ScanXとは?
ScanX(スキャンエックス)は、ローカスブルー株式会社が開発・提供する、Webブラウザ上で点群データの可視化・解析・共有が完結するオンラインAI点群処理ソフトウェアです。ドローン測量(UAV)や地上レーザースキャナー(TLS)、LiDAR等で取得した大容量の3次元点群データをクラウド上で処理できるため、ハイスペックな専用PCを用意することなく、一般的なPC環境から地表面抽出やノイズ除去などの前処理をAIによって自動実行できます。土木施工現場や建設コンサルタント業務における土量計算、断面作成、関係者間でのデータ共有にかかる作業負荷を大幅に軽減します。
主な機能
ScanXの機能は、膨大な3次元点群データを実務で扱いやすい形式へ整える「AI前処理・クラス分類」、現場管理や数量算出に必要な「土木解析・3Dモデリング」、そして場所を選ばず合意形成を迅速化する「クラウド共有・特殊解析」の3系統に整理できます。
AI前処理・クラス分類機能
- AI自動クラス分類・前処理
アップロードされた点群データから、AIが地表面、植生、構造物、ノイズ(浮遊物や通行車両など)を自動で判別して分類します。地表面の分類精度は約95%に達し、従来ソフトで長時間を要していた手動によるノイズ間引きや草木除去の作業工数を大幅に短縮できます。 - エリア指定地表面抽出
プロジェクト全体を一括で再処理するのではなく、修正が必要な特定の範囲だけを指定して再分類や地表面抽出を実行できる機能です。オーバーハングした複雑な地形の地表面抽出にも対応しており、局所的な修正に伴う他エリアの誤分類や手戻りリスクを抑制します。
土木解析・3Dモデリング機能
- 土量計算・差分解析
異なる時期に計測した点群データ同士の比較や、設計データ(面データ)と現況点群との差分解析をクラウド上で実行し、切土量・盛土量を自動算出します。起工測量から出来形計測までの土量変化を迅速に可視化し、残土搬出管理や施工進捗の把握に寄与します。 - 断面作成
ブラウザ上で任意の測線を指定するだけで、縦断図・横断図を瞬時に生成できます。従来の2次元測量のように現場へ戻って追加計測を行う手戻りを防ぎ、任意の断面位置における地形変化をオフィスにいながら検証できます。 - 3Dメッシュ生成
点群データからサーフェスモデル(メッシュモデル)を自動生成し、glb、gltf、obj、off、ply、stlなどの主要な3Dファイル形式で出力できます。BIM/CIMモデリングソフトやCAD環境へのデータ受け渡しが円滑に行えます。
クラウド共有・特殊解析機能
- URLデータ共有
プロジェクトごとに発行できる閲覧用URLを関係者に共有するだけで、専用ソフトウェアや高性能マシンを持たない相手でもブラウザ上で点群データの閲覧・計測が可能です。受発注者間の打ち合わせや現場事務所・本社間の確認において、大容量ファイルの物理送付や専用ビューアのインストールを不要にします。 - 森林・樹木解析
森林エリアの点群データから個別の樹木を自動でセグメンテーション(単木抽出)し、樹高、胸高直径、座標などを自動算出して森林台帳を生成します。送電線と樹木との離隔距離解析にも対応しており、インフラ管理や林業DXの現場でも活用されています。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
ドローンやLiDARによる内製測量を進めつつ、解析用PCのコストや前処理工数に悩む土木施工会社
- 点群解析専用の高スペックPCを用意する費用と台数確保がボトルネックになっている
クラウド上でデータ処理を行う仕様であるため、高性能GPUを搭載した数百万円規模のワークステーションを用意する必要がありません。現場事務所の一般的な汎用PCからブラウザ経由で同時に解析処理を実行できるため、初期投資を抑えつつ社内での点群処理体制を立ち上げられます。 - 法面の草木除去やノイズの間引き処理に丸1日以上の手作業がかかっている
地表面分類精度約95%のAIアルゴリズムにより、植生や構造物の判別・不要物除去が一括で自動処理されます。実現場での導入事例では、法面の草木除去作業が丸1日以上から約1時間へと約85%削減された実績があり、測量成果品の作成にかかる残業時間を抑制できます。
発注者や遠隔地の関係者と頻繁に現況確認・協議を行う建設コンサルタント・元請ゼネコン
- 大容量の点群成果品を発注者や協力会社へ受け渡す作業に手間取っている
共有リンク(URL)を発行するだけで、相手側の端末環境(PCやタブレット、スマートフォン)を問わずブラウザ上で即座に3D点群を閲覧・確認できます。電子納品前の事前協議や残土断面の報告において、データ圧縮やストレージ送付の工数を削減し、合意形成までのリードタイムを短縮します。 - 設計データとの差分や土量変化を現場の複数メンバーでタイムリーに把握したい
クラウド上に最新の現況点群と設計面を取り込むことで、複数ユーザーがリアルタイムに土量計算や任意断面の確認を行えます。現地の切土・盛土の進捗状況をオフィスや離れた事業所から定常的に把握でき、施工管理の迅速化に寄与します。
向いていない企業・現場
セキュリティ規定によりクラウドへのデータアップロードが全面的に禁止されている現場
- 防衛施設や重要インフラ関連など、完全オフライン環境での解析が義務付けられている
ScanXはブラウザ経由でクラウドサーバーと通信して処理を行うSaaS型プラットフォームです。社内規定や発注者条件によって外部ネットワークへの測量データ送信が一切許可されない現場では、閉鎖環境のローカルワークステーションで完結するオンプレミス型点群処理ソフトウェアの選定が必要となります。
年間に数回しか点群を扱わず、未使用容量を無期限で積み立てたい運用形態の企業
- 測量業務の発生頻度が極端に少なく、月額の固定課金や容量繰り越し不可の仕様が合わない
ScanXは月額課金のサブスクリプションモデルであり、プランごとに毎月付与されるプロジェクト数や容量を使い切れなかった場合でも翌月への繰り越しはできません。年間に1〜2回程度しか点群処理を行わない企業の場合は、解析作業そのものを外部の測量会社へ委託するか、都度従量課金に対応した別の手段を検討する方が費用対効果に合う場合があります。
類似ツールとの比較
従来の点群処理分野では、TREND-POINTなどに代表されるオンプレミス(ローカルPCインストール型)の専用ソフトウェアが広く利用されてきました。これらの従来型ツールは、国内の公共測量・出来形管理基準に細かく準拠した帳票出力や緻密な手動編集機能に強みを持つ一方、数千万点におよぶ点群を軽快にレンダリング・演算するために高性能なCPU・ハイエンドGPUを搭載した高価格なワークステーションが必須とされてきました。
これに対しScanXは、演算処理の負荷をクラウドサーバー側で引き受けるアーキテクチャを採用しています。そのため、一般的なビジネス向けノートPCや現場用端末のブラウザからでも点群のレンダリングや土量計算を遅延なく行える点が大きな相違点です。また、従来型ソフトでは「植生を除去した後に構造物を段階的に手動選択して削除する」といった手順を踏むことが一般的でしたが、ScanXは独自のAIアルゴリズムにより、アップロードするだけで地表面抽出や不要物分類を一括処理するアプローチをとっています。
共有プロセスの観点においても、従来のオンプレミスソフトでは、同じソフトがインストールされた端末間でのプロジェクトファイル受け渡しや専用ビューアの配布が必要でした。ScanXはURLリンクを発行するだけで、ソフトウェアを所持していない発注者や現場代理人がスマートフォンやタブレットのブラウザからも現況地形を直接確認できる仕組みを構築しており、受発注者間の協議スピードを重視する場合に有力な選択肢となります。
料金・プラン
ScanXは初期費用55,000円(税込)で、月額利用料にサポート費用が含まれるSaaS型の料金体系が採用されています。利用規模や機能要件に応じた複数のプランが用意されています。
| プラン名 | 初期費用(税込) | 月額利用料(税込) | 備考 |
|---|---|---|---|
| Lite Plan(ライト) | 55,000円 | 33,000円 | 原則最短3ヶ月〜の契約期間。サポート費用を含む。 |
| Standard Plan(スタンダード) | 55,000円 | 66,000円 | 原則最短3ヶ月〜の契約期間。サポート費用を含む。 |
| Advanced Plan(アドバンスド) | 55,000円 | 88,000円 | 原則最短3ヶ月〜の契約期間。サポート費用を含む。個別カスタマイズプランも別途あり。 |
なお、各プランごとに毎月新規作成できるプロジェクト数やアップロード可能な月間データ容量の上限(Lite: 40GB、Standard: 200GB、Advanced: 500GB)が定められています。また、最短契約期間は原則3ヶ月以上と設定されています。
導入事例・実績
ScanXは全国43都道府県・累計1万現場以上で活用されており、大手ゼネコンから地方建設会社、建設コンサルタント、公共事業まで幅広い導入実績が公表されています。
- 株式会社竹中土木(ゼネコン)
法面の草木除去(ノイズ除去)作業において、従来は丸1日以上を費やしていた処理時間がScanXの導入により約1時間へと短縮され、約85%の時間削減を達成しました。さらに点群の均一補完機能によって土量計算の精度が向上し、ダンプトラックの手配や契約数量算出における過不足ロスが削減されています。 - 四国建設コンサルタント株式会社(建設コンサルタント)
従来ソフトで手動仕分けが多く発生していた点群のクラス分類作業において、作業時間を従来の「5分の1以下」に圧縮することに成功しました。AI自動処理により作業者のスキルに依存しない均一な品質管理が実現しています。 - 日本工営都市空間株式会社(建設コンサルタント)
植生や構造物の分類工程にかかっていた作業時間を従来の「10分の1以下」に大幅短縮しました。また、大容量点群の受け渡しをURL共有機能に置き換えたことで、データ納品や協議にかかる工数が大幅に効率化されています。 - 国土交通省「PLATEAU」プロジェクト(首都高速道路)
首都高速道路の点群データを高欄・道路面・主桁・橋脚等へ分類する業務において、AI自動分類を活用したことで作業工数を7〜8割削減しました。広域かつ複雑な構造物の3D都市モデル整備においても効果が確認されています。 - 株式会社礒部組(地方ゼネコン)
起工測量および残土管理業務に導入。残土の点群データをScanX上で発注者とオンライン共有する運用に切り替えたことで、毎月行っていた残土断面図作成や報告書作成の手間を効率化し、受発注者双方の協議スピードを向上させました。
公共工事における実務評価とNETIS登録・表彰実績
公共工事やi-Construction現場で新技術を導入する際、公的な評価や技術登録の有無は施工体制評価や工事成績評定に直結します。ScanXは国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録されている技術であり、公共工事の提案時や施工計画書への記載において活用が可能です。
さらに、令和3年度には国土交通省が主催する「i-Construction大賞」において国土交通大臣賞を受賞しています。クラウドを活用した点群処理の自動化と合意形成プロセスの省力化は、国土交通省が推進する「i-Construction 2.0」のオートメーション化・省人化指針とも合致しており、直轄工事のみならず地方自治体発注の土木現場においても導入が広がる技術的裏付けとなっています。
導入前に知っておきたいこと
導入を検討するにあたっては、実務上で報告されている以下の仕様や運用上の注意点を事前に把握しておく必要があります。
- AI自動分類後の人手による最終確認工程
AIによる地表面抽出の精度は約95%と高水準ですが、境界付近の細かな植生や複雑な形状の構造物などでは一部に誤分類が残る場合があります。実務現場のインタビューにおいても、最終成果品として納品・提出する前には人の目による最終チェックや微修正の工程を設ける運用が前提とされています。 - エリア指定地表面抽出機能の活用(修正時の手戻り防止)
従来のバージョンでは、点群データ全体に一括してパラメータが適用されていたため、一部の誤分類を修正するために再処理をかけると、正しく分類されていた別の箇所に誤分類が発生する手戻りリスクが指摘されていました。これに対し、2026年4月に「エリア指定地表面抽出機能」が追加され、修正が必要な領域のみを限定して再処理できるよう改善されています。 - 月間データ容量の翌月繰り越し不可
ScanXでは契約プランごとに毎月新規作成できるプロジェクト数やアップロード可能な容量枠が加算されますが、当月に使い切れなかった余剰容量を翌月以降に繰り越すことはできません。月ごとの測量頻度に大きな偏りがある場合は、繁忙期のデータ量を基準にプランを選定するか、事前に年間スケジュールを考慮した運用計画を立てる必要があります。
導入の流れ・期間
ScanXの標準的な導入プロセスは以下の4ステップで進行します。なお、契約からアカウント発行までの具体的な所要期間は現場の要件によって異なるため、問い合わせ時の確認が必要です。
- 問い合わせ・ヒアリング
公式サイトの専用フォームから問い合わせを行い、担当者へ自社の現場課題、計測機器(ドローン、LiDAR等)、想定するデータ量や利用人数を共有します。 - オンラインデモ・トライアル
実際の操作画面を用いたオンラインデモを通じて、AI自動分類の精度やブラウザ上での操作性を確認します。自社のサンプル点群データを用いた検証が可能な場合もあります。 - プラン選定・見積もり・契約
現場規模やプロジェクト数に応じたプラン(Lite / Standard / Advanced)を選定し、契約手続きを行います。原則として最短3ヶ月からの契約となります。 - オンボーディング・運用開始
アカウントが発行された後、導入時および利用メンバー追加時のオンボーディングサポート(使い方の説明)を受けながら、実案件での点群データアップロードおよび解析運用を開始します。専用ヘルプセンターからの問い合わせ窓口も利用可能です。
よくある質問(FAQ)
- 事務所にハイスペックなワークステーションがなくても利用できますか?
- 利用可能です。点群の描画やAIによる解析処理はクラウドサーバー側で実行されるため、一般的なオフィス用PCや現場用の汎用ノートPCのWebブラウザ環境からスムーズに操作できます。
- スマートフォンやタブレットから点群データを確認することは可能ですか?
- 可能です。発行された閲覧用URLにアクセスすることで、専用アプリをインストールすることなく、スマートフォンやタブレットのブラウザ上から3D点群データの確認や簡易計測が行えます。
- 最低契約期間はどのくらいですか?短期のスポット利用はできますか?
- 公式情報によると、契約期間は原則3ヶ月以上となっています。1ヶ月のみのスポット利用を希望する場合は、個別プランの相談が可能かどうか事前にローカスブルー株式会社へ問い合わせることを推奨します。
- ドローン以外の地上型レーザースキャナーやLiDARで取得した点群も処理できますか?
- 処理可能です。UAV写真測量による点群だけでなく、地上型レーザースキャナー(TLS)、車載型MMS、ハンドヘルドLiDAR等で取得された汎用フォーマットの点群データ(LAS、LAZなど)の取り込みに対応しています。
- 導入後の操作方法に関するサポート体制はありますか?
- 契約者専用のヘルプセンターから問い合わせが可能なほか、導入時および利用メンバーが追加された際のオンボーディング(使い方のレクチャー)サポートが提供されています。