CADWe'll Tfasとは?
CADWe'll Tfas(キャドウィル ティーファス)は、株式会社ダイテックが開発・提供する建築設備(空調・衛生・電気)専用の施工図・製作図CADシステムです。ゼネコンやサブコン、専門工事業者が直面する施工現場での部材干渉や、設計図から施工図を起こす際の膨大な作図工数、ミリ単位での納まり調整といった実務課題を解決します。国内の設備工事実務において長年活用されてきた実績を持ち、豊富な設備専用コマンドやエンジニアリング計算機能、3D表示による干渉検査、Autodesk RevitをはじめとするBIMソフトウェアとの連携機能を備えています。
主な機能
CADWe'll Tfasは、平面的な2D図面の作図・仕上げから、立体的な3Dモデルを活用した取り合い調整、各種技術計算まで、設備施工図の作成に必要な機能を網羅しています。実務における用途に合わせて、大きく3つの機能群に分類されます。
設備作図・エンジニアリング計算機能
- 空調・衛生・電気設備の専用作図
配管、ダクト、ケーブルラックなどの設備ルートを専用コマンドで効率的に作図できます。曲がりや分岐などの継手部材が自動で配置されるため、汎用CADで線分を1本ずつ引く場合に比べて図面作成にかかる時間を短縮し、作図精度の均一化を支援します。 - 自動サイジングと技術計算
流量や風量に基づいたシミュレーションにより、ダクトサイズや配管径を自動決定(サイジング)する機能を備えています。さらに静圧計算や揚程計算といったエンジニアリング計算を実行し、計算結果を帳票として出力できるため、設計検証から根拠資料の作成まで図面上で完結します。 - アイソメ図(等角投影図)の作成
平面図に描かれた配管・ダクト情報をもとに、立体的なアイソメ図を自動生成できます。複雑に入り組んだ機械室やピット内の配管ルートを職人や現場作業員へ直感的に伝えることが可能となり、現場作業時の施工指示や認識の齟齬を防ぎます。
3Dモデリング・干渉検査機能
- DirectX 11を活用した3D高速表示
描画エンジンにDirectX 11を採用しており、大規模な現場の大容量データであっても3D形状を高速かつ高精細に表示します。平面図と連動しながら立体的に納まりを確認できるため、配管と梁、あるいはダクト同士の交差状況を視覚的に把握できます。 - クリッピング表示と干渉検査
特定のフロアや階高、任意の断面範囲を切り出して表示するクリッピング機能を搭載しています。躯体や設備部材同士が物理的に衝突している箇所を自動検出する干渉検査を実行することで、現場でコンクリート打設後や配管敷設時に発覚する手戻り工事を未然に防止します。 - シートとフロアを紐づけたBIMモデル管理
作図画面のシート構成と建物のフロア階層を関連付けて管理できます。複数フロアにまたがる大規模物件においても、階層ごとのデータ構造を整理しながらモデリングを進められます。
外部データ互換・BIM連携機能
- 多様なCADデータフォーマットの入出力
汎用CADフォーマットであるDWGやDXFをはじめ、日本の建築実務で広く普及しているJw_cad(JWC/JWW)、電子納品標準のSXF(SFC/P21)、設備CAD標準のBE-Bridgeなど、多彩なデータ形式の読み込み・書き出しに対応しています。元請ゼネコンや設計事務所、協力会社の間で円滑な図面データの受け渡しを可能にします。 - Autodesk Revitとの相互データ連携
専用のRevitデータ連携ツールを介して、Autodesk Revitとの間でモデルデータの相互変換が可能です。意匠・構造モデルを取り込んで設備施工図を起こす作業や、Tfasで作成した設備詳細データを建築BIMモデルへ戻すフローを確立できます。 - IFCおよびBCFファイルの対応
国際標準のBIMデータフォーマットであるIFC形式の入出力に加え、指摘事項や課題共有のためのBCF(BIM Collaboration Format)ファイルの読み書きに対応しています。他工種とのBIMコーディネーション協議において、干渉箇所の位置情報やコメントの受け渡しをデータベースで進められます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
2D施工図の仕上げ効率と他社とのデータ互換性を最優先するサブコン・設備工事会社
- 元請や協力会社との図面授受でフォーマット変換の手間や文字化けが頻発している
CADWe'll Tfas形式(.tfas)は国内設備業界において広く流通しており、共通フォーマットとして機能しています。業界標準の形式をそのまま扱うことで、文字化けやレイヤ構成の崩れを防ぎ、データ受け渡しに伴う修正作業を最小限に抑えられます。 - 平面詳細図やスリーブ図の仕上げ作業に膨大な時間がかかっている
線分編集の軽快さや寸法線・記号の作図機能が充実しており、日本の施工現場が要求するミリ単位の納まり表現や職人向けの実行指示書(プロット図・スリーブ図)を素早く仕上げられます。手戻りのない精密な施工図を作成することで、現場でのコア穿孔や配管切り戻しといった追加コストの発生を抑制できます。 - 3D干渉チェックは行いたいが完全3Dモデリングへの完全移行は現場負荷が大きい
平面図ベースの作図ワークフローを維持しながら、DirectX 11による3D表示や干渉検査を併用できます。作図手順を大きく変えることなく段階的に3D検討を取り入れられるため、現場技術者の心理的負担を抑えつつフロントローディングを実現できます。
現場ごとにライセンス需要の増減が大きく固定費を抑えたい設備工事業者
- 繁忙期と閑散期で作図担当者の人数が大きく変動する
ダイテック社が提供するオンラインサービス「WebCADD.com」を利用することで、初期費用や月額基本料金なしで使用時間に応じた従量課金プランを選択できます。大型工事の施工図作成ピーク時のみライセンスを追加するといった柔軟な運用により、余剰ライセンスの固定費化を防げます。 - 短期間のスポット応援や外注スタッフへCAD環境を提供したい
従量課金ライセンスを活用すれば、数週間〜数カ月間のみ参画するCADオペレーターに対しても必要な時間分だけソフトウェアを提供できます。自社のパッケージライセンスを買い増すリスクを避けながら、現場の作図体制を機動的に増強できます。
向いていない企業・現場
1つの3Dモデルからすべての図面を完全連動させて生成したい企業
- 平面図の修正を断面図や系統図へ自動で100%反映させたい
CADWe'll Tfasは平面図と断面図が別データとして扱われる仕様となっており、双方の連動・修正時にデータ管理が煩雑になる側面があります。単一の統合3Dモデルから平面・断面・系統図を完全にリアルタイム連動させ、修正漏れを根本からなくしたい現場では、完全連動型を特徴とするRebro(株式会社NYKシステムズ)や、ダイテック社の完全3Dモデリング特化製品「CADWe'll Linx」などの導入を検討した方が運用に適しています。
CADの導入・維持コストを極力ゼロに抑えたい一人親方・小規模事業者
- 高機能な計算や3D機能は不要で簡易な配管ルートの追記のみを行いたい
専用の高精度機能や保守サポートが充実している反面、パッケージ版の導入には初期投資が必要です。意匠図への簡単な配管プロットや軽微な追記のみを目的とする場合、無料の汎用CAD(Jw_cad等)や低価格な汎用CADソフトで運用した方が費用対効果が高くなる場合があります。
類似ツールとの比較
建築設備CADの領域において、CADWe'll Tfasと並び広く利用されているのが株式会社NYKシステムズの「Rebro(レブロ)」です。両者は日本の設備施工現場で高い支持を集めている点では共通していますが、システムの根底にある設計思想やデータ構造において明確な相違点があります。
Rebroは「完全連動型3Dモデル」を基本構造としており、1つの立体モデルを編集すると平面図、断面図、立面図、系統図、アイソメ図がすべてリアルタイムに同期・更新されます。図面間の不整合を原理的に防ぎやすい構造を持つ反面、最初から立体的な情報を正確に入力していくワークフローが求められます。
一方のCADWe'll Tfasは、日本の設備工事現場で培われてきた「2D作図の軽快さ・仕上げやすさ」をベースに、3D表示やBIM連携機能を拡張してきた歴史を持ちます。図面表現の自由度が高く、施工現場の職人へ渡す紙の施工図・スリーブ図の仕上げ作業において定評があります。また、長年にわたり業界標準として普及してきたため、企業間で図面データをやり取りする際の流通性においてアドバンテージを持っています。
なお、開発元である株式会社ダイテックは、Tfasで培った設備施工図のノウハウを活かしつつ、BIM/CIM原則適用や完全3Dデータ運用に対応する後継・上位製品として「CADWe'll Linx(キャドウィル リンクス)」をリリースしています。完全な3Dモデリング特化の運用を志向するユーザーに対してはLinxを提案し、従来の2D作図の操作感や膨大な既存図面資産を重視するユーザーに対してはTfasを提供するという棲み分けが行われています。
料金・プラン
CADWe'll Tfasのパッケージ版に関する導入費用は公開されておらず、個別見積もり(要問い合わせ)となっています。一方、オンライン上で必要な時間だけ利用できる従量課金サービス「WebCADD.com」の料金体系は以下の通り公表されています。
| 利用形態 | 初期費用 | 基本料金 / 月額 | 従量利用料金 |
|---|---|---|---|
| パッケージ版(オンプレミス) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | なし(個別見積もり) |
| WebCADD.com(オンライン版) | 0円 | 0円 | 使用時間に応じた課金(クレジットカード決済) |
パッケージ版の見積もりを取得する際には、以下の点を確認することが推奨されます。
- 導入形態とライセンス方式
スタンドアロン形式か、社内ネットワークでライセンスを共有するネットワーク形式かによって費用構成が異なります。 - 保守・バージョンアップ契約の有無
法改正への対応や新OS対応、最新部材データのダウンロードポータル利用など、年間保守契約に含まれるサポート範囲と更新費用を確認する必要があります。 - 導入支援・教育研修オプション
社内オペレーター向けの有償講習(CADスクール)や操作指導をパッケージに含めるかどうかの検討が必要です。
導入事例・実績
CADWe'll Tfasは、大手サブコンから各地の専門工事業者まで幅広い企業で採用されています。公式情報やメディア掲載等で確認できる導入・運用事例として以下の企業が挙げられます。
- 住友電設株式会社
電気設備工事業界大手である同社では、電気設備設計の実務においてCADWe'll Tfasを長年にわたり主軸システムとして運用しており、後継製品であるCADWe'll Linxとの併用検証を行っています。 - 株式会社テクノジャパン
設備工事や施工図作成を手掛けるエンジニアリング現場において、CADWe'll Tfasが作図業務に活用されています。 - 株式会社朝日プラント
プラント設備や管工事の現場において、社内人材の図面作成スキル向上を目的にCADWe'll Tfasを用いた社員研修を実施しています。
なお、上記各社の導入事実は公表されているものの、「作図工数を〇〇%削減」「年間〇〇時間の残業削減」といった具体的な効果数値が公表されている事例は現時点では確認できていません。
CADWe'll Tfas 15の動作環境と推奨スペック
CADWe'll Tfasは、DirectX 11を用いた3D高速表示や大規模な設備データの干渉検査を実行するため、十分なハードウェアスペックを備えたPC環境が推奨されています。最新バージョンであるCADWe'll Tfas 15の公式推奨環境は以下の通りです。
| 項目 | 推奨環境(CADWe'll Tfas 15) |
|---|---|
| OS | Windows 11、Windows 10(64bit版) |
| CPU | Intel Core i7 同等品以上推奨 |
| メモリ | 32.0GB 以上推奨 |
| ストレージ空き容量 | 3.0GB 以上 |
グラフィック性能については、DirectX 11に対応した専用グラフィックボードが推奨されており、具体的には「NVIDIA GeForce GTX 1630」または「AMD Radeon RX 6400(4GBメモリ)」の同等品以上が求められます。ディスプレイ解像度は1920×1080ドット以上が推奨されています。一般的なビジネス用ノートPCなどオンボードグラフィック環境では、大規模データ展開時の3D描画や干渉検査のレスポンスが低下する可能性があるため、導入前に端末構成の確認が必要です。
教育支援とユーザーサポート体制
導入後の現場定着やオペレーター育成を支援するため、株式会社ダイテックによって体系的なユーザーサポート基盤が提供されています。
- 公式CADスクール(有償講習等)
空調・衛生・電気の各工種に応じた基礎から応用までの操作講習が定期的に開催されており、新入社員研修やオペレーターのスキル標準化に活用されています。 - 体験セミナー動画と参考マニュアル
オンライン上で視聴可能なセミナー動画や、機能ごとの操作マニュアルが整備されており、自主学習や実務中の疑問点解消を支援します。 - メーカー提供部材データのダウンロード
各設備機器・部材メーカーが提供する実機寸法の部材データ(ライブラリ)をポータルサイトからダウンロードして作図に利用できます。自社で部材形状をゼロからモデリングする手間を削減し、高精度な納まり検討が可能です。
導入前に知っておきたいこと
CADWe'll Tfasを導入・運用するにあたり、ユーザーレビューやメーカー公式注意事項等から以下の課題・注意点が報告されています。
- UIおよび操作性の習得難易度
実務に対応するためのコマンド数が非常に多く、空調・衛生・電気などの作図モードによって使用可能なコマンドが切り替わります。汎用CADや他のCADソフトから移行する場合、画面構成やコマンド配置に慣れるまでに一定の学習期間が必要とされています。 - 平面図と断面図のデータ管理
平面図と断面図が別データとして扱われる仕様であるため、平面図側で配管ルートを変更した際、断面図側も個別に修正する必要があります。双方のデータ連動や整合性管理を人手で行う場面が多く、管理が煩雑になりやすいという指摘があります。 - 特定セキュリティソフトとの競合
ハミングヘッズ製「Security Platform(SeP)」など、特定のセキュリティ対策ソフトウェアが導入されているPC環境において、CADWe'll Tfasの動作に支障が生じる場合があることがベンダー公式の注意事項として明記されています。自社のIT環境と競合しないか事前にシステム管理部門と確認しておく必要があります。
導入の流れ・期間
CADWe'll Tfas(パッケージ版)の一般的な導入ステップは以下の通りです。なお、契約から運用開始までの具体的な導入期間については案件規模やカスタマイズの有無によって異なるため、要問い合わせとなっています。
- 問い合わせ・ヒアリング
公式サイトの専用フォームや電話窓口から問い合わせを行い、自社の工種(空調・衛生・電気)、利用台数、現在の作図環境についてベンダー担当者とすり合わせます。 - デモンストレーション・機能確認
実務で作成する図面種類や運用フローに沿って、専門スタッフによるデモや機能説明を受け、必要な機能の適合性を確認します。 - 見積もり・ライセンス構成の決定
スタンドアロンかネットワーク版か、必要な工種モジュールやライセンス数、保守契約の内容を決定し、個別見積もりの提示を受けます。 - 契約・納品・初期設定
契約手続き完了後、インストールメディアやライセンスキーが納品されます。推奨環境を満たすPCへソフトウェアをインストールし、環境設定や部材ライブラリのセットアップを行います。 - 社内研修・本運用開始
公式CADスクールや参考マニュアルを活用してオペレーター教育を実施し、現場の施工図作成業務へ順次展開します。
※従量課金制の「WebCADD.com」を利用する場合は、Web上でのアカウント登録とクレジットカード決済の登録を行うことで、短期間で即時利用を開始することが可能です。
よくある質問(FAQ)
- CADWe'll Tfasのスマートフォンやタブレット向けアプリはありますか?
- モバイル専用アプリは提供されていません。CADWe'll TfasはWindows OS(Windows 11/10 64bit)上で動作するデスクトップ向けCADソフトウェアです。現場での図面確認には、出力したPDF等をクラウドストレージ経由で閲覧するか、対応するPC端末を利用する必要があります。
- 無料トライアルやデモ版は提供されていますか?
- 公式サイト上で常設された無料体験版ダウンロードは確認されていませんが、ベンダーによる製品デモンストレーションや体験セミナー動画の配信が実施されています。詳細なトライアル利用の可否についてはメーカーへの問い合わせが推奨されます。
- 契約期間や解約条件にはどのような規定がありますか?
- パッケージ版のライセンス契約期間や保守契約の解約条件は公開されておらず、個別見積もり時の提示となります。一方、従量課金制の「WebCADD.com」は使用時間に応じた課金体系となっており、固定の月額基本料金や年間縛りなしで利用できます。
- 無償で提供されている「Tfasビューア」でもメーカーサポートを受けられますか?
- 図面閲覧用の無償Tfasビューアはメーカー公式のテクニカルサポート対象外となっています。サポートポータルの利用や問い合わせ窓口の対応を受けるには、正規ライセンスの保有および保守契約の締結が必要です。
- Autodesk Revitとのデータ連携はどのように行いますか?
- 株式会社ダイテックが提供する「Revitデータ連携ツール」を使用することで、RevitモデルとTfasの図面データ間で相互に部材・ルート情報の変換が可能です。また、IFC形式を介したBIMモデルの受け渡しにも対応しています。