スマートICの新規事業化と調査着手で何が決まった?
国土交通省は2026年10月23日付で、スマートインターチェンジ(スマートIC)2箇所について高速道路会社へ事業許可を行い、新規事業化を決定しました。あわせて、新たにスマートIC 3箇所について国による「準備段階調査」に着手することを発表しました。
平地部「IC間隔5km」の実現を目指す政策背景
我が国の高速道路におけるインターチェンジ(IC)の間隔は平均約10kmであり、欧米諸国の平地部における無料高速道路(約4〜5km)と比較して約2倍の開きがあります。国土交通省は、高速道路ネットワークの有効活用とアクセス性向上を図るため、平地部でIC間隔を欧米並みの約5kmとすることを目指してスマートICの整備を推進しています。
スマートICはETC車載器を搭載した車両専用の施設であり、料金徴収施設を集約・コンパクト化できるため、建設コストや料金収受の人件費を低減できる利点があります。
事業許可2箇所と準備段階調査3箇所の詳細一覧
発表された新規事業化および準備段階調査の対象箇所と事業概要は以下のとおりです。
- 新規事業化箇所(事業許可:2箇所)
- 柏原スマートIC(仮称)
- 路線名・連結位置:近畿自動車道天理吹田線(西名阪自動車道 柏原IC~藤井寺IC間)
- 設置場所:(上り線)大阪府羽曳野市、(下り線)大阪府柏原市
- 事業主体:NEXCO西日本、柏原市
- 接続形式・形式:本線直結型、天理方面ハーフ(2/4)
- 運用形態:全車種、24時間運用
- 整備効果:事前通行規制区間がある国道25号や国道165号の豪雨通行止め時における代替路確保(防災体制の強化)、および周辺工業団地(製造品出荷額約3,100億円)から奈良・三重方面への物流アクセス性向上。
- 坂本PAスマートIC(仮称)
- 路線名・連結位置:九州縦貫自動車道鹿児島線(九州自動車道 八代IC~人吉IC間)
- 設置場所:熊本県八代市
- 事業主体:NEXCO西日本、八代市
- 接続形式・形式:SA・PA接続型、全方向(4/4)
- 運用形態:全車種(車長12.0m以下)、24時間運用
- 整備効果:令和2年7月豪雨で被災した国道219号の代替路の恒久確保や「球磨川坂本地区河川防災ステーション」等へのアクセス向上(防災機能の強化)、および坂本町周辺の広域観光振興。
- 柏原スマートIC(仮称)
- 新規準備段階調査着手箇所(直轄調査:3箇所)
- 岩見沢SA(仮称):北海道岩見沢市、北海道縦貫自動車道函館名寄線(岩見沢IC~三笠IC間)
- 相生(仮称):兵庫県相生市、山陽自動車道吹田山口線(龍野西IC~赤穂IC間)
- 高崎・山田(仮称):宮崎県都城市、九州縦貫自動車道宮崎線(高原IC~都城IC間)
- 整備の費用負担区分
- 高速道路本線および料金徴収施設:高速道路機構負担(国が1/2補助)
- 接続する既設の一般道路側:地方自治体負担
- 整備状況(2026年10月23日時点)
- 開通済み:167箇所
- 事業中:51箇所
- 準備段階調査:3箇所
発注と施工に関わる主な事業者・自治体
- 高速道路の本線直結ランプやPA改修、料金収受ゲート等の土木・設備工事を請け負う建設会社・ゼネコン
- スマートICへのアクセス道路(取付道路)や交差点改良工事を受注する地元建設業者
- ICの位置・構造検討や交通量推計、詳細設計を担当する建設コンサルタント
- 事業主体となる高速道路会社(NEXCO西日本等)および関係地方自治体(柏原市、八代市等)
高速道路土木工事とアクセス道路整備への影響
- 元請(ゼネコン)
- 今回事業許可が出された「柏原スマートIC」および「坂本PAスマートIC」において、高速道路会社(NEXCO西日本)発注による本線拡幅・ランプウェイ築造、舗装工事、料金収受設備基礎工事などの土木工事案件が順次具体化する見通しです。
- 専門工事業者・地元下請
- スマートIC本体に接続する一般道路側のアクセス整備は地方自治体の負担区分となるため、柏原市や八代市など関連自治体から取付道路の拡幅や交差点改良工事が発注される見込みです。
- 設計・建設コンサルタント
- 新規に準備段階調査へ着手する3箇所(岩見沢SA、相生、高崎・山田)において、国による直轄調査として交通量推計、IC構造・概略設計、周辺道路網との接続方針の検討などの調査業務が発生します。
事業化と準備段階調査の今後の進捗工程
- 2026年10月23日:国交省がスマートIC 2箇所の事業許可および新規3箇所の準備段階調査着手を決定(発表日)。
- 事業化決定箇所の今後:事業主体(NEXCO西日本および関係自治体)による詳細設計、用地取得、工事発注手続き等へ進む見通しです(本文の整備手順図による)。
- 準備段階調査箇所の今後:国による直轄調査の着手後、関係機関で構成する準備会での検討・調整を経て、地区協議会で実施計画書が策定・提出された段階で新規事業化の判断が行われる見通しです(本文の整備手順図による)。
着工時期や正式名称の決定など今後の確認事項
- 今回事業許可を受けた柏原スマートIC(仮称)および坂本PAスマートIC(仮称)について、具体的な着工時期や開通予定年度は現時点で公表されていません。
- 準備段階調査に着手した3箇所(岩見沢SA、相生、高崎・山田)の調査完了時期や、実際に新規事業化へ移行するかどうかの判断スケジュールは現時点で示されていません。
- 各スマートICの名称は現時点で仮称であり、今後の協議や地元・利用者の意見を踏まえて正式決定されます。
よくある質問
Q. スマートインターチェンジとは通常のICと何が異なるのですか?
A. 高速道路の本線やサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)から乗り降りができるように設置されるインターチェンジであり、専らETCを搭載した車両が通行することを目的としています。料金徴収施設を集約する必要がないため、通常のICと比べてコンパクトかつ低コストで整備できる特徴があります。
Q. スマートICの整備費用は誰が負担するのですか?
A. 高速道路本線や料金徴収施設にかかる費用は高速道路機構が負担し、国から2分の1の補助が行われます。一方、接続する一般道路側の整備費用は地方自治体が負担する区分となっています。
Q. 今回着手された「準備段階調査」とはどのような手続きですか?
A. 地方自治体での計画検討・調整段階において、国として必要性が確認できる箇所を選定し、国が直轄で実施する調査です。ICの必要性、社会便益、利用交通量、位置・構造、周辺道路整備方針などを検討し、準備会での調整が整い地区協議会で実施計画書が提出されると新規事業化に至ります。
関連記事
- 国土交通省、9月16日締切の案でインフラ維持からマネジメントへ転換
- 国交省、2026年度自動物流道路に6グループ採択|ゼネコン参画の要点
- 国土交通省、2026年9月の中間答申案で複数施設の一括発注を明記
- 国土交通省、年9万トン超荷主に10月末提出義務の物流計画事例集を公開
出典
- 発表主体: 道路局 高速道路課 / 発表日: 2026-10-23
- 報道発表資料(PDF)
- 掲載ページ
