第4回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」の開催概要
国土交通省は2026年10月15日、第4回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」を同年10月19日に開催すると発表しました。2025年6月に公布された「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(改正トラック法)」に基づき、トラック運送事業者が継続して下回ってはならない基準となる「適正原価」の設定に向けた議論が行われます。今回は、国土交通省、経済産業省、農林水産省による関係業界への個別ヒアリング結果の報告と個別論点の検討が予定されています。
適正原価の導入背景と改正トラック法の位置づけ
トラック運送業界ではドライバー不足や燃料費・安全確保経費の高騰が続いており、トラック事業者の適切な運賃収受とドライバーの処遇改善が求められています。これを受け、2025年6月11日に公布された改正トラック法において、トラック運送事業者が自ら貨物を運送する場合や下請委託する際に国土交通大臣が定める「適正原価」を継続して下回らない仕組みの導入が規定されました。
国土交通省はこの適正原価の適切な算定・設定に向けて、2026年7月に有識者検討会を立ち上げ、算定に含める費用項目や人件費水準、関係団体からの意見聴取などを重ねてきました。
第4回検討会の議題と開催要領
第4回検討会の開催概要および主な議題は以下の通りです。
- 開催日時・場所
- 日時:2026年10月19日(月)10:00~12:00(予定)
- 場所:中央合同庁舎3号館10階共用会議室およびWEB会議の併用
- 主な議題(予定)
- 個別ヒアリングに関する各省からの報告(国土交通省、経済産業省、農林水産省)
- 個別論点の検討
- 公開および資料の取り扱い
- 報道関係者を対象に公開(カメラ撮りは冒頭のみ)。
- 配布資料および議事要旨は、後日国土交通省のホームページで公開予定。
関係する荷主企業と運送事業者
- 建設資材メーカー・販売事業者(発荷主)
- 生コンクリート、鉄筋、PC部材、仮設機材などを製造・出荷し、現場へトラック輸送を手配する事業者。
- 元請ゼネコン・建設業者(着荷主・運送発注者)
- 現場への資材搬入や残土・建廃等の搬出で運送契約を結ぶ、または運送を利用して資材を受け入れる事業者。
- 資材運送・重機回送などを担うトラック運送事業者
- 建設現場向けの輸送サービスを提供する貨物自動車運送事業者および貨物利用運送事業者。
建設実務と資材調達への影響
適正原価はトラック運送事業者が継続して下回ってはならない原価基準として検討されており、今後の基準策定によって建設資材物流の実務に影響が及ぶ可能性があります。
- 元請(ゼネコン)
- 建設資材の調達や残土搬出に伴う運送費用の算定基準が見直される可能性があります。従来の下請運送事業者との契約金額や資材購入価格の内訳に含まれる運賃水準が、設定される適正原価を下回っていないか確認が求められる環境へ移行していく見込みです。
- 専門工事業者・下請
- 自社で資材や重機の小運搬・回送を手配している場合、委託先運送会社からの価格改定協議や運賃見積りの見直しが提示されやすくなる可能性があります。
- 発注者・設計積算担当
- 公共工事や民間工事の積算において、資材運搬費やダンプ用船費などの法定・標準的な原価基準への連動が議論される可能性があります。
適正原価設定に向けた今後のスケジュール
- 2026年10月19日:第4回「適正原価の設定に向けた有識者検討会」を開催(本文記載)。
- 2026年内(読売新聞の報道によれば):有識者検討会による提言の取りまとめが行われる見通し。
- 2028年6月まで(国土交通省の公表資料によれば):公布(2025年6月11日)から3年以内に政令で定める日をもって、適正原価に関する下限規制および許可更新制度が本格施行される予定。
今後の検討で注視すべき論点
- 適正原価の算定方式と対象費用項目
- 人件費(全産業平均賃金との連動水準など)、燃料費、車両償却費、安全確保経費がどの水準で積み上げられるかが今後の焦点になります。
- 建設資材特有の運行実態の反映度合い
- 建設現場特有の荷待ち時間や荷役作業(クレーン揚重待ち等)、平ボディ車やダンプ・トレーラーといった特殊車両のコストが基準にどう考慮されるかは現時点で示されていません。
- 下限規制に違反した場合の確認・是正手順
- トラック事業者が適正原価を下回って受注・委託した場合の行政による把握手順や、荷主に対する働きかけの具体的な仕組みの詳細は今後の議論次第となります。
トラック適正化施策および関連法制度の動向
- 先行する「標準的な運賃」制度との違い
- 荷主との運賃交渉の目安として告示されている「標準的な運賃」が指標的な位置づけであるのに対し、今回検討されている「適正原価」は、改正トラック法に基づき事業者が継続して下回ることが制限される下限基準として設計されています。
- 物流効率化法(新物効法)との連動
- 2026年4月に全面施行された物流効率化法では、年間貨物取扱量9万トン以上の建設業者が特定荷主に指定され、中長期計画書の提出や荷待ち・荷役時間の削減努力が求められており、運送原価の適正化と一体的な現場改善が促されています。
- 建設業法における「標準労務費」との類似性
- 建設技能者の賃金確保に向けて中央建設業審議会が勧告する「標準労務費」と同様に、物流分野でもドライバーの処遇確保を目的とした公的基準によるダンピング防止の枠組み形成が進められています。
よくある質問
Q. 「適正原価」とはどのような制度ですか?
A. 2025年6月に公布された改正トラック法に基づき、トラック運送事業者が自ら貨物を運送する場合や他の運送事業者に委託する際に「継続して下回ってはならない」ものとして国土交通大臣が定める原価基準です。
Q. 今回の第4回検討会では何が話し合われますか?
A. 国土交通省、経済産業省、農林水産省による荷主関係業界への個別ヒアリング結果の報告と、適正原価の設定に向けた個別論点の検討が行われます。
Q. 適正原価の基準はいつから施行される予定ですか?
A. (国土交通省の公表資料によれば)改正法の公布日(2025年6月11日)から3年以内と規定されており、2028年6月までに政令で定める期日に施行される予定です。
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出典
- 発表主体: 国土交通省物流・自動車局貨物流通事業課 / 発表日: 2026-10-15
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