下請負通知書で誤記・記載漏れが多い項目と具体的な記入例
元請企業が作成する施工体制台帳および、下請負人が再下請業者に関して作成・提出する再下請負通知書において、誤記・記載漏れが多発する項目と正しい記入方法は以下の通りである。
| 対象書類・項目 | 誤記・記載漏れが多発する要因 | 正確な記入例・実務でのチェック手順 |
|---|---|---|
| 配置技術者・現場管理者(施工体制台帳 / 再下請負通知書) | 現場代理人と監理技術者・主任技術者を混同して記載。監理技術者資格者証の番号未記入や、専任・非専任の区分のチェック漏れ。 | 「監理技術者」欄には資格者証交付番号および講習受講年月日(有効期限5年以内)を明記する。請負代金4,000万円以上(建築一式8,000万円以上)等の専任工事では「専任」に○を付け、現場代理人との兼任関係を現場組織図と一致させる。 |
| 社会保険等の加入状況(共通) | 保険加入の「有・無」のみをチェックし、「事業所整理記号および事業所番号」を空欄にする。一人親方を「未加入」と誤記する。 | 健康保険・厚生年金・雇用保険の各事業所整理記号・番号を転記する。一人親方が個人事業主として受注している場合は保険加入の有無欄で「適用除外」を選択し、整理記号欄は空白とする。確認書類として社会保険料納入確認書や領収証書の写しを照合する。 |
| 下請契約情報・工期(再下請負通知書) | 注文書・注文請書の契約日と通知書記載日の矛盾。工事内容が抽象的で施工範囲が不明確。 | 契約書または注文書・注文請書に記載された契約日・工期・具体的な工事内容(例:「〇〇ビル3階 配管設備設置工事」)をそのまま記載する。添付書類として下請契約書の写しをセットで保管する。 |
二次下請以下から回収した再下請負通知書の内容確認を現場担当者任せにすると記載漏れが発生しやすいため、管理部門が「契約書写し」「資格者証写し」「社会保険加入確認書類」の3点と通知書の内容をクロスチェックする標準フローを構築する。
また、一括下請負の禁止規定に抵触していないことを証明するため、施工体制台帳には元請自らが果たす「施工における実質的関与(施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理等)」の担当者名と具体的な職務内容を明記する。
現場掲示用「施工体系図」の正しい書き方と適切な掲示場所・運用ルール
施工体系図は、施工体制台帳の情報をもとに、元請から最末端の下請負人に至るまでの請負関係と現場施工体制を樹形図(ツリー構造)で視覚化した掲示物である(建設業法第24条の8第4項、公共工事入札契約適正化法第15条)。
施工体系図の作成手順および記載要件は以下の通りである。
- 最上段(発注者・元請情報): 発注者名、工事名称、元請の商号・許可番号、現場代理人名、監理技術者(または主任技術者)の氏名・資格名・資格者証番号、安全管理者の氏名を記載する。
- 中段・下段(下請負人情報): 一次下請、二次下請、三次下請と階層順にブロックを配置し、各社の商号・許可番号・代表者名・施工内容・工期・主任技術者名・安全衛生責任者名を線で接続する。
- 関係性の明示: 請負関係を実線で結び、同一階層で複数社が存在する場合は横並びで整理する。再下請負契約が存在しない一次下請業者の下部には「再下請なし」と明記し、追記漏れではないことを示す。
掲示場所は「工事関係者が見やすい場所」かつ「公衆が見やすい場所」が求められる。工事関係者用として現場事務所内や作業員詰所、公衆用として仮囲いの外観部分や工事用ゲート付近に掲示するのが一般的である。仮囲い出入口付近など、関係者と公衆の両方から視認できる位置であれば1箇所の掲示で兼ねることができる。
現場運用においては施工体制の変更に伴うリアルタイムな更新を徹底する。工事途中で新たな下請契約が締結されたり配置技術者が変更されたりした場合は、再下請負通知書の受理から3日以内に施工体制台帳を改定し、同時に掲示用施工体系図の差し替えを行う。
【現場トラブル対応】下請書類の遅延・途中変更・不備発生時の即効解決Q&A
工事着手後に下請業者の追加・交代や配置技術者の変更が発生した場合、書類の整備が遅れたまま工事を進めると建設業法立入検査で是正指導の対象となる。現場における不備を防ぎ、正常な管理状態を維持するための対応手順を整理する。
再下請負通知書が未提出・遅延している場合の下請指導と是正催告手順
一次下請負人が工事を他者へ請け負わせる場合、元請に対して再下請負通知書を提出する法的義務がある(建設業法第24条の8第2項)。回収が遅延する背景には、下請業者側の事務処理の不慣れや、契約金額が元請に判明することへの警戒感がある。
民間工事においては、再下請負通知書に添付する建設工事請負契約書のうち請負代金の金額部分をマスキング(黒塗り)して提出することが行政上認められている(国不建第404号〜405号通達)。この運用を下請業者へ周知することで提出遅延を防ぐ効果がある。書類未提出に対する催告の手順は以下の通りである。
| 手順 | 実施内容 | 実務上のポイントと留意点 |
|---|---|---|
| 1. 状況の特定と事前の周知 | 施工体制台帳の未補完箇所のリストアップとマスキング可の周知 | 民間工事では契約金額を抹消した状態での提出が可能であることを下請業者へ周知する。 |
| 2. 書面による是正催告 | 提出期限(通常3〜5営業日以内)を明示した是正催告書の送付 | 口頭催告に留めず、メールやFAXなど記録が残る電磁的方法・書面で催告を行う。 |
| 3. 現場入場管理との連動 | 再下請負通知書および作業員名簿の未提出業者に対する入場制限 | 新規入場者教育時に書類の整合性を確認し、未提出の場合は安全上・施工管理上の理由から現場入場を保留する。 |
下請負人が再下請負通知書を出さないまま施工を行うと、施工実態を元請が把握できず、建設業法第16条等で禁じられている一括下請負の疑いを立てられるリスクが生じる。書類の回収遅延は法令違反に直結する管理リスクとして対処する。
工期途中の下請交代・技術者変更に伴う施工体制台帳・体系図の更新フロー
工事の進行に伴い下請業者の交代、配置技術者の変更、あるいは建設業許可の更新時期が跨がる場合、特定建設業者は遅滞なく施工体制台帳を更新し、施工体系図を最新状態へ差し替える必要がある(建設業法第24条の8第1項)。
技術者を変更する際は、変更後の技術者が法的な資格要件を満たしているか、また他現場との専任関係に抵触していないかを確認する。請負金額が4,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上の指定工事で現場専任が求められる場合、直接的かつ恒常的な雇用関係(原則3ヶ月以上の継続雇用)を証する健康保険証の写しや監理技術者資格者証の確認を行う。
| 変更事由 | 確認・確認書類のポイント | 台帳・体系図の更新実務 |
|---|---|---|
| 下請会社の交代・追加 | 建設業許可証の写し、再下請負通知書、請負契約書の締結確認 | 施工体制台帳に該当下請業者を追加・修正し、施工体系図の分担関係図を最新版に更新して掲示する。 |
| 配置技術者の途中変更 | 資格証明書、実務経歴書、直接的かつ恒常的な雇用関係の確認 | 台帳の技術者欄を変更し、施工体系図の記載事項を差し替える。専任工事の場合は現場不在期間が生じないよう引継日を設定する。 |
| 建設業許可の更新時期またぎ | 更新申請書の控え(受理印あり)または新許可証の写し | 許可有効期間の満了後も更新審査中は従前の許可が有効(建設業法第3条第4項)であるが、新許可証の交付を受けた段階で台帳の許可年月日を更新する。 |
公共工事においては、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第15条第2項に基づき、施工体制台帳の変更があった際に遅滞なく変更後の写しを発注者へ提出する。変更発生から一定期間内(3日〜1週間以内)での更新・提出ルールを社内標準として運用する。
【監査完全対策】自社現場の是正を完了させる社内点検チェックリストとDX運用手順
立入検査直前でも網羅できる建設業法準拠の「施工体制・現場自主点検シート」
建設業法の立入検査では、書類上の記載と現場における実際の施工体制・技術者配置の実態との整合性が確認される。是正勧告や行政指導を受けるリスクを回避するため、法令に基づいた点検項目を事前の社内点検で洗い出す。
| 点検項目 | 法令根拠・確認基準 | 主な指摘事例 | 是正アクション |
|---|---|---|---|
| 施工体制台帳の作成 | 建設業法第24条の8 発注者から直接請け負った特定建設業者が、下請契約の総額5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)で作成。※公共工事は金額問わず全件作成。 |
一次下請以降の再下請負通知書の添付漏れ、変更契約後の請負代金額や工期の更新漏れ。 | 下請契約締結時に再下請負通知書の提出を義務化し、全下請負人の建設業許可証・社会保険加入確認書面を台帳へ添付する。 |
| 施工体系図の掲示 | 建設業法第24条の8第4項 各下請負人の施工順序、分担工事内容、技術者名を明記し、工事関係者や外部から見やすい場所に掲示。 |
現場入口や事務所に掲示されていない、下請負人の変更や主任技術者の交替が反映されず古い情報のまま放置されている。 | 施工体系図作成の社内マニュアルを整備し、下請体制の変更が生じた当日に図面を修正・差し替えて現場掲示する。 |
| 監理技術者の配置 | 建設業法第26条 元請として下請契約総額5,000万円以上(建築一式8,000万円以上)の工事で配置。請負代金4,000万円以上(建築一式8,000万円以上)の指定工事では専任配置。 |
監理技術者資格者証の不携帯、他現場との重複配置(専任違反)、監理技術者講習の有効期限切れ。 | 配置技術者の資格者証・講習修了証の有効期限を社内データベースで事前確認し、現場常駐を管理する。 |
| 一括下請負の禁止 | 建設業法第22条 公共工事・民間工事を問わず、実質的に工事施工に関与しない丸投げ行為を禁止。 |
元請が施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理等の実質的関与を行わず、一次下請に施工を丸投げしている。 | 施工計画書、工程会議の議事録、元請技術者による現場巡視記録や指示書を保存し、実質的な関与の証拠を常時提示できるようにする。 |
事前自主点検として、一次下請から提出された再下請負通知書と現場の作業員入退場記録(CCUSデータ等)を照合することで、台帳未記載の四次下請業者の入場や、変更契約前の先行施工に伴う施工体系図の差し替え漏れを事前に発見・是正できる。
施工体制台帳のクラウド・電子化による作成工数削減と是正漏れ防止の構築手順
施工体制台帳や施工体系図の更新を紙書類や表計算ソフトによる手動管理で行うと、下請構造が重層化するにつれて情報転記のミスや提出遅延が発生しやすくなる。施工体制台帳の電子化およびクラウド管理システムを導入し、建設キャリアアップシステム(CCUS)等とデータ連携を行うことで、管理の徹底と作成工数の削減を両立できる。
導入と運用の手順は以下の通りである。
- ステップ1:入力フォーマットの統一と下請企業へのアカウント発行
元請企業がクラウド上の施工体制台帳システムに必要な工事マスターを登録し、一次下請企業へ入力用アカウントを発行する。下請企業が自社情報や再下請情報をクラウド上で直接入力する運用に切り替えることで、元請側の転記作業と書類回収の手間を削減する。 - ステップ2:CCUSおよび電子署名サービスとのデータ連携
CCUSに登録されている事業者情報・技能者情報や電子契約システムとAPI連携を行う。施工体制台帳に記載される下請企業の建設業許可番号、社会保険加入状況、配置技術者の資格情報が自動更新され、手入力によるミスや記載漏れをシステム上で検知する。 - ステップ3:施工体系図の自動生成と現場でのリアルタイム運用
登録された下請構造データに基づき、最新の施工体系図をシステム上で自動出力する。現場代理人はスマートフォンやタブレットから最新の施工体制を確認・更新し、現場事務所のサイネージや掲示板へ出力・表示する。
クラウドシステムとCCUSのデータ連携を導入することで、施工体制台帳の作成・確認作業を大幅に削減可能である。下請企業の許可期限切れや技術者重複といったリスクが自動アラート通知されるため、立入検査においても不備指摘のない管理体制を確立できる。
よくある質問(FAQ)
Q. 施工体制監査(立入検査)でよく指摘される主な不備は何ですか?
A. 立入検査では、施工体制台帳の記載漏れや下請契約の変更手続き漏れ、掲示された施工体系図と現場実態の不一致などが頻繁に指摘されます。また、監理技術者や主任技術者の不適正配置、一括下請負(丸投げ)の禁止違反なども重点的にチェックされる項目です。
Q. 施工体制台帳はどのような工事で作成義務が発生しますか?
A. 公共工事では金額にかかわらず下請契約を締結したすべての工事で作成が義務付けられています。民間工事では、元請として締結した下請契約の合計金額が4,500万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上になる場合に作成義務が生じます。
Q. 施工体制台帳と施工体系図の違いは何ですか?
A. 施工体制台帳は、元請業者が一次・二次以下の全下請業者や配置技術者の情報を網羅して作成・保管する管理書類です。一方、施工体系図はその台帳をもとに各業者の施工順序や関係性を図式化したもので、現場関係者や閲覧者が確認できるよう現場に掲示する義務があります。
