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Home > 法規制・制度> 国土交通省、2027年度に道路占用調整を全国システム化|協議期間を短縮
法規制・制度 2026年10月5日

国土交通省、2027年度に道路占用調整を全国システム化|協議期間を短縮

国土交通省、2027年度に道路占用調整を全国システム化|協議期間を短縮

国土交通省は2026年10月2日、道路の占用制度の在り方に関する専門部会を開き、地下埋設物データの一元管理と工事調整を行う「新たな道路占用関連システム」の全国運用スケジュールを示しました。2027年度にインフラ事業者間の工事調整機能を全国規模で稼働させ、2028年度には道路占用許可の電子申請を全国展開する計画です。

道路占用制度改革のタイムラインと新システムの機能構成

道路地下に埋設された上下水道、ガス、電力、通信などのインフラ設備は、高度経済成長期以降の急速な整備に伴い過密化と老朽化が同時に進行しています。これまで道路管理者や占用事業者ごとに紙図面や個別の対面協議で処理されていた占用手続きと工事調整を、全国統一の共通デジタル基盤へ移行させる方針が固まりました。

専門部会が策定したシステム導入の経緯

道路地下空間の管理体制をめぐっては、2025年1月に埼玉県八潮市で発生した下水道管路破損に伴う大規模道路陥没事故を契機に、地下埋設物の位置情報把握や老朽化対策の不備が浮き彫りとなりました。国土交通省は2025年9月25日に「新たな道路占用関連システム」の運営主体として一般財団法人道路管理センターを選定し、2026年3月17日に有識者による「占用制度のあり方に関する専門部会」を設置して制度とシステムの設計を進めてきました。

2026年10月2日に開催された第2回専門部会では、関連法改正の施行状況を踏まえ、新システムの機能配備と全国運用の具体的な工程が承認されました。

年月 政策・制度の動き システム整備・運用方針
2025年9月25日 運営主体の決定 一般財団法人道路管理センターをシステム運用主体に選定
2026年3月17日 第1回 専門部会開催 地下埋設物情報の適正把握とシステム化方針の検討開始
2026年4月1日 改正道路法施行規則施行 地方自治体管理道路の占用者にも安全性・点検結果報告を義務化
2026年7月 改正下水道法等公布 地下埋設物の点検計画提出義務化や道路地下空間マネジメント強化を規定
2026年10月2日 第2回 専門部会開催 新システムの全国展開スケジュール(2027年度調整、2028年度申請)を提示
2027年度中 工事調整システム運用 全国の道路管理者・占用事業者間で重複工事のWeb調整を開始
2028年度中 占用許可電子申請の全国運用 道路占用許可申請から許可証交付までのオンライン完結を全国展開

2026年の法改正と連動する管理責任の強化

システムの全国展開に先立ち、法令面での地ならしが進められています。2026年4月1日に施行された改正道路法施行規則では、直轄国道にとどまらず地方自治体が管理する道路の占用者に対しても、占用物件の安全性確認や地下占用物連絡会議等の求めに応じた点検結果報告が義務付けられました。

2026年7月に公布された「下水道法等の一部を改正する法律」(道路法改正を含む)では、道路地下に埋設物を設置する事業者に対して点検計画の提出を義務付ける枠組みが盛り込まれ、道路地下空間全体の総合的な維持管理体制が法定化されています。

2026年3月の専門部会において、国土交通省道路局路政課長の野口透良氏は「占用物は道路の本来的な機能を阻害しない範囲で認める制度であり、適切な維持管理は前提条件となる」と述べており、道路局長の沓掛敏夫氏も同月の検討委員会で「道路地下空間の適切な負担や仕組み構築について総合的に検討する必要がある」と発言しました。新システムは、これら法改正によって義務化されるデータ提出や点検報告の受け皿として機能します。

新たな道路占用関連システムが担う3つの基盤機能

整備される新システムは、インフラ事業者(電気・ガス・通信・上下水道)と全国の地方自治体・道路管理者をネットワークで結ぶWebプラットフォームです。主に以下の3つの機能で構成されます。

地下埋設物位置情報のデジタル一元管理

各事業者が保有する埋設管・ケーブルの3次元位置情報、口径、埋設年次、点検履歴などの属性データをプラットフォーム上に集約します。従来は事業所ごとに保管されていた紙の台帳や独自フォーマットのCADデータが標準化され、同一画面上で重層的に確認できるようになります。

2027年度稼働のWeb工事間調整機能

道路の掘削を伴う工事計画をシステム上に登録することで、同一区間や近接区間で予定されている他事業者の工事情報を自動照合します。従来は年数回開催される対面形式の「地下占用物連絡会議」で突き合わせていた工事日程や掘削断面の調整が、Web上でリアルタイムに行えるようになります。

2028年度稼働の道路占用電子申請・審査機能

道路法第32条に基づく道路占用許可申請書の作成、添付図面の提出、手数料納付、道路管理者による審査、許可証交付までの一連の手続きをオンライン上で完結させます。自治体ごとに異なっていた申請様式や添付図面フォーマットが統一されます。

参考記事: 開削工法とは?仕組みから非開削工法との違い・施工管理のポイントまで徹底解説

施工現場と行政実務に生じる実務上の影響

道路占用手続きと工事調整のシステム化は、工事の計画段階から現場管理に至る各プレイヤーのオペレーションを再編します。

ゼネコン(元請け):着工準備期間の短縮と工程の不確実性排除

元請けゼネコンにとって、道路占用を伴う都市部土木工事やライフライン工事における最大のボトルネックは、着工前の協議期間の長さと日程確定の難しさにありました。電気・ガス・水道の各事業者が個別に道路管理者と協議を行い、道路使用許可(警察)と道路占用許可(道路管理者)を調整するプロセスには、数カ月から半年以上の期間を要する事例が一般的でした。

新システムによる工事調整が2027年度に定着すれば、先行する他工種の工事日程や掘削規制期間がシステム上で可視化されます。各事業者との個別協議を繰り返す手間が省け、工程の競合による計画変更のリスクが抑えられます。着工直前の工程再編や待機期間に伴う労務・重機の空転コストが削減され、工事全体の実行予算管理の精度が高まります。

さらに2028年度の電子申請移行により、書類の差し戻しや修正にかかる往復時間が短縮され、占用許可取得までの標準処理期間が明確化されます。発注者から提示された工期に対して、着工前の事務手続きに要する日数を正確に見込めるようになり、工期設定の妥当性が向上します。

現場監督・施工管理者:紙図面照合の撤廃と埋設物事故の低減

施工現場を統括する現場監督の実務では、間接業務の削減と現場掘削時の安全管理において直接的な変化が生じます。現場代理人や主任技術者は、着工前に自治体や各インフラ事業者の窓口へ出向き、紙の埋設管図面を閲覧・照合した上で、現況道路へのマーキングや試掘計画を作成していました。

新システムが稼働すると、現場事務所の端末から最新の埋設物データを横断的に照会・出力できるようになります。自治体窓口への移動や紙図面の保管・修正作業が不要になります。

また、現場施工における重大事故の代表例である「地下埋設物の誤掘削事故」を抑止する効果があります。埋設深さや既設管の正確な位置関係がシステム上で3次元的に把握できれば、開削工法における試掘箇所の選定や重機掘削時の離隔確保が容易になります。工事中のガス管損傷や通信ケーブル切断といった重大事故リスクが減り、施工管理者が現場の工程・安全巡視に充てられる時間が増加します。

自治体・道路管理者:審査プロセスの自動化と重複掘削の根絶

地方自治体の道路管理部門は、土木系技術職員の不足によって申請図面の審査や現地照合に多くのリソースを割けない状況が続いています。窓口での対面受付や紙書類の回覧決裁が常態化しており、申請から許可交付までに時間を要する要因となっていました。

システムの一元化により、申請データの形式チェックや過去の埋設履歴との照合がデジタル上で処理され、行政側の審査負荷が軽減されます。各管理者が管轄する道路台帳システムと占用データが自動連携されるため、台帳更新の遅れや更新漏れが是正されます。

加えて、道路工事における社会問題である「掘り返しの重複(一度舗装した道路を短期間で別事業者が再度掘削する事態)」を抑制できます。工事調整システムによって、同一路線における上下水道管の更新とガス管敷設、通信管路の整備時期を1回の掘削工事にまとめる共同施工の計画が立てやすくなります。掘削・復旧費用の重複支出が抑えられ、道路舗装の延命化と周辺交通への影響緩和が図られます。

参考記事: 無電柱化推進計画とは?法体制・優先路線の選定基準から低コスト工法の実務まで解説

ConShiftの視点:地下空間のデジタルツイン化と発注体系の統合

2026年9月30日に国土交通省の社会資本整備審議会小委員会が取りまとめた中間答申案では、道路や上下水道を束ねて複数年契約で発注する包括的民間委託の導入基準改訂が示されました。今回発表された道路占用関連システムの2027〜2028年度全国展開は、この「インフラマネジメントの広域包括化」をデータ面から支えるインフラとして直結します。

八潮市陥没事故が決定づけた「地下データの一体管理」

これまで道路構造物(舗装・路盤)の維持管理と、その地下に収容されている埋設管路(下水道・上水道・ガス等)の管理は、行政組織の縦割りや事業者ごとの個別台帳によって分断されていました。2025年1月の八潮市における道路陥没は、地下埋設管の腐食破損が道路路盤の崩壊を招くという、複数インフラの連動リスクを浮き彫りにしました。

新システムによって一般財団法人道路管理センターに集約されるデータ基盤は、単なる申請窓口のデジタル化にとどまらず、地上と地下を統合した「都市インフラのデジタルツイン」の基盤データを形成します。地下埋設物の老朽度や点検履歴が道路管理者の路面データと紐づけられることで、路面下空洞探査の重点エリア選定や、管路更新と舗装補修の同時施工計画が合理的に策定される体制が整います。

施工業者に求められる3次元測量データ連動

このシステム化がもたらす実務の変革は、申請時だけでなく工事完了後の「竣工データのフィードバック」にも及びます。新システムの精度を維持するため、今後は開削工事後に埋設した管路の位置や深さを高精度な3次元測量(GNSSやLiDAR搭載端末など)で計測し、竣工情報としてシステムへ直接アップロードする運用が義務付けられる方向へ進みます。

従来の「出来形図を二次元の紙図面やPDFで提出して完了」とする施工管理手法は通用しなくなります。現場でのICT施工や3次元出来形管理に対応できる建設会社と、従来型のアナログ施工管理に依存する企業との間で、都市部道路工事の受注力に明確な差が生じます。

参考記事: 国土交通省、2026年9月の中間答申案で複数施設の一括発注を明記

参考記事: i-Constructionとは?建設DXを推進する3つの柱と導入のメリットをわかりやすく解説

明日から意識すべきこと

道路占用関連システムの運用スケジュールが2027年度・2028年度と明示されたことを受け、建設企業の経営層や現場リーダーが着手すべき実務対応は以下の通りです。

1. 社内申請業務の棚卸しとデジタル対応体制の構築

現在自社が請け負っている工事において、道路占用許可申請書の作成から提出、警察署への道路使用許可申請、事業者間協議に費やしている工数とリードタイムを定量化する。2028年度のオンライン申請移行を見据え、図面作成ソフトのCADデータ標準化(SXF形式等)や電子署名・電子納付の運用ルールを整備し、システム稼働後直ちに移行できる準備を進める。

2. 工事計画・工程管理ツールのクラウド連携準備

自社の工程表作成や原価管理を紙やスタンドアローンソフトで処理している場合、外部APIやオープンデータと連携可能なクラウド型施工管理ツールへの移行を検討する。2027年度に工事調整システムが稼働した際、他事業者の規制情報や掘削計画を自社の工程計画に即時反映できるデータ管理体制を構築する。

3. 地下埋設物の3次元計測技術の現場導入

地上からの目視点検ができない地下インフラ工事において、掘削面や埋設配管の3次元座標を取得する技術(小型LiDARやRTK-GNSSを活用したスマートフォン測量など)を現場の標準オペレーションとして試行導入する。竣工時における高精度データの提出要件化に備え、現場技術者のデジタル計測スキルを底上げする。


出典: 建設通信新聞Digital
出典: 国土交通省(道路占用制度)
出典: 国土交通省 報道発表資料

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにて設備保全プロジェクトに従事。 その後、スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してConShiftを立ち上げ。 現在は建設DXメディア「ConShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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