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法規制・制度 2026年10月22日

大林組が上下水道売上200億円で初の首位|クボタ建設が2位に躍進

大林組が上下水道売上200億円で初の首位|クボタ建設が2位に躍進

主要建設会社を対象とした2025年度決算アンケートの土木分野別ランキングにおいて、大林組が上下水道分野で初めて首位を獲得しました。同社は前期比約2倍となる約200億円の売上高を計上し、株式会社クボタの100%出資子会社であるクボタ建設が初登場で2位に入るなど上位の顔ぶれが一新されています。

上下水道分野で進む地殻変動と各社の受注動向

全国の主要建設会社を対象に実施された2025年度決算アンケート(土木13分野・最大上位25社)において、上下水道分野の売上高順位に大幅な変動が生じました。大林組が前期実績からほぼ倍増となる約200億円を売り上げて首位に立ったほか、管路敷設や水処理プラントに強みを持つクボタ建設が2位にランクインしました。

土木13分野における主要工種の動向比較

2025年度の土木分野別決算アンケートでは、分野ごとの需要動向の差異が各社の売上実績に反映されています。新設工事から維持更新工事へのシフトが顕著な推進工法や上下水道が伸長した一方、新設比率が高い鋼橋分野などでは減収傾向が見られます。

土木分野 首位企業 順位・売上動向の特徴 主な市場要因
上下水道 大林組 約200億円で初首位(前期比約2倍)、クボタ建設が初登場2位 上下一体化行政への移行、大規模更新工事の本格化
推進 機動建設工業 首位に返り咲き 老朽下水道管路の非開削更新・耐震化需要の増加
鋼橋 横河ブリッジ 首位独走も上位4社が揃って減収 新設架橋案件の減少と修繕工事へのシフト途上
シールド 奥村組 初の首位獲得(大林組が僅差の2位) 都市部地下インフラ整備および浸水対策貯留管
地盤改良 ライト工業 増収で首位維持、五洋建設が売上高2.5倍で4位 防災・減災対策、港湾・軟弱地盤改良工事の集中

参考記事: 国土交通省が27年度要求で公共事業費7.6兆円計上|予防保全へ移行

水道行政移管とウォーターPPPの本格稼働

上下水道分野における売上構成の変化には、法制度の改正と発注方式の転換が影響しています。

2024年4月1日施行の改正法により、水道整備・管理行政が厚生労働省から国土交通省(水管理・国土保全局水道事業課)へ移管されました。下水道行政と一本化されたことで、管路や処理施設の整備・更新が一体的に運用される体制が整いました。

あわせて国土交通省は、更新投資と維持管理を一体的に民間へ長期委託する「ウォーターPPP(官民連携手法)」の導入を推進しています。設計施工一括(DB方式)や性能発注型包括的民間委託、コンセッション方式の導入が進められ、従来のような小規模な単年度分割発注から、複数年かつ大規模な包括契約への切り替えが進展しています。

老朽化インフラの更新圧迫と耐震化の要請

更新投資の拡大を後押ししているのが、全国で進行する管路の老朽化と災害対策です。

厚生労働省および国土交通省の公表データによると、法定耐用年数(40年)を超えた水道管路の割合は全国平均で20%を超えています。年間の管路更新率は0.6%台にとどまっており、現状のペースでは全管路の更新に約150年を要する計算となります。下水道管渠においても供用50年を超える施設が今後急増する見込みです。

さらに2024年1月に発生した能登半島地震では、石川県内で最大約11万3,000戸が断水被害に見舞われ、基幹管路の耐震適合率の低さと復旧の長期化が課題となりました。これを受けて地方自治体では、浄水場・配水池から拠点病院や避難所を結ぶ重要給水ルートの耐震管路化工事を前倒しで進めています。

クボタグループでは、2025年1月から4月にかけて倉敷市水道局や東総広域水道企業団、群馬東部水道企業団などにおいて、基幹管路更新事業や包括的民間委託の基本協定締結を進めました。親会社である株式会社クボタのダクタイル鋳鉄管の製造供給力と、クボタ建設の管路布設・プラント施工技術を組み合わせた体制が、大型更新案件の受注につながっています。

参考記事: 包括的民間委託とは?従来発注との違いや下水道事業での導入メリットを徹底解説

建設業界各層への波及とサプライチェーンの変化

上下水道分野における大手ゼネコンの首位奪取やメーカー系建設会社の台頭は、元請けから下請け・専門工事業者に至る受注構造と施工体制に影響を及ぼしています。

ゼネコン(元請け):包括発注への対応力と大規模土木ノウハウの活用

大手ゼネコンにとって、上下水道分野は単なる地中埋設管の布設にとどまらず、都市型水害対策の大規模雨水貯留管シールド工事や、老朽浄水場・下水処理場の統廃合・更新といった大型土木プロジェクトの対象となっています。大林組が同分野で200億円規模まで売上を伸ばした背景には、大型シールド工事や再構築工事の技術力、大規模プロジェクトの統括管理能力があります。

発注規模が大型化・包括化するウォーターPPP案件では、施工計画の立案だけでなく、長期の維持管理リスクを織り込んだ価格競争力と提案力が求められます。元請けゼネコン各社は、水処理プラントメーカーや管材料メーカー、維持管理専門企業とのコンソーシアム形成を前提とした営業戦略を強化しています。

サブコン・専門工事業者:特化技術の保有と元請け連携の強化

管路更新の実務を担う専門工事業者や下請け企業にとっては、推進工法や管更生工法などの専門技術が競争力を左右します。2025年度ランキングの「推進」分野で機動建設工業が首位に返り咲いたように、開削が困難な都市部や重要幹線道路下での非開削推進・管更生需要が堅調に推移しています。

発注方式が単年度の工種別発注から包括的民間委託やDB方式へ移行するに伴い、専門工事業者は地方自治体から直接受注する形態だけでなく、大林組やクボタ建設のような包括受託元請けのサプライチェーンに組み込まれるケースが増加しています。元請けの求める安全基準や品質管理、デジタル施工管理体制に適合できるかどうかが、継続的な受注を左右する条件となります。

また、点検・調査分野では「上下水道DX技術カタログ」に掲載されたカメラ・ドローン機器や画像解析技術の導入が進んでおり、調査から清掃、修繕工事業務までの工程を効率化できる設備投資を行える企業への発注集中が進んでいます。

参考記事: 国土交通省、上下水道DXカタログを222件へ拡充|点検費の交付税措置も新設

ConShiftの視点:上下一体化とウォーターPPPが再編する土木インフラ市場

大林組による上下水道分野の売上倍増と首位獲得、そして親会社の管材製造力と直結したクボタ建設の2位浮上は、土木市場の重心が新設構造物から地下インフラの維持更新へ移行している現実を裏付けています。

注目すべきは、国土交通省への水道行政移管によって加速した「ウォーターPPP」の制度設計です。従来の上下水道事業は、自治体ごとに単年度かつ小規模な工区に細分化されて発注されてきました。しかし、自治体側の土木技術職員がピーク比で約4割減少し、給水人口1万人未満の小規模事業体では技術系職員が数人規模まで縮小している実情があります。これにより、自治体単独で詳細設計から積算、個別発注、施工監理を行う従来の体制は維持が困難になっています。

結果として、自治体は「計画策定から設計、施工、更新後の維持管理まで」を複数年で民間企業グループに一括して委ねる方式を選択せざるを得ません。この発注構造の転換は、元請け企業に求められる経営資源の質を変滅させました。すなわち、単一工区の土工・コンクリート打設をこなす施工力以上に、管路材料の安定調達網、大規模シールド技術、プラント更新能力、ファイナンスや包括契約のマネジメント能力を併せ持つ企業が優位に立つ環境が成立したということです。

大林組の首位獲得とクボタ建設の躍進は、この構造転換に対応した企業が大型案件を取り込み始めた初期段階を示しています。今後は、道路や河川などの地上構造物に依存してきた地域中堅ゼネコンや土木業者であっても、ウォーターPPPを担う統括受託企業との協力体制を構築できるか、あるいは非開削更新工法などの特定分野で代替困難な施工技術を確立できるかが問われます。

参考記事: インフラ長寿命化計画とは?予防保全への転換と実務担当者が押さえるべき計画策定のポイント

明日の現場・事業戦略で意識すべき実務対応

上下水道分野における発注形態と受注上位プレイヤーの変化を踏まえ、建設会社および専門工事業者が現場実務と営業戦略で確認すべき事項は以下の通りです。

  1. 包括委託・官民連携案件のサプライチェーンへの参入準備

管轄地域における自治体のウォーターPPP導入方針や包括的民間委託の実施スケジュールを把握してください。元請けとして参入を狙う大手・準大手ゼネコンだけでなく、地域施工会社としても、包括受託を担う主要コンソーシアムの協力会社ネットワークに早期にアプローチし、管路施工や維持管理の担当枠を確保する動きが求められます。

  1. 更新・耐震化需要に応じた専門施工能力の再点検

開削工事から非開削工法(推進工法、管更生工法)へのシフトに対応するため、自社が保有する設備や技能者の資格・施工実績を点検してください。耐震継手管の布設技能や管路点検調査技術など、耐震化関連の特命仕様や総合評価方式で加点対象となる技術への習熟と人員配置が必要です。

  1. 「上下水道DX技術カタログ」掲載技術の導入検討

点検・調査・補修に関する新工法を採用する際は、国土交通省の「上下水道DX技術カタログ」に掲載されている技術や認定ツールを優先して選定してください。自治体が特別交付税措置などの財政支援を活用して発注するケースが増えており、仕様書で指定される工法に適合できる機材と施工体制を整備しておくことが受注機会の維持に直結します。


出典: 日経クロステック(xTECH)
出典: 株式会社クボタ ニュースリリース
出典: クボタ建設株式会社 会社概要
出典: 国土交通省 水道行政移管について

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにて設備保全プロジェクトに従事。 その後、スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してConShiftを立ち上げ。 現在は建設DXメディア「ConShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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