トプコン ショベルシステムとは?施工精度と効率を高めるマシンコントロール・ガイダンス機能と特徴

トプコンが展開する油圧ショベル向けマシンコントロール/マシンガイダンスの製品群。GNSSやトータルステーションと連動して設計面に合わせバケット刃先を半自動制御・ガイダンスする「MC-Max ショベル」、測量機「杭ナビ(LNシリーズ)」を位置センサーに使いGNSS測位が難しいトンネル・高架下でも施工できる「杭ナビショベル(X-M3x LN)」、簡易な2D/3Dガイダンスの「X-53x」シリーズで構成される。小規模土木から大規模造成まで機種と現場条件に応じて選択できる。

料金モデル
要問い合わせ
対象規模
規模問わず
対象業界
土木 ゼネコン サブコン・専門工事業者

トプコン ショベルシステムとは?

トプコン ショベルシステムは、株式会社トプコンが提供する油圧ショベル向けのICT施工ソリューション(マシンガイダンス・マシンコントロール製品群)であり、丁張り設置工数の増大や手元作業員の安全確保、熟練オペレーター不足に直面する建設現場の課題を解決するシステムです。GNSS(衛星測位)やトータルステーション(TS)、さらに同社のレイアウトナビゲーター「杭ナビ(LNシリーズ)」と連動し、設計データとバケット刃先の位置関係をキャブ内モニターへリアルタイムにガイダンス表示、または油圧バルブを介して半自動制御します。建機メーカーを問わず後付け(レトロフィット)が可能で、6t未満の小型ショベルから大型重機、市街地や山間部などの制約環境まで柔軟に対応します。

主な機能

測位・ガイダンス・マシンコントロール機能

  • MC-Max ショベルによる半自動制御(マシンコントロール)
    GNSSおよびトータルステーション(TS)を用いた高精度測位に対応し、目標設計面に合わせてバケット刃先やアームの動作を半自動で制御します。オペレーターがアームを引き寄せる基本操作を行うだけで目標設計面を正確に自動追従するため、過掘削を物理的に防ぎ、法面整形などの仕上げ作業における手戻りを抑えられます。
  • チルトローテータ自動制御(MC-Max)
    バケットの傾き(チルト)と回転(ローテート)を設計データに連動させて自動制御する機能を備えています。複雑な法面や曲線構造物、狭小空間での掘削においても重機本体の据え直し回数を減らし、手元の補助作業員を配置することなく立体的な成形作業を推進できます。
  • 杭ナビショベル(X-M3x LN)による3Dマシンガイダンス
    トプコンの測量機「LN-150 / LN-160(杭ナビ)」を位置情報センサーとして活用する3Dガイダンスシステムです。追尾プリズムをショベルに装着して刃先位置を計測・誘導するため、上空視界が遮られGNSS電波が届かない構造物近傍や山間部、高架下でも安定した3次元誘導環境を構築できます。上位モデルのGNSSタイプやマシンコントロール(MC)仕様へのアップグレードにも対応しています。
  • 2Dエントリーガイダンス(X32シリーズ等)
    基準面や回転レーザー、機体に取り付けたチルトセンサー(IP69K防塵防水性能)を用いて深さや勾配を案内する2D仕様のガイダンスシステムです。3次元設計データを作成することなく、小規模な床掘りや溝掘削工事において手動検測の手間を削減できます。

現場運用・データ連携・ハードウェア機能

  • GX-90 10.1インチ新型タッチパネルディスプレイ
    「MC-Max ショベル」に搭載された大型カラーディスプレイで、キャブ内の視認性と直感的な操作性を高めます。目標設計面と現在刃先との高低差や平面位置関係を明瞭に表示し、経験の浅いオペレーターでも瞬時に残り掘削量を把握できます。
  • 施工履歴データ収集・記録機能(Sitelink3D連携)
    施工中の刃先位置を自動計測・記録し、クラウド施工管理プラットフォーム「Sitelink3D」と連携して進捗状況や出来形データを蓄積します。日々の施工実績をデジタルデータとして即座に集約できるため、出来形帳票作成や発注者への提出データの取りまとめ工数を低減します。
  • 長距離通信「LongLink」機能
    MC-Maxにおいて半径約300mをカバーするBluetoothベースの独自無線通信技術です。無線局免許の登録申請が不要であり、現場内に設置した基準局1台に対して最大3台のICT建機を同時にワイヤレスで接続・制御できます。
  • マルチベンダー・小型ショベル後付け対応
    新車購入時の専用機に限定されず、コマツ、キャタピラー、日立建機、コベルコ建機など各社メーカーの既存油圧ショベルへ後付け装着が可能です。機械質量6t未満のミニショベルから中型・大型バックホウまで幅広く対応し、保有重機資産をそのままICT施工仕様へ移行できます。

こんな企業・現場に向いている/向いていない

向いている企業・現場

GNSS電波が届きにくい現場や都市部・構造物近傍の工事を多く手掛ける企業

  • 山間部や高架下でGNSSの補正情報が途切れ、ICT建機が停止する
    トプコンの「杭ナビショベル(X-M3x LN)」やTS(LPS)方式を採用することで、光学式の自動追尾によって安定した3次元位置情報を取得できます。上空が開けていない橋梁下、トンネル坑口、擁壁際、建築根切り工事でも測位不能による工事の中断を防ぎ、安定して丁張りレス施工を継続できます。
  • 深掘り作業や法面掘削で手元確認員を配置せざるを得ず、人件費と接触事故リスクが膨らんでいる
    運転席内のモニター表示とブザー音でミリ単位のガイダンスを行うため、掘削深さの手計測が不要になります。建築現場の根切り工事において、確認待ちの往復作業をなくして1日あたり2〜3時間の施工時間を短縮し、10日間の掘削で20人工を削減した実導入例もあり、接触災害の防止と省人化を両立できます。

多様な建機メーカーのショベルを保有し、既存の測量資産を活かしたい中小土木企業

  • メーカー純正のICT専用建機は高額で、特定のメーカーに機体を統一できない
    トプコンのシステムは機械質量6t未満の小型ショベルを含む幅広いメーカーの油圧ショベルへレトロフィット(後付け)が可能です。既存の保有重機を活かしてICT化を進められるため、機体更新に伴う初期設備投資を抑えられます。
  • 社内に「杭ナビ(LN-150/LN-160)」を既に保有しているが、日常の測量用途だけに留まっている
    保有している「杭ナビ」本体をそのままショベルのマシンガイダンス用センサーとして転用できます。コントローラーのタブレット端末も測量業務とガイダンス機能で共通利用できるため、専用の外部センサーを別途新設することなく、低コストでICT土工に着手できます。

向いていない企業・現場

重機作業の頻度が極めて低く、数時間単位のスポット作業のみを外注している企業

  • 年間を通じて自社で掘削作業を行わず、短期の単発工事のみを請け負う現場
    トプコン ショベルシステムの運用には、センサーの校正や機体セッティング、さらに3D施工においては施工用データの準備が必要となります。月間・年間での重機稼働日数が少なく、スポット的に数時間の掘削を行うのみの事業者の場合、システムの導入・移設にかかる工数や初期費用に見合う投資回収効果が得られにくいため、ICT建機のスポットレンタルまたは従来通りの丁張り施工を継続する方が経済的です。

類似ツールとの比較

油圧ショベル向けのマシンコントロール(MC)およびマシンガイダンス(MG)市場において、トプコン ショベルシステムは、建機メーカー各社が自社製品向けに提供する純正ICTシステム(コマツの「スマートコンストラクション レトロフィット」等)や、計測器・ICT建機専業のライカ ジオシステムズ(Leica Geosystems)、トリンブル(Trimble)の製品群と比較検討されるケースが一般的です。

建機メーカー純正のICT建機や専用レトロフィットは、特定メーカーの車両油圧系統との親和性が非常に高い反面、他社メーカーの重機が混在するフリート環境ではシステムの一元化が困難になりやすい特徴があります。これに対しトプコンは、計測機器専業メーカーとしての出自を活かし、国内外の多種多様な建機メーカーや6t未満の小型機に至るまで幅広く後付けできる汎用性の高さを保っています。

また、欧米系計測機器メーカーの製品と比較した場合の最大の特長は、国内土木現場に広く普及しているレイアウトナビゲーター「杭ナビ(LN-150 / LN-160)」を中核センサーとして流用できる設計です。通常、高精度なTS-MG/MCを構築するには高額な自動追尾型トータルステーションが必要となりますが、トプコンは杭ナビを活用することで現場の測量機器と重機ガイダンス機器を共有化できます。GNSS電波の遮蔽エリアに強く、かつ国内代理店ネットワーク(千代田測器やアクティオなど)を通じたデータ作成支援や現場立ち会い講習が手厚い点も、国内の地域建設会社にとって選定の判断軸となっています。

料金・プラン

トプコン ショベルシステムの販売価格およびライセンス費用は「要問い合わせ(オープン価格)」となっています。選択するシステム構成(2Dガイダンス、杭ナビ連動3Dガイダンス、GNSS/TS対応マシンコントロール「MC-Max」など)や、装着対象となる油圧ショベルの仕様、センサーキットの構成によって価格が変動します。

見積もりや選定を行う際には、以下のポイントを事前に確認することを推奨します。

  • 導入形態の選定(購入かレンタルか)
    自社の主力保有重機に常時固定装着する場合は機器購入が基本となりますが、工期限定のICT活用工事や特定現場での試行運用であれば、アクティオ等の提携レンタル会社経由でのレトロフィット機レンタル・リース契約が選択肢に入ります。
  • 測量機・コントローラーの既存資産の有無
    すでに自社で「杭ナビ(LN-150 / LN-160)」や対応フィールドPCを所有している場合、ショベル側のセンサー類やブラケット、ソフトウェアライセンスのみを追加導入することで初期コストを抑えられる可能性があります。
  • 3次元データ作成支援および初期キャリブレーション費用の内訳
    ハードウェア費用に加え、初回導入時の機体寸法測定(キャリブレーション)、オペレーター向け操作指導、施工用3D設計データの作成サポート費用が見積もりに含まれているか確認が必要です。

導入事例・実績

萩原建設工業株式会社(取材協力:片桐機械株式会社)

建築現場における基礎の根切り工事(R形状の曲線掘削を含む)に、3Dマシンガイダンスシステム「杭ナビショベル(X-M3x LN)」を導入しました。従来の施工では、深掘りや掘りすぎを防ぐために掘削機のバケット付近に高さ・位置を確認する補助作業員を常時配置し、検測のたびに重機を旋回停止させていました。システム導入により、運転席のモニター上で設計面と刃先の位置関係をオペレーター自身が把握可能となった結果、確認待ちの往復作業が不要となり1日あたり2〜3時間の作業時間を短縮。10日間の掘削工程全体で20人工の省人化を達成しました。

株式会社廣運

河川修繕工事における掘削土工作業に「杭ナビショベル」を採用しました。従来は10m間隔で丁張りを設置し、それを基準に掘削作業を進めていましたが、丁張りレス施工が可能になったことで、丁張りを掛ける事前準備や重機接触時の復旧作業が不要になりました。また、水分を含みやすい軟弱土層が混在する河川現場において、設計データを見ながら良好な土砂から優先的に掘り進めるなど、現場状況に応じた柔軟な施工順序の組み替えが実現し、全体の施工スピード向上に寄与しました。

及川産業株式会社

林道の床掘工事などに「杭ナビショベル(X-M3x LN)」を導入しました。急峻な地形や立木に囲まれた現場環境下で丁張りの設置工数を大幅に削減。熟練オペレーターの感覚に頼っていた複雑な勾配掘削において、経験の浅い若手技術者やオペレーターであってもキャブ内のモニター表示に従って高精度な掘削が可能となり、作業員の早期即戦力化と施工精度の均一化を実証しました。

「杭ナビ」資産の転用と6t未満小型ショベルへの拡張性

トプコン ショベルシステムが国内土木現場で評価される大きな要因の一つに、単一機器の多用途展開と機械クラスを問わない拡張性があります。

一般的なICT建機システムでは、測位センサー(GNSS受信機や高機能トータルステーション)と車載端末は建機専用品として固定され、重機が稼働していない待機期間中はシステム資産が現場で遊休化する課題がありました。これに対しトプコンの「杭ナビショベル」は、地上での墨出し・出来形計測に広く用いられているレイアウトナビゲーター「LN-150 / LN-160」をそのまま重機の3次元センサーとしてドッキングさせます。地上での測量作業が終われば杭ナビをショベル用センサーとして据え付け、作業端末(コントローラー)も同一のインターフェースで運用できるため、設備投資の稼働率を最大化できます。

さらに、従来はICT化の対象外とされがちであった機械質量6t未満の小型油圧ショベル(ミニショベル)への後付けに対応している点も実用上の強みです。市街地の管路掘削、宅地造成、建築外構といった狭小現場では大型建機の進入が困難ですが、小型ショベルに2Dまたは杭ナビ3Dガイダンスを組み込むことで、手元作業員との接触災害リスクが高い都市型土工においても「丁張りレス・ワンマン掘削」を成立させることができます。

導入前に知っておきたいこと

トプコン ショベルシステムの導入を検討する現場において、事前に把握しておくべき運用上の制約および注意点がいくつか報告されています。

  • 光学測位(杭ナビ・プリズム)の視通・気象制限
    杭ナビショベル(X-M3x LN)などの光学追尾方式では、地上に設置した杭ナビ本体と、ショベルのブームやキャブ上部に設置した全周プリズムとの間の「見通し(視通)」が確保されている必要があります。現場内のダンプトラックや他重機が射線を横切ると一時的に測位が中断するほか、強い陽炎(かげろう)、豪雨、濃霧などの悪天候時には光学計測の精度低下や追尾ロストが発生しやすいため、据付位置の選定や気象条件に応じた運用の見極めが求められます。
  • 建機間の移設・脱着に伴うセッティング工数
    レトロフィットキットを用いて複数の保有重機間でシステムを使い回す場合や、レンタル重機へ一時的に装着する場合、機体センサー類やキャブ内配線、ブラケットの脱着作業が発生します。機体ごとに異なるアーム長やバケット寸法のキャリブレーション(機体寸法校正)を確実に行わないと刃先精度に狂いが生じるため、現場間での頻繁な載せ替えには慣れと作業手順の標準化が必要です。
  • 施工用3D設計データの作成体制
    3Dマシンガイダンスやマシンコントロールの性能を最大限に引き出すには、発注者から受領した2次元設計図面や平面線形データから、建機端末が読み込める「3次元施工データ(面データ)」を作成する必要があります。自社内に3次元CADの操作スキルを持つ技術者が不在の場合、販売代理店や測量コンサルタントへデータ作成支援を外部委託するフローを事前に確立しておくことが不可欠です。

導入の流れ・期間

トプコン ショベルシステムを導入する際の実務ステップは以下の通りです。具体的な導入期間(問い合わせから実稼働まで)は、重機の車種確認や代理店でのブラケット手配、既存資産の有無により異なるため要問い合わせとなります。

  1. 問い合わせ・現場条件のヒアリング
    公式サイトの問い合わせ窓口、またはトプコンの正規販売店・レンタル代理店(千代田測器、アクティオ等)へ連絡します。対象となる現場の工種、周辺環境(GNSS可視環境か構造物近傍か)、装着予定の油圧ショベルのメーカー・型番・機械質量を伝えます。
  2. システム選定・見積もり
    現場要件に応じて、2D仕様、杭ナビ連動3D仕様、GNSS/TS対応のMC-Max(半自動制御)などの構成を決定します。既存の杭ナビや端末がある場合は流用の可否を協議し、ハードウェア構成とサポート費用を含む見積もりが提示されます。
  3. 契約・機材手配
    購入またはレンタルの契約を締結し、対象重機に適合するセンサー取り付け用ブラケットやハーネス等の部材を手配します。
  4. 建機への取り付け・キャリブレーション
    専門の技術スタッフが重機へセンサー(IMUセンサー、プリズム、GNSSアンテナ、車載ディスプレイ等)を取り付けます。アーム長、ブーム長、バケットピン位置などの寸法を測定し、システム側のキャリブレーション(機体寸法登録・刃先校正)を実施します。
  5. データ取り込み・オペレーター講習・現場稼働
    作成した施工用3Dデータを端末へ転送し、現場の基準点と座標合わせを行います。オペレーター向けの画面操作・安全手順講習を実施した後、実施工へと移行します。

よくある質問(FAQ)

他社メーカーの油圧ショベルにも取り付けできますか?
可能です。トプコンのショベルシステムは建機メーカーを問わないレトロフィット(後付け)設計となっており、コマツ、キャタピラー、日立建機、コベルコ建機などの主要メーカーをはじめ、6t未満の小型ショベルから大型バックホウまで幅広く装着できます。
GNSS電波が遮られる山間部やトンネル坑口、高架下でも3D施工は可能ですか?
可能です。衛星電波を用いず、自動追尾測量機「杭ナビ(LN-150 / LN-160)」やトータルステーション(TS)でショベル側のプリズムを光学追尾する方式(LPS方式)を選択することで、上空視界が塞がれた環境でも高精度な3次元ガイダンス・制御が行えます。
すでに社内にある「杭ナビ」をショベルガイダンスに利用できますか?
利用可能です。所有している杭ナビ(LN-150 / LN-160)を位置センサーとして接続し、ショベル側のセンサーキットとガイダンスソフトウェアを追加することで「杭ナビショベル」として運用できます。コントローラー端末も測量業務とガイダンス業務で共用可能です。
無料トライアルやデモ機の貸し出しはありますか?
公式サイト上で一律の無料トライアル制度は明記されていませんが、トプコンの営業担当や各地の正規販売代理店、建機レンタル会社を通じて、実機デモや現場見学会、短期レンタルによる検証運用が相談可能です。詳細は販売窓口への問い合わせを推奨します。
マシンガイダンス(MG)からマシンコントロール(MC)へ後から移行できますか?
システム構成によってステップアップが可能です。例えば杭ナビショベル(X-M3x LN)からGNSSタイプへの拡張や、マシンコントロール対応システムへのアップグレード設計が考慮されています。油圧制御弁の追加や対象建機の油圧インターフェース要件があるため、移行計画の詳細は代理店への確認が必要です。
施工に必要な3次元設計データは自社で作成しなければなりませんか?
自社で対応ソフトを用いて作成する運用のほか、自社内にCAD技術者がいない場合は、トプコンの認定代理店(千代田測器やアクティオなど)が提供する「3次元設計データ作成支援サービス」を活用して外注・サポートを受ける体制が整えられています。

参照・出典

他のICT施工・マシンコントロールと比較する

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