2026年度第2四半期の紛争処理状況の概要
中央建設工事紛争審査会は、建設業法第25条の25および同法施行規則第15条に基づき、2026年度第2四半期の紛争処理状況を国土交通大臣へ報告し、その内容を公表しました。
今期の新規申請件数は11件(前年同期比4件増)でした。前期からの繰越件数35件に対し、今期の終了件数は6件となり、次期への繰越件数は40件となっています。紛争の類型別では「工事瑕疵」が5件で最も多く、次いで「工事代金の争い」が3件でした。
建設工事紛争審査会の役割と定期報告の根拠
建設工事紛争審査会は、建設工事の請負契約をめぐる紛争を裁判によらずに簡易・迅速・妥当に解決することを目的に、建設業法に基づいて国土交通省(中央審査会)および各都道府県(都道府県審査会)に設置されている裁判外紛争解決(ADR)機関です。
建設業法第25条の25および同法施行規則第15条の規定により、中央建設工事紛争審査会は四半期ごとに紛争処理状況を国土交通大臣に報告することが定められており、活動実態の透明化を図る観点から四半期ごとに状況が公表されています。
申請件数・当事者類型・紛争類型の詳細データ
公表された2026年度第2四半期の紛争処理状況の詳細は以下の通りです。
- 手続別の処理状況
- あっせん:前期繰越5件、新規申請2件、終了1件(取下げ1件)、次期繰越6件
- 調停:前期繰越21件、新規申請8件、終了4件(調停成立3件、打切り・その他1件)、次期繰越25件
- 仲裁:前期繰越9件、新規申請1件、終了1件(仲裁判断1件)、次期繰越9件
- 合計:前期繰越35件、新規申請11件、終了6件、次期繰越40件
- 当事者類型および工事種類の内訳(新規申請11件)
- 個人発注者 | 請負人:6件(建築5件、設備1件)
- 法人発注者 | 請負人:2件(建築2件)
- 請負人 | 個人発注者:1件(建築1件)
- 請負人 | 法人発注者:1件(設備1件)
- 下請負人 | 元請負人:1件(建築1件)
- ※工事種類別では建築が9件、設備が2件となっており、土木・電気・その他は0件でした。
- 紛争類型別の内訳(新規申請11件)
- 工事瑕疵:5件
- 工事代金の争い:3件
- その他:2件
- 下請代金の争い:1件
- 工事遅延:0件
- 契約解除:0件
対象となる主な関係者
- 元請負人(ゼネコン・住宅メーカー・工務店):個人・法人の施主からの瑕疵クレームや代金未払い、下請負人からの代金請求に関する紛争処理手続きの対象となる可能性があります。
- 下請負人(専門工事業者):元請負人との請負代金に関する争いが生じた際に、審査会へのあっせん・調停等の申請当事者となる場合があります。
- 発注者(個人施主・法人施主):施工瑕疵や代金精算などを巡り、請負人との紛争解決手段として審査会を利用する主体となります。
元請・下請の実務に関わる紛争の傾向
建設実務における影響は、契約の立場ごとに以下の点が挙げられます。
- 元請(ゼネコン・工務店)
- 今期の新規申請11件中8件が発注者側からの申請(個人発注者6件、法人発注者2件)であり、紛争類型の約半数が「工事瑕疵」でした。引き渡し後の仕上がりや不具合に関する施主との見解の相違がADRへ持ち込まれるケースが大半を占めています。また、元請側から発注者に対する請求(代金回収等)も2件発生しています。
- 専門工事業者・下請
- 下請負人から元請負人への争いが1件(建築工事)、紛争類型として「下請代金の争い」が1件申請されています。元下間における追加工事費用や請負代金の精算をめぐり、裁判外での解決を選択する手段として活用されています。
今後の処理状況公表スケジュール
- 四半期報告の継続:建設業法施行規則第15条の規定に基づき、四半期ごとに紛争処理状況が報告・公表されます(次回は第3四半期分)。
- 全国状況の年次公表:国土交通省では例年7月頃に、中央審査会および各都道府県審査会の全国分を取りまとめた年次報告「建設工事紛争取扱状況」を公表しています(国土交通省の過年度公表資料による)。
繰越件数の増加と紛争類型の推移
- 次期繰越件数の推移:今期は新規申請11件に対して終了件数が6件にとどまり、次期への繰越件数が40件(前期末の35件から増加)へ拡大しています。調停案件を中心に審理期間が長期化する傾向があるかどうかが今後の注視点となります。
- 紛争類型の傾向:今回は工事遅延や契約解除の申請が0件だった一方、工事瑕疵が半数近くを占めました。今後の四半期で資材高騰や工期見直しに伴う追加工事・代金トラブルの申請割合がどう変化するかは現時点で示されていません。
審査会の管轄ルールと利用実態
- 審査会の管轄区分:中央建設工事紛争審査会は当事者の一方または双方が国土交通大臣許可業者である場合などを管轄し、知事許可業者同士の紛争は各都道府県の建設工事紛争審査会が所管します(双方が合意して管轄を定める場合を除く)。
- 利用される手続きの傾向:今期の終了案件6件のうち、調停成立が3件、調停打切りが1件、取下げが1件、仲裁判断が1件でした。原則として合議制による話し合いで和解を目指す「調停」が中心に利用されています。
よくある質問
Q. 建設工事紛争審査会ではどのような紛争を取り扱っていますか?
A. 建設業法に基づき、建設工事の請負契約に関する紛争を取り扱う裁判外紛争処理機関です。今期の申請内訳では工事瑕疵(5件)や工事代金の争い(3件)、下請代金の争い(1件)などが対象となっています。なお、請負契約の解釈・実施に直接関わらない不動産売買や近隣トラブル等は対象外となります(国土交通省の公表資料による)。
Q. 中央建設工事紛争審査会と都道府県審査会の違いは何ですか?
A. 取り扱う事業者の許可区分等によって管轄が異なります。中央審査会は当事者の一方または双方が国土交通大臣許可業者である場合などを担当し、同一都道府県の知事許可業者同士の紛争などは都道府県審査会が取り扱います(当事者間の合意による例外を除く/国土交通省の公表資料による)。
Q. あっせん、調停、仲裁の効力にはどのような違いがありますか?
A. あっせん・調停が成立した場合は民法上の和解の効力を持ちます。一方、仲裁はあらかじめ当事者間で仲裁合意を結ぶことが前提となり、下された仲裁判断は裁判所の確定判決と同一の効力(強制執行力)を持ちます(国土交通省の公表資料による)。今期は調停成立が3件、仲裁判断が1件終了しています。
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出典
- 発表主体: 中央建設工事紛争審査会 / 発表日: 2026-10-15
- 報道発表資料(PDF)
- 掲載ページ
