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Home > 建設用語辞典 > BIM/CIM・ICT施工> BIM/CIM

BIM/CIMとは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:BIM/CIMとは、建物や土木構造物の3次元立体モデルに、部材の名称や強度などの属性データを紐付けて一体管理する仕組みです。
  • 実務への関わり:設計から施工・維持管理までデータを一元化できるため、現場での手戻り防止やコスト削減、関係者間のスムーズな意思決定に役立ちます。
  • トレンド/将来予測:国土交通省直轄工事での原則義務化を契機に活用が急速に広まっており、今後は地方自治体への波及とさらなる建設DXの基盤として定着する見通しです。

BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling/Management)は、計画・設計・施工・維持管理の各フェーズにおいて、3次元形状モデルと部材の仕様・強度などの属性データを一元的に連動させる技術体系である。2023年度からの国土交通省直轄工事における原則適用を受け、従来の2次元図面を中心とした運用から、デジタルデータを基軸とした実務プロセスへの移行が加速している。本記事では、BIMとCIMの基礎的な概念差をはじめ、発注・施工における適用ルール、現場での定量的メリット、ソフト選定指針、内製化と外注化の切り分けまで、実務者が把握すべき要点を体系的に解説する。

目次
  • BIM/CIMの基本定義と「BIM」と「CIM」の違い
  • BIM(建築)とCIM(土木)の違いと2018年統合の背景
  • 3次元モデルと「属性情報」が付与するデータの活用価値
  • 国土交通省が推進するi-Construction・建設DXでの位置づけ
  • 国土交通省「原則義務化」の適用範囲と発注・施工の運用ルール
  • 「発注者指定型」と「施工者希望型」の違いと選定基準
  • 義務化対象となる「義務項目(4項目)」と小規模工事等の適用除外条件
  • 地方自治体発注工事への波及状況と今後のロードマップ
  • 建設・土木実務における導入メリットと直面する現実的デメリット
  • フロントローディングと合意形成迅速化による手戻り防止・コスト削減
  • 初期コスト・人材不足・データ互換性などの実務課題と打開策
  • 業務・工事で遵守すべき公式ガイドラインとソフトウェア選定指針
  • 「BIM/CIM活用ガイドライン」の主要要点と確認すべきポイント
  • 代表的な対応ソフト(3次元CAD)の分類とデータ交換規格(IFC・JACIC標準)
  • 自社でBIM/CIM対応を進めるための「実務着手・DX推進チェックリスト」
  • 組織体制・PC環境・ソフト導入を進める3ステップ
  • 社内人材の育成計画と外部委託(アウトソーシング)の使い分け基準

BIM/CIMの基本定義と「BIM」と「CIM」の違い

建設生産プロセス全体のデジタル化を担うBIM/CIMは、単なる3D CADソフトによる描画手法ではない。取り扱うデータの内部構造および期待される工程改善効果において、従来の2次元図面主体の運用とは明確に区別される。

BIM(建築)とCIM(土木)の違いと2018年統合の背景

BIM(Building Information Modeling)とCIM(Construction Information Modeling / Management)は、起源とする適用対象分野が異なる。主要な差異は以下の要素に集約される。

項目 BIM(建築分野) CIM(土木分野)
主な対象構造物 ビル、マンション、工場、商業施設など 道路、橋梁、ダム、トンネル、河川構造物など
空間軸・座標系 敷地内の相対座標(垂直方向中心) 公共測量に基づく絶対座標・GIS連携(水平方向中心)
主な活用データ 建築部材、設備配管、室内仕上げ情報 広域地形データ、点群データ、土質地質情報

国土交通省が2018年に両用語を「BIM/CIM」へ統合・改称した背景には、ISO 19650をはじめとする国際規格との整合性を確保する目的が存在する。海外では土木インフラを含めて「BIM」と総称することが一般的であり、標準化対応の円滑化を図った。また、駅前再開発や地下連絡通路整備など、建築と土木が交錯する現場でのデータフォーマット乖離を防ぎ、一質的なデータ連携環境を整える狙いも含まれている。

3次元モデルと「属性情報」が付与するデータの活用価値

BIM/CIMが従来型の3D CADと異なる決定的な要因は、立体形状に「属性情報」が紐付いている点にある。属性情報とは、部材の名称、寸法、材質、強度規格、施工年月日、単価といった非形状テキスト・数値データである。

この属性情報の付与により、設計から施工、維持管理に至るデータ引き継ぎが自動化される。例えば桁長50メートルの鋼橋補修現場において、属性情報を持つモデルを利用すれば、画面上の鋼桁オブジェクトをタップするのみで過去の塗装仕様や鋼材規格(SMA490等)が瞬時に表示される。これにより紙の図書参照作業が不要となり、事前調査の工数が削減される。

また、施工前の段階で課題を抽出・解決する「フロントローディング」も属性情報により実現する。設計段階で構造物と設備配管の干渉チェックを自動実行することで、現場での鉄筋と配管の衝突による切り戻しや手戻り工事を未然に防止できる。

国土交通省が推進するi-Construction・建設DXでの位置づけ

国土交通省が推進する「i-Construction」および「建設DX」において、BIM/CIMはデータ基盤の根幹をなす。技能者の高齢化や入職者減少という課題に対し、測量・設計・施工・維持管理を一気通貫のデータで接続し、現場の作業時間を削減する。

同省は2023年度(令和5年度)より、小規模工事等を除くすべての直轄土木業務・工事において「BIM/CIM原則適用(原則義務化)」を実施している。運用形態は大きく「発注者指定型」と「施工者希望型」の2種類に分かれ、国土交通省のガイドラインに沿った詳細度(LOD)に基づいてモデル作成とデータ運用が行われる。

国土交通省「原則義務化」の適用範囲と発注・施工の運用ルール

原則適用に伴い、受発注者は契約手続きや施工計画へ正しく運用ルールを反映させなければならない。案件ごとの発注条件を識別することが実務上の起点となる。

「発注者指定型」と「施工者希望型」の違いと選定基準

発注方式ごとの適用要件とコスト・目的の相違は下表の通りである。

区分 発注者指定型 施工者希望型
適用条件 詳細設計等で3次元モデルが作成済みの工事、または一定規模(A等級等)以上の工事 詳細設計段階で3次元モデルが未作成の工事、または発注者指定がなされなかった工事
費用の扱い 作成・活用費用が当初の予定価格・積算に含まれる(変更協議対象) 受注者の提案採択後、協議を経て必要費用を変更計上
主な目的 貸与モデルを活用し、指定された目的達成や施工計画の平準化を図る 施工会社が自発的にモデルを構築し、現場の干渉チェックや安全対策を推進する

選定基準として、詳細設計段階で作成された3次元モデルが受発注者間で共有(Data-Sharing:DS)可能な案件では、原則「発注者指定型」が適用される。貸与モデルが存在しない道路改良工事等で、現場の手戻り防止や施工シミュレーションを主動で行いたい場合は、受注側から「施工者希望型」の提案協議を行う標準手順をとる。

義務化対象となる「義務項目(4項目)」と小規模工事等の適用除外条件

実務で適用される代表的な義務項目(4項目)は以下の項目で構成される。

  • 出来上がり全体イメージの確認: 施工前に構造物の完成形状を3D可視化し関係者間で共有。
  • 特定部の確認(2次元図面の確認補助): 鉄筋密着部や配管交差部など、複合作業部の干渉を立体確認。
  • 施工計画の検討補助: 重機作業半径や仮設配置、搬入経路の危険性をモデル上で検証。
  • 現場作業員等への説明: KY活動や新規入場者教育において視覚データで安全周知。

ただし、定型的な維持修繕工事や単独の設備工事などの「小規模工事」、ならびに緊急を要する災害復旧工事は適用除外とされる。対象の有無は特記仕様書の記載事項により指示される。

地方自治体発注工事への波及状況と今後のロードマップ

国直轄工事での適用に伴い、都道府県や政令指定都市などの自治体においても試行工事の導入が進む。東京都や長野県をはじめ、独自の運用方針を策定する自治体が増加している。

今後は、国内におけるデータ連携規格(IFC規格等)の浸透と、施工後の維持管理フェーズへのデータ引継ぎ手法の確立が予定されている。2次元図面主体から3次元モデル主体の契約・検査体制への本格移行に対応するため、受発注者双方がデータ運用能力を整える段階に入っている。

建設・土木実務における導入メリットと直面する現実的デメリット

BIM/CIM導入による効果は、立場によって発現する形が異なる。発注者・受注者双方の定量・定性的メリットを把握することで、投資対効果の正当な評価が可能となる。

立場 主な定性的メリット 主な定量的・具体的メリット
発注者(官公庁・自治体・事業主) ・住民説明や関係機関協議における合意形成の迅速化
・完成イメージの早期共有による要求不一致の防止
・協議用資料作成時間を約30%削減
・維持管理段階における点検・修繕履歴参照の短縮
受注者(ゼネコン・コンサル・サブコン) ・設計ミス・不整合の事前抽出(フロントローディング)
・施工手順や危険箇所の現場伝達の精度向上
・鉄筋干渉等に伴う手戻り工事・設計変更の削減
・3D点検データ連携による出来形管理作業の効率化

フロントローディングと合意形成迅速化による手戻り防止・コスト削減

BIM/CIM導入の主要な価値は、上流工程で不整合を洗い出すフロントローディングにある。従来の平面図で見落とされがちだった地下埋設物と基礎杭の衝突などを、設計・計画段階で検出可能である。

年間10件程度の道路改修工事を請け負う土木コンサルタントの場合、設計変更に伴う修正作業を現場着工前に処理できるようになり、施工時の不整合による工程遅延を防ぐことができる。また、3次元ビジュアルを用いた発注者協議や住民説明により、合意形成までに要する期間が短縮される。

初期コスト・人材不足・データ互換性などの実務課題と打開策

実務への全面定着においてハードルとなる課題と、その具体的な打開策を下表に整理する。

実務上の壁(課題) 現場で発生する具体的問題 現実的な打開策・実務指針
初期投資コスト 高スペックPCや3D CADライセンスの導入・維持負担が大きい 機能を絞って段階導入し、IT導入補助金や無料のクラウド型3Dビューワーを活用して固定費を抑制
対応人材の不足 モデル構築や属性付与を行えるオペレーターが社内に不在 自社作業を閲覧・照査に絞り、高度なモデリングは外部専門業者へ部分委託しながら社内育成を進める
データ互換性の欠如 ソフト間のファイル形式差異により受発注者間でデータ崩れが発生 IFC形式やJ-LandXMLなどの標準交換形式による納品を徹底し、事前の事前協議で出力形式を固定化

年間20件の中規模改修工事を手がけるゼネコンでは、自社でのソフトウェア一括購入を避け、発注者指定型案件の受託時に無償ビューワーアプリやWeb情報共有システム(ASP)を活用する運用から開始している。モデリング自体は外部委託し、自社社員は「現場でのモデル閲覧と施工照査」に特化させることで、投資リスクと学習負荷を最小限に抑えながら運用体制を整えている。

業務・工事で遵守すべき公式ガイドラインとソフトウェア選定指針

「BIM/CIM活用ガイドライン」の主要要点と確認すべきポイント

国土交通省が発行する『BIM/CIM活用ガイドライン』および関連要領(『3次元モデル成果物作成要領』等)は、事業遂行における公式ルールである。ガイドラインでは、発注者が受注者に対して不要な過大精度モデル(過剰な詳細度)を要求することを禁じている。過度なボルト作成などは作業コストを増大させるため、工種ごとに定義された詳細度(LOD)を遵守することが基本原則となる。

代表的な対応ソフト(3次元CAD)の分類とデータ交換規格(IFC・JACIC標準)

ベンダー依存によるデータ破損を防ぎ、スムーズなデータ引き継ぎを行うため、以下の標準データフォーマットの利用が定められている。

  • J-LandXML: 地形、道路・河川の線形データ、土工形状の授受に用いられるデータ交換標準。
  • IFC(Industry Foundation Classes): 建物や土木構造物の形状・属性情報を保持する国際標準規格。
  • オリジナルファイル形式: 各CAD固有の保存形式。成果納品時は将来の再編集を考慮し、標準規格と併せて納品する。

実務用途に応じた主要ソフトウェアの分類は以下の通りである。

分類・用途 主な対応ソフトウェア例 対応標準規格 選定時の実務ポイント
土木線形・土工設計 Autodesk Civil 3D、SiTECH 3D など J-LandXML 道路・河川の線形定義および切盛土量の算出、J-LandXML出力検定の適合。
構造物・配筋設計 Autodesk Revit、Allplan、V-nasClair など IFC(土木IFC) コンクリート構造・鋼構造の立体モデル化および属性情報付与能力。
統合・干渉チェック・施工管理 Autodesk Navisworks、Trend-Core など IFC、J-LandXML、点群 地形・構造物・仮設の統合、4D(時間軸)シミュレーション、ICT建機データ連携。

道路改良工事を中心とする企業の場合、初めから全網羅的な統合解析ソフトを導入せず、土工線形処理とJ-LandXML出力が得意なソフトと、現場検証用の閲覧ソフトを組み合わせて選定するのが効率的である。

自社でBIM/CIM対応を進めるための「実務着手・DX推進チェックリスト」

BIM/CIMの社内定着においては、段階的な環境整備と外部リソースの適切な活用が求められる。

組織体制・PC環境・ソフト導入を進める3ステップ

自社での立ち上げにあたっては、以下の3工程に従って準備を進める。

ステップ1:適用項目の整理と運用方針の策定
自社が受託する工事種別(指定型か希望型か)を整理し、必要な活用項目(干渉チェック、施工シミュレーション等)を決定する。

ステップ2:高負荷処理に耐えうるPC環境の調達
3次元データや大容量の点群データを滞りなく扱うため、下表の動作要件を満たすPC端末を用意する。

構成要素 推奨スペック 実務上の選定理由
CPU Intel Core i7 / Core i9(第13世代以降)または AMD Ryzen 7 / 9 モデルの演算法処理や干渉チェックの処理速度を確保するため
メモリ(RAM) 32GB以上(大規模統合モデル・点群処理は64GB推奨) メモリ不足によるソフトの強制終了や応答遅延を防ぐため
グラフィック(GPU) NVIDIA RTX 3060(VRAM 8GB)以上、または RTX A2000以上 リアルタイムの3次元描画処理を安定して行うため
ストレージ 1TB NVMe M.2 SSD 大容量モデルファイルの読み込み・保存を高速化するため

ステップ3:ソフトウェア選定と社内ルールの確立
業務用途に合うソフトを選定し、ファイル命名規則やデータ保存場所(クラウドストレージ等)の社内ルールを制定する。

社内人材の育成計画と外部委託(アウトソーシング)の使い分け基準

初期段階で全業務を内製化することは教育負担が大きい。以下の基準で業務を切り分けることが推奨される。

検討項目 社内内製化を推進すべき領域 外部委託(アウトソーシング)を活用すべき領域
業務内容 施工計画検討、仮設・干渉確認、現場でのモデル閲覧・活用 初期の複雑な3Dモデル作成、特殊構造物の詳細モデル化
目的・効果 フロントローディングによる手戻り防止、社内ノウハウ蓄積 社内リソース不足の補填、初期のモデル構築ハードル低減
適用基準の目安 施工者希望型提案や日常的な現場管理案件 発注者指定型で高度な成果品作成が必須となる大規模案件

年間5〜10件の工事を扱う企業の場合、初年度は納品用モデル作成を外部委託し、自社社員はタブレットでのモデル閲覧と現場確認に専念する。2年目以降、仮設検討などの小規模モデル作成から内製化を始める段階的アプローチが有効である。

社内人材の育成計画は、段階的な研修カリキュラムとして設計する。

  • フェーズ1(1〜3ヶ月): 3次元モデルの閲覧・寸法計測・属性確認(全現場担当者対象)
  • フェーズ2(4〜6ヶ月): 簡易仮設モデルの作成、施工手順の3D表示(現場主担当者対象)
  • フェーズ3(7〜12ヶ月): 干渉チェックの自動実行、数量算出、発注者協議対応(推進リーダー対象)

この手順に則ってハード環境整備・ソフト導入・外注活用を進めることで、組織に過度な負担をかけず原則適用に対応した生産性向上を実現できる。

よくある質問(FAQ)

Q. 「BIM」と「CIM」の違いは何ですか?

A. BIMは主に「建築」、CIMは「土木」分野で用いられてきた技術ですが、2018年に「BIM/CIM」へ名称統合されました。どちらも3次元形状モデルに部材の仕様や強度などの属性データを連動させ、計画から設計・施工・維持管理までを一貫して管理する技術体系です。

Q. BIM/CIMの原則義務化とは何ですか?

A. 国土交通省が2023年度から直轄工事で開始した、3次元モデルの活用を標準とするルールです。従来の2次元図面中心の実務からデジタル基軸への移行を目的に導入されました。小規模工事等を除く対象案件において、干渉チェックなどの義務項目への対応が求められます。

Q. BIM/CIMを導入するメリットは何ですか?

A. 最大のメリットは、設計段階で問題を解決する「フロントローディング」による手戻り防止とコスト削減です。3次元モデルにより関係者間の合意形成が迅速化し、現場での施工トラブルや修正作業を減らせます。さらに維持管理フェーズへのデータ活用も容易になります。

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