2026年度の主要建設資材需要見通しで何が示されたのか?
国土交通省は2026年10月9日、令和8年度(2026年度)の「主要建設資材需要見通し」を公表しました。主要建設資材5資材のうち、セメント(前年度比1.5%増)、生コンクリート(前年度比1.2%増)、普通鋼鋼材(前年度比1.1%増)の3資材について、前年度実績を上回る需要見通しが示されました。一方、木材は前年度と同水準(前年度比±0.0%)、アスファルトは前年度比2.6%減と見通されています。なお、今年度より対象建設資材の見直しが行われ、砕石の掲載が取りやめとなりました。
資材需要見通しの目的と推計の前提データ
主要建設資材の需要見通しは、建設事業に使用される主要資材の年間需要量の見通しを公表することで、資材の安定的な確保を図り、建設事業を円滑に実施することを目的として毎年度公表されています。
今回の推計は、国土交通省総合政策局情報政策課建設経済統計調査室が2026年8月31日に公表した「令和8年度建設投資見通し」における建築(住宅・非住宅)や土木(政府・民間)の投資見通し額(実質値、建築補修投資を除く)を基礎としています。この投資額に資材ごとの原単位(工事費100万円当たりの建設資材需要量)を乗じ、各資材の過去の需要実績などを考慮して算出されています。
主要5資材・7品目の需要見通しと前年度実績
公表された令和8年度における主要5資材・7品目の需要見通しと、直近実績の概要は以下の通りです。
- セメント(内需量)
- 令和8年度見通し:3,100万t(前年度比1.5%増)
- 令和7年度実績:3,053万t(前年度比6.5%減)
- 国内メーカーの国内販売量に輸入量を加えた内需量を対象としています。
- 生コンクリート(出荷量)
- 令和8年度見通し:6,100万m3(前年度比1.2%増)
- 令和7年度実績:6,028万m3(前年度比8.2%減)
- 全国生コンクリート工業組合連合会組合員工場の出荷量と、その他工場の推定出荷量を合算した数値を対象としています。
- 普通鋼鋼材・形鋼・小形棒鋼
- 普通鋼鋼材(建設向け受注量):1,570万t(前年度比1.1%増、令和7年度実績は1,553万t・0.8%減)
- うち形鋼(建設向け受注量):340万t(前年度比3.3%増、令和7年度実績は329万t・3.2%減)
- 小形棒鋼(建設向け出荷量):560万t(前年度比0.4%増、令和7年度実績は558万t・6.7%減)
- 木材(製材品出荷量)
- 令和8年度見通し:775万m3(前年度比±0.0%)
- 令和7年度実績:775万m3(前年度比3.5%増)
- 国内メーカーの製材品出荷量を対象としており、建設向け以外の製材品や製材用素材としての外材を含みます。
- アスファルト(建設向け等内需量)
- 令和8年度見通し:75万t(前年度比2.6%減)
- 令和7年度実績:77万t(前年度比8.3%減)
- 国内メーカーの建設向けストレートアスファルト内需量のうち、燃焼用および工業用を除いた数量を対象としています。
- 対象建設資材の見直し
- 今年度から対象資材の整理が行われ、従来掲載されていた「砕石」の掲載が終了しました。
関係する建設事業者と流通関係者
- 元請建設事業者(ゼネコン・土木・建築一式工事業者)
- セメント、生コンクリート、鋼材などを一括調達・手配する総合工事業者。
- 専門工事業者(躯体工事業、鉄骨・鉄筋工事業、舗装工事業者等)
- 生コンクリートの打設、鉄骨建て方、鉄筋加工組立、アスファルト舗装などを担う施工業者。
- 建設資材メーカー・販売店・生コンクリート協同組合
- 対象資材の製造・加工・販売や出荷調整を行うサプライチェーン関連事業者。
調達・工程管理などの建設実務への影響
- 元請(ゼネコン)
- 令和7年度実績で前年割れとなっていたセメント(6.5%減から1.5%増)、生コンクリート(8.2%減から1.2%増)、普通鋼鋼材(0.8%減から1.1%増)が揃って増加に転じる見通しとなりました。特に形鋼は3.3%増が見込まれており、大型再開発や工場新設などの現場を抱えるゼネコンでは、生コン打設枠や鋼材納期の確保に向けた早期の手配計画が関わってきます。
- 専門工事業者・下請
- 躯体工事や鉄筋工事を手掛ける業者では、需要の回復傾向に伴い、生コン工場や加工場の手持ち状況に応じた工程調整が関わります。一方、需要減が続くアスファルト(2.6%減)を扱う舗装工事業などでは、公共土木等の発注動向に応じた柔軟な資材発注・人員配置の調整が想定されます。
- 発注者(官公庁・民間施主)
- 主要資材の需要回復と価格動向を踏まえ、工事の円滑な進捗に向けた適正な工期設定や設計変更条項の適用への配慮が実務上関わってきます。
公表スケジュールと今後の見通し
- 2026年8月31日(公表済み)
- 国土交通省が「令和8年度建設投資見通し」を公表(主要建設資材需要見通しの推計基礎)。
- 2026年10月9日(公表済み)
- 国土交通省が「令和8年度主要建設資材需要見通し」を公表。
※本資料において、次年度見通しの公表時期や改訂スケジュールに関する個別の記載はありません。
地域需給や価格転嫁を巡る今後の論点
- 地域ごとの需給バランスと出荷枠の偏り
- 見通しは全国合計の年間推計値であるため、特定地域における大規模工事(半導体工場や都市再開発等)の集中に伴う局地的な生コン出荷枠の逼迫や輸送力不足の有無は、本資料からは読み取れず、今後の地域動向が焦点になります。
- 資材価格と契約変更への波及
- 需要の増加見通しが実際の流通価格や納期にどう作用するか、またコスト変動が生じた際に単品スライド条項等の契約変更手続きが円滑に機能するかは現時点で示されていません。
- 砕石の掲載取りやめに伴う代替データの把握
- 今年度から掲載対象外となった砕石について、現場や地域ごとの骨材需給状況を把握するための情報収集手段が今後の実務上の論点となります。
建設投資見通しと資材価格の関連動向
- 建設投資見通しにおける名目と実質の乖離
- 今回の推計基礎となった2026年8月31日公表の「令和8年度建設投資見通し」によれば、建設投資の名目値は前年度比2.9%増の81兆4,700億円と約30年ぶりに80兆円を超えたものの、物価変動を除いた実質値は前年度比0.9%増(65兆4,609億円)にとどまっており、物理的な施工ボリューム自体の伸びは緩やかな水準にとどまっています。
- 建設資材価格の高止まり傾向
- 日本銀行の国内企業物価指数(2026年8月時点)において、アスファルトやセメント、生コンクリート、形鋼などの指数は基準年(2020年平均)を大きく上回る高水準で推移しており、資材調達にかかる費用負担の動向が現場の原価管理に影響を与え続けています。
よくある質問
Q. 令和8年度の主要建設資材需要見通しは、どのような方法で推計されていますか?
A. 国土交通省が2026年8月31日に公表した「令和8年度建設投資見通し」の項目別投資見通し額(実質値、建築補修投資を除く)に、工事費100万円当たりの建設資材需要量(原単位)を乗じ、各資材の需要実績等を考慮して推計されています。
Q. 前年度実績と比べて需要量が増加すると見通されている資材は何ですか?
A. セメント(前年度比1.5%増の3,100万t)、生コンクリート(前年度比1.2%増の6,100万m3)、普通鋼鋼材(前年度比1.1%増の1,570万t)の3資材です。普通鋼鋼材の内訳では、形鋼が3.3%増(340万t)、小形棒鋼が0.4%増(560万t)と見通されています。
Q. 今年度の需要見通しにおいて、対象資材から除外された品目はありますか?
A. 今年度より対象建設資材の見直しが行われたため、前年度まで掲載されていた「砕石」の掲載が取りやめられています。
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出典
- 発表主体: 国土交通省 不動産・建設経済局 大臣官房参事官(建設人材・資材)付 / 発表日: 2026-10-09
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