原価本家とは?
原価本家は、株式会社アイキューブが提供する中小規模の建設業・工事業向け原価管理ソフトです。現場で入力される日報データをもとにタイムリーな原価集計と実行予算対比を行い、施工途中におけるコスト超過や赤字リスクの早期検知を支援します。工種別・費目別に予算と実績の差異をリアルタイムに把握できる工事台帳の自動作成に対応し、どんぶり勘定や月末締めの集計遅延といった課題を解決します。出面管理や入金支払管理など業務に合わせたモジュール選択が可能なほか、15種類以上の専門工事業向けテンプレートを備えている点が特徴です。
主な機能
予算策定・現場受注管理機能
- 現場情報登録・受注管理
工事の受注確定時に工事基本情報や発注元データ、社内管理部門を登録できます。過去の見積データからの転送取り込みに対応しているほか、多様な検索抽出条件による管理帳票の出力が可能です。 - 実行予算作成
過去の類似工事データを参照しながら、工種別・費目別の予算内訳をスムーズに作成できます。発注データや支払データと連動させることで、予算枠を超過する調達や外注発注を未然に防ぐ原価統制の基準を確立できます。
原価集計・進捗把握機能
- 日報入力によるリアルタイム原価管理
日々の現場日報を入力するだけで工事台帳へ即座に数値が反映され、最新の原価推移が集計されます。日報形式での入力に加え、協力会社・業者別の入力方式にも対応しており、重複入力や転記ミスを防止できます。 - 進捗・出来高管理
作業内容や工種ごとの進捗状況を日報データから自動集計します。現場での出来高数量を入力することで進捗率が自動計算され、予算消化ペースと施工進捗の乖離を施工中に視覚的に確認できます。
業種特化・外部システム連携機能
- 15種類以上の業種別テンプレート
設備工事、ガス工事、躯体工事、鉄筋業、森林組合向けなど、各業種の商慣習に合わせた入力画面や集計フォーマットを提供しています。枝番管理や複数組入力、出来高消し込みなど、業種特有の管理実務へ柔軟に適応します。 - 本家シリーズ連携および他社財務・給与システム連動
同社の「出面本家」「入金支払本家」「見積本家」とのデータ統合が可能です。さらに株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)の「建設奉行」や「給与奉行」と仕訳データや勤怠・労務費データを連動させ、バックオフィスの二重入力を削減します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
直雇職人や日雇い作業員が多く、労務費集計と給与計算の乖離に悩む専門工事業者
- 複雑な出面形態による労務費集計の遅れ
日雇いや直雇、昼夜交代勤務などが混在する現場では労務費の確定が月末まで遅れがちです。原価本家は「出面本家」と緊密に連携し、複雑な計算式や丙欄対応を含めた出面データから現場労務費を即座に再計算できるため、労務原価のタイムリーな把握が可能になります。 - 現場ごとの作業員配置と実行予算の突合負荷
軌道工事や鉄筋工事などの専門工事業において、誰がどの現場で何時間稼働したかの把握が曖昧だと採算が悪化します。配置入力機能と実行予算を直結させることで、最大100名規模の作業員が稼働する現場であってもどんぶり勘定を解消し、労務費の予実統制を確立できます。
多数の並行現場を抱え、請求・支払状況の分断により最終粗利の確定が遅れている建設会社
- 現場・設計・経理間の情報分断による確認ロス
年間数百件規模の現場が動く環境では、請求書や支払伝票の処理状況が担当者ごとに分散しがちです。原価本家を導入することで、現場・管理部門間で請求や支払いの進捗状況を共通画面から検索抽出できるようになり、社内確認の手間が削減されます。 - 工事完了を待たないと原価オーバーに気づけない管理体制
資材価格や外注費の変動が激しい現在、完工後の集計では赤字の補填が間に合いません。日報入力と発注・支払データの連動により、年間300現場を抱える企業においても工程ごとの発生原価をリアルタイムに可視化し、施工途中の軌道修正が可能になります。
向いていない企業・現場
初期の運用ルール策定やマスター設定に社内リソースを割けない小規模事業者
- 導入初期における業務フロー再構築の負担
原価本家は購買・経理・現場のデータを高度に連携させる構造上、社内の入力ルールや担当者の役割分担が定まっていないと二重入力が発生するリスクがあります。専任の管理担当者がおらず、初期設定や運用ルールの整備に十分な時間を確保できない場合は、より設定が簡素なツールの検討が推奨されます。 - 設定不要で即座にブラウザ完結の利用を希望するケース
原価本家はSQL Serverをベースとしたクライアント環境または専用クラウド(本家DX Cloud)で稼働する仕様です。初期マスター(勘定科目や銀行コードなど)の登録・拡張作業を自社で進める必要があるため、Webサインアップのみで即日運用を開始したい現場には負担となる場合があります。
深夜帯や土日祝日を中心としたサポート・システム稼働を必須とする企業
- クラウド版の定期メンテナンス時間帯による制約
クラウド環境である「本家DX Cloud」は、火曜日および金曜日の22:00から翌朝7:00まで定期メンテナンスが実施され、システムを利用できません。夜間工事の終了直後や深夜帯に集中して日報入力やデータ更新を行う現場体制の場合、運用スケジュールとの干渉に注意が必要です。 - 週末トラブルへの即時問い合わせニーズ
メーカーのサポート窓口は土・日・祝日が休業となっており、休日の問い合わせは翌営業日の対応となります。土日稼働が主体の現場で即時サポートを求める体制の場合は、運用上の留意点となります。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 原価本家 | 出面管理と直結した高精度な労務費計算、15以上の業種別テンプレート、OBC奉行連携に対応 | 要問い合わせ(指導費用等は一部公開) | 直雇・出面管理の比率が高い専門工事業者、同時アクセスで運用コストを抑えたい中小建設会社 |
| 使えるくらうど工事台帳 | 出先からの日報入力と連動した工事台帳自動集計、グループウェア機能統合による現場連携 | 要問い合わせ | 現場と事務所の情報共有をグループウェアごと一体化して進めたい中小建設業 |
| レッツ原価管理Go2 | 見積から実行予算・発注・支払まで網羅、視覚的な警告アイコンやグラフによる収支可視化 | 要問い合わせ(オンプレ/Azureクラウド) | 見積積算から原価管理・請求までの一連の流れを警告機能付きで手堅く管理したい企業 |
| 建築業向け管理システム アイピア | 顧客管理・見積・原価・入金までを一元管理するWebクラウドシステム、粗利率の自動集計 | 要問い合わせ | リフォーム・住宅新築など、顧客情報や商談段階から工事原価を一気通貫で管理したい工務店 |
直雇の職人や日雇い作業員が多く、出面管理から日給計算・現場ごとの労務費配賦までを正確に連動させたい専門工事業者であれば、出面本家との強力な連携基盤を持つ原価本家が有力な候補となります。また、躯体工事や設備工事、鉄筋業など、自社の工種に特化した入力パターンを標準テンプレートでカバーしたい場合にも原価本家の適合度が高いと言えます。
一方で、顧客管理(CRM)や営業商談の段階から見積・原価までをひとつのクラウド上で統合したい工務店やリフォーム会社の場合は、建築業向け管理システム アイピアのような一元管理システムが適しています。また、現場の日報入力と同時に社内メッセージやスケジュール共有などのグループウェア機能を重視する場合は、使えるくらうど工事台帳との比較検討が有効です。
料金・プラン
原価本家のソフトウェア本体ライセンス料金は公式サイト上で一律公開されておらず、導入するモジュール構成(原価本家、出面本家、入金支払本家など)や利用形態(スタンドアロン版、ネットワーク版、本家DX Cloud)、同時アクセスライセンス数に応じた個別見積(要問い合わせ)となっています。なお、登録ユーザー数課金ではなく「同時アクセスライセンス方式」を採用しているため、利用頻度に応じたライセンス設計によって導入コストを調整可能です。
公式サイト上で案内されている導入指導および保守関連の費用メニューは以下の通りです。
| 項目・コース | 料金(税抜) | 内容・備考 |
|---|---|---|
| 導入指導 基本パック(Aコース) | 200,000円 | スタンドアロン版向け。3時間×3回指導、ソフト1本の初期設定を含む(出張交通費・宿泊費別途実費) |
| 追加半日指導(Bコース) | 90,000円 | 1回あたり4時間の追加操作指導メニュー |
| 製品バージョンアップ・ディスク交換 | 100,000円〜 | プログラムディスク交換費用(年間保守契約加入ユーザーは無料または優遇割引が適用) |
原価本家は経済産業省の「IT導入補助金」の対象ITツールとして採択実績があります。補助金制度の公募状況や適用要件を満たすことで、ソフトウェア購入費や導入関連費用の一部について補助を受けられる可能性があります。見積もりを依頼する際は、以下のポイントを確認することが推奨されます。
- 自社の運用に必要なモジュール構成(原価単体か、出面・入金支払・見積を含めるか)
- 同時アクセスを必要とする最大クライアント数
- オンプレミス(自社サーバー・ネットワーク)運用か「本家DX Cloud」利用かによる月額インフラ費用の有無
- 導入指導コースの選択と、出張費用等の付帯費用の見積もり
導入事例・実績
日信工業株式会社(軌道工事業)
鉄道の軌道新設や保守を手がける日信工業株式会社では、昼夜交代勤務が発生する現場環境下において、労務費集計と給与計算のどんぶり勘定を解消するために本家シリーズを導入しました。
- 導入規模
原価本家 10ライセンス、出面本家 10ライセンス、売上入金 10ライセンス、歩掛本家 10ライセンス(OBC「建設奉行」「給与奉行」と連動)。 - 導入効果
最大100名に及ぶ作業員の出面管理が容易になり、昼勤・夜勤の複雑な勤務集計がスムーズになりました。配置入力機能を活用することで実行予算の作成が効率化され、出面データから給与計算および現場原価への労務費配賦が正確に行える体制を確立しています。
株式会社建新(総合建設・宅地建物取引業)
建売住宅や注文住宅の建築を手がける株式会社建新では、現場数の急増に伴う原価把握の遅れを是正するため、2014年12月に本家シリーズを導入しました。
- 導入規模
アイキューブ本家シリーズ 10ライセンス。 - 導入効果
年間300現場に及ぶ膨大な工事案件の原価データをリアルタイムに連携できるようになりました。現場監督、設計部門、管理部門の間で請求・支払いの進捗状況が検索機能により即座に把握可能となり、工事完了を待つことなく各工程の進行途中で発生原価を正確に統制できる体制を実現しています。
「本家DX Cloud」とオンプレミス環境の運用仕様・インフラ要件
原価本家は、自社内に環境を構築する「オンプレミス型(スタンドアロン版/ネットワーク版)」と、クラウドインフラ上で運用する「本家DX Cloud」の2つの提供形態を選択できます。自社のITリソースやセキュリティ要件に応じた選択が可能です。
オンプレミス環境で運用する場合、クライアント端末のCPU要件はIntel Core i3以上(推奨:Intel Core i5以上)または互換プロセッサとされています。また、データ管理基盤にはMicrosoft SQL Serverが使用されるため、ネットワーク版のサーバー構築においてはSQL Serverのライセンス管理やシステム管理者(sa)パスワードの運用管理を自社側で行う必要があります。
一方、サーバー管理の負担を軽減したい企業向けには「本家DX Cloud」が提供されており、主要クラウドベンダーの基盤上で動作確認が行われています。ただし、クラウド運用においては以下の仕様が定められているため、事前の業務設計が必要です。
- 定期メンテナンス時間帯
毎週火曜日および金曜日の22:00から翌朝7:00までは定期保守のためシステムが停止し、アクセスできません。 - 利用環境
安定したインターネット接続環境と、指定されたクライアント要件を満たすPC端末が必要となります。
「建設奉行」「給与奉行」との仕訳・勤怠連携によるバックオフィス統合
原価本家の大きな強みのひとつが、株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供する基幹業務システム「建設奉行」や「給与奉行」との直接データ連動です。建設業特有の複雑な会計基準や労務管理に対応するため、マスターレベルでのデータ受渡しを実現しています。
通常、現場の日報から得られた労務費や外注費を会計帳簿に反映させるには、経理担当者が仕訳伝票を再入力する二重入力の手間が発生します。原価本家および出面本家をOBC製品と連動させることで、日報から算出された日当・残業代などの給与計算用データを「給与奉行」へ受け渡せるほか、現場ごとの発生原価を完成工事原価や未成工事支出金として「建設奉行」の仕訳データへ自動変換できます。これにより、決算変更届や経営事項審査(経審)で求められる完成工事原価報告書と工事台帳の数値突合を正確かつ短時間で完了させる基盤が整います。
導入前に知っておきたいこと
原価本家の導入を検討するにあたっては、先行事例や製品仕様から明らかになっている以下の注意点や留意事項を事前に確認しておく必要があります。
第一に、導入初期における社内ルールと業務フローの再整備です。東洋建設株式会社の導入事例では、導入初期に社内の運用体制や担当者の引き継ぎが十分に整っていなかったため、購買部門・経理部門・管理部門の間で二重入力が発生し、各データの完全連動までに時間を要した実情が公表されています。現場任せにせず、誰がどのタイミングで日報や支払承認を入力するのかを全社的に取り決めるプロジェクト推進体制が求められます。
第二に、マスターデータの初期登録と拡張の仕様です。初期状態でシステム内に登録されている銀行コード数などに制限があり、自社の取引先金融機関に合わせた個別設定・拡張登録作業を導入初期に行う必要があった事例が報告されています。自社の取引先数や銀行口座数に応じたマスター構築工数を織り込んでおく必要があります。
第三に、サポート受付時間とメンテナンス帯の制約です。メーカーの電話・リモートサポート窓口は土日祝日が休業となっており、休日の現場トラブルへの回答は翌営業日となります。また、前述の通り本家DX Cloudでは火曜・金曜の深夜帯(22:00〜翌朝7:00)が利用停止となるため、夜勤帯の直後にシステム入力を行う運用の場合は注意が必要です。
導入の流れ・期間
原価本家を導入する際の基本的なプロセスは以下の通りです。業務フローのヒアリングから初期マスター登録、操作研修を経て実運用へと移行します。
- 問い合わせ・業務ヒアリング
公式サイトの問い合わせ窓口から相談を行い、自社の工事種別、管理工種数、現在の課題(日報集計、出面、支払管理など)のヒアリングを受けます。 - ソフト構成の提案・デモンストレーション
ヒアリング内容をもとに、原価本家単体または出面本家・入金支払本家などを組み合わせた最適なモジュール構成とライセンス数の提案を受け、実際の操作画面や業種別テンプレートのデモを確認します。 - 見積もり・契約
ライセンス費用、サーバー形態(オンプレミスまたはクラウド)、導入講習パック(Aコースなど)、保守契約を含む正式な見積もりが提示され、契約を締結します。IT導入補助金を利用する場合は、この段階で交付申請手続きを進めます。 - システムセットアップ・初期設定
オンプレミス版の場合はSQL ServerおよびクライアントPCのセットアップを行い、クラウド版の場合は接続環境を構築します。勘定科目、工種区分、協力会社データ、銀行コードなどの初期マスターを登録します。 - 導入講習・実運用開始
専門インストラクターによる操作指導(3時間×3回等の有償講習)を受講し、日報入力や実行予算作成のテスト運用を経て、本稼働を開始します。
※原価本家の具体的な導入期間(発注から稼働開始までの標準日数)は、導入するモジュール数やマスター登録規模によって異なるため、個別見積もり時にメーカーへ問い合わせて確認する必要があります。
よくある質問(FAQ)
- スマートフォンやタブレットから利用できますか?
- 原価本家の基本クライアントはPC(Windows環境、Intel Core i3以上等)で動作する仕様です。現場からの日報入力やモバイル運用の可否、クラウド版(本家DX Cloud)におけるスマートデバイス対応の詳細については、アイキューブへの確認が推奨されます。
- 同時アクセスライセンス方式とはどのような仕組みですか?
- 利用者全員分のID課金(ユーザー登録数課金)ではなく、システムに「同時にログインして作業できる台数(ライセンス数)」に応じて課金される仕組みです。例えば10ライセンスを購入した場合、社内で数十名のアカウントを作成していても、同時にアクセスする人数が10名以内であれば追加ライセンスなしで利用できます。
- 無料トライアルやデモ版は用意されていますか?
- 公式サイト上では無料トライアル環境の一般公開は明記されていません。導入検討時に担当者による機能デモンストレーションや画面の確認が可能ですので、公式サイトの問い合わせフォームよりデモ希望を申し込む必要があります。
- どのような業種別テンプレートが用意されていますか?
- 設備工事業、ガス工事業、躯体工事業、鉄筋業、森林組合向けなど、15種類以上のテンプレートが用意されています。各業界特有の工種体系や商慣習(枝番管理、複数組入力、出来高消し込み等)に合わせた入力・集計画面を標準で選択できます。
- 保守契約に加入するメリットは何ですか?
- 保守契約に加入することで、専任スタッフによるリモートメンテナンスサポートが受けられるほか、製品の最新バージョンへの無償提供、税制や法令改正に伴う機能改善版の優遇提供、プログラムディスク交換時の費用免除・割引などのサービスが適用されます。
- 契約期間や解約条件はどうなっていますか?
- ソフトウェア本体のライセンス形態(買い切り等)やクラウド版「本家DX Cloud」の最低利用期間、保守契約の更新・解約条件は契約プランにより異なります。詳細な条件については個別見積もり時に提示される規約を確認してください。