Collage Officeとは?
Collage Office(コラージュ オフィス)は、ドローン空撮写真や地上型レーザースキャナー、MMS(移動計測車両)など、多種多様なセンサで取得した膨大な3次元点群データを1つの空間内で統合処理・解析する測量・土木向けデスクトップソフトウェアです。株式会社トプコンが提供していた「MAGNET Collage」が2024年6月11日付で名称変更され、点群の高速レジストレーションや高密度点群処理を担う中核製品として再定義されました。現場ごとにセンサや座標系が異なることで生じるデータ統合の手間や、大規模な点群解析にかかる内業負荷を低減し、土量計算や断面作成、地表面抽出といったICT土工実務の効率化を支援します。
主な機能
Collage Officeは、現場で取得された異なる計測手法のデータを同一空間に統合し、解析・図面化・数量算出までをデスクトップ上で完結させる機能を備えています。主な機能は以下の3つの領域に分類されます。
マルチセンサ点群統合・レジストレーション機能
- 複数センサデータの高速合成・レジストレーション
地上型レーザースキャナー(TLS)やドローン(UAV)空中写真、トータルステーション一体型スキャナー、MMS(移動計測車両)など、異なる機器で取得した点群データを同一プロジェクト内で高精度に合成します。現場内の基準点やターゲット、特徴点をもとに位置合わせを行い、計測機器ごとの死角を補完し合った高密度な現場デジタルツインを構築できます。 - UAV空中写真解析・SfM点群生成
ドローンで連続撮影したオーバーラップ写真から、SfM(Structure from Motion)多視点ステレオ処理によって3次元点群やオルソ画像を生成します。対空標識(標定点・GCP)の座標を入力して幾何補正を行うことで、公共測量やi-Constructionの基準に適合する三次元位置座標を算出します。 - スキャンデータ生成および座標系変換
各種計測機器の生スキャンデータを取り込み、公共測量で用いられる平面直角座標系などの絶対座標系へ整合させます。センサごとに異なるデータ形式を個別に変換する手間を省き、後工程の解析作業へシームレスに移行できます。
データクレンジング・サーフェス生成機能
- 地表面フィルタリング(ノイズ・障害物除去)
点群データの中から、施工機械や仮設物、樹木、通行車両といった地表面以外の不要なオブジェクトを自動判別して除去します。ICT土工の起工測量や出来形計測において、正確なグラウンドデータ(地表面)のみを効率的に抽出できます。 - サーフェス作成(TIN・DEM生成)
フィルタリング後の地表面点群から、不規則三角網(TIN)や数値標高モデル(DEM)を高速生成します。地形の起伏に応じたコンター線(等高線)の自動抽出にも対応し、造成計画や現況地形の詳細な勾配把握を支援します。 - 点群表示・編集・密度間引き
数千万点から数億点規模の大容量点群をデスクトップ上で高速に描画し、必要なエリアのトリミングや間引き処理を行います。後工程で使用するCADソフトやBIM/CIMモデリングツールの推奨データ容量に合わせて最適化することが可能です。
土工解析・計測評価機能
- 土量計算(体積・面積・距離計測)
起工測量データと設計データ、または施工前後のサーフェスデータを比較し、メッシュ法(TIN法)を用いた切土・盛土量の自動算出を行います。従来の2次元平均断面法に比べて現況の微細な凹凸を正確に反映できるため、土量精算の精度向上と手戻り削減に寄与します。 - 断面作成・変位確認
点群モデル上の任意の位置に測線を引くことで、縦横断図用の断面データを抽出します。追加測量のために現場へ再出向することなく、オフィス内の画面上で設計断面との離隔や現況形状の確認が完結します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
複数の計測機器を組み合わせて大規模・複雑な測量を行う測量コンサルタントや中堅・大手ゼネコン
- ドローン空撮と地上スキャンデータの位置合わせに内業工数がかかっている
UAV写真測量だけでは樹木下や構造物の下面などの死角が生じ、地上レーザースキャナーだけでは広域の地盤を網羅できません。Collage Officeのマルチセンサ統合機能を用いることで、異なる計測機器のデータを1つの3D空間上で高速に合成でき、死角のない包括的な点群モデル作成にかかる内業時間を削減できます。 - MMS(移動計測車両)と静止型レーザーを併用する道路・インフラ計測の現場を抱えている
広域の道路面をMMSで走行計測し、詳細な構造物周辺を地上型スキャナーで補完するようなハイブリッド計測において、Collage Officeは双方の点群を一元処理できます。事前計画を過度に細分化することなく全域を効率的に計測・合成できるため、現地計測およびデータ結合の工数平準化に貢献します。
i-Construction対応工事で起工測量から出来形管理までを内製化したい建設企業
- 点群の外注処理コストや納期待ちによる工程遅延を解消したい
現場で取得した大容量の点群データを自社内のローカルPC上で直接解析・編集できるため、外注先からの納品待ちをなくし、翌日の施工計画へ即座に土量計算結果を反映できます。不要物の自動フィルタリングからTIN生成、土量算出までを内製化することで、現場運用の迅速化が図れます。 - 出来形合否判定のための断面抽出をオフィス内で完結させたい
従来の2次元測量では測点の追加確認のために現場への再出向が発生していましたが、面的に取得した高密度点群から任意の横断線を何度でも抽出できるため、手戻り作業を大幅に減らしつつ発注者向けの提出資料を作成できます。
向いていない企業・現場
単一のドローンによる簡易空撮のみを行い、点群合成や複数センサ連携を必要としない小規模現場
- 空撮写真のオルソ画像化や簡易的な2D図面作成が主な業務である
Collage Officeは地上型レーザースキャナーやMMSなどの複数センサ統合や高密度点群処理に強みを持つソフトウェアです。小型ドローンの自動航行写真からオルソ画像を作成するだけであれば、単体機能に特化したクラウド型写真測量ツールや簡易SfMソフトの方が導入・運用のハードルが低い場合があります。
ハイスペックな解析用PCを用意できず、ブラウザ上での簡易閲覧・共有のみを求める企業
- 現場のモバイル端末や一般的なオフィス用ノートPCのみで点群を扱いたい
Collage Officeはローカル環境で大容量点群を詳細解析するため、高性能なCPUやGPUを搭載したワークステーション環境(高機能PC)が推奨されます。PCへの投資を行わず、現場間での点群の簡易計測や閲覧、発注者への3Dデータ共有のみを主目的とする場合は、同シリーズのクラウド版である「Collage Web」や他社の軽量ビューワーツールの利用が適しています。
類似ツールとの比較
点群処理ソフトウェアの市場には、ドローン写真測量に特化した海外製SfMソフトウェアや、土木施工管理・電子納品に特化した国産の点群処理CADソフトなど、複数の選択肢が存在します。その中でCollage Officeを検討する際の比較ポイントは、「計測機器との親和性」「マルチセンサ統合の処理能力」「現場とオフィスを繋ぐエコシステム」の3点です。
第1に、計測ハードウェアとのダイレクトな連携性です。トプコン製の地上型3Dレーザースキャナー(GLSシリーズ)やトータルステーション一体型スキャナー(GTLシリーズ)、MMS(IP-S3シリーズ)などの計測生データをネイティブに近い形で高速に取り込み、機器のキャリブレーションパラメータや観測条件を正確に反映した点群生成が行えます。ハードウェアベンダー自身が開発しているため、センサ固有の誤差特性や属性情報(反射強度・RGB)の保持において高い信頼性を確保できます。
第2に、異なる計測手法によるデータの統合処理能力です。一般的なSfMソフトはドローン等の空中写真からの点群生成に特化しており、地上型LiDARや移動体計測データとの直接結合には別途サードパーティ製ツールの介在を必要とすることが少なくありません。一方、Collage Officeは写真測量由来の点群と各種レーザースキャナー由来の点群を同一プロジェクト内で高精度に位置合わせ・レジストレーションできる設計となっており、単一のソフトウェア内で現場全体のデータ統合が完結します。
第3に、後述する「Collageファミリー」による役割分担です。デスクトップ解析用のCollage Office単体にとどまらず、現場でのスキャン計測をタブレットから制御・確認する「Collage Site」、解析結果を関係者とWebブラウザ上で共有・簡易計測する「Collage Web」と連携できる体制が整っています。他社製スタンドアロン型ソフトのように「解析した大容量データをどのように現場や発注者へ共有するか」という課題に対し、メーカー純正のエコシステム内でワークフローを完結できる点が特徴です。
料金・プラン
Collage Officeの導入費用およびライセンス価格は、オープン価格としては一般公開されておらず「要問い合わせ」となっています。販売形態としては、従来製品であるMAGNET Collageの体系を引き継ぎ、通常ライセンス版(恒久ライセンス型)やサブスクリプション版、保守メンテナンスキットなどが用意されています。
導入検討時にトプコンまたは正規販売代理店へ見積もりを依頼する際は、以下の点を確認することが推奨されます。
- ライセンス形態の選択
自社の利用頻度や償却計画に合わせて、買い切り型の通常ライセンスか、期間利用が可能なサブスクリプション版かの選択肢を確認する必要があります。 - 保有センサ・対応モジュールの範囲
利用する計測機器(UAV写真、地上レーザースキャナー、MMSなど)によって必要な構成やオプションモジュールが異なる場合があるため、処理対象とするデータ種別を事前に整理して見積もりを依頼します。 - 年間保守・サポート契約の内容
バージョンアップへの対応権や、操作問い合わせ窓口(コールセンター)の利用条件、保守メンテナンスキットの更新費用などを確認しておくことが重要です。
導入事例・実績
Collage Office(旧MAGNET Collage)は、高精度な点群処理が求められる測量コンサルタントや建設関連企業において導入が進められています。
株式会社小林コンサルタント(測量コンサルタント)
測量コンサルタント業務を手がける株式会社小林コンサルタントでは、旧MAGNET Collageのパイロットユーザーとして同ソフトウェアを導入し、UAV空中写真解析およびMMS(移動計測車両)データの統合処理に活用しています。
同社では、広域計測における点群データの処理時間やレジストレーション作業の効率化を目的に運用を開始しました。導入効果として、ソフトウェア上で数点の特徴点を選択するだけで写真データ同士が一瞬で結合される点や、データ合成にかかる作業時間の大幅な短縮が報告されています。また、MMSを用いた走行計測においても、事前の走行計画を過度に細かく分割することなく広範囲を一度に計測し、オフィス側で高速に処理・統合できるようになったことで、現地作業と内業の双方において業務の平準化と省力化が実現されています。
Collageファミリー(Office・Site・Web)によるデータ連携エコシステム
トプコンは、建設・測量現場における3次元データの取得から共有までの分断を解消するため、「Collage」ブランドのもとで役割の異なる3つの製品群を展開しています。Collage Officeはその中で高負荷なデスクトップ解析を担う中核製品として位置づけられています。
| ソフトウェア名 | 稼働環境 | 主な役割・機能 | 主な利用対象者 |
|---|---|---|---|
| Collage Site | 現場タブレット・端末 | スキャナー機器の遠隔操作、計測データの現場プレビュー、欠測箇所の即時確認 | 現場測量技術者・作業員 |
| Collage Office | オフィス用高機能PC | UAV写真解析、マルチセンサ点群合成、ノイズ除去、土量計算、詳細サーフェス作成 | 内業解析担当者・設計技術者 |
| Collage Web | クラウド(Webブラウザ) | 3D点群モデルのオンライン共有、ブラウザ上での距離・面積簡易計測、関係者間コラボレーション | 発注者・現場管理者・協力会社 |
現場では「Collage Site」を用いてスキャン漏れを未然に防ぎ、オフィスでは「Collage Office」が高密度点群の合成や土量算出を高速に実行します。さらに、その解析成果をクラウド基盤である「Collage Web」へアップロードすることで、ハイスペックPCを持たない現場代理人や発注者、協力会社ともブラウザ経由で3D現況データを共有できます。解析の内業負担をローカルで担保しつつ、関係者間の情報共有をクラウドで円滑化するエコシステムが構築されています。
対応するトプコン製センサ・計測機器の連携仕様
Collage Officeの大きな特長は、トプコンが展開する多様なポジショニング機器・光波測量技術とのダイレクトな連動性にあります。対応している主なハードウェア群は以下の通りです。
- 地上型3Dレーザースキャナー(GLS-2000 / GLS-2200)
長距離・高精度スキャンに対応した地上型レーザーの生データを取り込み、器機械置点設置や後方交会法、タイポイントによる自動合成を高精度に実行します。 - トータルステーション一体型スキャナー(GTL-1000 / GTL-1200)
TSによる測設・基準点測量と高密度スキャンを1台で同時に行えるGTLシリーズの観測データを処理し、基準点座標と整合した3D点群を素早く構築します。 - MMS(移動計測車両:IP-S3 HD1等)
車両走行によって連続取得された全方位カメラ画像およびLiDAR点群データを取り込み、位置姿勢(GNSS/IMU)データと同期させた広域道路空間の点群生成・統合を行います。 - UAV(ドローン)写真測量・TSトラッキングUAS
一般的なドローン空撮写真のSfM解析に加え、トプコン独自の写真測量システム「TSトラッキングUAS」から取得された高精度位置データを用いた空中写真解析に対応します。
これらの機器から出力される点群は、センサごとに計測密度や誤差の出方が異なりますが、Collage Office内で同一の座標系上に高精度レジストレーションできるため、複数機器を用いた複合測量プロジェクトにおいて威力を発揮します。
導入前に知っておきたいこと
Collage Officeの導入を検討するにあたっては、処理能力を十分に引き出すためのハードウェア環境と、操作技術に関する留意点を把握しておく必要があります。
第1に、高スペックなPC環境の準備が必要となる点です。Collage Officeは数億点規模の点群や高解像度のUAV写真データをローカル環境で高速処理・合成するデスクトップソフトウェアであるため、一般的なビジネス用PCでは処理落ちやレンダリング遅延が発生する可能性があります。メーカーが推奨する高性能なマルチコアCPU、大容量RAM、専用GPU(グラフィックスボード)を搭載したワークステーションの配備を前提とした予算組みが必要です。なお、現場端末への負荷を抑えたデータ確認や共有を行いたい場合は、クラウド型の「Collage Web」を併用するワークフローがトプコンより推奨されています。
第2に、測量・点群処理に関する専門知識と操作スキルの習得が求められる点です。全自動で写真をアップロードするだけの簡易クラウドサービスとは異なり、Collage Officeでは複数センサ間の標定点・タイポイントの設定、エラー診断、幾何補正、地表面フィルタリングのパラメータ調整などをユーザー側で適切に制御できます。これは高精度な成果物を作成できる強みである一方、公共測量作業規程やi-Construction基準を理解した技術者による適切な運用体制が前提となります。
導入の流れ・期間
Collage Officeを導入する際の標準的なプロセスは以下の通りです。導入決定から実務稼働までの具体的な期間は、ライセンス発行状況やPC環境の整備期間によって異なるため、問い合わせ時に確認してください。
- 問い合わせ・要件確認
株式会社トプコンまたは地域の正規特約店・販売代理店へ問い合わせを行います。自社が保有する計測機器(UAV、TLS、MMS等)や想定する現場規模、処理したいデータ容量をヒアリングの上、適切なシステム構成が提示されます。 - デモンストレーション・性能確認
必要に応じて、自社の計測データを用いた処理速度や点群合成精度の検証、操作画面の確認を行うデモが実施されます。 - 見積もり・ライセンス選定
通常ライセンス(買い切り型)またはサブスクリプション版、保守サポートキットの有無を選択し、最終見積もりが提示されます。解析用PCのスペック要件についてもこの段階で確認します。 - 契約・ライセンス発行
販売代理店等を通じて発注手続きを行い、ソフトウェアのアクティベーション用ライセンスキーが発行されます。 - インストール・初期設定・稼働開始
指定の解析用PC(Windows 10/11環境)にソフトウェアをインストールし、ライセンス認証を行います。メーカー提供の製品FAQやコールセンターサポート、代理店による操作講習などを活用しながら実現場でのデータ処理へ移行します。
よくある質問(FAQ)
- 旧製品である「MAGNET Collage」と何が違いますか?
- 2024年6月11日付でMAGNET CollageからCollage Office(Ver.3.0.0以降)へ名称変更が行われました。トプコンの「Collage」ブランドにおけるデスクトップ解析中核ソフトウェアとして位置づけられており、基本機能やライセンス形態は旧製品の仕様を引き継ぎつつ、継続的な機能強化が行われています。
- スマートフォンやタブレットから操作できますか?
- Collage Office自体はローカルPC専用のデスクトップソフトウェア(Windows 10 / Windows 11対応)であり、モバイルOS上では直接動作しません。現場のタブレット端末等で計測制御やプレビューを行う場合は「Collage Site」、クラウド経由で現場や外出先から点群を閲覧・確認する場合は「Collage Web」を利用する運用となります。
- 無料トライアルやデモ版は提供されていますか?
- 一般向けの無料トライアル版の常時ダウンロード公開は確認されていません。導入検討時のデモンストレーションや評価検証の可否については、トプコン公式サイトの問い合わせ窓口または正規代理店へ直接ご相談ください。
- 導入後のサポート体制はどのようになっていますか?
- 株式会社トプコンソキアポジショニングジャパンのコールセンター(平日9:00〜17:00対応)による問い合わせサポートが提供されているほか、公式Webサイト上で製品FAQが公開されています。また、保守メンテナンスキットを契約することで最新バージョンへのアップデート権利などが付与されます。
- 他社製のドローンやスキャナーで取得した点群データも読み込めますか?
- LAS形式やCSV/テキスト形式など、業界標準の汎用点群フォーマットに対応しているため、他社製センサで取得・出力された点群データの取り込みや編集も可能です。ただし、トプコン製ハードウェアのような専用 raw データの直接処理や特定連携機能については一部制限される場合があるため、事前に対象フォーマットの適合性確認を推奨します。
- サブスクリプション版と通常ライセンス版のどちらを選べばよいですか?
- 年間の工事量や設備投資計画によって適した形態が異なります。特定工期の間だけ一時的に利用したい場合や初期費用を平準化したい場合はサブスクリプション版、長期的に日常業務で恒常利用する場合は通常ライセンス版(恒久ライセンス)が候補となります。具体的な価格体系や契約条件は見直されることがあるため、最新の見積もりをご確認ください。