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Home > 法規制・制度> 大成建設・鹿島建設が民間土木で4カ月営業停止|最高裁確定で11月7日開始
法規制・制度 2026年10月23日

大成建設・鹿島建設が民間土木で4カ月営業停止|最高裁確定で11月7日開始

大成建設・鹿島建設が民間土木で4カ月営業停止|最高裁確定で11月7日開始

国土交通省は、リニア中央新幹線建設工事を巡る独占禁止法違反事件で有罪が確定した大成建設と鹿島建設に対し、建設業法に基づく営業停止処分を行う方針を固めました(2026年10月23日にも発表する方針)。両社は2026年11月7日から2027年3月6日までの4カ月間、全国における民間発注の土木工事に関する新たな入札参加や見積提示、請負契約の締結といった営業活動が全面的に禁止されます。

リニア談合事件の確定判決と国土交通省による営業停止処分の全貌

今回の行政処分は、2014年から2015年にかけてJR東海が発注したリニア中央新幹線の品川駅および名古屋駅新設工事(地下開削工法)において、スーパーゼネコン4社が事前に受注予定者を調整した独占禁止法違反(不当な取引制限)に起因します。

公正取引委員会および東京地検特捜部による2017年末の強制捜査以降、早期に違反を認めた大林組と清水建設は2018年に有罪判決が確定し、2019年に同様の行政処分を受けました。一方で無罪を主張して法廷闘争を継続していた大成建設と鹿島建設は、一審・二審で有罪とされ、2026年9月14日付で最高裁判所第3小法廷(渡辺恵理子裁判長)が両社および元幹部の上告を棄却したことで、刑事責任が確定しました。

監督官庁である国土交通省は、最高裁決定による判決確定を受けて建設業法第28条の監督処分基準を適用し、大成建設と鹿島建設に対する営業停止命令を発出する判断を下しました。

事件発覚から最高裁判決確定・行政処分までの時系列

本件は発覚から司法判断の終結、そして行政処分に至るまでに約9年の歳月を要しました。一連の経緯は以下の通り推移しています。

年月 出来事・司法手続きおよび行政対応
2014年〜2015年 JR東海発注のリニア中央新幹線品川駅・名古屋駅工事で4社が受注調整を実施
2017年12月 東京地検特捜部と公取委がゼネコン各社を家宅捜索。大林組・清水建設がリニエンシー申請
2018年3月 公取委が4社と大成・鹿島の元幹部を告発、起訴。国交省が指名停止措置を実施
2018年10月 東京地裁で大林組(罰金2億円)と清水建設(罰金1億8000万円)の有罪判決が確定
2019年2月〜6月 国交省が大林組と清水建設に民間土木工事を対象とする120日間の営業停止処分を実施
2020年12月 公取委が排除措置命令および課徴金納付命令を発令
2021年3月 東京地裁が大成建設・鹿島建設(罰金各2億5000万円)、元幹部2名(有罪)に判決言い渡し
2023年3月 東京高裁が被告側の控訴を棄却
2026年9月 最高裁第3小法廷が大成建設・鹿島建設側の上告を棄却し、有罪判決が確定
2026年10月 国交省が大成建設・鹿島建設に対し4カ月間の民間土木営業停止処分方針を公表

スーパーゼネコン4社に対する刑事罰および行政処分の比較

リニア中央新幹線工事の談合に関与したスーパーゼネコン4社は、自主申告制度(リニエンシー)の活用の有無や司法判断への対応によって、刑事罰の確定時期および営業停止処分の執行時期が大きく分かれています。

企業名 刑事罰(罰金額) 元幹部個人の刑事責任 営業停止期間(民間土木)
大成建設 罰金2億5000万円 懲役1年6カ月(執行猶予3年) 2026年11月7日〜2027年3月6日(4カ月間)
鹿島建設 罰金2億5000万円 懲役1年6カ月(執行猶予3年) 2026年11月7日〜2027年3月6日(4カ月間)
大林組 罰金2億円 不起訴(リニエンシー適用) 2019年2月2日〜2019年6月1日(120日間)
清水建設 罰金1億8000万円 不起訴(リニエンシー適用) 2019年2月2日〜2019年6月1日(120日間)

営業停止処分が及ぶ法的制限と除外対象

建設業法第28条に基づく今回の営業停止処分は、対象範囲が厳密に定められています。両社が制限を受ける具体的な業務範囲と、例外として継続が認められる業務の区分は下表の通りです。

区分 具体的な業務内容と制限の範囲
禁止される業務 日本全国における民間発注の土木工事業に関する新規の入札参加、見積書の提出、請負契約の締結、受注を目的とする営業活動全般
制限を受けない業務 処分開始日(2026年11月7日)より前にすでに契約を締結済みの工事施工、公共工事(国・地方自治体・公社等)の営業・入札参加、建築工事業全般の営業・契約

営業停止の対象は「民間発注の土木一式工事」に限定されています。官公庁が発注する土木工事や、民間発注であってもオフィスビルやマンション、工場などの「建築工事」に関する営業・受注活動は直接の停止対象には含まれません。また、すでに着工中あるいは契約締結済みの現場においては、発注者の利益保護および安全管理上の観点から、施工の中断は義務付けられず、工事の継続が認められます。

参考記事: 入札談合と独占禁止法の基礎知識|不当な取引制限の判断基準と発覚時の重大リスク

建設市場各層への波及とサプライチェーンにおける実務的影響

民間土木市場で大きな施工能力と受注シェアを持つ大成建設と鹿島建設が4カ月間にわたり新規受注から排除される措置は、元請け間での競争環境のみならず、施主の調達計画や下請けサプライチェーンの稼働計画に直接的な影響を及ぼします。

元請けゼネコン市場における競合バランスの変動

民間土木分野におけるスーパーゼネコン2社の営業停止は、年度末の繁忙期にあたる2026年11月から2027年3月にかけて、民間インフラ整備や大規模造成工事、鉄道関連工事などの案件における受注機会が他の大手・準大手ゼネコンへ移管される状況を生み出します。

大林組や清水建設、竹中工務店(建築主体ながら一部対応)、さらには土木分野に強みを持つ準大手ゼネコン各社に対し、施主からの引き合いが集中する構図となります。しかし、各社ともに技術者・技能工の配置上限を抱えており、大成建設・鹿島建設の離脱によって生じた受注需要をすべて吸収できるわけではありません。結果として、競争入札における応札社数の減少や、競争緩和に伴う落札価格の下げ止まりといった調達動向が生じることになります。

発注者・デベロッパーにおける案件進捗と調達戦略の再考

鉄道事業者、電力・エネルギー企業、不動産デベロッパーなどの民間発注者は、2026年度内から2027年春先にかけて計画していた土木工事の発注プロセスの変更を余儀なくされます。

当該2社を特命随意契約の候補や指名競争入札の対象として予定していたプロジェクトでは、入札参加者の再選定やスケジュールの後ろ倒しが必要です。特に、難易度の高いシールドトンネル工事や大規模地下空間の開削工事など、高度な土木技術と施工実績が要求される案件では、技術提案が可能なゼネコンの選択肢が限られます。発注者側は、工事着工の遅延リスクを回避するために、他社への仕様変更相談や発注ロットの分割、あるいは営業停止期間終了後の2027年3月以降に入札スケジュールを再設定する対応を進めることになります。

サブコン・専門工事業者に生じる稼働配分と収益リスク

大成建設および鹿島建設の土木工事現場を長年支えてきた協力会社組織(大成交友会、鹿島建設の協力会など)の専門工事業者にとっては、翌期に向けた現場配分計画の再編が求められます。

施工中の継続案件については直ちに作業が途絶えることはないものの、4カ月間にわたり両社の新規着工案件が補充されないため、2027年春以降に開始予定だった民間土木工事への技術者・作業員の投入計画に空白が生じるリスクがあります。専門工事業者は、固定費である自社技能者の稼働率を維持するため、一時的に他系列の元請けゼネコン案件への応援部隊派遣や、公共土木工事・建築工事分野への人員シフトを模索せざるを得ない状況に置かれます。

参考記事: 重層下請構造とは?ピラミッド型組織の仕組み・背景と現場リスクを徹底解説

ConShiftの視点:司法判断確定が突きつける調達プロセスの透明化

最高裁の判断によってリニア中央新幹線談合事件の刑事裁判が終結し、建設業法に基づく行政処分が科された事実は、旧来の調整型受注慣行に対する司法および行政の明確な線引きを示しています。

大成建設および鹿島建設の元幹部に対しては、執行猶予付きながら懲役刑が確定しました。独占禁止法違反において法人への罰金刑だけでなく、受注調整の実務を担った個人に対する刑事罰が最終確定した点は、建設業各社の営業部門におけるガバナンス体制に直接的な変革を要求する根拠となります。

今後は民間工事であっても、属人的な折衝や非公式な情報交換による事前調整の余地は排除され、技術提案力、原価計算の透明性、デジタルデータを根拠とした工程計画に基づく調達プロセスへの移行が進みます。すでに2019年に処分を終えた大林組・清水建設を含め、スーパーゼネコン4社すべてが独禁法違反による営業停止処分の執行を経験したことになります。これにより、大手建設会社の間では、同業者間の接触ルールや案件管理ログの厳格な保管、社内通報制度の整備など、コンプライアンス管理を経営の最優先課題として再構築する動きが確定的なものとなります。

明日から意識すべきこと

大成建設と鹿島建設に対する営業停止処分は、特定の大手企業のみならず、サプライチェーンを形成するすべての建設実務者に関連する事象です。明日からの実務において各事業者が点検すべき具体的なアクションは以下の通りです。

  1. 自社の受注計画および引き合い案件の元請け体制の確認

大成建設・鹿島建設が民間土木案件を受注できない期間(2026年11月7日〜2027年3月6日)に計画されている工事について、自社が下請け参画を予定していたプロジェクトの契約状態を精査する。未契約の新規案件については、元請け事業者の変更や着工時期の変更に関する情報を早期に収集する。

  1. 専門工事業者における人員配置計画の複線化

特定元請けの民間土木工事に技能工の配置を依存している下請け企業は、2027年度初頭にかけて発生し得る現場稼働の谷間に備え、公共土木工事や建築基礎工事など他工種・他元請けへの機動的な人員シフト計画を策定する。

  1. 同業者間における情報交換ルールの再確認

民間・公共を問わず、入札や見積提示を巡る同業者間での価格・工区・意向に関する接触は、独占禁止法上の「不当な取引制限」として厳正な司法処罰および営業停止の対象となることを社内で再周知し、営業プロセスの透明性を確保する。


出典: 朝日新聞

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにて設備保全プロジェクトに従事。 その後、スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してConShiftを立ち上げ。 現在は建設DXメディア「ConShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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