ATLUS NEXTとは?
ATLUS NEXTは、株式会社コンピュータシステム研究所が開発・提供する、公共土木工事に特化した積算システムです。発注機関ごとに異なる複雑な積算基準や歩掛、最新単価データを網羅し、予定価格の精緻な算出と入札における落札率向上を支援します。電子設計書だけでなく紙図面をスキャンした画像データのOCR解析にも対応しており、積算業務の属人化解消と大幅な作業時間短縮を実現するソリューションとして全国の建設会社で導入されています。
主な機能
ATLUS NEXTに搭載されている主要機能は、設計書の取り込みから積算条件のマッチング、最新データの自動同期、組織内での知見共有に至るまで、実務フローに沿って最適化されています。
設計書解析・自動積算機能
- ハイブリッド設計書自動解析エンジン
ExcelやPDF形式の電子設計書に加え、文字データを含まないスキャン画像形式の設計書もOCR技術によって自動解析・取り込みが可能です。設計書に記載された工事名や単価地区、経費条件などの積算条件をシステムが自動で読み取って設定し、工種ごとの総括表を短時間で自動生成します。 - 積算アシスト機能
取り込んだ設計書内の工種・種別・細別情報と、自社で過去に蓄積された積算実績データを自動で照合し、最適な歩掛や条件を提示します。条件確定の作業をシステムがナビゲートするため、経験の浅い担当者でも違算のリスクを抑えた積算を迅速に進めることができます。
単価・歩掛データ管理機能
- オンデマンドデータ配信
国土交通省、農林水産省、厚生労働省、林野庁、防衛省、NEXCO、地方整備局、各都道府県の最新基準データをオンラインで自動配信します。一般財団法人建設物価調査会の「Web建設物価」や一般財団法人経済調査会の「積算資料」に基づく2誌平均単価や2誌安値単価のデータ更新にも対応し、常に最新の改定基準に準拠した積算が行えます。 - 自社単価データの取り込み・管理
発注機関の公表データだけでなく、Excel等で管理している自社保有の実勢価格や取引業者からの見積単価データをシステム内に取り込むことができます。公的な標準歩掛と自社の施工実績データを照らし合わせながら、実態に即した実行予算の検討や見積作成が可能です。
ナレッジ共有・クラウド連携機能
- ナレッジBOX
熟練の積算担当者が持つ独自のノウハウや過去案件での特記事項、応札時の注意点などをクラウド上に蓄積し、社内全体で共有できる機能です。積算実務の標準化を進めることで、特定社員に業務が偏る属人化の課題を解消し、組織的な入札体制を構築できます。 - ATLUS Cloud(オプション機能)
2026年5月18日に発売されたクラウドオプションで、作成した設計書データや単価マスタをクラウド上でセキュアに保護・一元管理します。オフィス外からのデータ参照や複数担当者による共同作業を可能にし、テレワークの推進や災害時の事業継続計画(BCP)対策としても機能します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
紙やスキャン形式の設計書発注が多く、取り込みや手入力の工数に追われている建設会社
- 画像化された設計書の手入力・転記作業による業務負荷
発注自治体によって提供される設計書が紙のスキャンデータや画像化されたPDFである場合、従来は品名や規格、数量を手作業で再入力する必要がありました。ATLUS NEXTの「ハイブリッド設計書自動解析エンジン」を活用すれば、OCR解析により画像データから直接テキストと階層構造を読み取り、総括表を自動生成できるため、入力作業の大幅な省力化が図れます。 - 積算業務の長時間残業と入札直前の業務過密
限られた公告期間内に膨大な積算項目を手作業で突き合わせる運用は、担当者の時間外労働を慢性化させる原因になります。本システムでは旧世代システム(ATLUS REAL Evo)と比較して画面遷移速度が最大7倍、積算アシスト速度が最大53倍に高速化されており、短時間で複数工種の検証を完了させて入札準備期間を短縮できます。
地域特有の積算ルールへの適応と、社内積算ノウハウの共有化を進めたい企業
- 自治体ごとの独自基準やローカルルールによる違算リスク
各都道府県や市区町村では、標準積算基準とは異なる独自の歩掛補正や管材費控除などが適用されるケースが多々あります。ATLUS NEXTでは全国の拠点をベースに地域専任スタッフが発注基準の独自ルールを調査・反映しているため、地域密着で公共工事を受注する地場企業でも正確な予定価格を予測しやすくなります。 - ベテラン積算技術者の退職に伴う技術継承の断絶
特定の担当者のみが把握していた過去の入札傾向や積算条件の選定ノウハウを「ナレッジBOX」へ登録・共有することで、新任担当者でも過去実績に基づいた適正な条件抽出が可能になり、組織全体での積算精度の底上げが実現します。
向いていない企業・現場
他社製の原価管理システムを基幹とし、同一ベンダー製品間でのAPI連携を最優先したい企業
- 全社基幹システムとの完全なシームレス連携を求める運用
社内で他社製の積算ソフトや原価管理システムを全社標準として導入している場合、ATLUS NEXTで作成した積算データを直接連動させることが難しく、中間データ形式を経由した受け渡しなど運用面での工夫が必要になることがあります。既存の他社基幹システムと完全に同一シリーズでデータ統合を行いたい企業は、同一ベンダーのツール群で統一する構成を検討した方がよい場合があります。 - 月額定額制で即時契約し、小規模な民間小工事の見積もりだけを完結させたい事業者
ATLUS NEXTは公共土木工事の厳格な積算体系や歩掛算出を前提に設計されており、料金モデルも導入規模や利用自治体データに応じた個別見積もりとなっています。公共工事への応札予定がなく、小規模な民間リフォームや単体工事の見積書作成のみを低コスト・定額SaaSで迅速に導入したい事業者の場合は、工務店向けの汎用見積ソフトなどを選択する方が適しています。
類似ツールとの比較
土木積算システムを選定する際は、対応している設計書形式の幅広さ、地域データの調査体制、連携機能の柔軟性などを比較検討することが重要です。
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| ATLUS NEXT | 文字情報のない画像スキャン設計書もOCRで自動解析。全国拠点による地域独自基準の調査体制と高速な処理性能が特徴。 | 要問い合わせ(個別見積) | 紙や画像設計書の発注が多い自治体案件を扱い、専任サポートや地域独自基準の反映を重視する企業 |
| Gaia | 全国の自治体・発注機関の積算基準を網羅した製品。最低制限価格の逆算シミュレーションやクラウド共同作業に対応。 | 要問い合わせ | 業界標準の操作性を重視し、高度な逆算シミュレーションや組織間でのクラウドノウハウ共有を行いたい企業 |
ATLUS NEXTとGaiaは、いずれも国土交通省や地方自治体の公共土木積算において長年の実績を持つ代表的な積算システムです。基礎的な歩掛・単価データの網羅性や最低制限価格算出の精度においては両者とも高い水準を備えています。
選定における明確な分岐点のひとつは「取り込み対象となる設計書の形式」です。多くの発注機関がExcelやテキスト付きPDFで設計書を配布していますが、一部の自治体や過去資料では紙面をスキャンした画像化データで提供されることがあります。ATLUS NEXTはハイブリッド設計書自動解析エンジンによって画像データ(OCR解析)の取り込みにも標準対応しているため、スキャン図面・設計書が多い地域の発注案件を頻繁に積算する企業にとって作業工数を削減しやすい強みがあります。
一方で、自社や協力会社、関連部署で既に特定シリーズの積算ソフトや原価管理基幹システムが定着している場合は、既存フォーマットとの親和性や操作感の統一性を踏まえて比較することが推奨されます。
料金・プラン
ATLUS NEXTの利用料金は、導入するライセンス構成(スタンドアロン版/ネットワーク版)や、積算対象とする発注機関・自治体データ(都道府県別基準、上下水道・港湾等の特殊工種基準データ)の追加オプション構成によって異なるため、定額の公表料金表はなく「要問い合わせ(個別見積もり)」となっています。
見積もりを依頼する際は、以下のポイントを事前に整理してベンダー窓口に確認することが推奨されます。
- 利用ライセンス数と運用形態
同時に作業を行う担当者数に応じたスタンドアロンライセンスか、社内サーバーやネットワーク上でライセンスを共有する形態かを確認します。 - 導入対象とする発注機関・自治体データの範囲
国土交通省や主要な本庁データに加え、隣接する他県の自治体データや農林、水道などの専門機関データをどの範囲まで搭載するかによって見積額が変動します。 - データ更新費用および保守サポートの契約体系
年2回以上の労務単価・資材単価改定に追従するためのオンデマンドデータ配信費用や、サポート窓口・セミナー利用料が月額・年額の保守契約にどのように含まれているかを確認します。
導入事例・実績
ATLUS NEXTの導入効果に関する公開情報として、土木積算専門情報メディア等に掲載された導入企業インタビュー(企業名非公表)では、東京都案件の入札獲得数が導入前の1件から導入後4年間で11件に増加した事例や、積算作業全体の効率が10%以上改善した事例が報告されています。また、販売代理店等の納入事例において株式会社大崎測建などの企業名が公表されています。
ただし、企業名・導入規模・具体的な定量的改善効果の3点がすべて揃った公式導入事例は現時点では確認できていません。検討にあたっては、自社の応札規模や対象工種に近い実績について提供元への直接確認を推奨します。
全国の発注機関・地域独自基準への対応と専任調査体制
公共土木工事の積算における最大の難所のひとつが、発注自治体ごとに細かく定められた「独自基準」の存在です。同一の工種であっても、地域整備局と県、市区町村では適用される歩掛や経費条件、損料計算のルールが異なるケースが少なくありません。
ATLUS NEXTを展開する株式会社コンピュータシステム研究所では、全国22拠点に専任スタッフを配置し、落札後の金入り設計書や自治体特有の基準を現地で直接調査してシステムデータへ反映させる運用を行っています。
- 東京都のシールド工事独自基準への対応
都市部特有の大規模シールド工事における独自の積算補正や安全管理費率の算出など、特殊な発注基準をデータ化して提供しています。 - 新潟県における水道局管材費控除や労務補正の反映
資材費の控除計算や地域特有の気候条件・作業環境に伴う労務費の割増補正など、標準歩掛から乖離しやすいローカルルールを事前にプリセットしています。 - オンデマンド配信による改定ミス・違算の防止
改定された新単価や歩掛データはオンデマンドで配信され、古い基準値を用いたことによる入札失格や最低制限価格割れの防止に寄与します。
旧世代システム(ATLUS REAL Evo)からの処理高速化と推奨動作環境
ATLUS NEXTは、旧世代システムにあたる「ATLUS REAL Evo」からシステムアーキテクチャの刷新が行われており、実務における各種処理速度が大幅に向上しています。
公表データによると、画面遷移速度が最大7倍、単価や歩掛の検索速度が最大10倍、条件を自動抽出する積算アシスト速度が最大53倍に高速化されています。数十工種に及ぶ大規模な土木設計書であっても待機時間を最小限に抑え、入札締切前のタイトなスケジュール下でのシミュレーションをスムーズに実行できます。
システムを快適に運用するための動作環境スペックは以下の通り公表されています。
| 項目 | 推奨・必須動作環境 |
|---|---|
| 対応OS | Windows 10(64bit) / Windows 11 |
| CPU | Intel Core i3 以上 |
| メモリ | 8GB 以上 |
| 必要ハードディスク容量 | インストール時 5GB 以上の空き容量 |
| ネットワーク環境 | 無線 IEEE802.11G / 有線 100BASE-TX 以上(共有・認証時) |
導入前に知っておきたいこと
ATLUS NEXTの導入を検討するにあたり、ユーザー企業から報告されている課題や実務上の留意点がいくつか存在します。
ひとつは、他社製原価管理システムとのデータ互換性に関する要望です。自社のバックオフィスや現場管理において他社製の原価管理ソフトを標準導入している場合、ATLUS NEXTで確定した積算データを中間形式を経ずに直接インポートすることが難しく、他社システムとの連携性向上を求める声が挙げられています。導入前に、現在自社で使用している原価管理・会計ソフトとの連携フローを検証しておくことが重要です。
また、積算データの蓄積・共有機能(ナレッジBOX等)が強化されている一方で、蓄積された膨大なデータを現場の実行予算や施工計画へよりシームレスに利活用できるよう、さらなる現場視点での機能拡張を期待する意見もあります。
さらに、定価が公開されておらず個別見積もりが必要となるため、自社の応札規模や必要なデータエリアを明確にした上で、導入費用と投資対効果を慎重に試算する必要があります。
導入の流れ・期間
ATLUS NEXTの導入は、問い合わせから業務要件のヒアリング、環境構築を経て実運用へ移行します。具体的な導入期間は選択するライセンス構成やデータ数によって異なるため、要問い合わせとなりますが、一般的な導入プロセスは以下の通りです。
- 1. 問い合わせ・ヒアリング
公式サイトまたは地域拠点窓口へ問い合わせを行い、自社が主に応札する発注機関、工事種別、現在の積算体制などの要件を伝えます。 - 2. 製品デモ・運用提案
地域担当者による訪問またはオンライン遠隔デモにて、実際の画面構成や設計書取り込み機能のデモンストレーションを確認します。 - 3. 見積もり提示・ライセンス構成の決定
利用人数、スタンドアロン/ネットワーク構成、対象自治体データ(県・市町村・特殊工種)に応じた個別見積もりが提示されます。 - 4. 契約・システム導入・セットアップ
契約締結後、PC端末へのソフトウェアインストールや単価マスタの初期セットアップ、必要に応じて自社単価データの取り込みを行います。 - 5. 操作講習・実運用開始
専任担当者による操作講習を受け、実際の設計書を用いた模擬積算を実施した上で実務運用へ移行します。
よくある質問(FAQ)
- タブレットやスマートフォン向けの専用アプリはありますか?
- ATLUS NEXTはWindows環境で動作するクライアントソフトウェアであり、スマートフォンやタブレット向けの専用モバイルアプリは提供されていません。動作環境としてWindows 10(64bit)またはWindows 11が動作するPCが必要です。なお、クラウドオプション「ATLUS Cloud」を利用することで、設計書やデータのクラウド保護・共有が可能になります。
- 無料トライアルやデモンストレーションは利用できますか?
- 全機能を長期間利用できる一般向けの無料トライアル版は公表されていませんが、全国22箇所の拠点から専任担当者が訪問またはオンラインによる個別デモンストレーションを実施しています。実際の設計書を用いた読み取り性能などを事前に確認することが可能です。
- 導入後の日常的なサポート体制はどのようになっていますか?
- 平日9:00~12:00および13:00~17:00に対応するフリーコールのサポートコールセンター「アトラスダイヤル」が用意されているほか、24時間365日対応の操作トラブル用チャットボットが稼働しています。また、専任スタッフによる訪問・オンライン遠隔サポートや、動画マニュアルを掲載した専用サポートサイト、地域別の積算セミナーも提供されています。
- 年2回の労務単価改定や歩掛改定にはどのように対応しますか?
- 国土交通省の公共工事設計労務単価や各種基準の改定に合わせて、インターネット経由の「オンデマンドデータ配信」によって最新データがシステムへ自動提供されます。ユーザー自身が手作業で膨大な単価表を入力・修正する手間なく、最新基準に準拠した積算が行えます。
- 契約期間や解約条件、ライセンスの形態はどのようになっていますか?
- 契約形態や期間、解約条件についての詳細はWeb上には公開されておらず、単体PCでの利用かネットワーク共有か、また保守サービスの契約形態によって異なります。具体的な契約条件は個別見積もり時に担当窓口へ確認する必要があります。