電匠NXとは?
電匠NXは、株式会社システムズナカシマが提供する電気工事業界向けの専用電気設備CADシステムです。建築図面を読み込むだけでAIが部屋や間取りを自動認識する機能や、建築設備設計基準に準拠した機器の自動配置機能を備え、図面作成から書類作成までの工数肥大化という課題を解決します。汎用CADでは手作業になりがちな電灯・コンセント設備図、盤図、系統図、照度・電圧降下の技術計算、電力会社への申請書類作成までを1つのシステムで完結させ、専門工事業者や工務店の作図・積算・申請業務を大幅に効率化します。
主な機能
AI図面認識・機器自動配置機能
- AIによる間取り・部屋の自動認識
PDFやDXF、JWWなどの建築図面データを読み込むと、AIが壁、建具、文字情報を解析し、部屋名や面積情報を自動生成します。手作業による部屋枠のトレースや面積計算の手間を削減し、電気設備の設計準備を速やかに完了できます。 - 設計基準準拠の機器自動配置
建築設備設計基準に準拠した設計ノウハウを搭載しており、認識された部屋の用途や床面積情報から必要な機器数を算出します。コンセントや非常照明などの配置ルールに基づき一括自動配置が行えるため、設計の手戻りや配置漏れを防ぎます。 - 技術計算連動(照度計算・電圧降下計算)
照度計算や電圧降下計算などの電気技術計算機能がCAD内部に連動しています。計算結果を踏まえた照明器具の適正配置や配線条数の自動算出が行えるため、手計算での検証作業や再入力の手間を解消します。
電気設備専用作図・申請書類作成機能
- 各種電気図面の一括自動生成
電灯・コンセント設備図をはじめ、機器姿図、配電盤などの盤図、単線・複線系統図、凡例表を連動して自動作成できます。図面相互の整合性が保たれるため、修正時の転記ミスや変更漏れを低減します。 - 照明設計連携(ルミナスプランナー連携)
パナソニックの照明設計支援ソフト「ルミナスプランナー」とのデータ連携に対応しています。配灯計画や器具情報をスムーズに取り込み、図面作成から器具選定までの実務フローをつなぐことが可能です。 - 電力会社向け申請書類・施工証明書の作成
作図した電気設備データから、各電力会社へ提出する申請書類や施工証明書を自動作成できます。図面から手書きや別ソフトへ数値を転記する作業が不要になり、申請事務にかかる時間を短縮します。
積算集計・業務クラウド連携機能
- 材料自動拾い出し・積算連動
作成した図面上に配置されたシンボルや配線ルートから、電線・配管・器具などの使用材料を自動で集計します。集計データは外部の積算システムへ出力できるため、見積作成への移行が迅速に行えます。 - ANDESクラウド連携
同社が展開する「ANDESクラウド」と連携し、工事物件ごとの図面・書類管理、見積書・請求書作成、勤怠打刻機能を利用できます。図面データや各種設定はクラウド上にバックアップされるため、BCP(事業継続計画)対策としても機能します。 - 最大3人の同時利用ライセンス
1つのライセンス環境において最大3人までの同時利用に対応しています。複数人で同一物件の図面作業を分担したり、事務所内で端末を切り替えて利用したりする柔軟な運用が可能です。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
汎用CADによる手作業の図面・申請書作成で残業が常態化している専門工事業者
- 汎用CADでの配線作図やシンボル配置に時間がかかり残業が削減できない
電匠NXはAIによる部屋認識と設計基準に基づく自動配置機能を備えているため、A3図面1枚の作図時間を従来の約4時間から約1時間へと大幅に短縮(約4倍の作業スピード)する運用が可能です。時間外労働上限規制に対応するための作図内製化・スピードアップを支援します。 - 作図後に別ソフトや手作業で電力会社の申請書・施工証明書を書き写している
図面上の機器配置や回路情報から各電力会社向けの申請書類・施工証明書を自動生成する機能を搭載しています。手書きや再入力の手間を排除し、書類作成件数を従来の1日1〜2件から4〜5件へと引き上げる効果が得られます。 - 図面からの配線長・器具カウントを手拾いしており積算ミスが起きやすい
配置された機器や配線から材料情報を自動で集計し、積算システムへデータ連携できます。拾い漏れや数量の数え間違いを防ぎ、見積作成までのリードタイムを圧縮します。
少数精鋭で複数案件を抱え、ライセンスコストと運用効率を両立したい中小電気工事店
- CADの導入台数を増やしたいが1人1ライセンスの購入費用負担が大きい
電匠NXは1ライセンスで最大3人までの同時利用が可能な仕様を採用しています。設計専任者だけでなく現場管理者が交代で作図・修正を行う現場において、初期投資を抑えながら柔軟な分担作業環境を構築できます。 - 所内サーバの運用管理や災害時のデータ保全に不安がある
ANDESクラウドと連携することで、図面データや各種環境設定がクラウドへ自動バックアップされます。専任のIT管理者が不在の小規模組織でも、安全なデータ保管と事業継続対策を両立できます。
向いていない企業・現場
意匠・構造・空調衛生を含む全工種を単一の統合BIMモデル(Revit等)で運用している現場
- 全社または元請指定でBIM(RevitやArchicadなど)を中心とした意匠・構造・設備統合モデルが必須である
電匠NXは2Dの電気設備図面(施工図、系統図、盤図、申請書類)の作成と自動化に特化した専用CADです。元請から3次元BIM属性情報を含むモデルデータでの直接納品・干渉調整を厳格に求められる大規模プロジェクトでは、設備対応BIMソフトを別途検討する必要があります。
初期費用を完全無料に抑え、フリーソフトのみで業務を完結させたい事業者
- 図面作成の頻度が極めて低く、ソフトウェアに費用をかけず無償ツールで運用したい
電匠NXは個別見積もりの商用有償CADであり、継続的なサポート利用には年間保守契約も必要となります。年間数件程度の簡易な電気配線図修正しか行わず、多少の手間がかかっても無償のJw_cad等で十分対応できる事業者には費用対効果が合いにくい場合があります。
類似ツールとの比較
電気設備図面を作成するツールは、大きく「汎用2D CAD」と「電気設備専用CAD」に分かれます。導入検討にあたっては、作図速度、ライセンス体系、申請・計算業務の一体化の3点において違いが存在します。
第一に、Jw_cadやAutoCADなどの汎用CADとの比較では、作図にかかる工数と自動化の範囲が異なります。汎用CADは線分や円の描画によって図面を構成するため、電気シンボルの手動配置、配線の手動結線、条数の手作業記入が必要です。これに対し電匠NXは、AIによる部屋・間取りの自動認識と建築設備設計基準に準拠した機器自動配置機能を備えており、メーカーの試算では作業スピード約4倍(A3図面1枚の作図時間が4時間から1時間へ短縮)という作図効率の差が生じます。
第二に、ライセンスの同時利用形態における違いです。一般的な設備専用CADの多くは「1ライセンス=固定の1端末のみ」あるいはUSBドングルを物理的に差し替える形態が主流ですが、電匠NXは1ライセンスで同時に最大3人までの利用に対応しています。複数スタッフが図面修正や確認作業を行う現場において、ライセンス購入数を抑えつつ作業の停滞を防ぐことが可能です。
第三に、作図以外の付帯業務(計算・申請・積算)との統合度です。単なる図面描画ツールでは照度計算や電圧降下計算を専用計算ソフトや表計算ソフトで別途行い、電力会社への申請書類も別枠で作成する必要があります。電匠NXは技術計算機能、材料の自動拾い出し、各電力会社対応の申請書類・施工証明書作成機能までを1システムに統合しており、図面作成から申請・積算に至る実務フロー全体の二度手間を削減する点に違いがあります。
料金・プラン
電匠NXの導入費用(初期費用、月額費用、ライセンス価格等)は公表されておらず、「要問い合わせ」となっています。導入規模や運用構成に応じた個別見積もりでの提示となります。
また、導入後のサポート体制として以下の3つの会員グレードが設定されています。
- ゴールド会員
- シルバー会員
- ブロンズ会員
見積もりやプラン選定を行う際は、以下のポイントを事前に確認することを推奨します。
- 認証方式の選択:パスワード認証、インターネット認証、有償オプションとなるUSBプロテクト認証のいずれを選択するか。
- 年間保守契約の内容:バージョンアップやコールセンター・遠隔操作等の継続サポートを受けるための年間保守費用と会員グレードの選定。
- クラウド連携オプションの範囲:図面バックアップや物件管理等を行う「ANDESクラウド」連携の利用有無と付帯コスト。
導入事例・実績
株式会社因幡電機(一般電気工事業、空調設備工事業等)
一般電気工事や空調設備工事を手がける株式会社因幡電機では、業務効率化の一環として電匠NXを導入しました。
- 導入効果:手書きで作図を行っていた導入前は、電力会社に提出する施工証明書の作成件数が「1日に1〜2件」にとどまっていました。電匠NXの導入後は作図および書類作成が効率化され、「1日4〜5件」と従来の2倍以上の件数を処理できるようになりました。
※同社公式サイトではこのほか、エイエムエンジニアリング株式会社、棚橋電機株式会社、株式会社タツキ電気などの導入企業が公表されています(詳細な削減数値の明記はなし)。
動作環境と推奨スペック
電匠NXを安定して稼働させるためにメーカーが公表している動作環境(2025年12月時点)は下表の通りです。導入検討時には既存PCのスペックが要件を満たしているか確認が必要です。
| 項目 | 必要環境 | 推奨環境 |
|---|---|---|
| OS | Microsoft Windows 11(64bit版) | Microsoft Windows 11(64bit版) |
| CPU | 2GHz以上、2コア以上の64bit互換プロセッサ | Intel Core iシリーズ 第8世代以上 |
| メモリ | 8GB以上 | 16GB以上 |
| ストレージ空き容量 | 5GB以上 | 5GB以上 |
| ディスプレイ解像度 | 1440×900以上 | 1920×1080以上 |
ライセンス認証方式としては、パスワード認証、インターネット認証、USBプロテクト(別途有償)が用意されており、社内ネットワーク環境や現場持ち出し要件に応じて選択します。
導入前に知っておきたいこと
電匠NXを検討する際、事前に留意すべき運用・コスト面での注意点があります。
第一に、サポート利用に伴うランニングコストの発生です。導入後のコールセンター対応、遠隔操作による操作支援、講習会、専用サイトの利用といった継続的な運用支援を受けるためには、別途有償の「年間保守契約」を締結する必要があります。購入時の初期費用だけでなく、保守更新費用をあらかじめ運用予算に組み込んでおくことが重要です。
第二に、認証方式による追加費用の有無です。インターネット接続を伴わないオフラインPC等で利用するためにUSBプロテクト認証を選択する場合、別途費用が発生します。
なお、公表されている導入事例以外において、外部の主要レビュープラットフォーム等で電匠NX固有の詳細な不満・改善要望の投稿事実は確認されていません。自社の作図フローや扱う図面形式(PDFの認識精度など)に合致するかどうかは、導入前のデモや資料請求を通じて確認することを推奨します。
導入の流れ・期間
電匠NXの導入は、問い合わせから稼働まで以下のような一般的なステップで進行します(具体的な導入期間は要問い合わせ)。
- ステップ1:問い合わせ・資料請求
公式サイトの専用フォームや電話から問い合わせを行い、製品カタログの取得や運用の相談を行います。 - ステップ2:ヒアリング・製品デモ
担当スタッフによる業務課題のヒアリングを受け、実際のCAD画面を用いた操作デモやAI自動認識機能の実演を確認します。 - ステップ3:構成の決定・見積もり提示
必要ライセンス数、認証方式(インターネット・パスワード・USB)、会員グレード(ゴールド・シルバー・ブロンズ)、クラウド連携の要否を決定し、個別見積もりが提示されます。 - ステップ4:契約・納品・セットアップ
契約締結後、ソフトウェアの提供およびライセンス発行が行われ、社内PCへインストールと環境設定を実施します。 - ステップ5:操作指導・実務運用開始
全国6拠点のスタッフによる訪問サポートや無料講習会、動画マニュアル、遠隔サポートを活用しながら操作習得を進め、実案件での図面作成・申請業務を開始します。
よくある質問(FAQ)
- スマートフォンやタブレット端末でも電匠NXは利用できますか?
- 電匠NX本体の対応OSはMicrosoft Windows 11(64bit版)となっており、Windows PCでの稼働が前提です。スマートフォン単体で作図を行うアプリではありませんが、連携機能である「ANDESクラウド」を利用することで、クラウドを通じた図面や物件情報の管理・共有が可能です。
- 導入前の無料体験(トライアル)や操作デモを見ることは可能ですか?
- システムズナカシマの営業・サポートスタッフによる製品デモやオンラインでの画面実演が行われています。トライアル版の貸出可否やデモの実施形式については、公式サイトより直接問い合わせて確認することを推奨します。
- 操作に困ったときのサポート体制はどのようになっていますか?
- 全国6拠点に配置されたスタッフによるサポートのほか、コールセンター対応、オペレーターが画面を共有して案内する遠隔操作支援、会員専用サイト、FAQ、動画マニュアル、無料講習会、訪問サポートが用意されています。なお、継続利用には別途有償の年間保守契約が必要です。
- 1ライセンスで社内の複数人が使うことはできますか?
- 電匠NXは1ライセンスで最大3人までの同時利用に対応した設計となっています。複数端末で時間をずらして作業したり、事務所内でライセンスを柔軟に共有したりして運用することが可能です。
- 既存のJw_cadやPDF図面を電匠NXに取り込んで利用できますか?
- 対応しています。PDF形式の図面データやDXF、JWWなどの汎用CADフォーマットを読み込むことができ、AIによる壁・建具・文字の解析を経て電気設備図面への展開が可能です。
- 契約期間や解約条件、ライセンスの形態はどうなっていますか?
- ソフトウェアの販売形態(買い切り型またはサブスクリプション型等)や解約規定に関する具体的な条件は公式Webサイト上で公開されていません。見積もり取得時に契約期間や保守契約の更新条件について担当者へ確認してください。