- キーワードの概要:シックハウス対策(F☆☆☆☆)とは、シックハウス症候群の主要原因であるホルムアルデヒドの放散量が最も少ない最高ランクの建材等級です。建築基準法により内装建材は放散量に応じて区分されており、F☆☆☆☆の材料は室内の内装仕上げに面積の制限なく自由に使用できます。
- 実務への関わり:設計や施工管理の実務において、使用する合板・壁紙・塗料・接着剤などがF☆☆☆☆認定品であるかをJISやJAS、大臣認定書で確認します。基準を満たさない材料を使うと使用面積の制限計算や24時間換気設備の詳細な検討が必要となるため、材料選定と納品証明の確認が不可欠です。
- トレンド/将来予測:居住者の健康意識の高まりや環境配慮型住宅の普及に伴い、F☆☆☆☆建材の採用は標準化しています。今後はホルムアルデヒドだけでなく、トルエン・キシレンなど他の揮発性有機化合物(VOC)全般の低減や、自然素材を活用したさらなる室内空気質の向上が重視される傾向にあります。
- F☆☆☆☆(Fフォースター)とは?放散等級の基準値とJIS・JAS・大臣認定の仕組み
- ホルムアルデヒド放散等級(F☆〜F☆☆☆☆)の基準値対照表
- JIS・JAS・国土交通大臣認定・業界自主管理(日塗工等)の表示区分
- 建築基準法におけるシックハウス対策「3大規制」と使用面積制限の算定ルール
- 内装仕上げに使用できる面積制限の計算式と換気回数の関係
- 24時間換気設備(0.5回/h以上)の義務付けと天井裏等の下地・封鎖措置
- 「F☆☆☆☆=完全安全」の誤解|未規制VOC(13物質)と家具持ち込みのリスク
- 厚生労働省の室内濃度指針値(トルエン・キシレン等13物質)と法規制のギャップ
- 規制対象外となるオーダー家具・置き家具・日用品からの化学物質放散対策
- 部位・建材別に見るF☆☆☆☆適合基準と現場選定の実務ポイント
- 木質建材・住宅設備機器(キャビネット・合板・接着剤)の適合確認法
- 現場塗装塗料・接着剤と無機系断熱材(告示対象外品)の取り扱い実務
- 高気密・高断熱住宅時代の室内空気質(IAQ)確保と引き渡し時チェックリスト
- 設計・施工段階での換気経路シミュレーションと建材トレーサビリティ管理
- 竣工時のベイクアウト(放散促進)手順と施主向け空気質管理チェックリスト
- よくある質問(FAQ)
F☆☆☆☆(Fフォースター)とは?放散等級の基準値とJIS・JAS・大臣認定の仕組み
F☆☆☆☆(Fフォースター)は、シックハウス症候群の主要な原因物質であるホルムアルデヒドの放散量が最も少ない建材に与えられる最高等級の区分です。2003年(平成15年)7月1日に施行された改正建築基準法において、ホルムアルデヒドを発散する建築材料の使用面積制限が導入されたことに伴い、性能を客観的に示す規格区分として制定されました。
星の数は放散速度および放散量の少なさに応じて4段階(F☆〜F☆☆☆☆)に分類され、日本産業規格(JIS)、日本農林規格(JAS)、または国土交通大臣認定による試験と評価を経て表示が認められます。
ホルムアルデヒド放散等級(F☆〜F☆☆☆☆)の基準値対照表
建築基準法では、内装仕上げに使用する建材の発散特性に応じて「規制対象外」「第3種」「第2種」「第1種」の4区分に分類しています。測定方法には、小型チャンバーを用いて単位面積・単位時間あたりの発散量を測る「チャンバー法(放散速度:$\mu\text{g}/(\text{m}^2\cdot\text{h})$)」と、密閉容器内の蒸留水に溶け出た濃度を測る「デシケーター法(放散量:$\text{mg}/\text{L}$)」などが用いられます。
| 放散等級 | 建築基準法の区分 | 放散速度の基準値 | デシケーター法放散量 | 居室内装仕上げの使用制限 |
|---|---|---|---|---|
| F☆☆☆☆ | 規制対象外 | 5$\mu\text{g}/(\text{m}^2\cdot\text{h})$以下 | 平均0.3$\text{mg}/\text{L}$以下(最大0.4$\text{mg}/\text{L}$) | 制限なし(無制限に使用可能) |
| F☆☆☆ | 第3種発散建材 | 5超〜20$\mu\text{g}/(\text{m}^2\cdot\text{h})$以下 | 平均0.5$\text{mg}/\text{L}$以下(最大0.7$\text{mg}/\text{L}$) | 床面積の一定倍率まで使用可能 |
| F☆☆ | 第2種発散建材 | 20超〜120$\mu\text{g}/(\text{m}^2\cdot\text{h})$以下 | 平均1.5$\text{mg}/\text{L}$以下(最大2.1$\text{mg}/\text{L}$) | 床面積の0.3倍などに制限 |
| 第1種(マークなし) | 第1種発散建材 | 120$\mu\text{g}/(\text{m}^2\cdot\text{h})$超 | 平均1.5$\text{mg}/\text{L}$超 | 使用禁止 |
120$\mu\text{g}/(\text{m}^2\cdot\text{h})$を超える第1種建材には星マークの表示が認められず、居室の内装仕上げ材としての使用が全面的に禁止されています。
JIS・JAS・国土交通大臣認定・業界自主管理(日塗工等)の表示区分
建材がF☆☆☆☆等級を有していることを証明する認定ルートは、材料種別や生産体制に応じて主に4つに分かれています。設計図書の作成時や完了検査時には、対象部材がどの認定体系に基づいているかを確認します。
- 日本産業規格(JIS)による表示
- 工業製品全般(繊維板、壁紙、塗料、接着剤、パーティクルボード、断熱材など)を対象とし、登録認証機関による審査・試験を経て認証されます。
- 製品本体や梱包ラベルにJISマークとともに「F☆☆☆☆」の等級記号が印字されます。
- 日本農林規格(JAS)による表示
- 合板、フローリング、集成材、単板積層材(LVL)などの木質系材料を対象としています。
- 登録認証機関による工場品質管理体制の審査および抜取試験に合格した木質建材に対し、JASマークとF☆☆☆☆等級の表示が付与されます。
- 国土交通大臣認定
- JISやJASの規格が定められていない新開発の内装材、輸入建材、複数の素材を一体成型した複合部材を対象としています。
- 指定性能評価機関での試験結果に基づき、国土交通大臣から個別認定番号(「MFN-○○○○」など)が発行されます。
- 業界団体による自主管理表示(日塗工等)
- 一般社団法人日本塗料工業会(日塗工)のホルムアルデヒド自主管理登録制度や、日本シーリング材工業会(JSIA)による登録制度などが該当します。
- 現場調合塗料や、線状に施工されるため法規制の対象面積計算には含まれないシーリング材であっても、業界団体独自の登録番号を発行することで安全性を担保しています。
なお、タイル、ガラス、金属板、無垢木材(接着加工を行っていないもの)、コンクリートなどの無機系建材は、ホルムアルデヒドをほとんど発散しないため「告示対象外建材」に指定されています。これらはF☆☆☆☆の認定マーク自体が存在せず、認定手続きなしで無制限に使用可能です。
建築基準法におけるシックハウス対策「3大規制」と使用面積制限の算定ルール
シックハウス症候群の防止を目的に2003年7月1日に施行された改正建築基準法(法第28条の2、同施行令第20条の5〜8)では、クロルピリホスの使用禁止とともに、ホルムアルデヒドを対象とした以下の「3大規制」が義務付けられています。
- 内装仕上げの制限:居室の内装仕上げに使用する建材の発散等級(F☆☆☆☆〜第1種)に応じ、使用可能面積を制限。
- 24時間換気設備の設置義務化:原則として住宅等の居室に対し、常時有効に換気できる機械換気設備(換気回数0.5回/h以上)の設置を義務付け。
- 天井裏等からの流入防止措置:天井裏、小屋裏、床下、壁体内などから居室へのホルムアルデヒド流入を防ぐため、下地材の材料制限や気密層の施工等を義務付け。
内装仕上げに使用できる面積制限の計算式と換気回数の関係
居室内にF☆☆☆またはF☆☆の材料を組み合わせて使用する場合、建築確認申請では以下の判定式を満たす必要があります。
$$\frac{S_2}{a_2 \cdot A} + \frac{S_3}{a_3 \cdot A} \le 1$$
- $A$:居室の床面積($\text{m}^2$)
- $S_2$:第2種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆)の内装仕上げ見付け面積($\text{m}^2$)
- $S_3$:第3種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆☆)の内装仕上げ見付け面積($\text{m}^2$)
- $a_2$:第2種材料の基準倍率
- $a_3$:第3種材料の基準倍率
| 設計換気回数($N$) | 第2種材料の基準倍率($a_2$) | 第3種材料の基準倍率($a_3$) |
|---|---|---|
| $N = 0.5$回/h(住宅の標準仕様) | 0.3 | 2.0(非住宅・天井高考慮時は最大5.0) |
| $N = 0.7$回/h | 0.4 | 2.8 |
| $N = 1.0$回/h | 0.6 | 4.0 |
例えば、換気回数0.5回/hを確保した床面積20$\text{m}^2$の住宅居室の場合、$a_3$は2.0、$a_2$は0.3となります。F☆☆☆建材単独であれば最大40$\text{m}^2$($20 \times 2.0$)まで施工可能ですが、F☆☆建材は最大でも6$\text{m}^2$($20 \times 0.3$)に制限されます。
24時間換気設備(0.5回/h以上)の義務付けと天井裏等の下地・封鎖措置
24時間機械換気設備の義務化
内装仕上げ材のすべてにF☆☆☆☆建材や告示対象外建材を採用した場合でも、機械換気設備の設置義務は免除されません。入居後に持ち込まれる家具・日用品からの放散や、下地材・接着剤からの微量放散を排出し、室内の空気質を維持するためです。
住宅の居室においては、原則として「換気回数0.5回/h以上」(2時間で部屋全体の空気が1回入れ替わる給排気能力)を有する24時間換気設備の設置が必須となります。
【住宅における24時間換気と室内空気質の関係】
[給気口] ──> 新鮮外気の導入
│
▼
[居室空間] ── F☆☆☆☆建材の微量放散
家具・建材からの未規制VOC(トルエン・キシレン等)
│
▼
[排気ファン] ──> 換気回数0.5回/h以上で屋外へ常時排出
天井裏等からの流入防止措置
内装仕上げの裏側にあたる天井裏、小屋裏、床下、壁体内、パイプシャフトなどは、居室への汚染物質の流入経路になり得ます。施行令第20条の8に基づき、設計者は次のいずれかの措置を講じる必要があります。
- 建材による措置(下地材の等級管理):天井裏等に面する下地材や断熱材に、F☆☆☆以上(または大臣認定品、告示対象外建材)を使用する。パーティクルボードや構造用合板を下地に使用する場合、F☆☆以下の材料は原則使用不可。
- 気密層・通気止めによる措置(物理的遮断):厚さ0.1mm以上のポリエチレンフィルム等で気密層を形成する。合板等のジョイント部に気密テープを施工し、間仕切壁の頭つなぎ・気流止めを隙間なく施工する。
- 機械換気による措置(負圧・換気管理):天井裏等を通気経路として居室換気設備と連動させるか、天井裏等に直接排気設備を設けて居室より負圧に維持する。
「F☆☆☆☆=完全安全」の誤解|未規制VOC(13物質)と家具持ち込みのリスク
F☆☆☆☆はホルムアルデヒド放散速度が「5$\mu\text{g}/(\text{m}^2\cdot\text{h})$以下」であることを示す最高位の区分ですが、放散量がゼロであることを保証するものではありません。
現行の建築基準法で建材の使用制限や禁止が義務付けられている化学物質は、ホルムアルデヒドとクロルピリホス(居室での使用禁止)の2物質のみです。空気質を適正に保つためには、法規制の枠外にある揮発性有機化合物(VOC)や、引き渡し後の家具持ち込みまで考慮した設計・施工管理が必要です。
厚生労働省の室内濃度指針値(トルエン・キシレン等13物質)と法規制のギャップ
厚生労働省は、居住者が生涯にわたって吸入しても健康への有害な影響がないとされる目安として、13種類の揮発性化学物質に対して「室内濃度指針値」を設定しています。これらは衛生上のガイドラインであり、建築基準法における建材の使用制限とは連動していません。そのため、建材がF☆☆☆☆等級を取得していても、塗料用溶剤や接着剤に含まれる他のVOCが室内へ放散されるケースがあります。
| 物質名 | 厚生労働省 室内濃度指針値 | 主な発生源・用途 | 建築基準法での規制 |
|---|---|---|---|
| ホルムアルデヒド | 100$\mu\text{g}/\text{m}^3$(0.08ppm) | 接着剤、合板、パーティクルボード | 内装仕上げ面積制限・F☆☆☆☆区分 |
| トルエン | 260$\mu\text{g}/\text{m}^3$(0.07ppm) | 塗料用溶剤、接着剤 | 直接の建材規制なし |
| キシレン | 200$\mu\text{g}/\text{m}^3$(0.05ppm) | 塗料用溶剤、接着剤 | 直接の建材規制なし |
| エチルベンゼン | 3,800$\mu\text{g}/\text{m}^3$(0.88ppm) | 塗料用溶剤、接着剤、可塑剤 | 直接の建材規制なし |
| スチレン | 220$\mu\text{g}/\text{m}^3$(0.05ppm) | ポリスチレン樹脂、断熱材 | 直接の建材規制なし |
| TVOC(総揮発性有機化合物) | 400$\mu\text{g}/\text{m}^3$(暫定目標値) | 室内空気中のVOC全般 | 直接の建材規制なし |
この法規制と実務のギャップを埋めるためには、以下の仕様管理を実施します。
- 非トルエン・キシレン型材料の選定:日塗工登録塗料の中でも、トルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレンを使用しない「TXフリー塗料」や水性塗料を指定する。接着剤やシーリング材には無溶剤タイプや変成シリコーン系を採用する。
- 告示対象外建材の積極的活用:タイル、衛生陶器、金属、ガラス、無垢木材(接着成型なし)、漆喰などの無機系建材を主要部位に組み合わせ、空間全体のVOC負荷を抑える。
規制対象外となるオーダー家具・置き家具・日用品からの化学物質放散対策
建築基準法の内装仕上げ規制が適用されるのは、建物に固定される建築材料(見付け面積が1/10以上の部位)です。置き家具(ベッド、キャビネット、本棚等)や輸入家具、カーテン、じゅうたんなどのファブリック類は、F☆☆☆☆管理の法規制対象外となっています。
木質系家具の芯材に使われるパーティクルボードやMDF、張り地の接着剤から高濃度の化学物質が放散されると、建物側をすべてF☆☆☆☆で施工していても室内空気質が悪化します。
- 家具選定時の放散等級確認:造作家具やオーダー家具を発注する際は、芯材・接着剤・面材のすべてにおいてJIS/JASのF☆☆☆☆適合品を指定する。既成家具を購入する場合も、品質表示ラベル等でF☆☆☆☆相当の表示がある製品を選定する。
- ベイクアウト手法による放散促進:引き渡し前や新規家具の搬入直後に室温を一時的に30〜35℃程度まで加温し、数時間保持して揮散を早めた後、窓の全開換気と換気設備の稼働により屋外へ一気に排出する。
- 24時間換気システムの確実な運用:施主に対して24時間換気システムを常時稼働させる重要性を共有し、給排気口フィルターの清掃周期(3〜6か月に1回)を案内する。
部位・建材別に見るF☆☆☆☆適合基準と現場選定の実務ポイント
設計・施工の現場では、部位ごとに「JIS」「JAS」「大臣認定」「告示対象外建材」のどれに該当するかを整理し、納入証明書と照合して管理します。
| 部位・建材区分 | 代表的な建材例 | 適用規格・評価区分 | 現場選定・実務上の確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 木質系内装材 | フローリング、室内ドア、巾木、内装壁パネル | JIS / JAS / 大臣認定(F☆☆☆☆) | 見付け面積の1/10を超える内装仕上げ材は等級証明(JIS・JASマーク、認定書)の受領が必須。 |
| 住宅設備機器 | システムキッチン、洗面化粧台、下駄箱 | 告示対象品(合板・MDF等)と告示対象外品(陶器等)の複合 | キャビネット内部のパーティクルボードや接着剤がF☆☆☆☆仕様であることをメーカー仕様書で確認。 |
| 現場施工材料 | 内装用塗料、壁紙用接着剤、シーリング材 | 日塗工自主管理登録 / JIS / 業界自主表示 | 日塗工等の登録番号を確認。ホルムアルデヒド以外の未規制VOC(トルエン・キシレン等)にも配慮。 |
| 無機系断熱材・窯業材 | グラスウール、ロックウール、タイル、衛生陶器 | 告示対象外建材(規制除外) | ホルムアルデヒド発散が認められないため面積無制限で使用可能。仕様変更時の再確認を徹底。 |
木質建材・住宅設備機器(キャビネット・合板・接着剤)の適合確認法
居室の内装仕上げに面する木質建材および住宅設備機器の現場確認手順は以下の通りです。
- 木質系内装建材(フローリング・建具)
- フローリングや室内ドアは、基材(合板・MDF・パーティクルボード)、表面化粧材、接着剤のすべてにおいてF☆☆☆☆基準を満たす必要があります。
- 現場受入時は、梱包および製品本体の「JISマーク」「JASマーク」または大臣認定番号(例:MFN-○○○○)を目視確認し、出荷証明書と照合します。
- 造作工事の下地合板は、構造用合板・普通合板ともに「F☆☆☆☆」等級の刻印がある材料のみを現場搬入させます。
- 住宅設備機器(システムキッチン・洗面台)の木部・接着剤
- 洗面ボウルや便器本体は無機材料として「告示対象外建材」ですが、キャビネット本体(側板・底板・扉)には合板やMDFが使用されます。
- 製品カタログや納入仕様書記載の「シックハウス対策基準(キャビネット部F☆☆☆☆対応)」を確認します。
- カウンター固定などに用いる現場施工用接着剤は、JIS A 5536(床仕上げ材用接着剤)等の規格に適合したF☆☆☆☆品を指定します。
現場塗装塗料・接着剤と無機系断熱材(告示対象外品)の取り扱い実務
- 現場塗装塗料および接着剤のVOC対策
- 現場塗装塗料は、日塗工のホルムアルデヒド自主管理登録表示がある製品を選択します。
- 希釈溶剤にトルエンやキシレンが含まれる場合があるため、室内仕上げには「TXフリー塗料」や水性エマルション塗料を選定します。
- 無機系断熱材・告示対象外建材の取り扱い
- グラスウールやロックウールなどの無機系断熱材、タイル、金属、ガラス、接着加工のない無垢木材は「告示対象外建材」として扱われ、使用面積制限を受けません。
- 仕様変更等で断熱材や下地材を有機系複合材料(接着剤を用いた積層パネル等)に変更する場合は、告示対象外から規制対象材料へ切り替わるため、F☆☆☆☆認定および天井裏の気密措置基準への適合を再検証します。
高気密・高断熱住宅時代の室内空気質(IAQ)確保と引き渡し時チェックリスト
省エネ基準適合義務化に伴い、現代の住宅建築では気密性(C値の向上)と断熱性が大幅に高まっています。隙間風による自然換気が期待できない環境では、設計通りの給排気ルートが機能しなければ化学物質が室内に滞留します。建材選定から施工、引き渡しに至る確実な実務フローを構築する必要があります。
設計・施工段階での換気経路シミュレーションと建材トレーサビリティ管理
設計段階では、換気回数0.5回/h以上の確保に加え、給排気口の配置によるショートサーキット(給気後すぐに排気される短絡現象)を防ぐ経路を策定します。ドアアンダーカット(床面から10〜15mm程度の隙間)や通気ガラリの有効開口面積を計算し、ドア閉鎖時でも24時間換気が機能する差圧設計を行います。
【建材受入時の照合管理フロー】
1. 納品伝票・ミルシート受領
↓
2. 規格証明書の確認(JIS / JAS / 大臣認定書)
↓
3. 現品ラベルの印字照合(F☆☆☆☆マーク・登録番号)
↓
4. 設計図書・仕上表との突合(仕様変更材の有無確認)
↓
5. 施工箇所への配分・現場保管(水濡れ・汚損防止)
| 確認フェーズ | 確認対象・部位 | 管理基準・確認項目 | 確認書類・エビデンス |
|---|---|---|---|
| 設計審査 | 換気経路・開口計画 | 換気回数0.5回/h以上、ショートサーキット防止、アンダーカット確保 | 換気計算書、換気系統図 |
| 施工前(建材発注) | 木質建材・下地材 | JIS/JAS規格に基づくF☆☆☆☆等級、大臣認定の有無 | 製品カタログ、認定書写し |
| 搬入受入 | 接着剤・塗料・シーリング材 | 日塗工等の自主管理登録表示、低VOC仕様(脱トルエン・キシレン) | 出荷証明書、安全データシート(SDS) |
| 施工中(下地・造作) | 告示対象外建材・無機材料 | タイル、金属、ガラス、無垢材等の区分適正確認 | 施工図、納品伝票 |
竣工時のベイクアウト(放散促進)手順と施主向け空気質管理チェックリスト
建材や施工用接着剤にF☆☆☆☆を採用していても、トルエンやキシレンなどの未規制VOCや施工直後の初期放散によって刺激臭が生じることがあります。竣工後から引き渡しまでの期間を活用し、室内の化学物質放散を促進・排出させる「ベイクアウト」を実施します。
【ベイクアウト標準作業サイクル(目安:1〜2回実施)】
[密閉・加温] 室温を30〜35℃に暖房設定(約6〜8時間密閉保持)
↓
[揮発促進] 壁・床・造作材内部の未反応溶剤やホルムアルデヒドを空気中に放出
↓
[全開換気] 窓・外部開口部を全開+換気扇フル稼働(約1〜2時間強制排気)
↓
[冷却・定常化] 通常の24時間換気運転に戻し、室温を常温へ復帰
建材の過度な乾燥による反りや割れを防ぐため、急激な加熱を避け、室温35℃を超えないよう温度管理を徹底します。
引き渡し時には、施主に対して室内空気質維持のガイダンスを実施します。
| 実施段階 | チェック項目 | 実務アクション・確認基準 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 竣工時 | ベイクアウトの実施 | 室内加温(30〜35℃)と全開換気を規定サイクル実施完了したか | [ ] 済 |
| 竣工時 | 換気風量の実測確認 | 各居室の給気口・排気口で設計風量が確保されているか(風量測定) | [ ] 済 |
| 引き渡し時 | 24時間換気停止厳禁の説明 | 結露・VOC滞留防止のため、主電源を切らない運用を施主に説明したか | [ ] 済 |
| 引き渡し時 | 給排気フィルター清掃指導 | 給気清浄フィルターの点検・清掃周期(2〜3ヶ月に1回等)を伝達したか | [ ] 済 |
| 引き渡し時 | 持ち込み家具・カーテンの注意喚起 | 未規制VOCを含む組立家具や難燃剤等の放散リスクを共有したか | [ ] 済 |
| 引き渡し時 | 入居初期の通風励行 | 引き渡し後1〜2ヶ月間は意識的な窓開け換気を推奨したか | [ ] 済 |
- 24時間換気システムの常時稼働:電気代節約や風切り音を理由に換気設備を停止させると、数時間でCO2濃度や化学物質濃度が上昇します。常時稼働が建物の法適合性および健康維持の前提条件であることを伝えます。
- 給排気口・フィルターの維持管理:外気給気口の防虫網や高性能フィルターに粉塵が目詰まりすると計画換気が崩壊するため、清掃手順と交換推奨時期を現場で実演伝達します。
- 施主持ち込み品への配慮:引き渡し後に施主が持ち込む安価な組み立て家具、接着剤を多用したカーペット、防汚加工カーテンなどから未規制物質が放散される場合があるため、インテリア購入時における放散等級(F☆☆☆☆表示)の確認を推奨します。
よくある質問(FAQ)
Q. シックハウス対策における「F☆☆☆☆(Fフォースター)」とは何ですか?
A. シックハウス症候群の主な原因物質であるホルムアルデヒドの放散量が最も少ない建材に与えられる最高等級の区分です。建築基準法に基づき、放散速度が5μg/(m²・h)以下などの基準を満たしています。星の数(F☆〜F☆☆☆☆)で安全性が示されており、最高ランクのF☆☆☆☆は居室内装仕上げにおいて面積制限なく無制限で使用できます。
Q. F☆☆☆☆とF☆☆☆など他の等級との違いは何ですか?
A. ホルムアルデヒドの放散量と、居室の内装仕上げに使用できる面積制限の有無が異なります。最高等級のF☆☆☆☆は放散量が極めて少なく無制限で使用可能ですが、F☆☆☆やF☆☆は放散量に応じて床面積に対する使用可能面積が制限されます。なお、基準値を超える第1種建材(星マークなし)は内装仕上げ材としての使用が全面的に禁止されています。
Q. 建材がF☆☆☆☆等級であることはどのように証明されますか?
A. 建材の種別や生産体制に応じ、JIS(日本産業規格)、JAS(日本農林規格)、国土交通大臣認定、または業界団体の自主管理表示による試験・評価を経て証明されます。壁紙、塗料、合板、接着剤などの建材ごとに認定ルートが定められており、建築の設計図書作成時や完了検査時に各認定マークや証明書によって基準への適合を確認します。
