SiteBox 配筋検査とは?
SiteBox 配筋検査は、土木・建築工事における配筋検査の作業負担を軽減するために株式会社建設システム(KENTEM)が開発した施工管理スマートフォンアプリです。国土交通省の「工事写真管理基準」に準拠した工事写真レイヤ化技術(SVG形式)を採用しており、画面上で電子マーカーや注釈を配置することで、現場での物理マーカーの設置・回収や検尺棒の保持といった手作業を削減します。設計値と現場の実測値から電子小黒板を自動生成し、同社の土木施工管理システム「デキスパート」と連携することで、自主検査の実施から出来形管理図表や電子納品用帳票の作成までを一貫して効率化します。
主な機能
電子マーカーと写真レイヤ化による撮影機能
- 工事写真レイヤ化(JIS X4197:2012準拠SVG形式)
撮影した工事写真に対し、電子小黒板、注釈(引出線、寸法線、円、テキストなど)、仮想マーカーを独立したレイヤとして保持します。国土交通省が認可するSVGファイル形式に対応しており、写真原本を加工することなく、発注者検査や電子納品時に各レイヤの表示・非表示を自由に切り替えて出来形を証明できます。 - 電子マーカー配置機能
画面上に表示された鉄筋の画像に対して、タップ操作で仮想の電子マーカーを直接配置できます。従来のように鉄筋へ磁石付きリボンやクリップなどの物理マーカーを取り付けたり回収したりする手間を省き、高所や狭小部におけるマーカー落下の危険を解消します。 - 連続マーカー自動配置(奥行ピッチ計算)
画面上で基準となる1スパン目の間隔を指定するだけで、奥行き方向のパースペクティブ(遠近感)を考慮したピッチを自動計算し、連続する鉄筋へマーカーを一括配置できます。1本ずつ手動で位置合わせを行う必要がなく、スラブや擁壁などの多数の主筋・配力筋が並ぶ現場でもマーカー配置作業を短時間で完了できます。
設計データ連動と電子小黒板自動生成
- 配筋検査専用の電子小黒板自動生成
事前に登録した鉄筋径や設計ピッチなどの設計情報と、現場で入力した実測値・測定結果を連動させ、配筋検査に適した電子小黒板を画面上に自動生成します。テキスト形式だけでなく表形式や計算式付きの黒板フォーマットにも対応しており、現場での手書き作業や書き間違いによる撮り直しを防止します。 - 現場実測値の直接入力と判定
スマートフォン上で鉄筋の本数や測定寸法を直接入力でき、その場で設計値との差異を確認できます。事務所に戻ってから野帳と写真を突き合わせる必要がなくなり、自主検査の段階で施工精度の異常に気づいて手戻りを防ぐ運用を可能にします。
デキスパート連携と帳票自動作成
- 「出来形管理システム[配筋検査]」とのデータ同期
PCソフト「出来形管理システム[配筋検査]」で作成した鉄筋質量表のデータを取り込み、鉄筋番号・径・本数・設計ピッチ等の設計データをSiteBoxへ転送できます。現場で入力した検測値はクラウド経由でPCへ同期され、配筋検査の出来形管理図や自主検査帳票が自動生成されます。 - 「KSデータバンク」および「写管屋」連携
撮影したレイヤ化写真は、建設システムが提供するクラウドストレージ「KSデータバンク」を経由して、工事写真管理ソフト「写管屋」へ自動転送されます。工種や測点などの小黒板情報に基づき写真が自動で仕分け・整理されるため、写真整理や写真台帳作成に要する事務所内業の時間を大幅に削減します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
すでにデキスパートシリーズを導入している土木施工会社
- 配筋写真の整理と出来形帳票作成の内業に多くの時間を費やしている
SiteBox 配筋検査は「出来形管理システム[配筋検査]」や「写管屋」と双方向でデータが直結しています。PCで作成した鉄筋質量表の情報をスマートフォンに取り込んで検査を行い、撮影後は「KSデータバンク」を通じて出来形総括表や帳票が自動作成されるため、事務所に戻ってからの写真整理や数値の転記作業を大幅に削減できます。 - 公共土木工事の配筋検査において工事写真レイヤ化を導入したい
国交省基準のSVG形式に準拠したレイヤ化写真を標準で生成できるため、SVG対応ソフトウェアとしての事前承諾手続きや電子納品をスムーズに進められます。電子小黒板や注釈の表示・非表示を切り替えられる電子納品成果品を自社フロー内で容易に作成可能です。
高所や配筋密度の高い構造物でマーカー設置の安全性・手間を改善したい企業
- 橋梁下部工や擁壁の天端など足場が不安定な箇所でのマーカー設置に危険が伴う
画面上で仮想マーカーを配置する電子マーカー機能により、鉄筋へ直接物理マーカーを付けに行く作業自体をなくせます。足場上の移動回数を減らし、マーカーの落下や紛失リスクを排除した安全な検査体制を構築できます。 - スラブや底盤など鉄筋本数が多く物理マーカーの配置に時間がかかる
画面上の最初の1スパンを指定するだけで奥行きピッチを自動計算する連続マーカー機能を活用することで、数十本に及ぶ鉄筋へのマーカー配置が画面上の操作のみで完結します。炎天下や寒冷地における現場滞在時間を短縮し、検査員1人での効率的な撮影を実現します。
向いていない企業・現場
LiDARやデプスカメラ等を用いた鉄筋ピッチ・径の全自動計測を求めている企業
- 撮影だけで鉄筋の本数・ピッチ・かぶり厚を自動計測し合否判定まで完結させたい
SiteBox 配筋検査は、撮影した写真上に電子マーカーや注釈を配置し、実測値を入力して帳票連携する「写真レイヤ化・電子マーカー支援」のアプローチをとっています。点群データ生成やAI画像解析によって鉄筋寸法そのものを完全自動計測する技術ではないため、検尺作業そのものの完全自動化を重視する場合は、LiDAR搭載端末を活用する専用システムやステレオカメラ型ツールを検討した方がよい場合があります。
建設システムの「デキスパート」シリーズを一切利用していない企業
- 単体で完結するスタンドアロン型の配筋検査アプリを探している
本アプリは『SiteBox 出来形・品質・写真』『KSデータバンク』『出来形管理システム』『出来形管理システム[配筋検査]』の契約・導入が前提となるシステム構成です。既存のPC管理ソフトが他社製で統一されており、帳票作成や写真管理ソフトを切り替える予定がない現場では、導入に伴うシステム変更の負担が大きくなる可能性があります。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| SiteBox 配筋検査 | SVG形式の工事写真レイヤ化に完全対応。画面上の電子マーカー配置や連続マーカー機能、デキスパート連携による帳票自動化を実現。 | 要問い合わせ(端末1台ごとのライセンス契約) | デキスパートを運用中の土木会社、工事写真レイヤ化によるマーカーレス検査を進めたい現場 |
| Modely | LiDAR端末等で取得した点群から鉄筋3Dモデルを自動生成。ピッチ・本数・かぶり厚を自動算出しクラウド上で帳票化するNETIS登録技術。 | 要問い合わせ | 3次元点群データを活用し、計測・判定・帳票作成までを全自動化したい公共工事・ゼネコン |
| GeoMation 鉄筋出来形自動検測システム | デプスカメラとタブレットを活用し、AIで鉄筋を抽出して配筋間隔や本数、径を自動計測。国交省の計測要領に対応。 | 要問い合わせ | ダブル配筋や逆光環境など過酷な環境下でAI自動検測を実施したい中堅・大手ゼネコン |
| 配筋検査ARシステム BAIAS | iPad ProのLiDARセンサーを活用し、鉄筋の本数・間隔・径を自動計測。オフライン環境下でも検査・帳票作成が完結。 | 要問い合わせ | 電波の届かない地下躯体や山間部などで、LiDARによる自動計測とAR表示を活用したい企業 |
配筋検査ツールの選定では、「どの工程をデジタル化するか」という技術アプローチの違いを考慮する必要があります。国土交通省の「デジタル工事写真の高度化(レイヤ化)」指針に基づき、従来の写真管理の延長線上でマーカー設置を省略し、電子納品用の帳票作成を効率化したい場合、SiteBox 配筋検査が有力な候補になります。特に自社の施工管理基盤としてデキスパートを導入している企業にとっては、既存の写管屋や出来形管理システムとのシームレスな連携によって追加の学習コストを抑えられます。
一方で、手作業による検尺(スケール当て)や数値入力そのものをなくし、センサーによる全自動検測やBIM/CIM連携を志向する場合は、ModelyやBAIAS、GeoMationのようなLiDARやステレオカメラ、AI画像解析を活用した3D自動検測ツールの導入が適しています。自動検測ツールは高機能である反面、対応ハードウェアの制約や専用機器の運用コストが発生するため、自社の求める検査精度、対象工種、既存システムとの親和性を比較して選択することが求められます。
料金・プラン
SiteBox 配筋検査の料金体系は、公式サイト上では要問い合わせと案内されていますが、製品カタログ等では1ライセンスあたり年額24,000円(税抜)と公表されています。端末1台につき1ライセンスの年額契約として提供されています。
見積もりを依頼する際は、以下の点を確認することが推奨されます。
- 前提ソフトのライセンス構成
本アプリの運用には、スマートフォン向け基幹アプリ『SiteBox 出来形・品質・写真』、クラウド連携基盤『KSデータバンク』、PCソフト『出来形管理システム』およびオプションの『出来形管理システム[配筋検査]』の契約が必須となります。既にデキスパートを保有しているか、新規導入するかによって初期費用および月額費用が変動します。 - 利用端末数に応じた課金体系
端末ごとのライセンス契約となるため、現場で同時に使用するスマートフォンやタブレットの台数、現場代理人・技術者の人数を整理した上での試算が必要です。 - サポートおよびクラウド利用料の範囲
電話サポートやリモートサポートの提供条件、KSデータバンクのデータ容量上限や契約更新期間について事前確認を行うことが重要です。
導入事例・実績
SiteBox 配筋検査は、公共土木工事を中心に配筋検査の省人化・省力化ツールとして導入が進められています。
滋賀県高島市の株式会社桑原組では、橋梁下部工における工事写真レイヤ化の試行事例として本アプリを採用しました。型枠が組み上がった後の天端における配筋検査では、足場が狭く不安定な環境下で物理マーカーを配置する際に転落や部材落下の危険が伴っていました。SiteBox 配筋検査の電子マーカー機能および連続マーカー機能を活用することで、現場での物理マーカーの設置・回収作業をなくすマーカーレス化を実現し、現場作業の安全性向上と検査時間の短縮に寄与したことがデジタル工事写真の高度化に関する協議会の事例報告(けんせつプラザ掲載)で報告されています。
なお、親アプリである「SiteBox」シリーズ全体では「写真管理業務を約50%短縮」などの実績が公表されていますが、配筋検査機能単独での削減時間や導入社数などの詳細な定量数値は現時点で公表されていません。
デキスパート連携による電子納品・帳票自動作成ワークフロー
SiteBox 配筋検査の大きな特徴は、株式会社建設システムが長年土木業界で提供してきた総合施工管理システム「デキスパート」と現場検査が密接に連携している点にあります。スタンドアロンの配筋検査アプリでは現場での検査後にExcel等への転記作業が発生しがちですが、本システムでは現場入力値が直接帳票へと流れるワークフローが確立されています。
具体的な連携ワークフローは以下の通りです。
- 鉄筋質量表からの設計データ転送
事務所のPC上で「出来形管理システム[配筋検査]」を用い、鉄筋質量表から鉄筋番号・径・本数・設計ピッチ等の情報を登録します。作成した設計データはクラウドサービス「KSデータバンク」を経由して現場のSiteBoxへ転送されます。 - 現場での実測入力とレイヤ化写真撮影
現場では設計データが反映された電子小黒板を呼び出し、実測数値を入力しながら撮影を行います。画面上で電子マーカーや注釈を配置した写真は、JIS X4197:2012準拠のSVGファイルとして端末内に生成されます。 - 出来形管理図表と写真台帳の自動作成
現場で撮影・入力したデータはクラウド経由で事務所のデキスパートへ瞬時に同期されます。「出来形管理システム」側では検測値が自動反映された出来形管理図表が作成され、「写管屋」側ではレイヤ化写真が工種・測点ごとに自動分類されて写真台帳が完成します。
このデータ連携により、公共工事の電子納品基準に適合した成果品作成が半自動化され、検査終了後の残業や書類作成負担を抑制できます。
導入前に知っておきたいこと
SiteBox 配筋検査を導入するにあたって、事前に確認しておくべき技術的仕様および運用上の留意点がいくつか存在します。
- 単体アプリでの利用は不可
SiteBox 配筋検査は単独で起動・利用するツールではありません。ベースとなる施工管理アプリ『SiteBox 出来形・品質・写真』、クラウドデータ中継基盤『KSデータバンク』、PC用ソフト『出来形管理システム』および『出来形管理システム[配筋検査]』が揃っていることが動作の前提条件となります。新規に導入する場合は、これらのソフトウェア環境の整備計画が必要です。 - 端末カメラ仕様による撮影画角の差異
Android端末において、デュアルカメラやトリプルカメラを搭載した一部のスマートフォン・タブレットでは、端末標準のカメラアプリと比較してSiteBoxアプリ内の撮影画角が狭くなる現象が報告されています(公式サイト「動作環境」記載)。広角での全景撮影を多用する現場では、導入予定端末の画角仕様や動作検証を事前に確認しておくことが推奨されます。 - 対応プロセッサーの制約
Android版ではARMベースのプロセッサーを搭載した端末に対応しており、x86系プロセッサー搭載端末には対応していません。現場用の業務用タフネス端末やタブレットを選定する際は、CPU仕様が要件を満たしているか確認が必要です。
なお、App StoreやGoogle Playなどの各アプリストアにおいて、ユーザーによる具体的なテキストレビューや重大な不具合に関する苦情等の公開情報は現時点で確認されていません。
導入の流れ・期間
SiteBox 配筋検査の導入に関する具体的な所要期間は公表されておらず、要問い合わせとなっています。一般的な施工管理SaaSの導入フローは以下の通りです。
- 問い合わせ・ヒアリング
公式サイトの専用フォームまたは電話から問い合わせを行い、自社の工事内容(土木・建築)、配筋検査の頻度、現在のPCソフトウェア環境(デキスパート導入の有無)を伝えます。 - デモ・機能確認
営業担当者によるオンラインまたは対面でのデモンストレーションを通じて、実際の画面操作、電子マーカーの配置機能、デキスパートとのデータ送受信の流れを確認します。 - 見積もり・ライセンス構成の決定
必要な現場端末台数、PCソフトの追加オプション(出来形管理システム[配筋検査]等)、KSデータバンクの利用規模に応じた見積もりが提示されます。 - 契約・初期設定
利用契約の締結後、PC側へのソフトウェアセットアップ、クラウド環境のアカウント発行、現場スマートフォンへのアプリインストールを実施します。 - 運用開始
PC側で鉄筋設計データを登録し、実際の配筋検査現場での運用を開始します。操作マニュアルの確認や電話・リモートサポートの利用が可能です。
よくある質問(FAQ)
- スマートフォンやタブレットの対応OSと動作環境を教えてください。
- AndroidおよびiOS / iPadOSに対応しています。Android版はAndroid 10 〜 17、ARMベースプロセッサー、RAM 2GB以上が推奨環境です(x86系プロセッサーは非対応)。iOS / iPadOS版はApp Storeより提供されています。なお、一部の複眼カメラ搭載Android端末では画角が狭くなる場合があるため動作確認が推奨されます。
- SiteBox 配筋検査アプリ単体での契約や利用はできますか?
- 単体での利用はできません。本アプリを利用するには、ベースアプリである『SiteBox 出来形・品質・写真』、クラウドデータ共有サービス『KSデータバンク』、PC用ソフト『出来形管理システム』およびオプションの『出来形管理システム[配筋検査]』の契約が必須となります。
- 撮影した写真は国土交通省の電子納品基準に対応していますか?
- 対応しています。JIS X4197:2012に準拠したSVG形式の工事写真レイヤ化技術を採用しており、電子小黒板、注釈、電子マーカーを独立したレイヤとして保持・出力できるため、レイヤ化写真の提出が認められている公共工事の電子納品成果品として活用できます。
- 無料トライアルやデモ体験は可能ですか?
- 無料トライアルの常時提供に関する公式な記載は確認できていません。導入前のデモンストレーションや製品説明については、公式サイトの問い合わせ窓口から相談することが推奨されます。
- 導入後のサポート体制はどのようになっていますか?
- 株式会社建設システムによる電話サポート(電話サポート受付システム対応)、オペレーターが画面を共有して案内するリモートサポート、公式サイト上のマニュアルダウンロード、FAQ、メールサポートが提供されています。
- 契約期間や解約条件にはどのような規定がありますか?
- 公式サイト上で最低契約期間や解約条件に関する具体的な規約は公開されていません。端末1台ごとの年額ライセンス契約(公式サイト上では要問い合わせ)とされていますが、詳細な条件については見積もり時にメーカーへ確認してください。