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Home > 施工管理> 日比谷アメニスが都市公園賞を2冠|3年完遂の公民連携と狭小ICT施工の実務
施工管理 2026年10月23日

日比谷アメニスが都市公園賞を2冠|3年完遂の公民連携と狭小ICT施工の実務

株式会社日比谷アメニスは2026年10月1日、一般社団法人日本公園緑地協会が主催する「第42回都市公園等コンクール」において、長岡公園再整備工事で国土交通大臣賞を、和田堀公園園地整備工事で都市局長賞を受賞しました。長岡公園では民間資金を活用した協定により構想から寄贈までを3年で完遂し、和田堀公園では点群データと小型ICT建機を活用した都市部施工が評価対象となっています。

長岡公園と和田堀公園における施工・連携プロセスの実態

今回のコンクールでは、長岡京市における民間活力導入プロジェクトと、東京都杉並区の善福寺川調節池に伴う親水空間整備の2件が異なる側面から評価されました。

長岡公園:基本構想から施工・寄贈までを3年で完遂

京都府長岡京市に所在する長岡公園は、1982年の供用開始から40年以上が経過し、施設の老朽化や樹木の繁茂が課題となっていました。長岡京市は市制50周年を契機として2022年に株式会社村田製作所と協定を締結し、民間企業が設計・施工費用を負担して完成施設を自治体へ寄贈する事業スキームを立ち上げました。

株式会社日比谷アメニスは、ランドスケープ設計の株式会社空間創研、建築設計の株式会社SALHAUS、建築施工の掛谷工務店と連携し、造園・建築工事の統括的な施工調整を担いました。2024年4月から2025年8月までの17か月で大屋根のセンター棟「fuRari」や乳幼児向け遊び場、イベント広場、緑化駐車場を整備し、2025年9月1日に供用を開始しています。

さらに同社は、長岡京市が2024年9月に始めた指定管理者の募集を経て、2025年7月から2030年3月までの指定管理者を務めています。それまで長岡公園は市の直接管理で、指定管理者制度は導入されていませんでした。施工を統括した事業者が、引き渡し後の維持管理・施設運営も担う形です。

和田堀公園:点群統合シミュレーションと狭小地ICT施工

東京都杉並区の和田堀公園では、一級河川善福寺川の洪水対策として公園内に整備された掘込式の和田堀公園調節池(平常時は水深約30cmの水面がある親水空間、洪水時は調節池として機能)とその周辺を対象に、園地整備工事が実施されました(日比谷・伍楽・八海建設共同企業体による施工)。

この工事では、現地の点群データと設計図の3Dモデルを統合し、完成イメージを共有するだけでなく施工前に整合性を確認したことで、発注者との合意形成が円滑になりました。仮設計画や施工シミュレーションにも活用し、施工管理業務の生産性向上につなげています。

また、小型油圧ショベルに対応したアンテナ・位置情報システムを導入し、狭小スペースながらICT施工を実施して、業務効率化と安全性確保を実現しました。

環境対策として、土壌に剪定枝由来のバイオ炭を施用したほか、低燃費型の建設機械の使用やソーラーシステムハウスの設置など、CO2排出量の削減に配慮した施策を実施しました。

プロジェクト概要と施工実績の比較

項目 長岡公園再整備工事 和田堀公園園地整備工事
所在地 京都府長岡京市天神2丁目 東京都杉並区大宮1丁目
発注者/連携主体 長岡京市、株式会社村田製作所 東京都建設局(調節池関連整備)
施工体制 株式会社日比谷アメニス(造園・建築統括) 日比谷・伍楽・八海建設共同企業体
主要工期 2024年4月〜2025年8月(2025年9月開園) 2024年12月〜2025年9月
受賞区分 国土交通大臣賞(特定テーマ部門) 国土交通省都市局長賞(施工部門)
主な導入技術・手法 包括協定による寄贈型整備、指定管理者連携 点群+3Dモデル統合、狭小小型ICT建機、バイオ炭

プロジェクト着工から受賞までの時系列

年月日 出来事・進捗内容
2022年5月 長岡京市と村田製作所が持続可能なまちづくりに関する包括連携協定を締結
2022年10月 長岡京市と村田製作所が「長岡公園の再整備事業のための協定」を締結
2024年4月 長岡公園再整備工事に着工(造園工事およびセンター棟「fuRari」建築工事)
2024年9月 長岡京市が長岡公園の指定管理者の募集を開始(指定期間は2025年7月〜2030年3月の4年9か月)
2024年12月 和田堀公園園地整備工事に着工(3D点群連携、小型ICT重機の配備)
2025年7月 日比谷アメニスが長岡公園の指定管理を開始
2025年8月 長岡公園再整備工事が竣工
2025年9月1日 長岡公園がリニューアルオープン(休憩所を除いて先行開園。9月6日に全面オープンと記念式典)
2025年9月 和田堀公園園地整備工事が完了(工期:2024年12月〜2025年9月)
2026年10月1日 第42回都市公園等コンクールで国土交通大臣賞・国土交通省都市局長賞を受賞
2026年10月30日 「ひろげよう 育てよう みどりの都市」全国大会で表彰式(予定)

参考記事: 点群データ・3次元測量とは?基礎知識から2次元測量との違い・取得手法の選び方まで解説

建設業界の各プレイヤーに与える実務上の影響

土木・造園工事におけるICT技術の実装と、民間資金・ノウハウを活用した公民連携スキームの定着は、施工企業と発注機関の双方に業務プロセスの見直しを促します。

元請ゼネコン・土木造園事業者:小規模・狭小現場でのICT施工

和田堀公園の事例は、市街地の公園のような狭小スペースでも、小型油圧ショベルにアンテナ・位置情報システムを導入すればICT施工を実施できることを示しています。

発注自治体:企業の寄贈による再整備と指定管理

長岡公園では、民間企業が再整備の費用を全額負担して施設を市に寄贈し、その後、市の募集を経て選ばれた施工者が指定管理を担っています。自治体の予算に頼らずに公園を再整備した事例です。

審査では、資金面にとどまらず民間の人材やノウハウを活用し、基本構想から施工・寄贈までを3年で完遂した点が、効率的で効果的な事業推進のモデルケースとして評価されています。

現場管理者:点群・3Dモデルの統合による合意形成

和田堀公園では、現地の点群データと設計図の3Dモデルを統合し、施工前に整合性を確認したことで、発注者との合意形成が円滑になりました。現況と設計の食い違いを施工前に確かめられる点は、施工協議を抱える現場代理人や主任技術者にとって参考になります。

参考記事: BIM/CIMとは?原則義務化の運用ルールと実務での導入メリット・導入ステップを解説

参考記事: 包括的民間委託とは?従来発注との違いや下水道事業での導入メリットを徹底解説

ConShiftの視点(独自考察):建設業の提供価値が「請負」から「LTV最大化」へ移行する

日比谷アメニスによる長岡公園と和田堀公園のダブル受賞は、都市インフラ工事における競争力の源泉が「単工期の請負完工」から「施工DXと運営管理を含めたライフタイムバリュー(LTV)の提供」へ移行しつつあることを示す一例といえます。

施工と指定管理を同じ事業者が担う意味

長岡公園では、再整備の施工を統括した日比谷アメニスが、市の募集を経て竣工後の指定管理者(2025年7月〜2030年3月の4年9か月)も務め、リニューアルオープン以降はイベントやレクリエーションも定期的に開催しています。施工時の状況を知る事業者が維持管理・運営まで担うため、施設や植栽の状態を踏まえた管理につなげやすい体制といえます。

狭小ICTと脱炭素の取り組みが評価された点

和田堀公園の審査では、3DやICTの活用による施工効率化と安全性確保に加え、脱炭素への配慮や社内への積極的な知見共有が評価されました。小型油圧ショベルへのICT導入や剪定枝由来のバイオ炭の施用は、大型のICT建機を持たない事業者でも検討しやすい取り組みです。

参考記事: 国交省が能越道で4機種を1台に集約、盛土ICT自動化施工を全国初公開

自社案件へ適用するための実務チェックリスト

都市型インフラの整備や公共工事の受注拡大に向けて、元請け企業および施工管理者が明日から現場実務で着手すべき行動を整理します。

  1. 現保有の小型バックホウに対するMG後付けキットの適合性確認

自社や協力会社が保有する3トン〜7トンクラスの小型油圧ショベルについて、市販のマシンガイダンス(MG)外付けシステムやチルトローテーターの装着可否を検証してください。都市部の狭小ヤードや公園整備工事において丁張りレス施工を実施するための実機環境をリストアップします。

  1. 点群データと2次元設計図の3D重ね合わせフローの確立

地上レーザースキャナやスマートフォンLiDARで取得した現況点群データ(LAS/PLY形式)と、発注図面から立ち上げた3次元設計データを同一座標系で重ね合わせる簡易CAD・ビューア環境を整えてください。着工前協議で取り合い不良を抽出する手順を現場の標準手順書へ組み込みます。

  1. 自治体の公園再生計画および指定管理者公募サイクルの確認

管轄する地方自治体の都市計画マスタープランや公園施設長寿命化計画を調査し、供用後30〜40年を経過した都市公園の更新計画を洗い出してください。あわせて指定管理者の指定期間満了時期を把握し、地元民間企業との協定提案や指定管理プロポーザルへの参画準備を進めてください。


出典: PR TIMES(株式会社日比谷アメニス)
出典: 一般社団法人日本公園緑地協会(第42回都市公園等コンクール受賞作品・受賞団体一覧)
出典: 長岡京市 広報資料
出典: 長岡京市 長岡公園の指定管理者を募集します
出典: 東京都建設局 和田堀公園調節池(善福寺川)

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監修者プロフィール
松本 章

松本 章

大手コンサルティングファームにて設備保全プロジェクトに従事。 その後、スタートアップの経営メンバーとして事業運営に携わり、業界の課題解決を目指してConShiftを立ち上げ。 現在は建設DXメディア「ConShift」を運営し、現場のリアルとテクノロジーを融合させた視点から情報発信を行っている。

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