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法規制・制度 2026年9月29日

建設業主要4団体、井林国交相へ平準化要請|ゼロ国債拡充で端境期回避

建設業主要4団体、井林国交相へ平準化要請|ゼロ国債拡充で端境期回避

建設業の主要4団体は2026年9月28日、井林辰憲国土交通大臣と意見交換会を開き、公共事業の発注・施工時期の平準化を要請した。政府が進める補正予算依存からの脱却により、従来補正予算で分散されていた工事が年度末に集中し、年度初めの端境期が深刻化する懸念に対応するための申し入れである。

補正予算脱却に伴う端境期リスクと主要4団体の要望

2026年9月28日、国土交通省内において井林辰憲国土交通大臣、塩見英之事務次官、廣瀬昌由技監ら国交省幹部と、建設業界を代表する主要4団体のトップによる意見交換会が開催された。

政府が公共事業費の確保手法を従来の「当初予算+補正予算」の組み合わせから、当初予算を中心とした安定的な財政運営へと転換する姿勢を示している。従来の運用では、秋以降に編成される補正予算によって年度後半から翌年度前半にかけての工事発注が担保され、結果として端境期の工事量が補われていた。補正予算の不編成や規模縮小が進むと、自治体等の設計遅延が重なった場合に年度末への極端な工事集中が再発するリスクがある。

意見交換会において、各団体の代表者は施工能力の確保や現場の労働環境維持に向け、具体的な施策の導入を求めた。

団体名 出席者 主な発言内容と要請事項
日本建設業連合会 蓮輪賢治 副会長(土木本部長) 資機材高騰による実質事業量の目減りを指摘。技術者・技能者の配置安定と週休2日定着のため平準化を要望。
全国建設業協会 今井雅則 会長 地方の施工余力を強調。4月当初からの着工に向けた「ゼロ国債」拡充と地方自治体との早期連携を要請。
全国中小建設業協会 河崎茂 会長 市町村での設計遅延に伴う年度末集中を懸念。発注平準化に向けた国から自治体への指導監督を要請。
建設産業専門団体連合会 岩田正吾 会長 専門工事業の繁閑差是正を提示。違法派遣や偽装請負を防ぎつつ閑散期に労働力を融通できる新ルールを要望。

全国建設業協会の今井雅則会長は、年度当初である4月から現場を動かすため、債務負担行為を活用した「ゼロ国債」などの仕組みが不可欠であると訴えた。国の予算成立を待ってから動く地方自治体に対し、国からの早期情報共有と連携を求めている。

全国中小建設業協会の河崎茂会長は、市区町村レベルで設計業務が遅れ、年度末に短工期で発注が集中する実態に懸念を示した。予算の性質が変わる以上、発注者側も発注スケジュールを見直す必要があり、国交省による地方自治体への指導を要請した。

専門工事業で構成される建設産業専門団体連合会の岩田正吾会長は、仕事量の繁閑差が技能者の雇用維持や処遇改善を妨げている現状を説明した。閑散期の現場から繁忙地域の現場へ労働力を適切に融通できるよう、労働法制に抵触しない新たなルールの構築を求めた。

日本建設業連合会の蓮輪賢治副会長は、大手・中小を問わず資機材や技能者の安定的確保、インハウスエンジニアの適正配置を行う観点から、施工平準化が不可欠であると指摘した。

これらの要請に対し、井林国交相は事業執行官庁として現場に負担をかけないよう対応する意向を示した。

参考記事: 井林辰憲国交相、27年度予算8.8兆円超へ上積み意欲|発注平準化を徹底

発注平準化が建設各層に及ぼすオペレーション上の影響

発注および施工時期の平準化は、公共事業に関わる元請ゼネコン、地方自治体、専門工事業者の実務運営に直接的な影響を与える。

ゼネコン(元請け):人員配置の固定化と現場稼働率の平準化

元請ゼネコンにとって、通年での計画的な工事着工が可能になることは、監理技術者や主任技術者の配置効率を向上させる。従来は特定時期に現場監督が不足し、時間外労働上限規制(年720時間、月45時間等)の遵守が困難になる局面があったが、年間を通じた現場の稼働が一定化することで、1人あたりの管理負担が分散される。

資機材の調達面でも、年度末の繁忙期に発生していた重機や仮設資材の逼迫、リース料金の一時的高騰を抑えられる。通年で機材の稼働計画を組めるため、リース事業者との長期契約や調達コストの安定化が図れる。

参考記事: 公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)とは?2024年改正の要点と発注者・受注者の実務解説

行政・地方自治体:債務負担行為の運用と発注スケジュールの前倒し

発注者側となる地方自治体には、債務負担行為(ゼロ国債・平準化債)を活用した前年度内の入札・契約締結が求められる。特に技術職員が不足している市区町村では、前年度の早い段階から調査・設計業務を完了させておく業務プロセスへの見直しが必要となる。

国交省は入札契約適正化キャラバン等を通じて自治体指導を強めており、改正品確法に基づき、適正工期の確保と平準化が自治体の法的責務として問われる。単年度の予算消化を目的とした無理な年度末完成工事の発注は厳しく制限される傾向にある。

参考記事: 国交省調査、2026年度末に27府県で市区町村の週休2日完全実施へ

サブコン・専門工事業者:通年雇用への移行と偽装請負リスクの低減

一次・二次の専門工事業者は、繁閑差の縮小によって技能者の年間稼働日数を安定的に確保できるようになる。仕事量が春先に激減する従来のサイクルでは、日給制技能者の収入減少や、閑散期の固定人件費負担が経営を圧迫していたが、通年施工が進むことで月給制への移行基盤が整う。

建専連が指摘した労働力の地域間・企業間融通についても、法的ルールの整備が進めば、偽装請負や違法派遣の指摘を受けることなく、繁忙地域へ応援部隊を正式に派遣する仕組みが整い、雇用と経営基盤の安定化に直結する。

参考記事: 4週8閉所(週休2日現場)とは?4週8休との違いと時間外労働規制に対応する実務ポイントを解説

ConShiftの視点:ゼロ国債活用と労務費確保の実効性

今回の主要4団体の要望は、政府の補正予算脱却という財政運営の転換期において、単なる予算規模の維持だけでなく「発注の波」による現場破綻を阻止するための現実的な防衛策である。

2027年度予算概算要求において国交省は公共事業関係費で前年度比約45%増の7兆6,761億円を要求しているが、これが当初予算として確保されたとしても、自治体側の発注スケジュールが追いつかなければ、現場では4〜6月の仕事不足と翌年1〜3月の過密工程という悪循環が是正されない。

特に注目すべきは、全中建が指摘した「市区町村における設計遅延」と、建専連が求めた「労働力融通の新ルール」である。市区町村工事の平準化が進まなければ、地域建設業者は年度末に突貫工事を強いられ、週休2日(4週8閉所)の達成や時間外労働規制の遵守が困難になる。今後は地方整備局による発注前倒しにとどまらず、都道府県が主導して管内市町村の設計・発注スケジュールを調整し、債務負担行為の設定を代行・支援するような地域単位の制度運用が鍵となる。

発注平準化に対応するための実務アクション

自治体や国の発注平準化施策が進む中で、施工各社が業務体制を整えるための実務対応は以下の通りである。

  1. 早期発注・ゼロ国債工事に対応する年間要員計画の策定

前年度第4四半期に入札が行われるゼロ国債工事の受注を見越し、4月1日から配置可能な監理技術者・主任技術者をリストアップしておく。端境期を見込んだ従来の人員配置スケジュールを改め、春先からの稼働を前提とした通年の現場ローテーションを組む。

  1. 協力会社との年間を通じた施工体制協定の締結

特定時期への工事集中が緩和される動向を踏まえ、主要工種の専門工事業者と早い段階で年間ベースの施工枠を協議する。閑散期の人工不足や繁忙期の労務費高騰を避けるため、通年契約や複数現場の連続配置を前提とした工程調整を進める。

  1. 市区町村発注案件の工期妥当性の検証と設計変更の準備

市区町村発注工事において年度末完成の無理な工期が提示された場合、改正品確法に基づき適正工期の確保を発注者に求める。着工後に生じる設計変更や工期延長の協議を迅速に行えるよう、現場着手時の施工計画書にクリティカルパスと休日確保日数を明確に反映させておく。

出典: decn.co.jp
出典: kensetsunews.com
出典: kentsu.co.jp

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにて設備保全プロジェクトに従事。 その後、スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してConShiftを立ち上げ。 現在は建設DXメディア「ConShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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