KY-NEXTとは?
KY-NEXTは、株式会社Archが提供する建設現場向けの安全管理・KY(危険予知)活動支援SaaSです。建設特化AI「Arch Intelligence」を搭載し、当日の作業内容やリアルタイムの気象情報・WBGT値(暑さ指数)から危険要因と安全対策を自動提案します。自社独自のKYシート様式をノーコードでシステム上に再現できるため、従来の運用ルールを崩さずにペーパーレス化と形骸化防止を実現します。元請会社だけでなく、日々の現場入場者が手軽に参加できる仕組みを備え、安全活動の実効性と施工管理者の事務効率化を両立するツールです。
主な機能
KY-NEXTは、手書き用紙の回収や保管に追われていた従来の安全管理業務を解消し、現場での危険予知活動の質を引き上げるための機能を備えています。主な機能は「KY活動作成・AI支援機能」「現場運用・承認管理機能」「労務・入退場管理連携機能」の3つに分類されます。
KY活動作成・AI支援機能
- ノーコードテンプレートビルダー
各建設会社が長年運用してきた独自のKYシート書式を、追加の個別開発費用をかけずにシステム上で完全再現できます。自社特有の点検項目やレイアウトをそのまま移行できるため、導入に伴う現場作業員や職長の運用混乱を抑えられます。 - 建設特化AI「Arch Intelligence」によるリスク・対策自動提案
職長が入力した具体的な作業内容に対し、現場のリアルタイム気象データ(天候、風速、WBGT値)を組み合わせて潜在リスクと安全対策を自動抽出します。作業員の経験値や思いつきに依存していたKY活動のマンネリ化を防ぎ、当日の環境条件に即した危険予知を短時間で立案できます。 - ログイン不要の手書き電子サイン
作成したKYシートへの確認サインを、スマートフォンの画面上で直接手書き入力できます。アカウントを持たない協力会社作業員でもその場で指名サインを完結できるため、朝礼時の確認漏れや紙の持ち回りによる時間のロスを防ぎます。
現場運用・承認管理機能
- アカウント・専用アプリ不要のQRコードアクセス
協力会社の職長や作業員は、現場に掲出されたQRコードを私用または支給のスマートフォンで読み取るだけでKYシート作成や閲覧が可能です。専用アプリのインストールや個人メールアドレス・パスワードの登録が不要なため、新規入場者が多い現場でも導入初日からスムーズに運用を開始できます。 - 現場監督向けの一覧確認・リアルタイム承認
各工種・各協力会社から提出されたKYシートはクラウド上で集約され、現場監督はPCやタブレットから一覧形式で即座に確認・承認できます。紙のシートを詰所まで回収しに行く手間がなくなり、巡回前や朝礼直後の空き時間に進捗を把握できます。 - モバイルからのヒヤリハット報告
現場でヒヤリとした事象やハッとした不安全状態を、作業員が自身のスマートフォンから即座に報告できます。報告内容は電子データとして蓄積され、過去の傾向分析や翌日以降のKY活動における重点安全指示へ還元されます。
労務・入退場管理連携機能
- 「出面日報」連携
KY活動の参加記録を作業員の出面情報と紐付け、日次の労務日報作成を省力化します。現場に誰が入場し、どの作業のKY活動に参加したかを一体で把握できるため、元請監督の事務処理工数を削減します。 - 「Arch秒速チェックイン」連携
QRコード読み取りと顔写真撮影を組み合わせた入退場管理機能と連動し、現場への入場手続きからKYシート作成までを一連の流れで処理できます。入場確認と安全管理手続きの重複を解消し、朝礼前後の混雑を緩和します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
自社独自のKY帳票フォーマットがあり、協力会社のITリテラシーに課題を抱える建設会社
- 指定帳票の変更が難しく、市販の固定フォーマット型KYツールを導入できない
ノーコードテンプレートビルダーを活用することで、元請指定の安全帳票や社内監査ルールに沿った様式を追加開発費なしでクラウド上に再現できます。現場の運用手順を変える必要がないため、帳票の変更に伴う社内調整や協力会社への再教育負担を最小限に抑えられます。 - 日々出入りする協力会社作業員へのID配布やアプリ導入のハードルが高い
現場に設置したQRコードを読み取るだけで、ブラウザ経由でKY作成や電子サインが完了する仕組みを採用しています。作業員に個別アカウントの発行や個人端末へのアプリインストールを強制しないため、登録手続きの煩雑さや個人情報管理への懸念による導入頓挫を回避できます。
気象変化による労働災害リスクが高く、KY活動の形骸化を防止したい屋外施工現場
- 朝礼時のKYシート記入が「足元注意」「声かけ確認」などの定型句で形骸化している
建設特化AI「Arch Intelligence」が作業内容と現場のリアルタイム環境(風速や暑さ指数など)を掛け合わせて具体的な危険ポイントを提案します。経験の浅い職長であっても説得力のある安全指示を組み立てられるようになり、現場全体の危険感受性の底上げにつながります。 - 夏季の熱中症や強風時の高所作業など、急激な気象変化に応じた安全対策が徹底できていない
気象データやWBGT値を自動連動させてKYシートを作成できるため、朝の記入時点における環境数値を反映した対策が確実に記録されます。施工管理者が気象数値を手作業で調べ直して指示を出す手間を省き、法令や指針に準拠した衛生管理を標準化できます。
向いていない企業・現場
バイタルデータに基づく個人の体調変化をリアルタイム自動監視したい現場
- ウェアラブル端末による心拍数や体表面温度の常時センシングを主目的にしている
KY-NEXTは作業前後の危険予知活動やヒヤリハット報告を起点とした安全管理SaaSであり、作業員個人の生体データを直接取得・解析するハードウェア連動ツールではありません。熱中症予兆や転倒の即時検知を最優先とする場合は、バイタルセンシングに特化したウェアラブル見守りサービスを検討した方がよいといえます。
PCやスマートフォンを一切持ち込まず、紙ベースでの手書き朝礼のみを維持したい現場
- 現場内での通信端末利用が厳格に禁止されており、電子機器を介した運用ができない
ブラウザベースで動作するSaaSであるため、職長や現場監督がスマートフォン等を操作できる通信環境が前提となります。現場内への電子端末持ち込みが制限されている特殊な工事区画や、通信インフラが完全に遮断された環境では、本ツールの利点を生かすことが困難です。
類似ツールとの比較
安全管理やKY活動の高度化を支援するツールには、KYシート作成に特化したSaaS、現場写真を解析するAIアプリ、生体データを監視するウェアラブル端末など複数のアプローチが存在します。現場の運用課題に応じて最適な選択肢を比較検討することが重要です。
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| KY-NEXT | 自社KYシートのノーコード再現、気象・WBGT連動のAIリスク提案、アカウント不要のQR運用に対応 | 要問い合わせ(SaaS月額課金) | 自社書式を維持したまま協力会社の導入障壁を排し、KYの形骸化と事務負担を解消したい企業 |
| HACARUS KY | 過去の労災事例や危険ポイントをイラスト付きで自動提案するNETIS登録アプリ。活動の質を数値化・レポート化 | 要問い合わせ(公式サイトで確認推奨) | イラストを活用した視覚的なKY活動を行いたい企業や、NETIS登録技術による公共工事での加点を狙う現場 |
| 安全支援アプリ | 現場写真を1枚撮影するだけで生成AIが危険箇所・関連法令・過去事故事例を即座に提示 | 要問い合わせ(公式サイトで確認推奨) | 写真起点で現場巡視や危険箇所の抽出を行いたい企業や、若手監督の安全指導ノウハウを標準化したい現場 |
| Work Mate | スマートウォッチのバイタルデータとWBGT環境値をAI解析し、熱中症予兆や転倒・転落を早期検知 | 要問い合わせ(初期費用+月額料金体系) | 作業中の生体反応をリアルタイムで遠隔監視し、重大な体調不良や労災を未然に防ぎたい現場 |
KY活動の運用見直しにおいて、各ツールの役割を正しく見極める必要があります。HACARUS KYはイラスト付きの危険予知提案やNETIS登録実績に強みがあり、視覚的な直感性を重視する場合に適しています。また、EARTHBRAINの安全支援アプリは現場の状況写真をAIが画像解析するため、朝礼前の巡回点検やKY看板への写真貼付といった業務との親和性が高い特徴を持ちます。
一方、KY-NEXTは「各社独自の帳票レイアウトをそのままデジタル化できる柔軟性」と「協力会社作業員にアプリインストールやアカウント登録を求めない運用設計」に主眼が置かれています。長年培った自社の管理基準を一切変えずに電子化へ移行したい場合や、下請職長のIT導入に対する心理的抵抗を極力排除したい場合には、KY-NEXTが有力な検討対象となります。
なお、作業中の熱中症や体調急変を客観的なバイタル数値で把握したい現場であれば、KYシート作成支援ツール単体ではなく、Work Mateのようなウェアラブル監視ツールとの併用、あるいは用途に応じた使い分けを検討することが推奨されます。
料金・プラン
KY-NEXTの料金プランおよび初期費用・月額利用料の具体的な金額は、公式サイト上では公開されておらず要問い合わせとなっています。提供形態はSaaS(月額課金モデル)です。
なお、2026年10月に提供が開始された「アカウント・専用アプリ不要の機能」については、契約企業であれば追加費用なしで利用可能であることがArch社より公表されています。見積もりを取得する際は、以下のポイントを事前に確認することをおすすめします。
- 課金単位の基準
利用する現場数に応じた現場単位の課金なのか、管理者のID数に応じたライセンス体系なのか - 帳票再現にかかる初期費用の有無
自社帳票のノーコード再現テンプレート作成にあたり、初期設定支援費用等が発生するかどうか - 最低契約期間と利用現場の増減ルール
工期の変動や現場の開設・閉所に合わせた休止・再開の柔軟性
導入事例・実績
株式会社Archの公表資料によると、KY-NEXTにおける月間のKYシート作成数は、2026年6月の提供開始から2026年9月までの約3か月間で約5倍に増加した実績が示されています(2026年9月28日時点)。手書き運用のデジタル化とアカウント不要機能の提供により、現場での利用頻度が急速に拡大している状況がうかがえます。
なお、提供元であるArch社全体の導入企業としては大鉄工業や大成建設、戸田建設などの大手ゼネコンが名を連ねていますが、「KY-NEXT」単体での特定企業名、導入現場数、具体的な削減時間といった定量的効果を明記した公開事例は現時点では確認できていません。最新の導入事例や他社実績については公式サイトよりご確認ください。
入退場管理と出面日報を直結させる「Arch秒速チェックイン」連携
KY-NEXTは、単独の危険予知シート作成にとどまらず、現場の労務管理・安全管理の入口となる各種モジュールとデータ連携が可能な点に実務上の特色があります。
具体的には、2026年7月に搭載された「出面日報」機能および同年8月に実装された「Arch秒速チェックイン」との連携に対応しています。「Arch秒速チェックイン」は、現場入場時にQRコードの読み取りとスマートフォンのインカメラによる顔写真撮影を行うだけで入退場を記録できる仕組みです。この入退場データがKY-NEXTの作成フローと連動することにより、以下のような実務メリットが生まれます。
- 入場確認とKY参加確認の一元化
誰が現場に入場し、どの作業のKY活動に参加したのかがシステム上で自動突合されるため、朝礼時の点呼や出欠確認の二度手間を解消します。 - 出面日報の自動生成支援
日次の作業実績と入場記録が紐付くことで、元請の施工管理者が夕方に行う出面日報の集計作業を効率化できます。
安全管理書類の作成と日々の労務管理を分断させず、1つのスマートフォン操作フローとして統合できる点は、付帯業務の圧縮を急ぐ現場監督にとって実務的な利点となります。
導入前に知っておきたいこと
KY-NEXTの導入を検討する際は、従来のデジタルKYツール運用で報告されていた現場の心理的ハードルと、それに対する機能アップデートの経緯を把握しておくことが重要です。
Arch社が公表した導入企業からのフィードバックによると、先行して提供されていたデジタルKY運用においては、以下のような課題や抵抗感が現場から報告されていました。
- 初回登録時における作業員のつまずき
操作自体は容易であるものの、最初の職長ユーザー登録時にメールとブラウザを行き来する認証手順で操作が滞り、現場監督への問い合わせが増加してしまう事象がありました。 - 個人用スマートフォン利用に対するプライバシー懸念
私用の携帯電話しか持たない協力会社作業員に対してアカウント登録を依頼する際、私用メールアドレスの登録をセキュリティやプライバシーの観点から敬遠され、現場監督が登録理由を個別に説明する負担が生じていました。
これらの運用課題を受け、2026年10月5日からは「アカウント・アプリ不要で、現場のQRコードから即座にKYシートを作成・報告できる機能」が追加実装され、現場作業員側の初期設定負担が排除されています。ただし、現場監督側でのデータ承認や全体の帳票設定には正規の管理者アカウントが必要となるため、元請社内における承認フローの整理や操作説明の手順は事前に確認しておく必要があります。
導入の流れ・期間
KY-NEXTの具体的な導入期間について公式サイト上での明確な日数は確認できていませんが、一般的なクラウド型SaaSの導入フローに準じた以下の手順で進められます。詳細な所要期間は要問い合わせとなります。
- 問い合わせ・ヒアリング
公式サイトの専用フォームより問い合わせを行い、現在のKY活動の運用方法や自社指定のKYシート様式、対象現場の規模をベンダーへ共有します。 - デモ画面の確認・提案
専任担当者から実際の画面デモの案内を受け、AI提案機能の精度や帳票再現のイメージを確認します。 - 見積もり・契約
利用規模や対象現場数に応じた見積もり内容を確認し、利用契約を締結します。 - 自社帳票のノーコード再現・初期設定
自社で使用しているKYシートのフォーマットをノーコードテンプレートビルダーに落とし込み、現場ごとの運用項目を設定します。 - 現場稼働・サポート開始
現場内にアクセス用のQRコードを設置し、朝礼での利用を開始します。Arch社の専任カスタマーサクセス部門による運用サポートを受けながら定着を図ります。
よくある質問(FAQ)
- 協力会社の作業員も専用のスマートフォンアプリをインストールする必要がありますか?
- いいえ、専用アプリのインストールは不要です。現場に掲出されたQRコードを作業員のスマートフォンカメラで読み取るだけで、ブラウザが起動してKYシートの作成や手書きサインを行えます。
- 作業員一人ひとりにメールアドレスやログインIDの発行が必要ですか?
- いいえ、2026年10月に追加された機能により、作業員や協力会社の職長は個人のメールアドレスやパスワードを登録せずに利用できます。私用端末を使用する作業員のプライバシーにも配慮された仕様です。
- 自社で長年使っている独自のKYシート様式をそのまま使えますか?
- はい、ノーコードテンプレートビルダーが搭載されており、各社固有の帳票レイアウトや点検項目を追加の開発費用なしでシステム上に再現することが可能です。
- 無料トライアルや操作デモは利用できますか?
- 公式サイトの問い合わせ窓口より相談が可能です。実際の操作感や自社帳票の再現可否については、ベンダーへ直接デモやトライアルの提供状況をお問い合わせください。
- 導入後の現場定着に向けたサポート体制はありますか?
- 株式会社Archの専任カスタマーサクセス部門が、ツールの導入初期設定から現場での実運用定着までをサポートする体制が整備されています。
- 契約期間や解約条件、現場ごとの利用増減ルールはどうなっていますか?
- 契約期間や解約に関する具体的な条件はWeb上では公表されていません。工事の工期に応じた柔軟な契約が可能かどうかを含め、見積もり時に直接ご確認ください。