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Home > 建設用語辞典 > 安全衛生・労働災害防止> 熱中症対策とWBGT

熱中症対策とWBGTとは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:熱中症対策とWBGTとは、気温だけでなく湿度や直射日光・照り返し(輻射熱)を総合的に評価する暑さ指数を用いて、現場作業員の熱中症を防ぐ安全管理の取り組みです。
  • 実務への関わり:WBGTの測定値に応じて作業時間や休憩比率を段階的に見直し、高負荷作業の中止や冷風・給水設備の配置など客観的な基準で判断することで、重大な労働災害を未然に防ぎます。
  • トレンド/将来予測:猛暑の常態化に伴い、熱中症特別警戒アラートへの迅速な対応や、ウェアラブル端末を用いた作業員の深部体温・心拍数のリアルタイム監視など、データに基づく予防管理の義務化が進んでいます。
目次
  • 建設現場でWBGT(暑さ指数)が気温より重視される理由と計算方法
  • 湿度7・輻射熱2・気温1で構成されるWBGTの基本と計算式
  • アスファルト・鉄骨の照り返しが体感温度を跳ね上げる現場特有のメカニズム
  • 【基準値別】WBGT値に応じた作業中止・休憩判断の実務基準
  • WBGT値ごとの作業区分と推奨される休憩時間比率
  • 熱中症警戒アラート・特別警戒アラート発令時の作業調整・中止判断フロー
  • 建設現場に適したWBGT測定器の選び方と正しい設置・測定ルール
  • JIS B 7922規格の確認と「据置型」「携帯型」の使い分け
  • 測定器の設置高さ(1.2〜1.5m)と照り返しを考慮した正しい計測位置・タイミング
  • 施工管理者が朝礼・巡回で即実践できる現場環境整備とKY活動のポイント
  • エアコン付き休憩所・ミスト・送風機など物理的環境整備の基準
  • 朝礼KYシートとバディシステムによる体調不良者の早期発見手順
  • IoT・ウェアラブルデバイスを活用したWBGT遠隔監視と安全配慮義務の履行
  • WBGT自動計測センサー×クラウド一斉アラートによる管理工数削減
  • スマートバンド等のバイタルデータ取得による個別予兆検知
  • よくある質問(FAQ)

建設現場でWBGT(暑さ指数)が気温より重視される理由と計算方法

厚生労働省の労働災害統計によると、職場における熱中症による死傷者数のうち建設業と製造業が全体の約4割を占め、死亡者数においては建設業が全業種中最多となっています。

夏季の建設現場における安全衛生管理では、一般的な「気温(乾球温度)」の確認だけでは作業員の熱負荷を正確に評価できません。事業者が作業員に対する安全配慮義務を履行し、実効性の高い熱中症予防を講じるには、「WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度/暑さ指数)」を現場管理の基準に据える必要があります。WBGTは人体と外気との熱収支に着目し、熱ストレスに大きな影響を与える「湿度」「日射・輻射熱」「気温」の3要素を統合した国際指標です。

湿度7・輻射熱2・気温1で構成されるWBGTの基本と計算式

WBGTが気温以上に重視される最大の理由は、算出における各要素の重み付けにあります。屋外環境におけるWBGTへの寄与度は、湿度が7割、日射・輻射熱が2割、気温がわずか1割です。

人体の体温調節は汗が蒸発する際の気化熱に大きく依存しているため、気温がさほど高くなくても湿度が高い環境下では汗が蒸発せず、体内に熱がこもり急激に体温が上昇します。

WBGTの公的な算出方法は、日射の有無(屋外と屋内)によって計算式が分かれています。

測定環境 WBGT 計算式 構成要素の寄与比率
屋外(日射あり) 0.7 × 自然湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度(気温) 湿度70%:輻射熱20%:気温10%
屋内(日射なし) 0.7 × 自然湿球温度 + 0.3 × 黒球温度 湿度70%:輻射熱30%
  • 自然湿球温度(Tw): 水で湿らせたガーゼを巻いた温度計で測定。湿度と風速を反映し、汗の蒸発しやすさを示す。
  • 黒球温度(Tg): 薄い銅製の黒色球体の中心温度を測定。直射日光や周囲の構造物から受ける輻射熱(赤外線)を捉える。
  • 乾球温度(Ta): 通常の温度計で直射日光を遮って測定する気温。

現場で正確な値を把握するためには、「JIS B 7922(電子式湿球黒球温度指数計)」または「JIS Z 8504」に適合したクラス2以上の機器を選定し、作業場所の代表的な位置(地上1.2〜1.5m)で実測することが前提となります。

アスファルト・鉄骨の照り返しが体感温度を跳ね上げる現場特有のメカニズム

建設現場が一般的な生活環境と大きく異なる点は、構造物や建材から生じる強力な「輻射熱」に作業員が常時晒されている点です。

夏季のアスファルト舗装面やコンクリート床、建て方作業中の鉄骨表面は、直射日光を受けて50℃〜60℃以上に達します。加熱された建材から放出される輻射熱が作業員の体表面へ直接放射されると、黒球温度が急激に跳ね上がります。

例えば、天気予報で気温32℃と発表されていても、舗装工事現場や屋上防水工事の直上では、強力な照り返しによって局所的なWBGTが「危険(31℃以上)」や「原則作業中止(33℃以上)」に達するケースが頻発します。

【一般的な環境と建設現場の熱ストレス比較】

[一般的な屋外環境]
直射日光 + 気温 ──> 汗の気化で体温調節が可能

[建設現場(鉄骨・アスファルト・足場内)]
直射日光 + 気温 + 建材からの強力な輻射熱(50℃超の照り返し)
 + 透湿性の低い保護具・作業服(着衣補正による熱こもり)
 + 仮設シートによる通風阻害
──> 気化熱による冷却限界を超え、WBGT・体感温度が急上昇

さらに、作業着の条件にも注意を払う必要があります。厚生労働省の「職場における熱中症予防基本対策要綱」では、透湿性の低い防塵服や化学防護服などを着用する場合、実測したWBGT値に衣服ごとの「補正値(+2℃〜+11℃等)」を加算してリスク評価を行うよう定めています。

気象庁・環境省が発表する熱中症警戒アラートは地域全体の推計値であり、現場の局所的な熱だまりや照り返しまでは反映されません。現場実測値に基づく的確な判断と個別管理が求められる理由がここにあります。

【基準値別】WBGT値に応じた作業中止・休憩判断の実務基準

建設現場における熱中症対策では、現場監督の主観や気温のみに頼った判断を排し、客観的なWBGT基準値に基づいた作業管理プロトコルを確立しておく必要があります。労働契約法第5条に基づく安全配慮義務を履行し、元請・協力会社間でトラブルを防ぐためにも、厚生労働省や環境省の指針に準拠した運用基準を定めます。

WBGT値ごとの作業区分と推奨される休憩時間比率

WBGT値と作業強度(代謝率)に応じ、連続作業時間の上限設定と休憩時間の割り振りを段階的に管理します。

WBGT値(暑さ指数) 作業区分 連続作業時間と休憩の目安 主な現場行動指針
31℃以上 危険 作業20〜30分に対し休憩10〜30分(高負荷作業は原則中止) 重量物運搬の中止、空調付き休憩所への退避、単独作業の完全禁止
28℃〜31℃未満 厳重警戒 作業40〜45分に対し休憩15〜20分 30分ごとの水分・塩分補給確認、直射日光下の作業抑制、送風機の稼働
25℃〜28℃未満 警戒 1時間ごとに10〜15分の定期休憩 定期的な給水指示、作業員の顔色・発汗状態の相互確認(バディ制)
25℃未満 注意 通常通りの工程進行(適宜給水) 冷却資機材の配備確認、WBGT計測の定時記録(1日3回以上)

透湿性の低い防塵服や化学防護服、フルハーネスを重ね着して作業を行う場合は、密閉度に応じて体感熱ストレスが2〜3℃相当上昇するため、現場の実測値が28℃であっても「31℃以上(危険区分)」と同等の休憩比率を適用します。

  • 厳重警戒域(28℃〜31℃未満)での運用
    • 足場組み立てや鉄筋配筋などの高負荷作業では、40分作業に対して20分の完全休息を割り振る。
    • 冷水機や製氷機を備えた日陰の休憩所を施工フロア直近に確保し、移動による身体的負荷を抑える。
  • 危険域(31℃以上)での運用
    • 重量物運搬や掘削などの重労働を休止し、日陰での軽作業や手元作業へ切り替える。
    • 連続作業を最大20〜30分に制限し、心拍数や体表面温度の上昇に応じた個別離脱を実施する。

熱中症警戒アラート・特別警戒アラート発令時の作業調整・中止判断フロー

気候変動適応法に基づく「熱中症警戒アラート(基準:WBGT 33以上)」および「熱中症特別警戒アラート(基準:都道府県内すべての観測点で翌日の最高WBGT 35以上予測)」が発令された場合、現場監督は工程変更や作業中止を判断します。

【前日14時:アラート情報の受信】
  ├─ 「熱中症特別警戒アラート」発令(予測WBGT 35以上)
  │    └─ 原則として屋外作業の全面中止、または終日屋内作業への工種振替を決定・協力会社へ通知
  └─ 「熱中症警戒アラート」発令(予測WBGT 33以上)
       └─ 翌日の工程調整(早朝シフトへの変更、重負荷作業の翌々日以降への順延)

【当日朝礼時:計画の伝達と体制確認】
  ├─ 現場直近の実測値・当日のタイムスケジュール共有
  ├─ 冷却ベストやファン付き作業着の点検
  └─ 体調不良者(睡眠不足・前日飲酒等)の作業配置転換

【日中作業中:リアルタイム監視と即時対応】
  ├─ 現場実測WBGT 33℃到達:屋外の高所・単独作業を即時中止、低負荷作業へ限定
  └─ 現場実測WBGT 35℃到達:全屋外作業を完全休止、全作業員を冷房完備の詰所へ退避

協力会社や発注者に対して作業中止や工期調整の妥当性を説明する際は、気象庁発表の広域データだけでなく、現場の地上1.2〜1.5m(作業者の胸の高さ)で実測した客観的データを提示します。直射日光やアスファルトからの輻射熱を受ける施工箇所では、日陰の詰所周辺と比べてWBGT値が3〜5℃高くなるため、測定値を作業日報に記録・添付することが円滑な協議の根拠となります。

建設現場に適したWBGT測定器の選び方と正しい設置・測定ルール

JIS B 7922規格の確認と「据置型」「携帯型」の使い分け

WBGT測定器を導入する際は、「JIS B 7922(電子式湿球黒球温度指数計)」に適合しているか(クラス2以上推奨)を確認します。

市販の安価な簡易温湿度計には、気温と湿度のみから推定値を算出する機種が存在します。しかし、屋外の建設現場では黒球温度(輻射熱)が熱ストレスを大きく左右するため、黒球を備えていない機器では正確な危険度を把握できません。

測定器は用途に応じて使い分けます。

測定器タイプ 主な設置・携行場所 特徴とメリット 推奨用途
据置・大型LED表示板型 朝礼広場、詰所前、メイン通路 現場内の全員が常時数値を視認でき、現場全体の安全意識を高めやすい 全体周知、一斉休憩指示の判断基準
可搬式・IoT連動型 工区代表位置、中間階スラブ クラウド経由で事務所や職長スマートフォンへリアルタイム自動警報 エリアが広い土木工事、多層階建築
携帯型・装着型 高所作業員、単独作業員の腰・腕 個々の作業員が受ける局所的な熱環境をピンポイントで検知 足場上、鉄骨建方、地下ピット

日陰の詰所と足場上や地下ピットでは局所WBGTが3〜5℃以上乖離するため、全体管理用の据置型に加え、過酷な環境で作業する人員には携帯型測定器やウェアラブルデバイスを持たせることが有効です。

測定器の設置高さ(1.2〜1.5m)と照り返しを考慮した正しい計測位置・タイミング

1. 設置高さと位置の基準

測定器のセンサー部分は、地面から1.2〜1.5mの高さ(作業者の胸から腰の高さ)に固定します。地面に直置きしたり2mを超える高所に吊り下げたりすると、人体の受熱状態と乖離が生じます。

  • 輻射熱を受ける位置の選定: アスファルト舗装面、コンクリート打設フロア、敷き鉄板の上などでは、地面からの強い照り返しを拾える代表位置に設置する。
  • 直射日光下の測定: 屋外直射日光下で作業を行う場合は、測定器も直射日光を受ける作業場所に設置する。仮設事務所の軒下や日陰だけで測定した数値を屋外作業の判断基準にしてはならない。

2. 定時測定の運用タイミング

WBGT値は日射角度や気温の変化に応じて変動するため、以下のタイミングで定期測定を行います。

  • 朝礼前(8:00前後): 当日の初期値を確認し、作業帯ごとの熱中症警戒アラート発表状況と照らし合わせ、作業強度の調整や早朝シフトの要否を確認する。
  • 午前の休憩前(10:00): WBGTの上昇傾向を確認し、一次休憩時の水分・塩分補給状況を点検する。
  • 昼休憩明け(13:00): 日射と地表面温度がピークに達する時間帯。WBGTが31℃(厳重警戒)や33℃(作業休止基準)を超えていないかを測定し、午後の作業インターバルを再設定する。
  • 午後の休憩時(15:00): 西日による輻射熱の増加と作業員の疲労蓄積を考慮した安全確認を行う。

急激な天候変化(急な日射の強まりや無風状態への移行)が発生した場合は臨時に測定を実施し、安全衛生日報に測定値と講じた措置(休憩延長、散水、送風機稼働など)を記録します。

施工管理者が朝礼・巡回で即実践できる現場環境整備とKY活動のポイント

エアコン付き休憩所・ミスト・送風機など物理的環境整備の基準

現場内の熱ストレスを低減させるには、直射日光や構造物からの輻射熱を遮断し、体温を効率的に下げられる休憩設備を整える必要があります。

整備区分 設置・配備基準 運用のポイント
冷房付き休憩所 室温28℃以下、湿度60%以下を維持できるエアコンまたはスポットクーラー 作業場所から徒歩2〜3分以内の近接エリアに確保。移動が困難な高層階にはフロアごとに仮設遮光ブースを設置
遮光・送風設備 遮光率80%以上の遮光ネット、大型工場扇、ミスト発生器 直射日光を遮りつつ送風機で気流(風速1m/s以上)を作り、気化熱による冷却を促進
飲料・製氷設備 製氷機、冷水器、経口補水液 冷却用氷パックを常備し、首筋や脇下をアイシングできる環境を整備
消耗品・サプリ 塩分補給タブレット、スポーツドリンク粉末、ブドウ糖 詰所や各工区の給水スポットに配置し、渇きを感じる前の計画的摂取を促す

詰所内には熱中症の初期症状に応じた応急処置マニュアル、担架、冷却キットを常備しておきます。

朝礼KYシートとバディシステムによる体調不良者の早期発見手順

前日の深酒、睡眠不足、朝食の欠食は熱中症発症リスクを高めるため、朝礼時の危険予知活動(KY活動)と作業中の相互監視(バディシステム)を定着させます。

朝礼時の熱中症KYチェック項目

職長および施工管理者は作業員一人ひとりの表情や言動を目視で確認しながら、以下の項目を点呼時に確認します。

  • 睡眠・体調: 前夜の睡眠時間が5時間以上確保できているか、朝食を確実に摂取しているか
  • 身体状況: 二日酔いの自覚症状がないか、発熱・下痢・風邪症状・持病の服薬による脱水傾向がないか
  • 応答確認: 顔色の蒼白さがないか、声の張りと受け答えが明確か(不調者は屋内軽作業へ配置転換)

作業中のバディシステムと巡回ルール

現場内での単独作業は体調急変時の発見遅れにつながるため、原則として2人1組(バディ)で作業を行います。

【現場巡回・バディ監視のチェックリスト】
□ 2人1組のバディが常に互いの視界に入る範囲で作業しているか
□ 単独作業が発生していないか(やむを得ない場合は巡回頻度を15〜30分間隔に設定)
□ 相手の「会話の受け答えが不自然」「発汗の停止」「足元のふらつき」がないか
□ 30分〜1時間ごとの定期給水・塩分補給を互いに声掛けして実施しているか
□ 安全当番による巡回時、WBGT値の変動を作業員へ周知しているか

現場実測のWBGTが31℃を超えた時間帯は、安全当番が巡回放送等を用いて現場全体に休憩と水分補給を促します。

IoT・ウェアラブルデバイスを活用したWBGT遠隔監視と安全配慮義務の履行

広大な現場内を手動で巡回計測・記録する従来の手法では、温熱環境の急変に即応できず作業指示にタイムラグが生じる課題がありました。管理負担を軽減し、労働安全衛生法に基づく安全配慮義務を客観データとして履行するため、IoTセンサーやウェアラブルデバイスを活用したリアルタイム遠隔監視システムの導入が有効です。

WBGT自動計測センサー×クラウド一斉アラートによる管理工数削減

IoT対応のJIS B 7922適合計測器を用いることで、演算とデータ集約を自動化できます。例えば、気象IoTセンサー(NETIS登録技術等)を現場に設置し、1分単位で局所のWBGT値を自動計測・クラウド集約する体制を組むことで、事務所にいながら足場上や掘削底面といった危険箇所の数値を把握できます。

【IoT WBGT遠隔監視・自動アラートの基本構造】
[JIS B 7922準拠 IoTセンサー](1分〜数分間隔で自動計測)
       │(LTE / LPWA通信)
       ▼
[クラウド管理サーバー](閾値判定・データ蓄積)
       │
       ├─▶ [現場事務所 PCモニター](管理者が全体数値を常時監視)
       ├─▶ [現場内 大型LEDサイネージ](作業員へ現在のWBGT・警戒度を表示)
       └─▶ [職長・作業員 スマートフォン](基準値超過時にプッシュ通知)

クラウド側で暑さ指数基準値に応じた自動通知を設定します。

WBGT基準値 警戒区分 システム自動連動アクション
28℃未満 注意 定期的な水分・塩分補給のアナウンス
28℃〜31℃ 警戒 現場サイネージを「黄色」点灯、積極的休憩の呼びかけ
31℃〜33℃ 厳重警戒 職長端末へ一斉通知、30分〜1時間ごとの休憩指示
33℃以上 危険(熱中症警戒アラート) 大型サイネージ「赤色」点滅、高所・単独作業の中止・時間帯変更

延床面積1万㎡を超える大型現場では、日陰となる地下階と直射日光を受ける屋上階でWBGT値が3〜5℃乖離します。各工区に定点センサーを分散配置して大型サイネージや現場管理アプリと連携させれば、巡回計測に要していた工数を削減しつつ、的確な作業調整指示を現場全体へ瞬時に周知できます。

スマートバンド等のバイタルデータ取得による個別予兆検知

同じWBGT環境下であっても、作業員の年齢、基礎疾患、前日の睡眠状態、保護具の着衣条件によって熱ストレスの蓄積度合いは異なります。定点計測に加え、作業員が装着したスマートバンド等でバイタルデータ(心拍数・体表面温度・活動量)を統合監視する手法が効果的です。

  • 機器の選定基準: 連続稼働時間12時間以上、防塵・防水性能IP67以上、作業の妨げにならない軽量バンド型
  • 個別アラート閾値の設定: 安静時心拍数と年齢から算出した上限心拍数(最大心拍数の70〜80%程度)や、急激な体表面温度上昇を検知する個別ルールを登録
  • 異常検知時の救護体制: 危険値を検知した際、本人への振動通知と同時に安全衛生責任者へ位置情報付きアラートを送信
【バイタル異常検知時の初動対応フロー】
[スマートバンドが心拍数異常を検知]
       │
       ├─▶ [作業員本人]:リストバンドの振動で異常を自覚
       └─▶ [安全衛生責任者]:クラウド経由で位置情報・アラートを受信
              │
              ▼
       [直近の職長へ内線・インカムで現場確認を指示]
              │
              ▼
       [該当作業員を日陰・休憩所へ退避、バイタル再測定・水分補給]

作業員ごとのバイタルログや現場のWBGT推移データがクラウド上に自動保存される仕組みは、企業の安全配慮義務を客観的に証明するエビデンスになります。万が一の体調不良発生時にも、現場の環境測定状況や初動措置の妥当性を時系列データで開示できるため、労務管理の透明性と安全衛生水準の向上に直結します。

よくある質問(FAQ)

Q. 建設現場の熱中症対策でWBGT(暑さ指数)が気温より重視される理由は?

A. 人体の体温調節に大きな影響を与える「湿度」「日射・輻射熱」「気温」の3要素を統合した指標だからです。建設現場では鉄骨やアスファルトからの強い照り返し(輻射熱)が発生し、高湿度下では汗が蒸発せず体内に熱がこもります。WBGTは作業員にかかる実際の熱ストレスを正確に評価できるため、安全衛生管理の基準として重視されています。

Q. 気温とWBGTの違いは何ですか?

A. 気温が単なる大気の温度を示すのに対し、WBGTは人体と外気の熱収支に着目した「体感的な暑さの指標」です。屋外におけるWBGTの構成比率は湿度が7割、輻射熱が2割、気温はわずか1割です。そのため、天気予報の気温がそれほど高くなくても、直射日光や建材の照り返し、高湿度によって現場のWBGTが危険水準に達することがあります。

Q. WBGT(暑さ指数)の計算式と測定方法は?

A. 屋外(日射あり)の計算式は「0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度(気温)」です。屋内では「0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度」で算出します。現場で正確に把握するには、JIS規格(JIS B 7922など)に適合した指数計を用い、作業場所の地上1.2〜1.5mの代表的な位置で実測する必要があります。

関連する建設用語

  • KY活動(危険予知活動)
  • TBM(ツールボックスミーティング)
  • 足場の組立て等作業主任者
  • 送り出し教育
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