Smart Construction 3D Machine Guidanceとは?
Smart Construction 3D Machine Guidanceは、株式会社EARTHBRAINが提供する、既存の油圧ショベルやミニショベルに後付けできるICT施工支援システムです。高精度GNSSや傾斜センサーによりバケット先端の刃先位置を算出し、3次元設計データと照合しながら運転席の専用タブレットで掘削・整地作業をリアルタイムにガイドします。従来必須だった丁張りの設置作業や手元確認作業を大幅に削減し、保有建機を買い換えることなくICT施工の内製化と現場の省人化・安全性向上を支援します。
主な機能
Smart Construction 3D Machine Guidance(旧称:Smart Construction Retrofit、2024年4月1日より名称変更)は、現場の掘削作業を支援するガイダンス機能から、現場完結型の簡易モデリング、施工履歴データの管理・オプション計測まで、幅広い機能を備えています。
リアルタイムガイダンス・施工支援機能
- 3Dマシンガイダンス
GNSSや角度センサー(IMU)から得られた重機の絶対位置・姿勢情報と、取り込んだ3次元設計データを照合します。専用タブレットの操作アプリ「Smart Construction Pilot」の画面上にバケット刃先の現在位置と設計面との高低差をミリ単位でリアルタイム表示し、音と視覚でオペレーターの手動掘削を誘導します。 - 簡単3D機能
外部で作成された3次元設計データ(LandXMLなど)がない現場でも、タブレット上で目標施工面を直接作成できます。バケット刃先を現場の基準点に合わせ、高低差や勾配の数値を入力する3ステップの操作のみで目標面を定義でき、小規模な床掘りや勾配掘削でも即座にガイダンス施工へ移行できます。 - 設計面オフセット機能
読み込んだ3次元設計面に対し、鉛直方向や法面に対する垂直方向へのオフセット(離れ)数値を運転席から任意に設定できます。路盤の下層掘削や段階的な掘削ステップにおいて、元の設計データを修正することなく即座に目標深さを変更できます。
データ記録・クラウド連携機能
- 施工履歴データの自動記録
施工中のバケット軌跡や走行データを日々の施工履歴データとして自動的に蓄積します。施工後の出来形確認に利活用できるほか、国土交通省のi-Construction要件に対応する施工記録の収集が建機の稼働と並行して完了します。 - Smart Constructionエコシステム連携
EARTHBRAINが展開するクラウド基盤「Smart Construction Dashboard」とデータを同期できます。現場の現況土量や日々の進捗状況を遠隔地の事務所から把握でき、施工履歴を活用した現場全体のデジタルツイン構築を支援します。
現場環境適応・拡張オプション機能
- マルチ測位方式(GNSS/TS追尾)
上空視界が開けた現場向けのGNSS測位(GPS、GLONASS、BeiDou、GALILEO、QZSS対応、固定局およびネットワーク型RTK/VRS対応)に加え、自動追尾型トータルステーション(TS)を用いたTS測位にも対応します。高架下や橋梁下、構造物近傍、ビル群などの衛星電波が届かない遮蔽環境下でも測位精度を維持したガイダンスが可能です。 - ペイロードメーター(オプション)
バケット内の土量やダンプトラックへの積込み重量を建機上で計測・管理できる機能です。過積載の防止や運搬土量の正確な把握をガイダンス画面と統合して運用できます。 - 防水キット(オプション)
水中掘削や港湾・河川工事に対応するため、センサー類を保護する専用の防水仕様オプションです。濁りなどで刃先を視認できない水面下の施工でも、画面表示を頼りに正確な掘削作業を行えます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
保有建機のメーカーが混在しており、初期投資を抑えてICT施工を自社内製化したい地域土木会社
- メーカー混在の既存建機を抱え、専用ICT建機の新車導入に踏み切れない
Smart Construction 3D Machine Guidanceは、コマツ、日立建機、コベルコ建機、住友建機、キャタピラー(CAT)など主要メーカーの既存建機(3tミニショベルから40t超の大型油圧ショベルまで)に後付けできます。新車への買い替えを伴わずに保有重機をICT化できるため、設備投資コストを大幅に抑えつつ複数現場への柔軟な配備が可能になります。 - ICT施工のたびに丁張り設置や外注測量に日数と外注費を費やしている
マシンガイダンスによって設計面との差分を運転席で常時確認できるため、丁張り設置にかかる測量作業を丁張りレス化できます。長野県の今井工務店の事例では、幅約200mの砂防工事において従来2〜3日を要していた丁張り作業を削減し、工程短縮と省人化を達成しています。 - 若手オペレーターの技術習得に時間がかかり、施工精度のバラつきに悩んでいる
モニターの数値と音響誘導により手動操作を補助するため、熟練の勘に頼らない施工が可能になります。埼玉県のナガヤス工業の事例では、3次元データ作成の内製化と本システムの導入を組み合わせることで、入社数カ月の未経験・若手社員が即座にICT施工の現場オペレーターとして活躍できる体制を確立しています。
向いていない企業・現場
レバー操作の完全自動化による仕上げ作業の高速化を最優先とする企業・現場
- 油圧制御による過掘削防止(マシンコントロール)を求める場合
本製品はオペレーターへの視覚・聴覚支援を行う「マシンガイダンス(MG)」であり、油圧バルブを電子制御して刃先を自動停止・追従させる「マシンコントロール(MC)」機能は備えていません。法面整形や路盤の敷均し作業において、レバーを引くだけで設計面通りに仕上げる半自動施工を求める場合は、専用のMC建機や油圧連動型システムの導入を検討する必要があります。 - 3次元データ作成や運用の体制が社内・協力会社に一切なく、事前学習の工数を割けない現場
「簡単3D機能」による現場作成には対応しているものの、広域かつ複雑な線形・構造物を扱うICT土工では、LandXML等の3次元設計データの事前準備や座標系の補正設定が不可欠です。社内にデータ準備やクラウド運用の担当者を確保できない場合、導入初期に十分な費用対効果を発揮できない恐れがあります。
類似ツールとの比較
マシンガイダンスおよびマシンコントロールの市場には、建機メーカー純正の専用ICT建機や、後付け対応の各種ガイダンスキットが存在します。その中でSmart Construction 3D Machine Guidanceは、対応メーカーの広さと現場適応力において特徴的な立ち位置を占めています。
建機メーカー純正のICT建機(マシンコントロール搭載機など)と比較した場合、純正機は油圧自動制御による平滑な仕上がり面を迅速に成形できる反面、機体自体の導入コストが非常に高く、特定メーカーの機種に限定されるという制約があります。一方、Smart Construction 3D Machine Guidanceはガイダンス専用設計とすることで導入障壁を下げ、コマツ製建機に限らず日立、コベルコ、住友、CATなどの既存重機群へ横断的に装着できる汎用性を備えています。
また、他社製の後付けガイダンス製品と比較した際の大きな特徴として、「簡単3D機能」の標準搭載が挙げられます。一般的な3Dマシンガイダンスは事前にオフィス環境等で作成した3次元設計データのインポートが前提となりますが、本システムは現場の基準点にバケットを当てて勾配や数値を直接打ち込むだけで、その場で簡易的なガイダンス施工を開始できます。さらに、EARTHBRAINが提供する「Smart Construction Dashboard」などの土木施工DXクラウドと施工履歴データをシームレスに同期できる点も、単体ハードウェアで完結する他社製品との差異となっています。
料金・プラン
Smart Construction 3D Machine Guidanceは、ハードウェアの導入費用と、専用アプリおよび通信環境を維持するためのサブスクリプション利用料から構成されます。
| 項目 | 費用(税抜) | 契約単位 | 内訳・備考 |
|---|---|---|---|
| 機器本体・初期取付費用 | 要問い合わせ | 一式 | 建機の機種・サイズ、測位方式(GNSSまたはTS)により異なるため見積もり対応 |
| 月額利用料(サブスクリプション) | 月額8,000円 | 6カ月単位 | 操作アプリ「Smart Construction Pilot」利用料(6,000円/月)+Wi-Fiルーター通信費・補正情報料(2,000円/月) |
※上記月額料金は、正規代理店(株式会社エヌ・エス・ピー等)の公開資料に基づく内容です。ハードウェア本体価格や取付工賃、キャリブレーション費用については、対象建機のメーカー・型番・現場環境に応じた見積もり確認が必要です。
導入事例・実績
Smart Construction 3D Machine Guidance(旧Smart Construction Retrofitを含む)は、全国のゼネコンや地域土木会社で多数の導入実績があります。
- 株式会社今井工務店(長野県)
保有する油圧ショベル「PC200」に本システムを装着し、マシンコントロールブルドーザーと併用して幅約200mにおよぶ砂防工事現場に投入しました。従来工法では2〜3日を要していた広範囲な丁張り設置作業を丁張りレス化し、盛土・法面整形の工程を大幅に短縮するとともに、作業員が重機旋回範囲へ立ち入るリスクを排除しました。 - 株式会社東組(和歌山県)
保有するPC200にオプションの「防水キット」を組み合わせた仕様で導入し、翌年には同型機へ追加導入を行いました(計2台以上)。海洋土木・港湾工事において、濁りによって刃先が視認できない水中掘削作業をガイダンス画面のみで高精度に完結させ、従来外部委託していた海中計測・潜水確認作業を自社内製化することで、外注費の大幅削減と安全性の向上を達成しました。 - ナガヤス工業株式会社(埼玉県)
自社保有の建機群へレトロフィットキットを導入。社内での3次元設計データ作成の内製化と組み合わせる運用体制を構築しました。その結果、入社数カ月の未経験・若手社員が即座にICT建機のオペレーターとして実施工を担当できるようになり、技術継承のスピード化と若手人材の採用・定着につながっています。
NETIS登録と公共工事における加点評価
Smart Construction 3D Machine Guidanceは、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)において、「後付バックホウ3Dガイダンスシステム」として登録されています。
- NETIS登録番号:QS-200052-VE
- 技術区分:「活用促進技術」に認定(2024年9月確認)
国土交通省の直轄工事や自治体発注の土木工事において、NETIS登録技術、特に「活用促進技術(VE)」に認定された技術を活用することは、総合評価落札方式における技術提案での加点対象となるほか、工事完了後の工事成績評定点においても加点評価の対象となります。単なる省人化・省力化の手段にとどまらず、公共工事の受注競争力向上や施工実績の評価向上に直結する公的裏付けを備えています。
導入前に知っておきたいこと
導入を検討するにあたり、現場環境や運用体制に関して事前に留意すべき点がいくつか報告されています。
- マシンコントロール(油圧自動制御)との挙動の違い
本システムはキャブ内モニターのゲージやアラーム音で掘削状況を伝えるガイダンス機器です。マシンコントロール(MC)のように過掘削を物理的に止める油圧介入は行われないため、設計高さに近づいた際のレバー操作の微調整はオペレーターの腕に委ねられます。目標精度や工種に応じて、適材適所の施工計画を立てる必要があります。 - 現場環境に応じた測位方式(GNSS/TS)の使い分け
標準的なGNSS測位仕様では、山間部の切り立った法面直下や、都市部の高架橋下・跨線橋下など、上空の衛星電波が遮られる現場において測位が途切れたり精度が低下したりするリスクがあります。そうした現場では、あらかじめ自動追尾型トータルステーションを用いたTS測位オプションを選択するなどの事前検証が不可欠です。 - 社内の3次元データ運用体制の確立
簡単3D機能による簡易掘削以外の大規模なICT土工を実施する場合、3次元設計データの調達や、現場基準点に基づくキャリブレーション(座標補正)作業が発生します。社内に3次元データを扱える人員がいない場合や、現場代理人・オペレーター間の情報伝達フローが未整備な状態では、システムを十分に活かしきれない場合があるため、初期の教育や運用設計が重要になります。
導入の流れ・期間
一般的な導入プロセスは以下の通りです。具体的な納期および導入期間は建機の設置状況やオプション構成により異なるため、個別見積もり時の確認が必要です。
- 問い合わせ・ヒアリング
EARTHBRAIN公式サイトまたは正規販売代理店へ問い合わせを行い、装着予定の建機(メーカー、型番、アーム長など)および主な施工現場の条件(GNSS環境、対象工種)を共有します。 - 機種適合確認・見積もり
対象建機に対するセンサーやブラケットの適合性を確認したうえで、本体構成(GNSS仕様またはTS仕様、防水オプションの有無等)とサブスクリプション利用料の見積もりが提示されます。 - 契約・機器手配
契約締結後、機材の手配および専属技術者による取付日程の調整を行います。 - 実機への取付・キャリブレーション
指定のヤードや現場において、油圧ショベルのブーム、アーム、バケットへの傾斜センサー設置、キャブへのGNSSアンテナおよび専用タブレットの設置配線を実施します。その後、バケット刃先の寸法測定と機体キャリブレーション(初期校正)を行い、測位精度を確認します。 - 操作講習・現場稼働開始
オペレーター向けに専用アプリ「Smart Construction Pilot」の基本操作や簡単3D機能の講習を行い、実際の現場施工を開始します。
よくある質問(FAQ)
- 操作用のタブレットアプリは市販のスマートフォンやiPadでも動作しますか?
- 市販の汎用スマートフォン等では動作しません。過酷な建設現場の振動や温度変化に耐えうる専用の車載タブレット端末と、専用操作アプリ「Smart Construction Pilot」を組み合わせて使用します。
- 他社メーカーの油圧ショベルでも問題なく取り付けられますか?
- コマツをはじめ、日立建機、コベルコ建機、住友建機、キャタピラー(CAT)、加藤製作所、ボルボ、ヤンマー、クボタなどの各種油圧ショベル(ミニショベルから大型機まで)への後付けに対応しています。詳細な適合状況は対象機種の型番をもとに問い合わせてください。
- 3次元設計データがない現場でもガイダンス機能は使えますか?
- 使用可能です。標準搭載されている「簡単3D機能」を利用することで、外部から3次元設計データをインポートしなくても、現場の基準点にバケットを合わせてタブレットから高低差や勾配を入力するだけで、即座にガイダンス施工が行えます。
- サポート窓口やトラブル時の対応体制はどうなっていますか?
- 専用のフリーダイヤルサポートセンター(平日8:00〜18:00)が開設されているほか、LINEを活用した問い合わせ窓口も用意されており、現場からのトラブルシューティングや操作質問を受け付ける体制が整備されています。
- 無料トライアルやデモ機の貸し出しはありますか?
- センサーの機体装着や初期校正が必要となる製品特性上、常設の無償トライアル制度は公表されていません。実機でのデモンストレーションや試施工の可否については、代理店または公式サイト経由での個別相談を推奨します。
- サブスクリプション利用料の最低契約期間や解約条件はありますか?
- 専用アプリおよび通信環境を含むサブスクリプション利用料は「6カ月単位」での契約体系が公表されています。短期間のスポット利用や休止条件等の詳細については見積もり時の確認が必要です。