インスペとは?
インスペは、住宅の既存住宅状況調査(ホームインスペクション)や新築完了検査、定期点検業務を効率化するクラウド型品質検査アプリです。HOUSE REVO株式会社(旧Non Brokers株式会社)が開発・提供しており、スマートフォンやタブレット上で劣化事象の記録と写真撮影を行うだけで、国土交通省の告示基準や住宅瑕疵担保責任保険法人の検査基準に準拠した調査報告書を自動生成します。現場での手書きメモの持ち帰りや写真整理、Excelでの報告書作成にかかる時間を削減し、検査業務の即日完了を支援します。
主な機能
インスペの機能群は、現場でのデータ入力を完結させる「モバイル検査・帳票作成機能」と、本部や事業所単位で複数案件を統括する「クラウド管理・組織運用機能(Enterpriseプラン)」に大別されます。
モバイル検査・帳票作成機能
- 現場入力と報告書の自動生成
iOS・iPadOS端末から各部位の点検項目をタップ操作で入力し、劣化事象の写真を撮影して紐付けるだけで、所定フォーマットの調査報告書が自動的に組み上がります。住宅瑕疵担保責任保険協会や国交省の既存住宅状況調査基準に対応したレイアウトが初期設定されており、事務所に戻ってからのExcel転記作業や写真の貼り付け作業が不要になります。 - 重要事項説明書およびチェックシートの作成
宅地建物取引業法に基づく建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用の書類)や、現場用の確認チェックシートも同時に出力できます。同一の検査データから用途別の書類が自動展開されるため、書類間の転記ミスや記載漏れを防ぎます。 - コンクリート圧縮強度の自動計算
基礎などのシュミットハンマー検査時に得られた反発度などの測定数値をアプリに入力することで、コンクリート圧縮強度を自動的に算出・判定します。手計算による計算ミスを防止し、検査現場ですぐに判定結果を記録できます。 - オフライン環境での入力対応
通信環境が不安定な地下室や電波の届きにくい現場であっても、アプリ内で検査項目や写真データの入力・一時保存が可能です。通信が回復した段階でクラウドサーバーへデータが送信されます。
クラウド管理・組織運用機能(Enterpriseプラン)
- ワンクリック送信による現場・本部の一元管理
現場検査員がアプリ上で「送信」を実行するだけで、調査結果と写真がクラウド管理システムへ即座に共有されます。メール添付やファイルストレージ経由でのデータ受け渡しを介さず、本部側で全案件の進捗や検査内容をリアルタイムに把握できます。 - 登録インスペクター数無制限のアカウント発行
Enterpriseプランでは利用するインスペクター(検査員)の登録数に上限がありません。自社社員だけでなく、社外の登録検査員や提携インスペクターを柔軟にアカウント追加して同一基盤上で運用できます。 - ステータス管理と物件ロック
各案件の「検査中」「報告書作成中」「完了」といった進捗ステータスを一覧で可視化します。また、確定した報告書の改ざんや誤編集を防ぐため、物件ごとに編集を制限するロック機能を備えています。 - 委託検査員の報告書連名対応
外部の委託検査員が現場調査を行った場合でも、元請事業者と検査員の連名表記に対応した報告書を発行できます。外注を活用した検査体制の構築を管理画面から制御できます。 - 劣化事象箇所の傾向分析
過去に蓄積された複数の検査データから、どの部位・築年数・構造でどのような劣化事象が多く発生しているかを横断的に抽出・分析できます。定期点検の重点項目設定や、リノベーション提案時のエビデンスとして活用可能です。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
住宅の状況調査や点検報告書を即日提出し、他社との差別化を図りたい工務店・リフォーム会社
- 報告書作成のための持ち帰り内業が常態化している
現場で紙にメモを取り、事務所へ戻ってから写真のフォルダ仕分けとExcel貼り付けに数時間を費やしている現場では、インスペの自動生成機能が内業を大幅に削減します。現場完了と同時に約20ページの報告書を出力できる体制を整えることで、施主や不動産仲介会社への即日報告が実現します。 - 瑕疵保険や法改正に対応した書式管理に不安がある
国交省の告示基準や保険法人の検査基準に合わせたチェック項目があらかじめセットされているため、手製Excel運用の更新漏れや記載不備を構造的に防止できます。基準に準拠した体裁の整った報告書を提出することで、施主への提案力や受注率の向上につなげられます。
多数の社内外インスペクターを抱え、進捗管理と品質均質化を両立したい検査事業者・不動産会社
- 外注検査員とのデータ受け渡しや報告書のとりまとめが煩雑になっている
Enterpriseプランを導入することで、登録検査員数を無制限に設定し、現場からワンクリックで調査結果を本部のクラウド管理画面へ集約できます。メール誤送信や写真の紛失リスクを排除しつつ、報告書への連名表記機能によって統一されたフォーマットでの成果品納品が可能になります。 - 検査員ごとのチェック基準のバラつきを抑えたい
アプリが提示する統一の入力フローと選択肢に沿って検査を進める設計のため、検査員の経験値に依存しない標準的な検査水準を担保できます。
向いていない企業・現場
ゼネコン規模の大規模RC造・S造躯体工事や公共土木工事の施工管理を主用途とする現場
- 配筋検査の電子マーカー配置やJ-COMSIA適合の電子小黒板を必須とする現場
インスペは木造戸建てを中心とする住宅診断・既存住宅状況調査・定期点検に最適化されたツールです。公共土木工事の電子納品基準や、コンクリート構造物の配筋検査における検測レイヤ化(SVG形式など)には対応していないため、こうした用途には配筋検査特化型アプリやJ-COMSIA認定の施工管理ツールの選定が必要です。
社用端末としてAndroidスマートフォンのみを標準支給している組織
- Android端末でのアプリ運用を想定している
インスペの現場用モバイルアプリはiOSおよびiPadOS向けに提供されています。社内支給端末がAndroidに限定されている場合、アプリが動作しないため、端末の刷新を行うか、マルチプラットフォーム対応の他社点検ツールを検討する必要があります。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| インスペ | 住宅診断・既存住宅状況調査に特化。スマホ撮影と入力で国交省基準・瑕疵保険準拠の報告書を自動生成。Free版あり。 | Free版: 無料 Enterprise: 要問い合わせ |
ホームインスペクションや定期点検を効率化し即日報告を行いたい住宅・不動産会社 |
| 目視録 | 工種別チェックシートと施工基準書を連動させた施工品質管理クラウド。自主検査から住宅履歴データ蓄積まで一元化。 | 要問い合わせ | 基礎から木工事・引渡しまで施工全工程の品質基準を社内標準化したい住宅会社・工務店 |
| ANDPAD検査 | 工程ごとの自主検査標準化、写真連動の合否判定、是正指示・再確認フローを網羅した品質管理アプリ。 | 要問い合わせ | 総合的な施工管理(工程・図面・受発注)と品質検査を単一プラットフォームで統合したい企業 |
| かん助 検査点検アプリ | 図面ピン挿しによる指摘事項管理と電子黒板撮影に強み。仕上げ検査や設備点検の是正指示書作成を高速化。 | 要問い合わせ | 建築・設備現場で図面連動の指摘出しと協力会社への是正指示管理を重視する現場 |
| SiteBox 配筋検査 | 配筋検査特化。画面上の電子マーカー配置で実物マーカーを不要化し、設計値・実測値から電子小黒板を自動生成。 | 要問い合わせ | 土木・建築の大規模RC躯体現場で配筋検査の検測・帳票作成を効率化したい企業 |
住宅の「既存住宅状況調査」「定期点検」「ホームインスペクション」の診断帳票を素早く出力したい場合、インスペの適合度が高くなります。検査基準があらかじめ国交省告示や瑕疵担保責任保険の仕様に沿って組み込まれており、帳票作成の工数を最小化できる点が最大の強みです。また、単独のインスペクターであればFree版から導入できる点も他社ツールにない敷居の低さといえます。
一方で、新築住宅の基礎打ちから木工事・防水・完了まで多岐にわたる工程内自主検査を標準化し、施工基準書の共有や協力会社の是正管理までを含めた施工品質全体のマネジメントを行いたい場合は、目視録やANDPAD検査などの施工品質管理クラウドが候補になります。さらに、大規模建築の仕上げ・設備工事における図面連動の是正管理にはかん助、土木やRC造の配筋検測業務にはSiteBox 配筋検査といったように、自社が実施する「検査の種別と構造」に応じた選定が必要です。
料金・プラン
インスペは、現場アプリ単体で利用できる無料の「Free版」と、組織管理や案件一元化に対応した法人向けの「Enterpriseプラン」が用意されています。
| プラン名 | 初期費用 | 月額利用料 | 主な利用可能機能・備考 |
|---|---|---|---|
| Free版 | 無料 | 無料 | アプリによる現場調査入力、写真撮影・クラウド保存、報告書自動生成、オフライン入力、コンクリート強度自動計算 |
| Enterpriseプラン | 要問い合わせ | 要問い合わせ | Free版の全機能に加え、管理システム(Webブラウザ)、登録インスペクター数無制限、現場からのワンクリック送信、進捗ステータス管理、物件ロック、委託検査員連名対応、傾向分析機能 |
Free版はApp Storeからアプリをダウンロードして利用を開始できます。複数名のインスペクターを抱える法人や、管理システムでの案件進捗・報告書出力の一元管理を行いたい場合はEnterpriseプランの個別見積もりが必要です。問い合わせ時には、利用する管理者アカウント数、年間想定検査案件数、委託検査員との連携規模などを伝えた上で確認を進めることが推奨されます。
導入事例・実績
インスペ(旧サービス名「Rインスペクターズ」を含む)は、提供開始から約4ヶ月(2018年6月時点)でハウスメーカー、住宅瑕疵保険法人、検査事業者、不動産会社、工務店など1,000社以上が登録した実績を持ちます。公式に公表されている導入企業の実績とコメントは以下の通りです。
- 有限会社すみれ建築工房
台風被害の現場調査やリノベーション着工前の事前インスペクションに導入。「約20ページのしっかりとした報告書をお客様に即日提出できるので、他社との差別化ができ受注につながったこともある」と公表されています。 - 株式会社技研(住宅部 調査課)
現場で社用iPadを用いてインスペを運用。現場で入力を行うことでリアルタイムに報告書データが完成するため、帰社後に発生していた写真データの整理作業や報告書の作成時間を解消したと報告されています。 - 株式会社安心住宅みらいえ
多数の委託検査員を抱える検査体制において、インスペを共通の点検アプリ基盤として導入。委託先とのコミュニケーションや検査データの集約をアプリ経由で統一することにより、検査品質の確保を実現しています。
導入前に知っておきたいこと
導入を検討するにあたり、公表されている利用規約や実際のユーザーレビューから確認できる注意点・仕様上の留意事項がいくつか存在します。
- アプリの動作環境と対応OSの制限
インスペの現場アプリはiOS・iPadOS(iOS 11.0以降、iPadOS 11.0以降)向けに提供されており、Android端末向けのアプリは提供されていません。また、利用規約第4条において「すべての端末での正常な動作を保証するものではなく、OSのバージョンアップ等に伴い一時的な不具合が発生する可能性がある」旨が規定されています。 - 過去のレビューにおける操作性・ログインに関する指摘
App Storeのユーザー評価では、現場作業の大幅な削減を評価する声がある一方で、「表示されない項目があり一部手作業で補う必要があった(2018年)」「パスワード再発行時の画面遷移で不具合が生じた(2020年)」といった初期バージョンの操作性や設定遷移に関する指摘が報告されています。最新版アプリにおける動作安定性や入力項目の過不足については、無料版を利用して実機で事前確認することが推奨されます。 - プラン変更時におけるデータ閲覧制限
利用規約第7条において、EnterpriseプランからFree版へ移行するなどプラン変更を行った場合、「変更前の利用プランにおいて編集または閲覧できた情報が閲覧できなくなることがある」と明記されています。有償プランの解約やダウングレードを検討する際は、過去データのバックアップや出力要件を事前に確認しておく必要があります。 - 料金未払い時の遅延損害金規定
Enterprise版の利用規約第6条において、利用料金の支払期日を経過しても支払いがなされない場合、年14.6%の割合による遅延損害金が発生する条項が定められています。
導入の流れ・期間
インスペの導入は、利用するプラン(Free版またはEnterpriseプラン)によって手順が異なります。公式に公表されている情報および一般的なSaaS導入手順に基づくと、以下の流れとなります。なお、Enterpriseプランの具体的な導入期間(アカウント発行から稼働まで)は公表されていないため、要問い合わせとなります。
- Free版の導入手順
App Storeから「インスペ」アプリをiOS・iPadOS端末へダウンロードし、アカウント登録を行うことで即日利用を開始できます。 - Enterpriseプランの相談・問い合わせ
公式サイトの「Enterpriseプランのご相談はこちら」フォームより、自社の組織規模や管理したい案件数、委託検査員の人数などを添えて問い合わせを行います。 - 機能確認・見積もり提示
管理画面の機能デモや要件ヒアリングを経て、HOUSE REVO株式会社より利用規約および料金見積もりが提示されます。 - 契約締結と初期環境設定
利用契約を締結後、Web管理システムのアカウント発行、現場インスペクターのアカウント連携、自社運用に合わせたステータス設定等を行います。 - 現場運用開始
現場検査員がアプリから入力を行い、管理画面へデータがワンクリック同期される運用を開始します。
よくある質問(FAQ)
- アプリの利用料金は本当に無料ですか?
- 公式サイトのFAQおよび利用規約において、現場調査や報告書自動作成を行う基本アプリ(Free版)は「無料でご利用いただけます」と明記されています。複数インスペクターの統合管理やWeb管理システムを利用する場合は、有料の「Enterpriseプラン」が必要となります。
- AndroidスマートフォンやWindowsタブレットで利用できますか?
- 現場用アプリはiOS、iPadOS、macOS(Apple M1以降)、visionOSに対応しています。Android版アプリの提供は確認されていません。また、管理システム側はWebブラウザ環境からアクセス可能です。
- インターネットが繋がらない地下室や山間部の物件でも使えますか?
- オフライン入力に対応しています。電波の届かない現場であってもアプリ上で検査結果や写真の一時保存が可能であり、電波が回復した際にクラウドへ同期できます。
- 出力される報告書はどのような基準に準拠していますか?
- 国土交通省の定める既存住宅状況調査の告示基準や、住宅瑕疵担保責任保険法人の検査基準に準拠した調査報告書、ならびに重要事項説明書・チェックシートの自動生成に対応しています。
- Enterpriseプランの利用料金はいくらですか?
- 公式サイトおよび利用規約では金額は公表されておらず、「要問い合わせ(別途当社が定める利用料金)」となっています。利用規模や運用体制に応じた見積もりが必要です。
- サポート体制はどのようになっていますか?
- 公式サイト上の相談窓口およびApp Storeに記載された問い合わせメールアドレス(hello@non-brokers.com)から連絡が可能です。専任サポートの有無や電話対応の受付時間に関する詳細は公表されていないため、詳細は窓口へ直接ご確認ください。