建て役者とは?工務店・リフォーム業の原価管理と受発注業務を一元化する特徴を解説

建築・工務店・リフォーム業界向けに特化した業務一元管理クラウドサービスです。商談・見積から実行予算作成、受発注、日々の工事原価実績、アフター管理までを顧客・案件情報に紐付けて管理します。業者からの請求書登録と連動した実原価の反映により、予実の乖離を防ぎ安定した利益確保を支援します。

公式サイト
https://tateyakusha.jp/
料金モデル
SaaS(月額)
対象規模
中小企業向け
対象業界
中小工務店・地場ビルダー 建築

建て役者とは?

建て役者は、工務店やリフォーム会社、建築事業者が抱える商談・見積・実行予算・発注・請求・原価管理からアフターフォローまでの情報分断と粗利悪化の課題を解決する、株式会社システムサポート開発のクラウド型業務一元管理システムです。顧客・案件ごとに点在しがちなデータを時系列で単一のデータベースへ統合し、見積作成時の予定原価を実行予算へシームレスに連動させます。業者からの請求書登録と連動したリアルタイムな実原価の反映により、工事途中での予実乖離や赤字転落を未然に防ぎ、健全な営業・工事利益の確保を支援します。

主な機能

建て役者は、建築・工務店・リフォーム実務の流れに沿って設計されており、顧客とのファーストコンタクトから引渡し後の定期点検までを網羅する機能を備えています。主な機能群は以下の4つに分類されます。

商談・積算・見積作成機能

  • 顧客・商談管理
    見込み客への初回接触から商談経緯、敷地調査、打合せ履歴を案件ごとに時系列で蓄積できます。営業担当者ごとの進捗状況や提案内容が可視化されるため、担当者不在時でも顧客対応が滞らず、属人的になりがちな営業活動を標準化できます。
  • 過去見積引用・Excel取込機能
    過去に作成した同種工事の見積データを検索・引用して新規見積を素早く作成できるほか、使い慣れたExcel形式の明細データのインポートにも対応しています。小規模なリフォーム工事であれば数分で見積明細を組み上げることが可能になり、営業担当者の夜間残業や書類作成負荷を大幅に削減します。
  • 契約管理・電子契約連携
    確定した見積内容をそのまま契約情報へ移行し、契約金額、工期、支払条件などを一元管理できます。弁護士ドットコムが提供する電子契約サービス「クラウドサイン」との外部連携にも対応しており、施主や元請との契約締結業務をオンライン上で完結させることが可能です。

実行予算・受発注・原価管理機能

  • 見積連動の実行予算編成
    営業段階で算定した見積明細の予定原価をそのまま実行予算のベースとして反映できます。材料費・労務費・外注費・現場経費の4大原価ごとに予算枠が自動設定されるため、予算編成の手間を省きながら、着工前に確保すべき目標粗利益を確実に固定できます。
  • 発注・受発注管理
    実行予算書で定めた工種・業者ごとに、発注書や請書の発行・管理を行えます。予算枠を超える発注に対してアラートを出すなど統制を効かせることができ、現場監督の裁量による口頭発注や「予算なき施工」に伴う原価膨張を未然に抑止します。
  • 請求・支払連動によるリアルタイム予実管理
    協力業者や資材店から届いた請求書の登録と連動し、工事台帳へ実績原価が即座に計上されます。工事進行中であっても画面上で予算残額と発生原価、予測粗利益の推移をリアルタイムに把握できるため、天候不順や資材高騰による原価超過の兆候を早期に検知してリカバリー策を講じられます。

維持管理・独自帳票・情報共有機能

  • アフター管理・点検管理
    工事完了・引渡し後の施主情報に対して、定期点検のスケジュールや点検結果、メンテナンス履歴を継続して記録できます。点検時期が近づいた案件のアラーム通知機能も備えており、OB顧客への定期巡回やリフォーム提案の抜け漏れを防ぎ、再受注につなげる体制を構築できます。
  • オリジナル帳票作成機能
    パッケージ標準の帳票に加え、各工務店が従来から使用している独自の見積書・発注書・工事台帳などのレイアウトをシステム内で柔軟に作成・出力できます。使い慣れた社内書式を大きく崩すことなくシステム化できるため、現場スタッフや協力会社への変更負荷を軽減できます。
  • Myホーム(ポータル・アラーム)と添付ファイル管理(1TB)
    ログイン直後のポータル画面に、当日対応すべきタスクや未承認案件、点検アラームが集約して表示されます。また、1テナントあたり1TBの大容量ファイル添付領域が標準で用意されており、図面データ、施工写真、現場打合せメモなどを安全に一元管理できます。

外部システム連携・EDI機能

  • 電子受発注(EDI)オプション
    協力会社との間で、発注書の送付、請書回収、請求書の受取・承認をオンライン上で直接やり取りできるオプションです。郵送コストや印刷作業を削減できるだけでなく、請求書の到着遅延や支払漏れを防ぎ、経理部門と現場監督の月次締め作業を大幅に効率化します。
  • 業務ツール連携(LINE WORKS・PinMap連携)
    ビジネスチャットツール「LINE WORKS」と連携した通知や、地図上で顧客・現場の位置関係を可視化する「PinMap」との連動に対応しています。現場への移動ルート最適化や、関係者間での迅速な情報共有を後押しします。

こんな企業・現場に向いている/向いていない

向いている企業・現場

案件ごとの見積・実行予算・支払を一元化し、工事途中の予実乖離を防ぎたい工務店・リフォーム会社

  • 着工前の目標利益が固定できず、工事完了後に赤字が発覚する
    見積作成時の明細から実行予算書を直接生成し、材料費・外注費などの要素ごとに目標粗利を確定できます。発注段階で予算上限と突き合わせる原価統制が機能するため、現場監督の勘や経験に依存しない利益管理体制が整います。
  • 業者からの請求書確認に追われ、月次締めまで原価確定が遅延する
    請求書登録と連動して工事台帳に実原価が自動集計されるため、月次決算を待たずに案件ごとの最新粗利をリアルタイムで追跡できます。小規模案件であれば過去見積の引用により約5分で見積書を作成できるなど、事務処理速度の向上と利益可視化を両立できます。
  • 引渡し後のOB顧客に対する定期点検や追加リフォーム提案が漏れている
    新築・改修工事の履歴がそのままアフター管理画面へ引き継がれ、次回点検日を自動でアラーム表示します。過去の工事仕様や使用建材を確認しながら適切な保全提案ができるため、リピート工事の獲得率を高められます。

自社独自の帳票様式や運用ルールを維持しながら、クラウド化を図りたい中堅ビルダー

  • 汎用SaaSを導入したが、帳票レイアウトが合わず現場や取引先から不満が出ている
    オリジナル帳票作成機能により、社内独自の帳票レイアウトを自社で設計・出力できます。長年定着した帳票フォーマットを踏襲できるため、運用変更に伴う現場の反発を抑えられます。
  • 標準機能だけでは自社特有の承認フローや商慣習に対応しきれない
    クラウド型パッケージでありながら個別有償カスタマイズに対応しており、自社独自の業務ルールに合わせた改修が可能です。過去実績としてユーザーの82.6%(2020年4月実績)がカスタマイズを適用しており、業務適合率の高い運用環境を構築できます。

向いていない企業・現場

初期費用を抑えて数名規模で手軽に台帳管理や日報だけを始めたい小規模事業者

  • 月数千円程度や無料トライアルで手軽にスタートしたい
    建て役者は初期導入費用として500,000円(税別)、月額50,000円(税別・5ライセンス含む)の設定となっており、数名規模の事業者にとっては初期投資のハードルが高くなる場合があります。低予算で最低限の粗利集計のみを行いたい企業は、初期費用無料の安価なツールや工事台帳特化型システムを検討した方が費用対効果が合致します。

現場での写真整理や図面共有など、現場施工管理機能のみを求めている企業

  • 職人とのチャットや電子小黒板、写真台帳の自動作成だけを目的としている
    建て役者は商談、見積、実行予算、受発注、原価、請求・支払といったバックオフィス・経営管理を統合するシステムです。現場での黒板撮影や写真の自動仕分け、配筋検査記録といった「現場施工管理アプリ」の専用機能群を求めている場合、単独導入では目的を果たせないため、現場特化型アプリの併用や別ツールの選定が適しています。

類似ツールとの比較

ツール名 特徴 料金 向いている企業
建て役者 商談から見積・実行予算・受発注・原価・アフターまでを網羅。クラウドでありながら有償個別カスタマイズや独自帳票作成に対応。 初期費用: 500,000円(税別)
月額: 50,000円/5ライセンス(税別)
追加: 3,000円/ライセンス
自社独自の帳票や運用ルールを維持しつつ、案件・原価・アフターを一元管理したい中小工務店・リフォーム会社
AnyONE Excelに近い直感的な操作画面で、見積・予算・発注・原価・顧客管理をシームレスに連携。 要問い合わせ Excel管理からの移行をスムーズに行い、操作定着を最優先したい工務店・リフォーム会社
レッツ原価管理Go2 工事ごとの収支状況を視覚的なグラフや警告アイコンで把握。オンプレミス版とAzure稼働のクラウド版を提供。 要問い合わせ 視覚的な予実分析で赤字工事を早期察知したい企業、オンプレミス環境とクラウド運用を選択したい企業
建築業向け管理システム アイピア 見積作成と連動して実行予算・実績原価・粗利率を自動集計。ダッシュボード上で各案件の収支差異を視覚的に把握可能。 要問い合わせ 直感的なダッシュボードで予実乖離を素早く把握し、全社的な利益統制を強化したい建築事業者

建て役者と他の建築・原価管理ツールを比較する際の最大の分岐点は、「網羅する業務プロセスの広さ」と「自社帳票・個別業務へのカスタマイズ性」にあります。多くのクラウド型SaaSが提供する固定フォーマットに自社の業務を合わせる運用が難しい場合や、見積・受発注だけでなく引渡し後の定期点検・アフター管理まで同一データで追跡したい場合には、建て役者が有力な選択肢になります。

一方で、操作の簡易性やExcelに極力近い入力性を最優先し、手厚い導入シェアを重視する場合はAnyONEが比較対象となります。また、グラフィカルなアラート機能で赤字工事の早期検知に特化したい場合やサーバー運用の選択肢を持ちたい場合はレッツ原価管理Go2、視覚的なダッシュボードによる直感的な収支把握を求める場合は建築業向け管理システム アイピアが検討候補に挙がります。

料金・プラン

建て役者は2024年7月9日に料金モデルを刷新し、従来のライト・スタンダード・プレミアムの3段階プランを廃止して、標準機能を拡充した単一モデルへ統合されました。公式サイトおよび公式プレスリリースで公開されている料金体系は以下の通りです。

プラン区分 初期導入費用 月額利用料 備考
基本プラン 500,000円(税別) 50,000円/5ライセンス(税別) 顧客・商談・見積・実行予算・受発注・原価・アフター管理、オリジナル帳票機能、1TB添付領域を含む
追加ライセンス なし 3,000円/1ライセンス(税別) 6ライセンス目以降から契約可能
EDIオプション 要問い合わせ 要問い合わせ 取引先との電子受発注・電子請求書の授受を行うオプション機能
個別カスタマイズ 要問い合わせ 個別見積 自社固有の仕様追加・外部システム連携等(カスタマイズ部分は有償保守)

導入事例・実績

建て役者は、石川県金沢市に本社を置く株式会社システムサポートによって自社開発・自社保守が行われており、20年以上にわたる建築・リフォーム業界特化の実績を持ちます。累計導入社数は740社以上(システムサポート公表数値)に達しています。

株式会社グリーンランド(千葉県千葉市 / 2010年導入)
リフォーム事業を手がける同社では、過去の見積もりデータを引用して作成する機能を活用することにより、キッチン工事などの小規模案件であれば「5分ほど」で見積作成が完了する体制を実現しました。導入前は大型案件の作成業務が夜遅くまでかかることもありましたが、見積作成業務の標準化とスピード向上により、提案業務の大幅な効率化につながっています。(※公開事例内に同社の従業員数・売上高の具体的記載はなし)

株式会社薄井工務店(栃木県宇都宮市 / 2010年導入)
注文住宅を手がける同社では、従来の紙やExcelによる業務手法からの切り替えにあたり社内的な心理的抵抗があったものの、役員幹部が率先してシステムを利用し、毎日社員の入力進捗をチェックする運用ルールを初期に設けることで定着を成功させました。全社で案件情報と原価情報が共有される環境を整えています。(※公開事例内に工数削減率等の定量的数値記載はなし)

※なお、公式サイト等の導入事例において企業名・導入規模(売上・従業員数)・効果数値(時間削減率等)の3点がすべて公表されている事例は現時点で確認できていません。

個別有償カスタマイズへの対応と独自帳票の設計自由度

一般的なクラウド型SaaSでは、全ユーザー共通のシステム基盤を用いるため、画面構成や帳票フォーマットが固定化されており、利用企業側が自社の業務フローをシステムに合わせる必要があります。これに対し、建て役者はクラウド形態を取りながらも、各社の業務要件に応じた個別有償カスタマイズに対応している点が大きな特徴です。

システムサポートの公表データによると、導入企業のカスタマイズ適用率は82.6%(2020年4月実績)にのぼります。長年培ってきた自社独自の歩掛計算ルール、複雑な社内決裁フロー、特定の協力会社との精算方式などをシステム側へ反映させることが可能です。

さらに、標準機能として「オリジナル帳票機能」が組み込まれており、外部の改修費用をかけることなく、ユーザー自身がマウス操作で見積書や発注書のレイアウトを編集・新規作成できます。自社のブランドイメージを反映した施主向け提出書類や、協力会社が確認しやすい現場向け発注書を内製できるため、業務の柔軟性を損なわずにデジタル移行を推進できます。

電子受発注(EDI)および外部サービス連携によるバックオフィス効率化

建て役者では、社内業務の完結にとどまらず、協力会社や外部クラウドサービスとのデータ連携を拡張できる仕組みが整備されています。

EDIオプションを導入することで、これまでFAXや郵送、メール添付で行われていた発注書・請書の取り交わしを、協力会社用のWebポータルを介して電子的に行えます。協力業者は画面上で発注内容を確認して受領でき、完工後の請求書も同ポータルから電子発行されます。受領した請求金額は建て役者の原価データへ直接連動するため、経理担当者による手入力の手間と転記ミスを排除し、支払業務の抜け漏れを防止します。

さらに、弁護士ドットコムの電子契約サービス「クラウドサイン」とのAPI連携により、施主との請負契約や重要事項説明書類の電子署名化が可能です。また、地図連携サービス「PinMap」やビジネスチャット「LINE WORKS」との連動により、現場位置の確認や社内連絡をスムーズにし、施工管理者の事務所への立ち寄り回数を削減する環境を提供します。

導入前に知っておきたいこと

建て役者を検討するにあたっては、以下の仕様および運用上の留意点を確認しておく必要があります。

まず、第三者の大手ソフトウェアレビューサイト(ITreview等)において、建て役者の製品ページは開設されているものの、確認時点でユーザーレビューの投稿件数は0件となっており、外部ユーザーによる客観的な口コミや改善要望の集積は確認できていません。検討時は自社でデモ画面を十分に検証することが重要です。

また、対応デバイスはPC(Windows)のほかタブレット(iPad)に対応していますが、スマートフォン専用アプリの提供やAndroidタブレットへの公式対応はアナウンスされていません。現場監督がスマートフォン1台で現場から日報や写真を軽快にアップロードするような運用を主目的とする場合は、操作性の事前確認が必要です。

加えて、個別カスタマイズを実施した場合、その改修箇所に関してはパッケージの無償バージョンアップの対象外となり、維持管理や追加改修に別途有償対応が必要になる点も留意しておくべきポイントです。

導入の流れ・期間

建て役者の問い合わせから運用開始までの標準的な導入手順は以下の通りです。

  1. 問い合わせ・ヒアリング
    公式サイトの専用フォーム等から資料請求や問い合わせを行い、自社の業務課題や管理要件のヒアリングを受けます。
  2. デモンストレーション・提案
    実際の操作画面を用いたデモを通じて、商談管理、見積作成、実行予算、原価管理などの適合性を確認します。
  3. 見積もり・要件定義
    利用ライセンス数、EDIオプションの要否、自社専用の個別カスタマイズの有無を確定し、見積提示を受けます。
  4. 契約・システム環境構築
    正式契約後、クラウド環境のセットアップや初期設定が実施されます。個別カスタマイズを行わない標準導入の場合、契約から2週間程度での納品が可能です。
  5. マスタ登録・操作説明
    取引先情報、自社社員情報、標準工種・単価マスタなどの登録を進め、平日9:00〜18:00対応のサポート窓口(電話・FAX・メール)を活用しながら運用テストを行います。
  6. 本稼働
    実際の案件の登録を開始し、業務運用へ移行します。

よくある質問(FAQ)

スマートフォンやタブレットでの利用には対応していますか?
PC(Microsoft Windows)に加えて、iPad(iPadOS / Safari)からのアクセスに対応しています。スマートフォン専用アプリの提供は公表されておらず、推奨利用環境はPCおよびiPadとなっています。
無料トライアルやデモ画面の体験は可能ですか?
公式サイトにおいて無償トライアル環境のセルフサインアップは提供されていませんが、専任担当者によるオンラインデモンストレーションや画面の案内が提供されています。公式サイトより問い合わせて相談する流れとなります。
システム導入後のサポート体制はどのようになっていますか?
平日9:00~18:00に、専任スタッフによる電話、FAX、メールでの操作サポート窓口が開設されています。また、データセンターは24時間365日の監視体制が敷かれており、データバックアップは1ヶ月間保持されます。
自社独自の帳票様式やロゴマークを反映させることはできますか?
可能です。標準機能として「オリジナル帳票機能」が搭載されており、ユーザー側で独自の見積書・発注書・請求書などのフォーマットを作成・出力できます。さらに高度な帳票設計や業務連動が必要な場合は、個別有償カスタマイズでの対応も受け付けています。
契約期間や途中解約に関する条件は公開されていますか?
最低利用期間や解約時の申し出期日などの詳細な契約約款は、公式サイト上では一般公開されていません。初期費用(500,000円・税別)を含む契約条件の詳細は、見積提示の段階で確認することを推奨します。
稼働までにどのくらいの導入期間が必要ですか?
個別カスタマイズを行わない標準機能での導入であれば、正式契約から約2週間での納品が可能です。ただし、マスタデータの準備期間や社内操作トレーニングの期間は別途見込んでおく必要があります。

参照・出典

他の工事原価管理システムと比較する

建て役者の特徴を含む原価管理の13製品を、料金・機能・対象規模で比較できます。

工事原価管理システム比較13選