建設現場顔認証 for グリーンサイトとは?
建設現場顔認証 for グリーンサイトは、日本電気株式会社(NEC)が提供する、建設キャリアアップシステム(CCUS)対応の入退場管理クラウドサービスです。現場に常設する専用ゲートや高額なカードリーダー機器を設置することなく、汎用タブレットや技能者自身のスマートフォンを用いた顔認証とGPS位置情報により、入退場実績の記録とCCUSへの就業履歴蓄積を自動化します。株式会社MCデータプラス(現・エムシーディースリー株式会社)が運営する労務安全書類クラウド「グリーンサイト」の作業員マスターと直接連携するため、一度の顔登録で複数現場での認証に対応できる点が特徴です。
主な機能
現場生体認証・位置情報管理機能
- 顔認証AIエンジンによる高精度照合
現場に設置された汎用タブレット(iPad等)や技能者自身のスマートフォンカメラを通じて瞬時に本人確認を行います。認証スピードは2〜3秒、エラー発生率は0.4%(NEC公表値)の精度を持ち、作業現場で一般的なマスク着用状態のままでも高精度な顔認証が可能です。物理カードの持参が不要となるため、現場でのカード忘れや他者によるなりすまし打刻を防止できます。 - GPS位置情報連携による不正打刻抑止
技能者個人のスマートフォンから打刻を行う際、端末のGPS位置情報を同時に取得・記録します。現場敷地外からの不正な打刻や現場未着状態での入退場記録を検知・抑止し、適正な施工管理体制と実態に即した就業履歴データの蓄積を支えます。
グリーンサイトマスター・CCUS連携機能
- 通門カード連動によるワンタイム顔登録
グリーンサイト上で管理されている作業員名簿や通門カードのQRコード情報と顔認証データを紐付けます。技能者が初回に顔写真を登録すれば、以降は元請会社や施工現場が異なる場合であっても再登録を行う必要がありません。現場ごとに発生していた入場時登録の事務負担を削減します。 - CCUS就業履歴データの自動蓄積
顔認証によって記録された入場・退場実績データは、グリーンサイトを経由して一般財団法人建設業振興基金が運営する建設キャリアアップシステム(CCUS)へ自動的に送信・蓄積されます。日々の手動データアップロードやカードリーダーのデータ回収作業を行わずに就業履歴蓄積措置を完了できます。
リアルタイム就労管理・出面把握機能
- 多拠点リアルタイム出面モニタリング
元請企業の本社、支店、現場事務所の管理画面から、「いつ・誰が・どの現場に入場しているか」の出面情報をリアルタイムで一覧確認できます。紙の出面帳票や点呼結果の集計を待つことなく稼働状況を把握できるため、緊急時の在場者確認や労務管理の迅速化に寄与します。 - 専用アプリケーション『NECスマート入退場管理』
iOSおよびAndroid端末向けに最適化された専用アプリを提供しています。現場備え付け端末での連続認証モードや、技能者端末からの個別打刻など、現場環境や運用ルールに応じた認証形態の選択が可能です。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
すでに全社でグリーンサイトを導入しており、CCUSのタッチ率向上を目指す総合建設業
- CCUSカードの不携帯や紛失により就業履歴の蓄積が進まない
技能者がICカードを持参し忘れたり紛失したりすると、現場事務所での電話確認や代替手続きに追われ、タッチ率が低迷する原因となります。建設現場顔認証 for グリーンサイトを導入すれば、技能者本人の顔だけで認証が完了するため、カード所持状況に依存しない運用が確立されます。株式会社大本組の全社展開事例では、導入前の全社平均タッチ率38%が導入後に49%へと11ポイント向上し、先行現場では65%超を達成した実績が公表されています。 - 現場ごとの作業員名簿登録と入退場管理の二重管理を解消したい
グリーンサイトの作業員マスターと認証情報が直接連動するため、安全書類用と入退場管理用で別々のシステムへ技能者情報を二重登録する手間が発生しません。協力会社が一度グリーンサイト上で顔写真を登録しておけば、元請の別現場へ入場する際も事前手続きなしで即座に顔認証が可能となり、現場管理者の書類照合工数が削減されます。
狭小地や改修工事など、専用ゲートや大型リーダーの常設が困難な現場を多く抱える建設会社
- 現場敷地に大型ゲート機器を置くスペースや電源・通信の配線工事の余力がない
高額な常設ゲートや専用のカードリーダー端末を導入する場合、物理的な設置スペースの確保や電気・通信工事が必須となります。建設現場顔認証 for グリーンサイトであれば、現場事務所や詰所に設置した汎用タブレット1台、あるいは作業員個人のスマートフォンのみで打刻環境を構築できるため、資材置き場や通路の狭い都市部改修現場でも容易に導入・運用できます。 - 短期工期の現場が多く機器設置の初期投資を抑えたい
工期が数週間から数カ月程度の現場では、機器の設置・撤去費用が現場予算を圧迫しがちです。本サービスは専用ハードウェアの購入が不要であり、初期費用・基本料0円の従量課金体系を採用しているため、現場の稼働規模や工期に合わせた柔軟な運用が可能です。大成建設株式会社のリニューアル・新築現場においても、専用機器の設置スペース不要化による導入コスト削減とCCUS自動登録の促進効果が確認されています。
向いていない企業・現場
グリーンサイトを導入しておらず、今後も導入予定がない事業者
- 労務安全書類の管理基盤にグリーンサイトを利用していない
本サービスはグリーンサイトの作業員マスターおよび通門カード機能と連動することを前提とした設計となっています。グリーンサイトを契約していない事業者が単独で導入することはできません。労務安全クラウドを経由せずCCUSへ直接履歴を登録したい場合は、NECが提供する直接連携版「建設現場顔認証入退管理サービス」や、他社のCCUS認定カードリーダー端末(EasyPass等)の利用を検討する必要があります。
スマートフォンやタブレットの操作・Web手続きに対応できる協力会社が極めて少ない現場
- 一次・二次下請の技能者が顔写真の初回登録手続きに対応できない
本サービスを有効活用するには、初回に技能者の顔写真をWeb経由で撮影・登録する手順が必要です。下請事業者のITリテラシーや通信端末の保有状況により、写真撮影の制約(正面向き・無帽・背景等の撮影基準)に沿った事前登録作業が著しく滞る環境では、導入初期に元請側のサポート負荷が増大する恐れがあります。その場合は、物理カードをかざすだけで完結する専用ICカードリーダー端末の常設運用が適しています。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 建設現場顔認証 for グリーンサイト | NECの顔認証エンジンとGPSを活用。グリーンサイト連携により一度の顔登録で全現場対応。専用機器不要。 | 初期費用:0円 基本料:0円 従量課金制(30円/人/日/現場・税別) |
グリーンサイト導入済みで、カード不携帯防止や狭小現場でのCCUS履歴蓄積を効率化したいゼネコン |
| 建設キャリアアップカードリーダー for グリーンサイト | グリーンサイト連携の専用リーダーアプリ。スマホやiPadでCCUSカードや建キャリQRを読み取り就業履歴を蓄積。 | 要問い合わせ(グリーンサイト利用料別途) | グリーンサイトを活用しつつ、顔認証ではなく物理カードや公式QRコードによる読み取り運用を希望する現場 |
| EasyPass | CCUS認定第1号端末。4G LTE通信回線内蔵で電源を差すだけで稼働。屋外防塵防水リーダーや顔認証に対応。 | 要問い合わせ(端末購入・レンタル等) | グリーンサイトの利用有無を問わず、回線工事なしで屋外ゲートに確実な読み取り機を常設したい現場 |
| Buildee 入退場管理 | 施工管理クラウド「Buildee」連動。顔認証アプリ「顔レコ」やカードタッチ等、多様な打刻方式でCCUS自動連携。 | 要問い合わせ | 調整会議や労務安全書類管理を含め、Buildeeプラットフォームを中心に施工管理DXを進めるゼネコン |
現場の運用方針や既存の導入基盤によって最適なツールは異なります。すでに安全書類の作成や施工体制台帳の管理においてグリーンサイトを全社標準として定着させている企業にとっては、マスター情報をそのまま引き継げる「建設現場顔認証 for グリーンサイト」または「建設キャリアアップカードリーダー for グリーンサイト」が第一の候補となります。その中で、カード不携帯によるタッチ漏れやなりすましを抜本的に解消したい場合は、生体認証とGPSを活用する本サービスが適しています。
一方、労務安全書類の基盤としてグリーンサイトを使用していない場合や、屋外の入場ゲートに独立した物理端末を据え置き、電源コンセントのみで即座に通信回線まで確立させたい現場では、LTE内蔵端末であるEasyPassなどの専用認定ハードウェアが有力な選択肢です。また、Buildeeなどの統合施工管理サービスを軸に工程調整や出面管理の一元化を進めている場合は、プラットフォーム連動型のBuildee 入退場管理を検討すると整合性が取りやすくなります。
料金・プラン
| 項目 | 費用 | 備考 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0円 | 専用ゲートや専用リーダーの機器導入工事費等は発生しません。 |
| 月額基本料 | 0円 | 現場や利用の有無にかかわらず固定発生する基本月額料金はありません。 |
| 顔登録料 | 0円 | 技能者のマスター顔画像を登録する際の手数料は無料です。 |
| 従量利用料 | 30円/人/日/現場(税別) | 実際の認証実績や利用規模に応じた従量課金体系です。 |
建設現場顔認証 for グリーンサイトは、導入に伴う初期費用、基本料、顔登録料が0円となっており、現場での利用実績に応じた従量課金モデルが採用されています。従量単価は30円/人/日/現場(税別)となっています。なお、本サービスを利用する前提として、グリーンサイト自体の契約および利用料金(元請・下請それぞれの利用料)が別途発生します。
導入事例・実績
株式会社大本組:全社展開によりCCUSタッチ率が11ポイント向上
総合建設業の株式会社大本組では、CCUS就業履歴蓄積の促進と現場事務の効率化を目的に、本サービスを全社導入しました。導入前は現場ごとのCCUSカードタッチ率の低迷や、カード不携帯時の電話確認・再発行手続きといった現場管理者の事務負担が課題となっていました。本サービスの導入により、技能者が手ぶらで入場しても確実に認証が行える環境を整備した結果、全社平均のカードタッチ率が導入前の38%から49%へ11ポイント向上(2026年2月時点)しました。先行導入現場ではタッチ率が65%超を記録したほか、ある現場では導入前5カ月間の平均タッチ率19%から導入後5カ月間で46%へ大幅に改善した実績が公表されています。
大成建設株式会社:リニューアル・新築現場での就労管理省力化
大成建設株式会社では、リニューアル工事や新築工事現場において本サービスを導入しました。従来行われていた手書きの就労管理表に基づく出面集計や報告業務の工数削減を図るとともに、専用機器の設置スペースが不要となる利点を生かして導入コストの抑制を実現しています。現場スペースが限られる工事環境においてもスムーズに顔認証環境を構築し、CCUSへの就業履歴自動登録を促進しています。
NECが提供する顔認証CCUS連携「2つの系統」の違い
NECが提供する建設現場向け顔認証入退管理ソリューションには、「建設現場顔認証 for グリーンサイト」と、CCUSへ直接データ連携を行う「建設現場顔認証入退管理サービス」の2つの系統が存在します。検討時にはこのアーキテクチャの違いを正しく把握しておく必要があります。
- 建設現場顔認証 for グリーンサイト(本サービス)
グリーンサイトで運用されている施工体制台帳や作業員名簿のマスターデータを直接参照します。技能者情報や通門カードのデータと顔情報を紐付けるため、グリーンサイト導入現場では作業員情報の二重登録が一切不要です。蓄積されたログはグリーンサイトを経由してCCUSへ送信されます。 - 直接連携版「建設現場顔認証入退管理サービス」
グリーンサイトを経由せず、CCUS(建設キャリアアップシステム)のAPIと直接通信して就業履歴を蓄積する構成です。グリーンサイトを契約していない元請企業や、自社の独自基幹システム・出面管理システムと直接連動させたい現場に適した系統となっています。
自社の労務安全管理がすでにグリーンサイトを標準インフラとしている場合は、名簿管理の二重化を防ぐ観点から「for グリーンサイト」の選択が推奨されます。
導入前に知っておきたいこと
本サービスの円滑な運用のために、公式マニュアルやFAQで示されている以下の仕様・留意事項を事前に確認しておく必要があります。
- マスター顔画像登録時の撮影ルール
認証の基準となる顔写真を登録する際、スマートフォン端末を「縦向き」にして撮影する必要があります(横向き撮影は不可)。また、ヘルメット、マスク、サングラスの着用時や、眼鏡のレンズ反射、前髪が目にかかっている状態、逆光・影・暗所での撮影は認証精度低下の原因となるため不可とされています。運転免許証の顔写真やPC画面の写真を再撮影した画像も、モアレ(網目模様)や解像度不足により登録エラーとなります。 - 誤入力によるアカウントロック仕様
Web画面上での顔登録時に、登録情報の照合を10回連続で間違えるとセキュリティロックがかかり、12時間は登録手続きが行えなくなります。現場入場直前の登録作業でロックが発生すると当日の認証に支障をきたすため、協力会社に対しては入場前日までの事前登録完了を周知することが重要です。 - ブラウザのカメラ利用権限設定
Webブラウザから顔登録画面を開く際、端末やブラウザ側の「カメラ利用許可」がオフになっていると、画面が「Loading...」のまま進行しなくなるトラブルが報告されています。iOSはSafari、AndroidはChromeの利用が推奨されており、カメラアクセス許可の確認手順を現場作業員に案内しておく必要があります。 - 元請の設定によるアプリ機能制限
『NECスマート入退場管理』アプリは、元請企業が設定した現場運用ルールによって一部の機能表示や利用範囲が制限される場合があります。現場ごとに設定内容が異なるケースがある点に留意してください。
導入の流れ・期間
本サービスの導入は、一般的なSaaSと同様に以下のステップで進行します。具体的な導入期間や現場ごとの稼働開始日については、NECまたは販売窓口への問い合わせが必要です。
- 1. 問い合わせ・利用要件の確認
公式サイトの問い合わせフォーム等から申し込みを行い、稼働予定の現場規模、グリーンサイトの利用状況、希望する認証端末(現場設置タブレットまたは作業員スマートフォン)の構成を確認します。 - 2. 見積もり・契約締結
想定される出面数や現場数に応じた従量課金プランの見積もりを確認し、利用契約を締結します。 - 3. グリーンサイト連携設定・現場アカウント発行
管理画面上で対象となる現場情報を設定し、グリーンサイトとの連携を有効化します。現場管理者用のアカウントや通門設定を完了させます。 - 4. 端末の準備・アプリのインストール
現場設置用のタブレットや技能者のスマートフォンへ、専用アプリ『NECスマート入退場管理』をインストールします。現場設置端末では連続認証モードなどの初期設定を行います。 - 5. 技能者の顔登録・現場運用開始
入場する協力会社の技能者に対し、通門カードのQRコード等を用いた事前の顔写真登録を案内します。登録完了後、現場ゲートや詰所での顔認証およびCCUS就業履歴の自動蓄積を開始します。
よくある質問(FAQ)
- 作業員がスマートフォンを持っていなくても現場で利用できますか?
- 利用可能です。現場事務所やゲートに汎用タブレット(iPad等)を設置し、アプリを立ち上げておくことで、作業員が個人のスマートフォンを持参していなくてもタブレットのカメラで顔認証を行って入場を記録できます。
- 別の現場に移動した場合、再度顔写真を登録し直す必要がありますか?
- 再登録は不要です。グリーンサイトの通門カード情報と顔データが紐付いているため、一度顔登録を完了していれば、本サービスを採用している別の現場や他社元請の現場に入場する際もそのまま顔認証が利用できます。
- マスクや作業用ヘルメットを着用したままでも認証できますか?
- 日常の認証時においては、マスクを着用した状態でも顔認証エンジンによる判定が可能です。ただし、初回にマスターとなる顔写真を登録する際は、正確な特徴点を記録するためマスクやヘルメットを外した状態で撮影する必要があります。
- アプリの対応OS環境と推奨ブラウザは何ですか?
- 専用アプリ『NECスマート入退場管理』は、iOS 12.0以降、iPadOS 12.0以降、およびAndroidに対応しています(※App Storeの案内ではiOS 17以前のOSはサポート対象外との記載があるため最新環境の確認を推奨します)。また、Webブラウザからの顔写真登録時は、iOS端末はSafari、Android端末はChromeが推奨されています。
- 無料トライアルやデモ体験は提供されていますか?
- 公式サイト上では無料トライアルの常設提供は明記されていません。デモの実施可否や現場での事前検証については、NECの問い合わせ窓口へ個別に確認する必要があります。
- トラブル時のサポート窓口や問い合わせ体制はどうなっていますか?
- 顔登録や通門カードの発行手続き等に関しては「グリーンサイトヘルプデスク(MCデータプラス提供)」と連携案内されています。また、元請企業向けにはNECによるシステム導入や現場立ち上げ時の支援体制が提供されています。