国交省データプラットフォーム意見交換会の開催と7件の実証成果公表
国土交通省は2026年10月15日、国土交通データプラットフォーム(DPF)のプロジェクト全般の取り組みや機能拡充、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)と連携した社会実験の進捗を報告する「利活用促進に向けた意見交換会」を同年10月30日にオンラインで開催すると発表しました。あわせて、民間企業や大学が参画する連携実証調査から、公開環境が整ったデータ提供1件および施工管理ソフトや点検支援ツールなどデータ利用6件の具体的な活用事例が公表されました。
SIP第3期と連携したインフラデータ共通基盤の構築経緯
国土交通省では、保有するデータや地方自治体・民間のデータを連携し、3次元データの可視化や横断的検索を可能にするデータ連携情報基盤として「国土交通データプラットフォーム(DPF)」の構築を進めています。
本取り組みは、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期課題「スマートインフラマネジメントシステムの構築」(サブ課題D:サイバー・フィジカル空間を融合するインフラデータベースの共通基盤の構築と活用)と連携して推進されています。国交省が保有するシステムにとどまらず、多様な主体が持つデータやシステムとの円滑な連携拡充や相互運用性の確保を目指し、2024年9月より第1期、2025年12月より第2期の連携実証調査公募が行われてきました。
公表されたデータ提供1件・データ利用6件の具体的内容
公表された意見交換会の概要および連携実証調査の成果事例は以下の通りです。
- 意見交換会の開催概要
- 日時:令和8年(2026年)10月30日(金)13:00~15:00
- 形式:Web会議(Zoom/一般傍聴可能、要事前申込)
- 申込期日:令和8年(2026年)10月29日(木)17:00まで
- 事務局:国土交通省大臣官房参事官(イノベーション)グループ、パシフィックコンサルタンツ株式会社(受託事業者)
- データ提供(タイプA:1件)
- 東京大学大学院工学系研究科(特任教授 全 邦釘)
- 熊本県玉名市の協力のもと、同市管理の橋梁31橋・412視点の点検時360度画像データをDPFに登録。
- 緯度経度および撮影方向の情報を付与し、DPF上の360度ビューアで閲覧可能(二次利用可能なCC BY 4.0ライセンス)。
- 東京大学大学院工学系研究科(特任教授 全 邦釘)
- データ利用(タイプB:6件)
- 東京大学・株式会社InfraWalk(InfraWalk)
- 360度画像による橋梁点検記録サービス。DPF上の「全国道路施設点検データベース」から諸元・環境条件が近い橋梁を検索する機能等を実装。
- 株式会社フォーラムエイト(UC-win/Road)
- 令和3年度道路交通センサスや3D都市モデル(PLATEAU)を連携し、交通・運転シミュレーションの交通量条件を自動設定。
- 株式会社ワイズ(PhotoManager・CALS Manager)
- DPFが保有する工事実績情報(コリンズデータ)を取得し、写真管理や電子納品システムにおける工事件名・工種・座標等の工事情報を自動入力。
- ワイズ公共データシステム株式会社(GPS除雪管理システム)
- 全国道路施設点検データベースの橋梁・トンネル情報や自然災害伝承碑のデータを取得し、除雪支障箇所や雪崩危険箇所を登録・表示。
- 株式会社JDSC(再開発エリアAI定性評価・将来予測アプリ)
- 都市QOLデータや国土数値情報をLLM・RAG技術で統合し、住みやすさ指標の定性評価や将来影響レポートを自動生成。
- 国際航業株式会社(CAFE-3D)
- DiMAPS(地震被害情報)や災害緊急撮影写真、河川・地盤データ等を3D空間上に重ね合わせ、災害初動期の状況把握を支援。
- 東京大学・株式会社InfraWalk(InfraWalk)
実証成果が関連する建設事業者とシステム開発者
- 元請(ゼネコン)および土木施工業者:工事実績データ(コリンズ)連携による現場管理ソフトの入力省力化や、点検データの利活用に関わる事業者。
- 除雪業務を担う地域建設業者:道路構造物や危険箇所データの自動連携によるオペレーション効率化の影響を受ける事業者。
- 建設コンサルタント・調査点検業者:橋梁点検の360度画像や3D都市モデル、道路交通センサスなどのデータを解析・計画業務に活用する事業者。
- 建設ITベンダー・ソフトウェア開発事業者:DPFのAPIやMCP Serverを通じて自社製品へのインフラデータ連携を検討する事業者。
施工管理・点検調査・除雪現場における実務への影響
- 元請(ゼネコン)・土木施工業者
- コリンズデータの自動取り込み機能により、写真管理ソフトや電子納品データの作成時における工事件名・座標などの転記ミスや入力手戻りの削減が進む見込みです。民間ベンダーによる商用ソフトへの実装が進めば、日々の施工管理事務の効率化につながります。
- 除雪受託事業者・地域建設業
- 全国道路施設点検データベース等のAPI連携により、除雪前の支障箇所(橋梁継目や門型標識など)や危険箇所の事前登録が省力化され、冬季の除雪作業時の事故防止や運行ルート設定の迅速化が見込まれます。
- 設計・建設コンサルタント・調査点検業者
- 橋梁点検における360度画像データがDPF上でオープンデータ(CC BY 4.0)として公開されることで、現地確認作業の一部代替や類似橋梁の劣化状況との比較検証が可能になります。また、交通センサスやPLATEAUの自動連動により、交通流シミュレーションなどの事前設定作業が大幅に短縮される可能性があります。
意見交換会の開催と2027年2月の成果とりまとめ日程
- 2026年10月29日 17:00:意見交換会のWeb傍聴申し込み受付締切。
- 2026年10月30日 13:00~15:00:国土交通データプラットフォームの利活用促進に向けた意見交換会を開催(Zoom形式)。
- 2027年2月末:連携実証調査の成果とりまとめおよび公表が予定されており、進捗に応じてDPF上で成果データが順次公開される見通しです(国際航業株式会社の公表資料による)。
商用ソフトへの実装時期とAPI利用環境の整備状況
- 商用ソフトウェアへの標準実装時期:今回公表された事例(ワイズのコリンズデータ連携など)が、一般向けソフトの新機能やアップデートとして実現場でいつから利用可能になるか。
- API等の連携仕様と公開範囲:民間企業がDPFの各種インフラデータ(施設点検データや工事実績データ等)を自社システムに組み込むためのAPI利用条件やアクセスの制限事項がどのように整備されるか。
- 自治体保有データの提供拡大:今回の熊本県玉名市のように、地方自治体が管理する膨大な道路・橋梁の点検データがDPFへどの程度集約・公開されていくか。
直轄現場のDX推進とデータ連携基盤の整備動向
- 国土交通データプラットフォーム(DPF)は、直轄インフラの3次元データやオープンデータを束ねる基盤として整備され、2026年3月時点で35システム・約336万件のデータが連携されています。
- 国交省は直轄工事における電子納品やASP(情報共有システム)の高度化を進めており、2027年度にはASP機能要件へ対話型AI機能の追加や構造化データ連携を反映する方針を示しています。今回のDPFと施工管理ソフト・点検アプリの連携実証は、こうした受発注者間のデータ構造化・自動化の動きとも軌を一にしています。
よくある質問
Q. 2026年10月30日に開催される意見交換会は誰でも傍聴できますか?
A. はい、全編Web(Zoom)での傍聴が可能です。参加を希望する場合は、10月29日(木)17時までに報道発表資料に記載された専用フォームから事前申し込みを行う必要があります。
Q. 施工管理ソフトでコリンズデータを自動入力する実証は誰が開発していますか?
A. 株式会社ワイズが実施しています。同社の「PhotoManager」および「CALS Manager」において、DPFのコリンズデータを取得して工事情報を自動入力し、電子納品業務の省力化と入力ミス低減を図る実証が行われています。
Q. 東大が提供した橋梁の360度画像データは二次利用できますか?
A. 二次利用が可能です。熊本県玉名市の協力のもと登録された橋梁31橋・412視点の点検時360度画像は、ライセンス「CC BY 4.0」としてDPF上で公開され、専用ソフトを導入することなくブラウザ上のビューアで閲覧・ダウンロードが可能です。
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出典
- 発表主体: 大臣官房参事官(イノベーション) / 発表日: 2026-10-15
- 報道発表資料(PDF)
- 別紙(PDF)
- 参考資料(PDF)
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