全受託契約での書面締結義務化と見積書作成努力義務が2027年4月施行へ
改正建築士法の施行期日を定める政令等が閣議決定され、契約適正化に関する規定が2027年4月1日に施行されることが決定しました。
これまで延べ面積300平方メートル超に限定されていた設計受託契約・工事監理受託契約の「書面契約締結義務」が規模を問わずすべての契約へ拡大されるほか、報酬算定の根拠を示す見積書作成の努力義務などが新設されます。
法改正および施行期日決定の背景・目的
将来の建築士等を確保するとともに、業務における契約の適正化を図ることを目的として、2026年(令和8年)7月に「建築士法の一部を改正する法律」(令和8年法律第74号)が公布されました。
同法のうち、契約適正化に係る規定については公布の日から1年を超えない範囲内で政令で定める日とされており、今般その施行期日および必要な規定の整備を行う政令が閣議決定されました。
設計・工事監理契約に関する制度の変遷
建築士法における契約手続の経緯は以下の通りです。
- 現行制度
- 契約書の相互交付義務の対象は「延べ面積が300平方メートルを超える建築物の新築等に係る設計受託契約又は工事監理受託契約」に限定されていました。
- 令和8年7月法改正
- 建築士の資格要件緩和(実務経験期間短縮や在学中受験の拡大など)とともに、業務委託契約の適正化に向けた法改正が成立しました。
- 令和8年10月政令閣議決定
- 契約書の相互交付義務の全面拡大および見積書作成努力義務の施行期日が「令和9年4月1日」と定められました。
対象となる事業者・関係者
- 建築士事務所を開設している事業者
- 建築士として設計または工事監理を受託する事業者
- 建築士に設計・工事監理を委託する発注者・注文者(建設業者、住宅事業者、個人施主等)
対象者別の実務上の影響
- 建築士事務所・受託者
- 300平方メートル以下の住宅や小規模店舗等の設計・工事監理であっても、契約締結時に必ず書面(契約書)を相互交付する義務が生じます。
- 業務報酬の算定根拠を明確にした見積書を作成する努力義務が課されます。
- 委託者・発注者側
- 提示された見積書の内容や契約事情を考慮し、業務内容に応じた適正な委託代金で契約を締結するよう努める必要があります。
適用時期
| 事項 | 日付 | 補足 |
|---|---|---|
| 建築士法の一部を改正する法律の公布 | 令和8年7月 | 令和8年法律第74号 |
| 関係政令の閣議決定 | 令和8年10月6日 | 施行期日を定める政令および整備政令 |
| 関係政令の公布 | 令和8年10月9日(金) | |
| 契約適正化関連規定(書面契約義務化・見積書努力義務等)の施行 | 令和9年4月1日(木) | 改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行 |
※ 日付は文書本文に記載されているもののみ掲載しています。
求められる実務対応と法的義務・努力義務
本文に記載された実務対応事項および義務は以下の通りです。
- 契約書の相互交付(法第22条の3の3:義務)
- 延べ面積等の規模にかかわらず、建築士が行うすべての設計受託契約・工事監理受託契約において書面の契約書を相互に交付すること。
- 見積書の作成(法第24条の10:努力義務)
- 建築士事務所の開設者は、設計等の業務に係る契約締結にあたり、報酬算定の根拠を明らかにするための見積書を作成するよう努めること。
- 適正な委託代金での契約締結(法第22条の3の4:努力義務)
- 契約当事者は、見積書の内容その他契約に係る事情を考慮し、設計・工事監理の内容に応じた適正な委託代金で契約を締結するよう努めること。
よくある質問
Q. 書面による契約締結が義務付けられる対象はどのように変わりますか?
A. 現行の「延べ面積が300平方メートルを超える建築物の新築等に係る設計受託契約又は工事監理受託契約」という限定が撤廃され、建築士が行う設計又は工事監理に係る契約の「全て」に拡大されます。延べ面積の大小を問わず義務の対象となります。
Q. 契約適正化に関する規定の施行期日はいつですか?
A. 令和9年(2027年)4月1日です。
Q. 見積書の作成は義務化されるのですか?
A. 建築士事務所の開設者に対する見積書作成は「努力義務」として新設されます(建築士法第24条の10)。報酬の算定根拠を明らかにするための見積書を作成するよう努める必要があります。
Q. 建築士の資格要件に関する改正も令和9年4月1日に施行されますか?
A. 今回閣議決定された政令で令和9年4月1日に施行されるのは、契約適正化に係る規定(附則第1条第2号に掲げる規定)です。法律要綱によると、資格要件等の緩和(第1関係)を含む改正法全体は「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」の施行とされています。
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出典
- 発出元: 住宅局建築指導課
- 文書番号: 記載なし / 発出日: 令和8年10月6日
- 報道発表資料(PDF)
- 【施行期日令】案文・理由(PDF)
- 【施行期日令】改正法要綱(PDF)
- 【整備政令】要綱(PDF)
- 【整備政令】案文・理由(PDF)
- 【整備政令】新旧対照条文(PDF)
- 掲載ページ
- 報道発表
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の対応については行政機関の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
