Skip to content

Conshift(コンシフト)

  • 施工管理
  • 人材マネジメント
  • 積算・受発注
  • 政策動向
  • ツール紹介
  • 統計分析
  • 用語辞典
Home > 施工管理> 白金一丁目西部中再開発、延床約10万㎡の住工共生型施工が本格化
施工管理 2026年8月16日

白金一丁目西部中再開発、延床約10万㎡の住工共生型施工が本格化

白金一丁目西部中再開発、延床約10万㎡の住工共生型施工が本格化

東京都港区白金一丁目において、約1.6ヘクタールの密集市街地を一体的に整備する「白金一丁目西部中地区第一種市街地再開発事業」が本格始動しました。本事業は地上39階建ての超高層タワーマンションをはじめとする大規模複合開発でありながら、地域固有の町工場機能を同一街区内で存続・更新させる「住工共生型再開発」の実践例として業界内外から高い注目を集めています。

白金一丁目西部中地区第一種市街地再開発事業の全貌と計画概要

密集市街地の課題解決と「住工共存」を掲げる開発背景

施行地区である港区白金一丁目および白金三丁目付近は、東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪」駅から徒歩3分という交通利便性の高い立地にありながら、長年にわたり都市計画上の課題を抱えていました。エリア内には幅員が狭い道路(狭隘道路)が網の目のように入り組み、広場やまとまったオープンスペースが不足していることに加え、木造住宅や共同住宅、そして地域の地場産業を支えてきた町工場が混在する「木密・住工混在地域」となっていました。

このような密集市街地では、大規模震災時における火災延焼リスクや緊急車両の進入困難といった防災上の脆弱性が懸念されていました。一方で、単純に土地を集約してオフィスビルや高級分譲マンションのみへ用途転換してしまうと、地域に根付いてきた町工場の生産活動や職住一体のコミュニティが失われてしまうというジレンマが存在していました。

本再開発事業は、土地の合理的かつ健全な高度利用を進めて防災機能を抜本的に強化すると同時に、既存の工場機能の継続と白金商店街への連続性を確保した「まちの記憶を継承する都市更新」を目指して計画されました。

3街区構成のスペックと施設計画の詳細

本事業では、約1.6ヘクタールの区域を「A街区」「B-1街区」「B-2街区」の3つに区分し、それぞれの立地特性に応じた建築計画が進められています。中核となるA街区には最高部高さ約140mの超高層タワーが建設され、住宅のほかに店舗や子育て支援施設が配置されます。

また、B-1街区には共同住宅・事務所とともに「工場」が組み込まれ、B-2街区には商店街に面した店舗空間が整備されます。地区全体の総戸数は991戸に達します。

街区 階数・高さ 敷地面積 延床面積 主な用途 住宅戸数 構造・基礎
A街区 地上39階・塔屋2階・地下1階、最高部 139.84m(軒高 138.45m) 11,126.11㎡ 98,019.98㎡ 共同住宅、店舗、子育て支援施設、駐車場 973戸 RC造(一部S造)、直接基礎
B-1街区 地上4階・地下なし、最高部 17.70m 約486㎡ 約998㎡ 共同住宅、事務所、工場、駐車場 12戸 S造
B-2街区 地上4階・地下なし、最高部 17.70m 約534㎡ 約953㎡ 共同住宅、店舗 6戸 S造
全体合計 施行区域面積 約1.6ha 約12,146㎡ 約99,970㎡ 住宅・店舗・工場・子育て支援等の複合施設 991戸 —

事業推進体制としては、東急不動産を参加組合員幹事企業とし、大成建設、三井不動産レジデンシャル、大成有楽不動産、日本郵政不動産の5社が参加組合員として名を連ねています。また、設計および施工は大成建設(一級建築士事務所/東京支店)が一括して担当しています。

プロジェクトの時系列推移と現況

本事業は2018年の都市計画決定以降、段階的に行政認可や権利調整のプロセスを経て本体工事へと進捗しています。既存建物の解体工事を経て、建築工事が着手されました。

時期 出来事・マイルストーン 詳細
2018年7月 都市計画決定 密集市街地の更新に向けた都市計画手続きが完了
2022年6月24日 市街地再開発組合の設立認可 東京都知事より都市再開発法第11条第1項に基づく認可
2024年2月9日 権利変換計画の認可 権利関係の移行手続きが完了し、事業化が確定
2024年3月1日〜2025年7月31日 既存建物解体工事 施行区域内の木造住宅・工場・ビル等の解体工事を実施
2025年10月27日 施設建築物 建築工事着工 A街区・B街区の本体新築工事が着工
2030年3月31日 竣工・工事完了予定 全街区の施設建築物および周辺都市基盤が完成予定

参考記事: 三菱地所、1ha解体が2026年8月完了|ダウンタイム活用が再開発を加速

白金高輪エリアにおける連続的再開発の系譜

白金高輪駅周辺では、2000年代以降に大規模な市街地再開発事業が断続的に推進されてきました。2005年に竣工した「白金アエルシティ(白金一丁目東地区)」や、2023年2月に完成した地上45階・総戸数1,247戸の「SHIROKANE The SKY(白金一丁目東部北地区)」などに続き、今回の「白金一丁目西部中地区」はエリアの都市再生をさらに西側へと広げる重要な位置を占めています。

これまでのタワーマンション開発が主に駅前の交通結節点機能や商業利便性の向上に焦点を当てていたのに対し、本地区は既存の白金商店街(白金北里通り商店街等)に近接していることから、低層部に賑わい空間を設けつつ、周辺の住宅街や既存産業との調和を図るグラデーション型の街並み形成が意図されています。

建設業界プレイヤーに与える構造的インパクト

ゼネコン(大成建設等)への影響:参加組合員としての事業リスク・リターン共有型モデル

本プロジェクトにおいて大成建設は、単なる設計・施工の受注者にとどまらず、参加組合員としてデベロッパー各社とともに開発リスクと事業利益を共有するスキームを採用しています。

資材価格の高騰や労務単価の上昇が続く現在の建設市場において、請負工事単体でのマージン確保には厳しさが増しています。大手ゼネコンが開発初期の構想段階から参加組合員としてコミットし、保留床の取得・分譲やアセットマネジメントに関与することは、施工利益以外の収益源を確保する上で極めて有効な事業モデルとなります。

さらに、大成建設が設計・施工を一貫して手掛けることで、基礎工法(本件では直接基礎を採用)や躯体構造(RC造一部S造)の最適化、BIMデータを活用したフロントローディングによる設計変更リスクの最小化が可能となります。施工者が事業主体の内側に深く入ることで、難易度の高い都市型再開発における手戻りを防ぎ、工期遵守と収益性の両立を図るノウハウが蓄積されます。

参考記事: 大成建設、CO2最大110kg固定を3年実証|施工管理が選ぶGX技術

発注者・デベロッパーへの影響:用途純化から「地域産業・コミュニティ継承型」への戦略転換

デベロッパーにとって、本事業は再開発における行政認可と合意形成の新たなベンチマークとなります。従来の市街地再開発では、オフィスやタワーマンションといった単一の収益性の高い用途へ純化させる手法が主流でした。しかし、これによって古くからの地権者や町工場が郊外へと立ち退きを余儀なくされ、コミュニティが分断される批判も少なくありませんでした。

本事業のように、A街区で973戸のタワーレジデンスによる高密度の居住機能を確保しつつ、B-1街区に工場機能を、B-2街区に商店街連動型店舗を配置する多街区型のハイブリッド計画を採用することは、地権者の再開発参画意欲を高め、権利変換手続きを円滑に進める決定打となりました。

都市部での開発用地が逼迫する中、既存産業を排除せず「街の個性」として取り込みながら容積率を高度利用する開発手法は、今後の密集市街地再生において不可欠なプロトコルとなります。

現場監督・施工管理者への影響:狭隘道路・異種用途混在現場における高度なロジスティクスと工程管理

施工を担当する現場管理者にとって、本プロジェクトは極めて高度な施工マネジメントが求められる環境です。施行地区は約1.6ヘクタールと広大ですが、周辺道路は依然として狭く、大型重機や生コンクリートミキサー車、鉄骨トレーラーの進入ルートが厳格に制約されます。

現場管理における主要な実務課題

  • 搬入車両のタイムスケジュール管理と近隣住民・通学路への安全動線の完全分離
  • 地上39階の超高層タワー(RC造)と低層4階建ての工場・店舗棟(S造)における異なる工種の同時並行施工
  • 工場棟における防音・防振・荷重条件など、特殊な産業設備要件に対応した設備施工管理
  • 解体工事から本設工事への移行期における粉塵・騒音対策と近接建物への地盤モニタリング

特に、RC造とS造という構造特性の異なる複数街区を同一工期内で安全かつ効率的に進めるには、協力会社との施工体制の明確化と、デジタルツールを用いた資機材搬入のシームレスな調整が不可欠です。

参考記事: 施工体制台帳の作成義務と実務|施工体系図との違いや電磁的保存のポイント

ConShiftの視点:全方位型複合再開発が示す都市機能更新の次世代プロトコル

日本の都市再開発は、単なる「老朽化ビルの高層化」や「容積率の消化」を目的としたハード先行型の開発から、地域固有の産業・コミュニティ・防災機能を包括的に維持・強化する「全方位型複合再開発」へと構造転換を遂げています。

白金一丁目西部中地区の事例が示す最大の示唆は、約10万㎡に及ぶ大規模な床面積を生み出すプロジェクトにおいて、「工場機能の存続」を都市計画の中心に据えた点です。都心部における町工場は、試作品製造や高度な金属加工技術など、都市型産業のサプライチェーンを支える重要なアセットでありながら、騒音問題や地価上昇によって締め出されてきた経緯があります。

本計画では、B-1街区に専用の工場床を設けることで、住環境の静粛性を保ちながら地場産業の操業継続を可能にするゾーニングを実現しました。これにより、都市計画法・都市再開発法上の合意形成がスムーズになり、2022年の組合設立から2024年の権利変換認可、そして2025年の着工へと遅滞なく移行できました。

建設会社や工務店にとっても、これからの都市再開発市場で選ばれるためには、単に図面通りに施工する能力だけでなく、複雑な利害関係や用途混在(住宅×工場×店舗×子育て施設)に応じた柔軟な設計提案力と、狭隘地での高度な施工計画力が受注を左右する決定的なファクターとなります。

まとめ:経営層・現場リーダーが明日から意識すべき実務指針

  1. 多用途複合(住工混在・商業連携)に対応できる施工計画力を組織的に整備する
    タワーマンション単体工事だけでなく、工場設備や商業・子育て施設が同一工区内に混在するプロジェクトに対応できるよう、意匠・構造・設備の各部門間で複合用途の施工知見を共有する。

  2. 狭隘密集市街地における搬入・物流DXを現場に導入する
    周辺道路が狭い都心現場では、搬入車両の待機や周辺渋滞が重大な近隣トラブルに直結するため、車両予約システムやクラウド型工程管理ツールを活用したロジスティクス管理を徹底する。

  3. 参加組合員・特定業務代行者としての事業提案力を強化する
    請負受注依存からの脱却を目指し、基本構想や権利調整の初期段階からデベロッパーや再開発準備組合に伴走し、リスクとリターンを分担する事業参画型スキームの検討を推進する。

出典: 東京・大阪 都心上空ヘリコプター遊覧飛行
出典: 東京都公式ホームページ(報道発表資料)
出典: 東京都都市整備局(市街地再開発事業等)

Share this article:

監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにて設備保全プロジェクトに従事。 その後、スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してConShiftを立ち上げ。 現在は建設DXメディア「ConShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

関連記事

清水建設、正答率93%を実現した生成AI現場定着の組織戦略
2026年8月24日

清水建設、正答率93%を実現した生成AI現場定着の組織戦略

JR東日本が小佐野駅を3Dプリンター現場直施工|27年3月供用へ
2026年10月8日

JR東日本が小佐野駅を3Dプリンター現場直施工|27年3月供用へ

前田建設工業の床版架設機、施工範囲2倍で高速道路更新を省人化
2026年9月2日

前田建設工業の床版架設機、施工範囲2倍で高速道路更新を省人化

ConShift

建設業のビジネス知識に関心を持つ経営層・現場リーダーのための課題解決メディア。現場のノウハウから最新のDX事例まで、ビジネスを加速させる情報をお届けします。

カテゴリー

  • 施工管理
  • 品質・安全
  • コスト管理
  • 人材マネジメント
  • 積算・受発注

もっと探す

  • 政策動向
  • BIM/CIM
  • 法規制・制度
  • 海外トレンド
  • ツール紹介
  • 統計分析
  • 建設業界用語辞典

サイト情報

  • 運営者情報
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー
  • LogiShift
  • TechShift

© 2026 ConShift. All rights reserved.