REAL4とは?
REAL4は、株式会社ドッドウエル ビー・エム・エスが提供する日本の鉄骨加工(ファブリケーター)業界向け鉄骨専用3D CAD/CAMシステムです。柱や梁などの部材配置や継手・仕口条件を3次元でモデリングすることで、一般図、詳細工作図、加工図、単品図、NCデータ、各種集計帳票までを高精度かつ迅速に自動生成します。設計図から製作図への展開工数や工作不整合による手戻りを削減し、工場加工機へのシームレスなデータ連携を実現することで、鉄骨ファブリケーターや専門工事業者の生産性向上を支援します。
主な機能
REAL4は、鉄骨構造物の3次元骨組入力から工場加工用データの出力、さらにはBIMデータ連携や現場・工場間の進捗管理まで、鉄骨製作に関わる実務工程を一気通貫でカバーする機能を備えています。主な機能群は以下の3つに分類されます。
鉄骨モデリング・図面帳票自動生成機能
- 3次元部材配置と取り合い自動生成
柱、大梁、小梁、ブレース、柱脚、継手などの鉄骨部材を3次元空間へ入力することで、部材同士の取り合いをシステムが自動判別して立体モデルを構築します。母屋や胴縁の複雑な配置割り付け、開口部の補強枠納まりなども自動で算出・生成されるため、複雑な取り合い検討にかかる手作業の作図時間を大幅に削減します。 - 工作図・加工図・単品図の一括自動出図
入力された3次元モデル情報に基づき、伏図・軸組図などの一般図から、アンカープラン、詳細工作図、部材ごとの加工図、単品図までを整合性を保った状態で一括自動生成します。モデル側で変更が生じた場合も関連する全図面に変更内容が連動して反映されるため、手動作図で起こりやすい図面間の寸法不整合や修正漏れを防止できます。 - 加工機向けNCデータおよび帳票出力
孔あけ機、切断機、開先加工機などの工場一次加工機へ直接転送できるNCデータを自動出力します。同時に、材料内訳明細表、ボルトリスト、塗装面積計算書、重量集計表などの工場管理・積算に必要な各種帳票もモデルから即時に集計出力できるため、現場製作指示と工場管理業務の省力化に直結します。
構造計算・BIMソフトウェア外部連携機能
- 構造計算データ(SS3等)の読み込み連携
構造計算ソフトウェア「SS3」等の計算データを取り込み、構造設計で決定された部材断面や配置情報をREAL4の3次元モデルへ直接反映できます。設計図面を見ながら最初から数値を打ち直す作業が不要となり、初期モデリング工数を低減するとともに、転記ミスによる断面寸法の入力誤りを未然に防ぎます。 - ST-BridgeおよびIFCファイル入出力
日本の建築BIM標準フォーマットである「ST-Bridge」の入出力や、国際標準規格である「IFC」ファイルの出力を標準でサポートしています。意匠・構造設計側から受け取ったBIMモデルをREAL4へ橋渡しできるだけでなく、鉄骨製作モデルをBIMcloud等の統合プラットフォームへ戻して全体統合モデルを構築することが可能です。 - Revitアドイン双方向連携
オプションの「BIM Revit連携システム(Revit add-in)」を利用することで、Autodesk Revitと中間データを介した双方向変換が行えます。設計BIMモデルの部材情報をREAL4に取り込んで製作図展開を行うとともに、ファブリケーター側で決定した詳細な継手・仕口・ピース情報をRevit側へ高精度にフィードバックするフロントローディング体制を確立できます。 - スリーブデータ取り込み連携
設備図面やスリーブ図のDXFデータおよび外部スリーブ位置情報を取り込み、大梁などの鉄骨部材に貫通孔を正確に自動配置できます。設備配管と鉄骨梁補強プレートとの物理的干渉を製作段階のモデル上で事前に検出し、現場施工時のコア穿孔や手戻り工事のリスクを抑制します。
工場・現場モバイル進捗管理機能
- 3Dモデルモバイル閲覧「S/F com-pass 3D View」
REAL4で作成した3次元鉄骨モデルを、スマートフォンやタブレット端末から閲覧できるビューワー機能です。重機が稼働する現場や工場内の加工ラインにおいて、図面だけでは把握しにくい複雑な仕口の立体形状や部材取り合いを直感的に確認でき、組み立てミスや作業員間の認識齟齬を低減します。 - QRコード読み取りによる製作出来高管理
各部材に付与されたQRコードを工程ごとにスマートデバイスで読み取ることで、部材の加工完了、検査完了、出荷準備といった製作進捗ステータスを3次元モデル上に自動で色分け表示します。事務所にいながら工場の実稼働状況や出荷準備の進捗を視覚的に把握でき、工程遅延の早期発見と建方計画に合わせた正確な出荷管理を可能にします。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
元請や設計側からのデータ連携を活用し、製作図作成と加工のリードタイムを短縮したい鉄骨ファブリケーター
- 設計図からの再入力作業と転記ミスを無くしたい
構造計算データ(SS3)やST-Bridge、Revit等のBIMデータを受け取って直接REAL4へ読み込むことで、部材サイズや配置のゼロからの手入力を排除できます。入力ミスに伴う手戻りを防止し、物件立ち上げ初期のモデリング工数を大幅に圧縮可能です。 - 工場加工機への指示データ作成を自動化したい
モデリングした3次元データから孔あけ・切断用のNCデータを直接生成し、工場のドリルバンドソー等の一次加工機へダイレクト連携できます。CADと加工機の間に介在していた中間作業を自動化し、製作着手までのリードタイムを短縮します。
大量の貫通スリーブ処理や設計変更による図面修正の負担を削減したい専門工事業者
- 設備スリーブとの干渉チェックと梁貫通孔の作図を迅速化したい
外部DXFなどのスリーブデータを読み込み、梁部材への孔あけ配置を短期間で処理できます。1,000箇所以上におよぶスリーブ入力であっても、手動作図と比較して数倍の速度で完了させることが可能です。 - 頻繁な設計変更に伴う関連図面の修正漏れを根絶したい
3次元モデル側で変更処理を行えば、一般図、詳細図、工作図、単品図、各種帳票までが一元的に更新されます。手書き製図や汎用2D CADのように図面を1枚ずつ直す必要がなく、修正作業の工数削減と整合性の維持を両立できます。
向いていない企業・現場
鉄骨造を扱わず、木造やRC造を中心に意匠設計・総合施工図を作成する設計事務所・工務店
- 複数構造の統合モデリングや内外装の意匠表現を求めている
REAL4は日本の建築鉄骨ファブリケーションに特化した専用CADであるため、木造軸組工法やRC造の配筋検討、意匠デザインのレンダリング用途には適していません。混構造全体のモデリングや汎用的な意匠・構造設計を目的とする場合は、多構造に対応する汎用BIMソフトや総合CADの導入を検討する必要があります。
月額数千円程度の安価なサブスクリプションや、完全クラウド型の運用を希望する小規模事業者
- 初期投資を極小化し、低スペックPCやブラウザのみで運用したい
本体ライセンスはオンプレミス(個別見積)形式であり、導入にはCore i7・16GB以上のメモリを搭載した高性能なWindows PC環境が推奨されます。図面作成頻度が極めて低く、初期ライセンス購入費用や専用端末の調達コストをかけられない事業者の場合、導入ハードルが高くなる可能性があります。
類似ツールとの比較
鉄骨専用CADやBIMソフトウェアを検討する際、代表的な比較対象となるのがTrimble社の「Tekla Structures」やカルテック社の「FAB21」です。
Tekla Structuresは、鉄骨造だけでなくRC造やPCa(プレキャストコンクリート)造など多構造に対応し、グローバル規模の大規模意匠・構造プロジェクトや複雑な曲面形状の干渉チェックに強い特長を持っています。一方、REAL4は日本の鉄骨ファブリケーターの実務慣習に徹底して最適化されています。日本の建築基準や業界標準に沿った継手・仕口納まり、母屋・胴縁の自動配置、日本特有の鉄構帳票フォーマット、国内工場の一次加工機向けNCデータ出力などを標準で備えており、製作図作成から工場加工への直結業務においては、手動カスタマイズを最小限に抑えて素早く運用に乗せられる点が異なります。
また、同じく日本の鉄骨加工業界で広く利用されているFAB21と比較した場合、FAB21は特に胴縁処理における詳細な展開図やExcel確認資料の完成度・出力精度の高さに定評があります。そのため、加工業者によっては取り扱う案件の特性や胴縁納まりの複雑さに応じて両ソフトを併用する事例も見られます。一方でREAL4は、取引先ファブリケーターや元請企業とのデータ互換性において業界内で高いシェアを有しており、設計変更時における全体モデルの一元管理と図面連動の容易さに優位性があります。
料金・プラン
REAL4本体のライセンス価格は、導入構成や台数に応じた「要問い合わせ(個別見積)」となっています。導入を検討する際は、自社の工場設備やCADオペレーターの人数に応じた構成で見積もりを取得する必要があります。
なお、外部連携用の一部オプション機能については公式な利用費用が公表されています。Autodesk Revitとの連携を実現するアドインソフトウェアの利用料金は下表の通りです。
| プラン・ライセンス名称 | 初期費用 | 年額費用 | 備考 |
|---|---|---|---|
| REAL4 本体ライセンス | 要問い合わせ | 要問い合わせ | オンプレミス形式。構成・台数により個別見積 |
| BIM Revit連携システム(Revit add-in) | 要問い合わせ | 200,000円 / 台(税別) | 年間サブスクリプション形式。中間データによる双方向変換に対応 |
本体見積もりを取得する際は、以下のポイントを事前に確認しておくことが推奨されます。
- 導入するモジュール構成
作図機能だけでなく、積算見積モジュール、最適取合モジュール、原価管理モジュールなど、自社の業務範囲に必要な機能範囲を明確にしておく必要があります。 - 保守サポートおよびバージョンアップ費用の有無
導入後の法改正対応、新機能追加、OS更新に伴うバージョンアップ費用や、年間サポート契約の条件を確認します。 - 追加ライセンスやネットワーク運用の形態
CADスタッフの増員計画や、複数台でのデータ共有を行う場合の追加ライセンス費用・サーバー要件を確認します。
導入事例・実績
第一建材工業 株式会社(青森県・Mグレード)
青森県で鉄骨製作を展開する第一建材工業株式会社(Mグレード)は、業務の効率化を目的にREAL4 Type2を4台(見積積算2台、最適取合1台、原価管理1台)導入しました。
同社では従来、前世代の鉄骨CADソフト「S/F LINER」を使用していましたが、REAL4への更新によって3次元入力からの自動生成機能を活用した結果、作図および関連業務にかかる作業時間を約40%短縮することに成功しました。積算から工作図作成、材料取り合いの最適化までをシームレスにつなげることで、設計変更への対応速度と生産性の向上を達成しています。
株式会社剛工業(静岡県・Hグレード)
静岡県で大型鉄骨構造物を手掛ける株式会社剛工業(Hグレード)は、CADスタッフ4名体制のもと、REAL4を3セット導入・運用しています。
同社では外部DXFデータの取り込み機能を積極的に活用し、納期が逼迫した案件において1,200箇所に及ぶ梁貫通スリーブの配置入力をわずか2日間で完了させました。これは旧来のシステムと比較して約3倍の作業速度に相当し、プロジェクト全体で2〜3割の時間短縮を実現しました。この結果、従来は6割程度にとどまっていた専用CADの活用割合が7割以上へと向上し、作図外注費の抑制と社内処理能力の拡大に貢献しています。
有限会社 伊東工業(北海道・Mグレード)
北海道の鉄骨ファブリケーターである有限会社伊東工業(Mグレード)は、2025年11月にREAL4を2台導入しました。
同社では、元請企業から支給されるREAL4形式の3次元データを、自社側で再入力やフォーマット変換を行うことなくダイレクトに詳細図へ展開し、工場の一次加工機(ドリルバンドソー等)へ直接連携できる生産ラインを構築しました。これにより、データの再設定に伴う人的ミスの発生リスクを排除し、図面展開から一次加工着手までのリードタイムを大幅に削減しています。
REAL4の推奨動作環境とサポート・教育体制
REAL4は大規模な3次元鉄骨骨組を高速に処理するため、一定のハードウェアスペックが要求されます。また、導入企業が安定して運用を継続できるよう、全国規模のサポートネットワークと教育プログラムが整備されています。
推奨動作環境
システムを円滑に稼働させるために推奨されているPCのスペック環境は下表の通りです。
| 項目 | 仕様・推奨要件 |
|---|---|
| OS | Windows 11 / 10 / 8(64bit環境) |
| CPU | Intel Core i7(クロック周波数 3.0GHz以上推奨) |
| メインメモリ | 16GB以上推奨 |
部材点数が多い大型物件や複雑な納まりを処理する場合、CPU性能やメモリ容量の不足は処理待ち時間の増加につながるため、推奨環境以上のワークステーションの選定が推奨されます。
メーカーサポートおよび教育体制
株式会社ドッドウエル ビー・エム・エスおよび開発元である株式会社データロジックにより、以下のサポート体制が提供されています。
- 全国サービス拠点による個別支援
全国の営業・サービス拠点から、電話によるオペレーションサポートや専任技術者による直接の技術指導を受けることができます。 - オンライン動画・FAQプラットフォーム
動画配信プラットフォーム(Vimeo)を通じて操作手順を解説する動画が提供されており、新任オペレーターの自習や操作確認に活用できます。また、実務で直面しやすい疑問点をまとめたWeb Q&A集(FAQ)も定期的に更新されています。 - 「AI-Prime-Members」と集合教育
ユーザー専用会員組織「AI-Prime-Members」を通じて、オンライン講習会や「SFスクール」が定期開催されています。全国および地域別の「ユーザー会」も実施されており、操作技術の習得だけでなく、ファブリケーター同士の実務ノウハウ交換の場として機能しています。
導入前に知っておきたいこと
REAL4の導入を検討するにあたっては、自動化の恩恵だけでなく、ユーザー会や導入企業から報告されている実務上の留意点についても事前に把握しておく必要があります。
第1に、自動出図された加工図面における仕上げ調整の工数です。REAL4は3次元モデルから自動で寸法線や部材情報を配置しますが、複雑な取り合い部分では文字や寸法線が密集して重なり合うケースがあります。工場で加工を担当する作業員が誤読しないよう、見やすく配置を手動で整える「図面修正作業」が一定程度発生する点に留意が必要です。
第2に、極めて部材数が多い大規模物件における処理負荷です。鉄骨重量が増大し、部材数が数万点に達するような大規模プロジェクトでは、操作時の描画速度や合算処理に時間を要することがあり、ユーザー会等でもさらなる処理の高速化や合算機能の強化が要望として挙げられています。大規模案件を扱う場合は、推奨要件を超える上位CPUや大容量メモリを搭載した端末を用意することが望まれます。
第3に、前工程の設計進捗に対する依存性です。REAL4の自動化・一括生成の強みを最大限に活かすためには、設計図面側の寸法や仕様が確定しており、事前の不整合チェックが先行して完了していることが前提となります。設計変更が頻繁に発生したり、監理者側での質疑回答が遅延したりすると、モデル更新と再出図が繰り返され、自動化による生産性向上の効果が十分に発揮されにくくなる側面があります。
導入の流れ・期間
REAL4を導入する際の標準的なプロセスは以下の通りです。本体の具体的な導入期間や納品までのスケジュールについては、個別見積もり時の問い合わせが必要です。
- 問い合わせ・ヒアリング
公式サイトのフォームまたは電話から問い合わせを行い、自社の工場規模(保有グレード)、月間加工トン数、現在の作図体制、使用している加工機の機種などを伝えます。 - デモンストレーション・機能確認
専任担当者により、実際の図面データやモデルを用いたデモンストレーションが実施されます。母屋・胴縁の入力方法やNCデータの出力可否、外部BIMソフトとの連携仕様などを確認します。 - 構成選定・見積もり提示
必要なライセンス数、オプションモジュール(Revit連携、積算、原価管理等)、保守契約の内容を確定し、見積書が提示されます。 - 契約・機器環境の準備
契約締結後、推奨動作環境を満たすPC端末やネットワーク環境を社内に整備します。 - 初期セットアップ・教育講習
システムのインストール後、メーカー技術者による基本操作指導や、操作動画・スクールを活用したCADオペレーターの初期トレーニングを実施します。 - 実案件での運用開始・本稼働
小規模案件や試作物件から実際の製作図展開・NC出力を開始し、加工機との接続や出図精度を検証しながら本格稼働へ移行します。
よくある質問(FAQ)
- モバイル端末(スマートフォン・タブレット)での閲覧には対応していますか?
- 対応しています。「S/F com-pass 3D View」を利用することで、REAL4で作成した3次元鉄骨モデルを現場や工場のスマートフォン・タブレットから立体的に閲覧できます。また、QRコードを読み取って製作進捗をモデル上に反映する出来高管理機能も提供されています。
- Autodesk RevitなどのBIMソフトと直接データ連携できますか?
- 可能です。年間サブスクリプション形式で提供されているオプション「BIM Revit連携システム(Revit add-in)」を利用することで、Revitと中間データを介した双方向変換が行えます。また、業界標準フォーマットである「ST-Bridge」や「IFC」による入出力にも対応しています。
- 導入前の無料トライアルやデモ体験は可能ですか?
- 公式サイト上で無料体験版の常設ダウンロードは案内されていませんが、専任担当者による実機デモンストレーションの実施を受け付けています。自社の加工機へのNCデータ適合性や操作感については、問い合わせ時に相談の上で確認することが推奨されます。
- オペレーターが操作に不慣れな場合のサポートや講習体制はありますか?
- 充実した体制が用意されています。全国サービス拠点による電話サポートや直接指導に加え、Vimeoによる操作動画の配信、Web FAQ集が提供されています。さらに会員組織「AI-Prime-Members」を通じたオンライン講習会や地域別ユーザー会も定期的に開催されています。
- Macやクラウドブラウザ環境でも動作しますか?
- Mac環境やWebブラウザ単体での動作には対応していません。REAL4はWindows専用のオンプレミス型ソフトウェアであり、推奨動作環境としてWindows 11 / 10 / 8(64bit)が指定されています。
- 契約期間や途中解約に関する条件は公開されていますか?
- 本体ライセンスは買い切りのオンプレミス提供(要個別見積)を基本としており、標準的な契約期間や解約条件は公開されていません。なお、Revit連携アドインなどの一部オプションは1年単位の年間サブスクリプション契約となっています。具体的な保守契約の更新・解約条件は見積もり時に確認が必要です。