一級建築士試験の見直し小委員会が始動
国土交通省は、2026年10月19日に中央建築士審査会「一級建築士試験制度の見直しに関する小委員会」の第1回会合を開催すると発表しました。2026年7月に成立した改正建築士法において、大学等の在学中に一級建築士試験を受験できる見直しが盛り込まれたことを受け、今後の一級建築士試験制度のあり方について審議が開始されます。
深刻化する高齢化と在学中受験の解禁
建築士法第28条に基づき設置されている中央建築士審査会の下に設置された検討組織です。
背景には、建築士の深刻な高齢化と将来的な担い手不足があります。国土交通省の公表データによれば、建築士事務所に所属する一級建築士のうち60歳以上の割合は2008年時点の約12%から2024年4月時点で約44%へと急増しており、現在の傾向が続けば今後30年間で半減する見込みと試算されています。
こうした状況を改善するため、2018年改正建築士法(2020年施行)では実務経験を受験要件から免許登録要件へと切り離し卒業直後の受験を可能にしましたが、2026年7月の法改正ではさらに踏み込み、大学・高専等の在学中における受験解禁が盛り込まれました。これに伴う具体的な試験運用や制度設計を審議するため、本小委員会が初開催される運びとなりました。
第1回小委員会の概要と委員構成
発表された第1回小委員会の開催要領および委員体制は以下のとおりです。
- 開催要領
- 日時: 令和8年(2026年)10月19日(月)10:00~
- 場所: 中央合同庁舎2号館1階共用会議室2A・2B(東京都千代田区霞が関2-1-2)
- 議事: 一級建築士試験制度の見直しについて 等
- 公開基準: 傍聴不可(報道関係者に限り冒頭のみカメラ撮り可)
- 小委員会 委員名簿(敬称略・15名)
- 上野 浩也((一社)日本建築士事務所協会連合会 会長)
- 金多 隆(京都大学 教授)
- 後藤 治(国立近現代建築資料館 館長)
- 篠原 聡子(日本女子大学 学長)
- 菅谷 朋子(弁護士)
- 清家 剛(東京大学大学院 教授)
- 長澤 夏子(お茶の水女子大学 教授)
- 古谷 誠章((公社)日本建築士会連合会 会長)
- 松山 将勝((公社)日本建築家協会 会長)
- 吉田 可保里(弁護士)
- 淡野 博久((公財)建築技術教育普及センター 理事長)
- 大月 敏雄(東京大学大学院 教授)
- 小野田 泰明((一社)日本建築学会 会長)
- 金尾 伊織(京都工芸繊維大学 教授)
- 定行 まり子(日本女子大学 名誉教授)
影響が見込まれる関係事業者・教育機関
- 建築設計事務所・組織設計事務所: 若手設計者の採用計画や育成プログラムの見直しに関わります。
- 総合建設業(ゼネコン)・住宅メーカー: 設計・施工管理・工事監理部門における技術者の早期確保に影響します。
- 大学・高等専門学校等(建築系学科): 在学中の受験要件となる科目履修や学事日程の調整が視野に入ります。
- 建築系学生・若手実務者: 一級建築士資格の取得スケジュールやキャリアプランに直結します。
採用・人材育成実務への影響
- 建築設計事務所/ゼネコン・住宅メーカー(設計・監理・採用部門)
- 在学中に学科試験や製図試験を通過した新卒者が入社してくるケースが想定されるようになります。入社後の社内研修や資格取得支援のあり方が、試験対策中心から、免許登録に必要な実務経験を計画的に積ませる体制づくりへと変化していく可能性があります。
- 大学・高等専門学校等の教育機関
- 卒業研究や修士論文の執筆時期と一級建築士試験の準備期間が重複することを見据え、指定科目の単位修得管理や履修ガイダンスなどの指導体制を調整する動きにつながる可能性があります。
今後の審議と施行スケジュール
- 2026年10月19日: 第1回「一級建築士試験制度の見直しに関する小委員会」を開催(本文テキスト記載)。
- 公布から3年以内(2029年7月まで): 改正建築士法に基づく在学中受験の解禁など、試験・資格要件に関する見直しが施行予定(建設通信新聞等の別途公表資料によれば)。
- (時期未定): 小委員会における取りまとめ・答申の具体的な完了目標時期については、現時点で本文テキストに記載されていません。
制度設計に向けた今後の論点
- 在学中受験の対象学年・適用基準: 学部4年次や大学院在籍時など、どの学年から受験可能とするか、単位修得見込みや卒業見込みの確認要件がどう設定されるかが今後の焦点になります。
- 学事日程と試験日程の調整: 大学等の夏期休暇や卒業制作・研究のスケジュールと試験実施時期の関係について、現行の試験日程(7月学科・10月製図)が維持されるか、あるいは見直しが検討されるかは現時点で示されていません。
- 出題内容や実務的課題の扱い: 在学中の学生が受験することを踏まえ、実務的な知識を問う出題内容や設計製図試験の課題設定に配慮や見直しが加えられるかどうかも今後の審議事項となります。
建築士資格をめぐる法改正の動向
- 改正建築士法におけるその他の緩和措置: 2026年7月に成立した改正建築士法では、在学中受験の解禁のほか、二級建築士から一級建築士を目指す場合の実務経験要件を一定条件下で4年から2年に短縮することや、学科卒業以外の実務ルートにおける二級・木造建築士受験要件の短縮(7年→2年)なども盛り込まれています(建設通信新聞等の報道による)。
- 2018年法改正からの流れ: 2018年の建築士法改正(2020年施行)によって実務経験が受験要件から登録要件へと分離され、学校卒業直後の受験が可能となりましたが、今回の法改正はその流れをさらに前倒しするものと位置づけられます。
よくある質問
Q. 今回の小委員会では何が審議される予定ですか?
A. 2026年7月に成立した改正建築士法によって一級建築士試験の在学中受験が可能となることを踏まえ、今後の一級建築士試験制度のあり方や運用の見直し方針について検討が行われます。
Q. 一級建築士試験の在学中受験はいつから開始されますか?
A. 改正建築士法の資格要件に関する見直しは、公布日(2026年7月)から3年以内に施行される予定となっています(建設通信新聞等の別途公表資料によれば)。具体的な施行期日や新制度下での最初の試験日程は、今後の審議を経て決定されます。
Q. なぜ在学中の受験解禁が検討されることになったのですか?
A. 建築士の深刻な高齢化と担い手不足が背景にあります。建築士事務所に所属する一級建築士の約44%が60歳以上を占めており、今後30年で半減する懸念が示されていることから、若手人材の早期入職と資格取得を後押しするためです(国土交通省の公表データによれば)。
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出典
- 発表主体: 住宅局建築指導課 / 発表日: 2026-10-16
- 報道発表資料(PDF)
- 掲載ページ
