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Home > 建設用語辞典 > 土木施工・工法> 開削工法

開削工法とは?

この記事の要点
  • キーワードの概要:地上から直接地面を掘り下げて下水道管や共同溝などの地下構造物を設置し、埋め戻して道路を復旧する代表的な土木工法です。
  • 実務への関わり:浅い深度の配管工事でコストを抑えやすく、施工箇所を直接目で見て確認できるため、確実な勾配管理や確実な品質管理が行えます。
  • トレンド/将来予測:都市部での交通影響や掘削土量を減らすため、覆工技術の高度化やICT建機を活用した安全かつ高精度な施工管理が進んでいます。
目次
  • 開削工法(オープンカット工法)の基本定義と下水道・トンネル工事における適用範囲
  • 開削工法の仕組みと対象構造物(下水道管路・共同溝・開削トンネル)
  • 非開削工法(推進工法・シールド工法)との決定的な構造・施工上の違い
  • 開削工法の標準施工手順と各フェーズにおける施工管理の技術的要点
  • 事前調査・舗装切断から掘削・土留め支保工(切梁・腹起し)架設
  • 基礎工・管布設から埋め戻し締固め・舗装復旧(仮復旧/本復旧)
  • 地盤条件・現場環境に応じた土留工(山留め)の選定基準と安全管理
  • 代表的な土留工法の特徴と選定基準
  • 掘削底面の破壊現象(ボイリング・ヒービング・盤ぶくれ)の防止と計測管理
  • 開削工法のメリット・デメリットと現場課題を解決する実務対策
  • 工法特性の比較評価
  • 覆工板による道路開放と周辺影響(騒音・振動・地盤沈下)の抑制対策
  • 計画・積算で役立つ工法選定基準表と施工計画書の必須チェック項目
  • 深度・管径・交通制約から導く工法選定判定マトリクス
  • 施工計画書作成における実務チェックリストとICT活用
  • よくある質問(FAQ)

開削工法(オープンカット工法)の基本定義と下水道・トンネル工事における適用範囲

開削工法の仕組みと対象構造物(下水道管路・共同溝・開削トンネル)

開削工法(オープンカット工法)とは、構造物や管路を構築・布設するルートに沿って地上から直接地盤を掘削し、所定の深さに構造物を設置した後に土砂を埋め戻して路面を復旧する工法です。

掘削深さに応じて周囲の地盤崩壊を防ぐため、親杭横矢板工法や鋼矢板工法などの土留工(山留め壁)を先行して打設し、切梁や腹起しなどの支保工で土圧を支えながら施工空間を確保します。都市部の道路上では、掘削面上部に覆工板を架設して仮設道路とすることで、昼間の交通開放を行いながら地下で工事を進める手法が一般的です。

開削工法が適用される主な対象構造物は以下の通りです。

  • 下水道管路・上水道管路
    • 全国の管路延長が約50万kmに達する下水道事業において、土被り(埋設深度)が比較的浅い枝線管渠の布設や老朽化に伴う管路更新工事で標準的に採用されます。
    • 施工中に目視で勾配を確認できるため、自然流下(重力流)が基本となる下水道のミリ単位の勾配管理において高い確実性を発揮します。
  • 共同溝・電線共同溝(C・C・BOX)
    • 電力線、通信線、ガス管、上下水道管などを道路地下に集約する施設です。幅員が広く平面的・立体的に複雑な形状を持つボックスカルバート構造物を構築する場合、地表面から直接重機を用いて据え付ける開削工法が適しています。
  • 開削トンネル(地下鉄駅部・道路アンダーパスなど)
    • 地下鉄の駅舎部分や都市内高速道路の掘割・地下構造物を構築する手法として用いられます。大断面かつ平面的に広がる大規模構造物において、地上から直接資材を搬入し、配筋・型枠建込み・コンクリート打設を効率的に進める場合に選定されます。

地表面を直接開削するため、労働安全衛生規則第356条に定められた掘削面の勾配基準(岩盤・堅い粘土を除く通常の地山では深さ2m未満で制限)に基づき、深さに応じた適切な土留工の選定が施工計画の前提となります。


非開削工法(推進工法・シールド工法)との決定的な構造・施工上の違い

地下インフラの建設計画において、開削工法と対比されるのが「非開削工法」に分類される推進工法やシールド工法です。両者の決定的な違いは、「施工対象区間の地表面を掘り起こすか、発進・到達地点のみの掘削にとどめて地中を掘進するか」という施工メカニズムと周辺環境への影響度にあります。

比較項目 開削工法(オープンカット工法) 推進工法(非開削) シールド工法(非開削)
施工メカニズム 全線を地上から直接開削・埋戻し 発進立坑から管をジャッキで押し込む シールド機で掘進しながらセグメントを組み立てる
主な適用深度 主に土被り浅層(一般に5m未満が経済的) 中深度〜大深度(立坑設置可能な深度) 大深度(10m以上〜数十m)
道路交通への影響 掘削延長分の車線規制・迂回路が必要 発進・到達立坑部のみ占用(影響小) 発進・到達立坑部のみ占用(影響極小)
土工量と資材 掘削残土量・埋戻し材・舗装復旧が多い 立坑掘削分と管内排土のみで土工量が少ない 立坑掘削分とトンネル断面排土のみ
支障物対応 目視確認しながら手掘りや防護が可能 地中不可視のため事前移設が必須 地中不可視のため事前移設が必須

開削工法は、土被りが浅い現場において立坑構築費用や特殊な掘進機械の初期設備費用(イニシャルコスト)が不要なため、トータルコストを抑えられます。一方で、工事延長全体にわたる道路幅員の占用や車線規制が必要となり、掘削残土の搬出量や埋め戻し土の搬入量が増加します。さらに、地下水位が高い砂質土層でのボイリングや軟弱粘性土層でのヒービングといった底面破壊リスクを考慮した水替工・地盤改良の検討が欠かせません。

構造物の埋設深度、道路交通の制約条件、地下埋設物の輻輳度合いを総合的に照らし合わせることが、工法選定の基本軸となります。

開削工法の標準施工手順と各フェーズにおける施工管理の技術的要点

開削工法は、地表面から溝状に掘削して下水道管路や地下構造物を築造し、埋め戻して路面を復旧します。施工箇所を直接目視できるため、管の据付け精度や締固め品質を管理しやすいメリットがある一方、道路掘削を伴うため厳格な工程管理が不可欠です。

施工フェーズ 主な作業内容 主な施工管理項目・技術基準
準備・土留工 地下埋設物調査、試掘、舗装切断、土留め壁打設 埋設物の位置確認、打設精度(鉛直度)、騒音・振動抑制
掘削・支保工 明り掘削、切梁・腹起し架設、路面覆工板設置 掘り過ぎ(余掘り)防止、支保工のプレロード管理、盤面安定
基礎・管布設 基礎砕石敷均し・転圧、管据付け、継手接合 床掘り面の地盤乱れ防止、管の芯出し・勾配管理、水密性確認
埋戻し・復旧 層状締固め、土留め引抜き、仮舗装・本舗装復旧 締固め度・まき出し層厚管理、引抜き空隙充填、舗装平坦性

事前調査・舗装切断から掘削・土留め支保工(切梁・腹起し)架設

掘削・支保工フェーズでは、近接構造物や道路埋設物の防護を行いながら、地盤崩壊を起こさないよう掘削と支保工架設を並行して進めます。

【掘削・土留めフェーズの標準手順】
事前調査・試掘 ──> 舗装切断 ──> 土留め壁打設 ──> 一次掘削 ──> 腹起し・切梁設置 ──> 二次掘削(床掘り)
  • 事前調査・試掘と舗装切断
    • 労働安全衛生規則第355条に基づき、事前にボーリング調査や埋設物図面の照合を行います。中圧ガス管や地中電線路が近接する箇所では、同規則第362条・第363条に則り、目視確認ができるまで人力による試掘(手掘り)を先行させます。
    • 舗装切断では、後続の掘削による既設舗装のクラック進展を防ぐため、コンクリートカッターを用いて舗装厚以上の深さまで直線状に完全切断します。
  • 土留工(山留め壁)の設置
    • 地盤条件や地下水位に応じて親杭横矢板工法や鋼矢板工法などを選定し、所定の根入れ長まで鉛直度を確保して打設します。打設芯のズレや倒れは、後工程における切梁の架設不良や掘削幅の不足に直結するため、トランシット等を用いた鉛直精度の確認を行います。
  • 掘削および土留め支保工(切梁・腹起し)の架設
    • 労働安全衛生規則第356条および第361条に基づき、掘削深さに応じて切梁および腹起しを適時架設します。
    • バックホウで一次掘削を行った後、腹起しを山留め壁に密着させ、切梁を水平に設置して油圧ジャッキ等で所定のプレロード(先行軸力)を導入します。山留め壁と腹起しの間に生じた隙間には、モルタルや鋼製ピース(ライナー)を充填して密着させ、応力の不均等な集中を防止します。
  • 掘削底面(床掘り面)の品質・安全管理
    • 掘り過ぎ(余掘り)と地盤乱れの防止: 設計床付け面付近では、重機のバケット爪による地盤の乱れを防ぐため、手前10〜20cm程度を残して平バケットによるすくい掘りや人力床均しを行います。やむを得ず余掘りした場合は、貧配合コンクリートや砕石による地盤置換を実施します。
    • 底面安定の確認: 粘性土地盤におけるヒービングや砂質土地盤におけるボイリングの兆候がないか、底面の変状や支保工の軸力計数値を監視します。

基礎工・管布設から埋め戻し締固め・舗装復旧(仮復旧/本復旧)

管路や構造物の据付けから埋め戻し・舗装復旧に至るフェーズは、道路の長期的な沈下防止および管路機能を担保する工程です。

【据付け・復旧フェーズの標準手順】
基礎砕石・敷設 ──> 管据付け・接合 ──> 管周囲の埋め戻し(水締め・層状転圧) ──> 土留め引抜き ──> 仮舗装 ──> 本舗装復旧
  • 基礎工と管据付け・接合管理
    • 基礎砕石の転圧: 床掘り完了後、直ちに基礎砕石(RC-40等)を設計厚さで敷き均し、プレートコンパクターやタンパを用いて規定の締固め度まで締め固めます。
    • 芯出し・勾配管理: 下水道などの自然流下(重力流)管路では、レーザー測量機や丁張を用いて管中心線(通り)とインバート標高をミリ単位で管理し、管を1本ずつ据付けます。ゴム輪接合や差口の挿入長を全数確認し、地下水の浸入や汚水の漏水事故を防止します。
  • 埋め戻し工と締固め管理
    • 管周囲(側部・下部)の充填: 管の斜め下側(三角部)は転圧機械が届きにくく空隙が残りやすいため、良質土や山砂を用いた水締めや、木胴突き・小型タンパを用いた手突き締固めを実施します。左右不均等な埋め戻しによる管の横方向偏位(芯ズレ)を防ぐため、左右均等に施工高さを揃えます。
    • 層厚管理と締固め度: 管上部の埋め戻しは、一層の仕上がり厚さを30cm以下として層状に敷き均し、ランマや振動ローラーで転圧します。現場密度試験(砂置換法やRI計器)で最大乾燥密度の90〜95%以上を確認します。
  • 土留め材の引き抜きと間隙処理
    • 鋼矢板や親杭を引き抜く際、引き抜き跡の空隙による道路陥没や隣接家屋の沈下を防ぐため、引き抜きと同時にセメント系注入材や砂を充填する「同時充填工法」を採用します。
  • 舗装復旧(仮復旧から本復旧へ)
    • 仮復旧: 掘削当日の交通開放を行うため、加熱アスファルト混合物を敷き均し・転圧して仮舗装を施工します。
    • 本復旧: 埋め戻し部の沈下安定後、影響範囲を含めて既設舗装を規定幅で切削し、路盤工の再構築から基層・表層の舗装工を一括施工します。

地盤条件・現場環境に応じた土留工(山留め)の選定基準と安全管理

地上から地盤を掘り下げる開削工法では、労働安全衛生規則第361条に基づき、地質や掘削深さに応じた土止め支保工の設置が義務付けられています。地下水位、道路幅員、隣接建物との離隔距離に応じた選定が安全施工の前提となります。

代表的な土留工法の特徴と選定基準

工法名 適用地盤と止水性 構造的特徴と剛性 実務上の選定ポイント・留意点
親杭横矢板工法 自立性のある粘性土・砂質土(止水性なし) H形鋼に木製矢板を挟む。壁体剛性は低め コスト重視。地下水位が高い地盤では土砂流出・陥没の危険があるため不適
鋼矢板工法 軟弱粘性土・緩い砂質土(止水性あり) U形・ハット形鋼矢板を連続打設。中〜高剛性 水位の高い下水道工事の標準。引抜時の空隙(ボイド)充填注入管理が必須
ソイルセメント柱状壁工法(SMW工法) 砂質土・粘性土・礫質土(高い止水性) 原位置土とセメントを撹拌しH形鋼挿入。高剛性 変形量が小さく、大深度開削や重要構造物近接部・立坑部で採用
軽量鋼矢板工法 良好な粘性土・砂質土(軽微な止水性) 軽量形鋼を小型機で建込み。剛性は低い 土被り3m未満の小口径管埋設工事で機動性と施工速度を優先する場合に適用
【地盤・地下水条件に応じた土留工選定フロー】
掘削深度および地盤条件の確認
  ├─ 掘削深さ 3m未満 かつ 自立地盤(地下水なし)
  │    └─ 軽量鋼矢板工法(簡易土留め)
  ├─ 掘削深さ 3m以上
  │    ├─ 地下水位が掘削底面より低い(自立地盤)
  │    │    └─ 親杭横矢板工法(コスト重視)
  │    └─ 地下水位が掘削底面より高い
  │         ├─ 一般的な地盤・隣接影響小 ─── 鋼矢板工法(止水重視)
  │         └─ 大深度・近接構造物あり ───── ソイルセメント柱状壁工法(高剛性・遮水)

敷鉄板や覆工板を設置して路面交通を開放する場合、路面荷重が覆工受桁を通じて親杭や支保工に直接作用するため、設計段階で輪荷重を考慮した断面計算を行います。


掘削底面の破壊現象(ボイリング・ヒービング・盤ぶくれ)の防止と計測管理

掘削底面の安定性を損なう3大破壊現象のメカニズムと対策は以下の通りです。

【掘削底面の3大破壊現象のメカニズム】
1. ボイリング(砂質土)
   掘削外側の地下水頭 > 掘削底面 ── 水頭差による上向き浸透流 ── 砂粒子が浮遊・噴出

2. ヒービング(軟弱粘性土)
   背後土塊の重量 > 底面のせん断抵抗力 ── 土塊が下方に滑り込み ── 底面が隆起

3. 盤ぶくれ(粘土層下の被圧滞水層)
   被圧地下水の揚圧力 > 不透水層の土被り重量 ── 難透水層が破断 ── 水・土砂が噴出
  • ボイリング対策(砂質土): 土留め壁の先端を難透水層まで深く根入れして浸透経路を長くするか、ディープウェルやウェルポイント工法で地下水位を掘削底面以下まで低下させます。
  • ヒービング対策(軟弱粘性土): 土留め壁の根入れ長を堅固な支持層まで確保してすべり面を分断し、底面付近の地盤改良(深層混合処理工法等)で受働側地盤を強化します。
  • 盤ぶくれ対策(被圧滞水層): 被圧砂層へリリーフウェル(減圧井戸)を設置して過剰間隙水圧を逃がすか、土留め壁を不透水層下部まで貫入させます。

これらの変状を未然に察知するため、現場では以下の動態観測(計測管理)を行います。

  • 計測機器の配置:
    • 地中傾斜計:土留め壁の変位量と曲げモーメントを監視
    • 歪ゲージ・ロードセル:切梁・腹起しの軸力増加を把握し座屈を防止
    • ピエゾメーター・観測井:背面水圧および被圧水圧の追跡
    • 地表面沈下ピン:隣接道路や埋設管渠の変状計測
  • 管理基準値と運用:
    • 「注意値(設計計算値の70〜80%程度)」到達時:掘削ペースを落とし、計測頻度をリアルタイム監視へ移行。
    • 「限界値(設計許容値)」超過時:掘削を即時中断し、切梁増設、掘削底面への仮埋戻し(押さえ盛土)、追加減圧などの是正処置を実施。

開削工法のメリット・デメリットと現場課題を解決する実務対策

工法特性の比較評価

評価項目 開削工法(オープンカット工法) 推進工法・シールド工法(非開削工法)
浅層での経済性 設備費用が少なく、土被り5m未満で高い経済性を発揮 立坑築造費や専用設備費がかかり、浅層・短距離では割高
施工の視認性・確実性 目視確認が可能。勾配管理や接合工・締固め品質の管理が容易 地中不可視(ブラインド掘進)。高度な計測管理と事前探査が必須
道路交通・環境への影響 掘削線全体の道路占有、騒音・振動、残土搬出量が多く影響大 発進・到達立坑周りの占有に留まり、路面交通や周辺への影響が極小
平面・断面の施工自由度 構造物形状や分岐・桝の設置、埋設管防護などの現場対応が容易 直線・長距離の単一断面施工に適し、途中分岐や急曲線には制約あり

開削工法は、浅層埋設における経済性と目視確認による確実な品質管理が最大の強みです。一方で、都市部や幹線道路では交通規制や環境負荷が課題となるため、現場条件に応じた適切な低減策を講じる必要があります。


覆工板による道路開放と周辺影響(騒音・振動・地盤沈下)の抑制対策

昼間の交通遮断が許可されない主要幹線道路等では、夜間に掘削を行って覆工板を敷設し、昼間に交通を開放する手順をとります。

  • 覆工板を活用した昼間交通開放の手順
    1. 夜間作業開始と規制設置: 道路使用許可に基づき、保安要員を配置して作業帯を確保。
    2. 掘削および受桁・覆工板の設置: 舗装を取り壊して掘削し、腹起し・切梁および覆工受桁を架設して覆工板を敷設。
    3. 段差・ガタツキ防止処理: 受桁と覆工板の間に緩衝ゴムパッキンを挟み込み、緊結金具で固定。すりつけ部は常温合材で段差を解消。
    4. 安全点検と昼間開放: 覆工板の沈下・横ずれ、滑り止め塗装の摩耗を確認し、交通開放時間までに規制を完全撤去。
  • 周辺環境・埋設物への対策
    • 地盤沈下防止: 鋼矢板引き抜き時の空洞充填工を標準化し、水位差によるボイリング・ヒービング対策を徹底。
    • 騒音・振動低減: 土留め杭の打設には油圧圧入引抜機(サイレントパイラー)を選定し、敷地境界に防音パネルを展張。
    • 埋設物防護: 労働安全衛生規則第355条・第362条・第363条に則り、近接部(1〜2m以内)は手掘りで慎重に露出させ、ワイヤーによる吊り防護や下部からの受け防護を確実に実施。

計画・積算で役立つ工法選定基準表と施工計画書の必須チェック項目

深度・管径・交通制約から導く工法選定判定マトリクス

下水道管路の更新や地下構造物の新設における工法選定基準は以下の通りです。

現場条件の分類 開削工法の適用判定 推進工法の適用判定 シールド工法の適用判定
埋設深度浅(〜3m程度) 第一選択(最も経済的) 不適(土被り不足で路面隆起リスク) 不適(設備規模・経済性で見合わない)
埋設深度中〜大(5m以上) 支保工の大規模化・残土増で不経済 経済性・安全性が向上し有力 長距離・大断面で採用
重要幹線道路・交差点 昼間覆工・夜間施工が必要で制約大 有力(立坑占用のみで交通障害極小) 有力(立坑占用のみで交通障害極小)
埋設管輻輳エリア 支障物防護を行いながら目視施工可能 事前の支障移設が不可欠 事前の支障移設が不可欠
軟弱地盤・高地下水位 鋼矢板工法や支保工補強・水替工が必須 泥濃・泥水推進等で切羽安定を図る 泥水式・土圧式シールドで対応

開削工法は、埋設物が輻輳する浅層エリアで高い適応力を示します。一方、掘削深度が深くなる場合や幹線道路の横断では、推進工法やシールド工法との経済性・道路規制条件の比較検証が不可欠です。


施工計画書作成における実務チェックリストとICT活用

施工計画書を作成する際は、労働安全衛生規則の遵守と生産性向上対策を盛り込みます。

  • 地下埋設物調査と関係機関協議
    • [ ] 労働安全衛生規則第355条に基づき、埋設物図面の照合と事前のボーリング・試掘(テストピット)を実施し、深度・離隔を確認しているか。
    • [ ] 同規則第362条・第363条に則り、ガス導管や地中電線路の近接箇所で機械掘削を禁止し、手掘り掘削および作業指揮者の配置を計画しているか。
    • [ ] 3次元地中レーダー探査等を活用し、図面にない不明埋設管や横断管の位置を特定しているか。
  • 土留め・支保工の安全設計
    • [ ] 掘削深さ2m以上において、同規則第356条・第361条に従い、地盤に適した土留工および切梁・腹起し等の支保工を設計しているか。
    • [ ] ボイリング・ヒービングの安定計算を行い、必要に応じた根入れ長確保や地下水位低下工法を計画しているか。
    • [ ] 覆工板を使用する場合、想定交通荷重(T-25等)に対する支持桁の構造計算とスリップ防止対策を講じているか。
  • 埋戻し・舗装復旧の品質管理
    • [ ] 管路周辺の充填材料(良質土・流動化処理土等)の選定と、層状転圧の施工厚さ(1層あたり20〜30cm)を規定しているか。
    • [ ] 鋼矢板引抜時の空隙充填工を計画に盛り込んでいるか。
  • ICT施工技術の導入
    • [ ] マシンガイダンスバックホウの導入により、設計3次元データに沿った掘削を行い、丁張作業の削減と過掘り防止を図っているか。
    • [ ] 遠隔臨場システムを導入し、基礎工・埋戻し工の段階確認や材料確認に伴う立会待ち時間を削減する工程計画としているか。

よくある質問(FAQ)

Q. 開削工法(オープンカット工法)とはどのような工法ですか?

A. 地表面から直接地盤を掘削し、所定の深さに管路や構造物を設置した後に埋め戻して路面を復旧する施工法です。掘削時は周囲の崩壊を防ぐため土留工(山留め壁)を先行して打設し、都市部では上部に覆工板を架設して道路交通を維持しながら地下で作業を進めるのが一般的です。

Q. 開削工法と非開削工法(推進工法・シールド工法)の違いは何ですか?

A. 最大の違いは地表面を掘り起こす範囲です。開削工法が施工ルート全線を地上から掘削するのに対し、非開削工法は発進・到達地点の立坑のみを掘削して地中を掘り進めます。開削工法は土被り5m未満の浅層に適し目視施工ができる反面、道路規制や掘削残土量が多くなる特徴があります。

Q. 開削工法はどのような工事で適用されますか?

A. 主に土被りが比較的浅い上下水道の管路布設・更新工事や、複雑なボックスカルバートを設置する共同溝・電線共同溝工事に適用されます。また、地上から直接重機や資材を搬入して大規模なコンクリート構造物を造る地下鉄駅部や道路アンダーパスなどの開削トンネル工事でも広く採用されます。

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