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法規制・制度 2026年8月31日

国交省調査で4週8休が38.5%と最多、民間工事の格差是正が急務

国交省調査で4週8休が38.5%と最多、民間工事の格差是正が急務

国土交通省が公表した2025年度の調査結果によると、建設現場で働く技術者の38.5%、技能者の37.0%が「4週8休以上」を取得し、2021年度の調査開始以来で最多となりました。時間外労働上限規制の定着により労働環境の改善が進む一方、公共工事と民間工事、元請けと下請けの間で依然として大きな格差が残る実態が浮き彫りになっています。

国土交通省の働き方改革調査に見る休日取得と残業時間の実態

調査の概要と上限規制適用後の変化

国土交通省は2026年8月27日、2025年度「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」の結果を公表しました。本調査は2026年1月時点で実施され、2024年12月以降に民間工事を請け負った建設企業1,939社から得られた有効回答を基に集計されています。

2024年4月に建設業へ時間外労働の上限規制(原則月45時間・年360時間)が罰則付きで全面適用されて以降、現場の就労環境は着実に改善傾向を見せています。月当たりの平均残業時間は「15時間未満」との回答が技術者で49.9%、技能者で63.1%を占め、上限規制の基準となる「月45時間超」の割合は技術者で3.5%(前回調査比9.9ポイント減)、技能者で2.4%(同8.7ポイント減)まで大幅に減少しました。

現場の休日取得状況においても、技術者で38.5%(前回比9.9ポイント増)、技能者で37.0%(前回比7.6ポイント増)が「4週8休以上」を確保しており、制度開始以降で最も高い数値を記録しています。

公共工事と民間工事に広がる「休日の二極化」

現場全体の数値が改善する一方で、発注主体による休日の取得状況には依然として深刻な乖離が生じています。発注者支援や週休2日対象工事の指定が進む公共工事主体の企業では、4週8休以上を確保している割合が技術者で67.0%、技能者で68.3%と約7割に達しています。

一方、民間工事主体の企業では、4週8休以上を取得できている技術者は21.6%、技能者は18.9%と2割前後に低迷しています。民間工事主体の企業においては、技術者・技能者ともに「4週6休」が約4割を占めて最多のボリュームゾーンとなっており、工期設定や発注者の理解不足が休日確保の大きな障壁となっています。

請負階層による顕著な格差と4週8閉所の提案実態

休日取得の格差は、元請けと下請けというサプライチェーンの上下間でも顕著に現れています。元請け主体の企業では約半数が4週8休以上を実現しているのに対し、1次下請けでは2割台半ば、2次下請け中心の企業では18%台まで落ち込んでいます。

区分 技術者(4週8休以上) 技能者(4週8休以上) 主な現状と課題
全体 38.5%(前回比+9.9pt) 37.0%(前回比+7.6pt) 2021年度の調査開始以来、過去最多を更新
公共主体企業 67.0% 68.3% 約7割が週休2日(4週8休以上)を達成
民間主体企業 21.6% 18.9% 最多層は「4週6休」(約4割)。休日の浸透に遅れ
└ 元請け主体 46.7% 48.6% 約半数が4週8休以上を達成
└ 1次下請け中心 26.7% 23.1% 4週8休以上は2割台半ばに低迷
└ 2次下請け中心 18.4% 18.5% 2割未満にとどまり、重層下請けほど休日不足が深刻

また、受注段階における「4週8閉所(現場の一斉休工)」の提案状況についても調査が行われました。全体では元請け立場で62.4%、下請け立場で51.3%が提案を行っているものの、民間工事主体企業に限ると元請けで46.6%、下請けで40.1%にとどまっています。民間工事における発注者との工期交渉の難しさが、下請け技能者の休日確保を妨げる構造的な要因となっています。

参考記事: 4週8閉所(週休2日現場)とは?4週8休との違いと時間外労働規制に対応する実務ポイントを解説

建設業界の主要プレイヤーに与える影響

ゼネコン(元請け):下請けの就労環境管理と工期交渉力の強化

元請けゼネコンにおいては、上限規制の遵守に向けた勤怠管理の徹底により、自社社員の残業削減や休日確保で一定の成果を収めました。元請け主体の企業では技術者の46.7%、技能者の48.6%が4週8休以上を達成しており、現場マネジメントの改善が進んでいます。

しかし今後は、自社社員だけでなく「下請け企業の技術者・技能者が適切に休日を取得できているか」を管理する責任が強く求められます。一次・二次下請けでの4週8休取得率が2割前後に留まっている実態は、現場全体の工程計画や労務管理にしわ寄せがいっている可能性を示唆しています。元請けには、見積・契約段階から4週8閉所を前提とした適正工期を民間施主に提示し、下請けの休日を確保できる現場工程を構築する調整力が問われます。

参考記事: 建設業働き方改革加速化プログラムとは?適正工期・賃金引き上げ・現場DXを実現する3つの柱を解説

行政・民間発注者:適正工期確保の義務化と商慣習の是正

国土交通省をはじめとする行政機関にとって、公共工事で7割近く達成されている4週8休が、民間工事で約2割に留まっているデータは、今後の施策の方向性を決定づける材料となります。短工期の強要を是正するための法制度運用や、民間発注者に対する指導・監視体制の一層の強化が必要です。

民間施主やデベロッパーなどの発注者側も、工事の遅延や労務費高騰を避けるため、施工側の週休2日確保を前提とした柔軟な発注計画を立てることが不可欠となります。改正品確法や改正建設業法の趣旨に則り、無理な工期設定が施工不良や労働基準関連法令の違反を招くコンプライアンスリスクであるという認識を持つことが求められます。

参考記事: 公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)とは?2024年改正の要点と発注者・受注者の実務解説

職人・下請け専門工事業者:若手入職者の確保と賃金水準の維持

下請け専門工事業者や技能労働者にとって、「4週8休以上」が最多となった調査結果は業界全体の改善を示す一方、2次下請け層では8割以上が4週8休を未取得という厳しい現実を突きつけています。他産業が週休2日を標準とするなかで、休日数が少ない労働環境のままでは、若年入職者の確保や定着において著しく不利な状況が続きます。

下請け企業側も、日給月給制による「休めば収入が減る」賃金体系からの脱却や、法定福利費および標準労務費を適正に反映した見積書の提出を元請けに対して徹底する必要があります。元請けからの適正な工期と対価を確保しつつ、自社の職人が安心して週休2日を取得できる就労体系の整備が急務です。

参考記事: 標準労務費の勧告制度とは?2024年建設業法改正で変わる実務と見積・契約のポイント

ConShiftの視点(独自考察):働き方改革の「第2フェーズ」への移行

今回の国土交通省による調査結果は、建設業における働き方改革が「規制による労働時間短縮(第1フェーズ)」から、「構造的断絶の解消(第2フェーズ)」へと明確に移行したことを物語っています。

2024年4月の上限規制適用以降、月45時間を超える残業は技術者で3.5%、技能者で2.4%まで激減しました。企業側の勤怠管理や業務効率化によって、形式的な労働時間規制の遵守は定着しつつあります。しかし、その恩恵が公共工事および元請け大手に集中し、民間案件や二次下請け以降の技能者に波及していない「二極化構造」が浮き彫りになりました。

この格差を是正するためには、現場の努力だけに依存する労務管理では限界があります。改正建設業法に基づく標準労務費の浸透や、厚生労働省・国土交通省による適正工期交渉の社会的啓発を背景に、元請けゼネコンが民間施主に対して初期契約時から「4週8閉所を前提とした工期・予算」を毅然と合意形成できるかが最大の分岐点となります。

下請け層における週休2日の未達成は、数年後の職人不足や施工能力の枯渇に直結します。サプライチェーンの末端まで休日と適正賃金を届ける商慣習の刷新こそが、真の建設DXと持続可能な施工体制の基盤となります。

参考記事: 厚労省が2026年8月に新PR動画公開、発注者との適正工期交渉を後押し

まとめ

国土交通省の最新調査により、建設業界の4週8休取得率は過去最高を記録したものの、民間工事や下請け現場への定着には依然として高いハードルが存在することが確認されました。持続可能な現場環境を実現するために、企業は以下の取り組みを推進する必要があります。

  1. 初期見積もり段階からの4週8閉所・適正工期の提示
    民間施主との契約交渉において、改正品確法や公的ガイドラインを根拠に、週休2日を前提とした標準工期と費用を明示して合意を取り付けます。
  2. 下請け階層における休日取得・労務費実態のモニタリング
    元請け企業は自社社員だけでなく、1次・2次下請けの現場作業員が計画通り休日を取得できているかを工程表および勤怠データで可視化・管理します。
  3. 日給月給制の見直しと標準労務費を踏まえた価格転嫁
    下請け専門工事業者は、休日の増加が職人の収入減少に繋がらないよう月給制への移行や歩掛の見直しを進め、適正な労務費を元請けへ確実に請求します。

出典: 建設通信新聞Digital
出典: 日刊建設工業新聞

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにて設備保全プロジェクトに従事。 その後、スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してConShiftを立ち上げ。 現在は建設DXメディア「ConShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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