ヒロイくんIIIとは?
ヒロイくんIIIは、紙やデータ図面からの手作業による拾い出し作業を効率化し、積算担当者の長時間労働や計算ミスを削減するために開発された数量拾い出し特化ツールです。アークシステム株式会社が提供しており、PDFやCAD、画像形式の図面を取り込んでマウス操作を行うだけで、部材の数量・長さ・面積などを画面上で計測・集計できます。拾い作業の根拠が色分けされた図面や数量表をExcel形式で出力できるほか、同社が展開する積算見積ソフト「楽王」シリーズへのダイレクトなデータ連携に対応しています。企業規模を問わず、内装や電気、設備工事などの専門工事業者から中小工務店まで幅広く利用されています。
主な機能
図面計測・数量集計機能
- マウス操作による自動計測・カウント
CAD(DXF)やPDF、スキャン画像(TIFF等)の図面データを読み込み、画面上をクリックやドラッグするだけで長さ・面積・体積・傾斜・数量を自動算出します。電卓やスケールを用いた手拾い作業に比べ、集計時間を短縮し、転記に伴う計算ミスを防ぎます。 - 開口部・建具の自動減算処理
図面上に設定された窓や扉などの建具に対して、面積の自動マイナス処理やサッシ周長の自動計算を行えます。壁面や床面の内装材を拾い出す際、開口部を差し引く計算を手動で行う手間を省き、精度の高い施工数量を算出します。 - 内装部材の割付計算
指定した壁面や床面積に対し、タイル、石膏ボード、壁紙(クロス)などの割付を行い、必要となる部材枚数を自動的に導き出します。現場ごとの資材ロスを抑え、適正な材料発注数量の算出を支援します。 - 線番・器具カウント
電気配線や衛生配管のルート長、コンセントや照明器具などの設備シンボルを画面上で効率的にカウントできます。複雑な設備図面であっても、工種別に整理された数量データをすばやくまとめることが可能です。
視覚的管理・ミス防止機能
- レイヤー・部材別の色分け表示
計測が完了した部材や系統ごとに、図面上の軌跡を異なるカラーで自動的に色付けします。どの部屋のどの部材を拾い終えたかが視覚的に判別できるため、拾い漏れや二重集計のトラブルを未然に防止します。 - 自社ルールのテンプレート登録
社内で頻繁に用いる部材仕様や計測ルールを、2,000通り以上システム内に保存できます。作業者ごとの拾い方のブレを抑え、積算担当者が変わっても一定水準の品質で積算データを構築できます。
データ出力・連携機能
- Excel形式での数量表・軌跡図面出力
自動集計された工種別・部材別の数量表に加え、色分けされた計測軌跡が残る図面データをExcel形式で一括書き出しできます。発注元や施工現場への提出用根拠資料としてそのまま活用可能です。 - 積算見積ソフト「楽王」シリーズへの直接連携
出力した数量データを、アークシステムが提供する「楽王3」「楽王Link」「楽王Crew」などの見積作成システムへ直接取り込めます。CSVの再加工や手入力を介さず、拾い出しから見積内訳明細書の作成までをシームレスに完結できます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
紙図面と三角スケールによる手拾い作業が常態化し、見積作成に追われている専門工事業者
- 図面拾い出し作業にかかる膨大な時間と残業の慢性化
三角スケールやキルビメーターを用いた手拾い作業は、積算業務の全工程において多くの時間を占め、担当者の長時間労働の要因となります。ヒロイくんIIIを導入してPDFやCAD図面上でマウス計測を行う体制へ移行することで、機械設備工事の株式会社ダイエックスでは1〜2日を要していた拾い作業が半日以下に短縮されるなど、作業工数の大幅な削減が見込めます。 - 拾い漏れや転記ミスによる実行予算の狂い
手作業によるカウントや電卓での検算は、部材の見落としや二重計上などの人的ミスを引き起こしやすく、着工後の資材不足や予算割れを招くリスクがあります。ヒロイくんIIIの色分け表示とExcel出力機能を活用することで、集計軌跡が可視化され、誰が見ても確認しやすい積算根拠を短時間で作成できます。
担当者ごとの積算基準のバラつきを抑え、社内の見積作成を標準化したい中小工務店・改修事業者
- 積算担当者の経験や勘に依存した拾い出し精度の属人化
担当者によって図面の読み取り方や開口部の減算ルールが異なると、案件ごとの利益率のブレや提出見積の精度のばらつきにつながります。ヒロイくんIIIに自社の拾いルールを2,000通り以上登録しておくことで、大規模修繕工事の株式会社エイチ・ビーのように工数を50%削減しつつ、作業の個人差を解消して社内の積算基準を統一できます。 - 月間の見積提出件数が多く、作業のボトルネックが発生している現場
繁忙期に見積依頼が集中すると、拾い出し作業が追いつかずに提出遅延や受注機会の損失が発生します。操作性に特化したインターフェースにより、西澤建設株式会社では月50件超・数億円規模の見積依頼を手拾いからシステム化し、日付が変わるまで続いていた見積担当者の残業を激減させています。
向いていない企業・現場
土木工事の入札積算を主軸とし、官公庁の電子設計書取り込みを求める企業
- 公共土木工事特有の積算体系や歩掛への自動適合
ヒロイくんIIIは建築・設備・内装工事の「図面からの数量拾い出し」に特化したソフトウェアであり、各自治体や国土交通省が定める公共土木工事の電子設計書(PDF/Excel)を取り込んで自動積算を行う構造にはなっていません。公共土木の予定価格算出や地域単価・歩掛データの自動参照を重視する場合は、土木積算に特化した別システムの検討が適しています。
積算業務の頻度が極めて低く、紙図面のスキャン環境やPC環境が整っていない現場
- 低解像度スキャン図面しか扱えず、導入初期の設定負担を避けたいケース
ヒロイくんIIIは画面上での線・図形認識やスケール設定を前提としているため、解像度の粗い紙図面のスキャンデータでは計測精度が十分に発揮できない場合があります。また、社内ルールや部材マスタの初期整備が必要となるため、年間で数件程度しか図面積算を行わない現場では、初期設定の工数や月額コストに見合う費用対効果が得られにくい側面があります。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| ヒロイくんIII | 図面上のマウス操作で長さ・面積・部材数を自動計測する数量拾い出し特化ツール。「楽王」シリーズへの直接連携に対応。 | サブスク版:月額3,800円(税込) 初回手数料:10,000円(税込) パッケージ版:要問い合わせ |
内装・電気・設備工事など、図面からの部材拾い工数を削減したい専門工事・中小工務店。 |
| 楽王 | 建築・電気・空調衛生設備などに対応した積算見積作成ソフト。Excel感覚の操作性で階層見積や内訳明細書を作成。 | 要問い合わせ(サブスク版・パッケージ版等あり) | 数量拾い出しだけでなく、歩掛や単価マスタを用いた本格的な見積内訳明細書の作成まで統合したい企業。 |
| 建築みつも郎 | 建築特有の多階層見積や金額調整に長けた見積作成専用ソフト。業者別発注書の分割作成など実務機能が充実。 | 要問い合わせ(パッケージ販売等) | 図面拾い出しではなく、工務店やリフォーム業における複雑な見積書作成・書式管理を効率化したい企業。 |
| ゴールデンリバー | 公共土木工事の入札積算システム。電子設計書を取り込んで歩掛や地域単価データを自動反映し、入札価格を算出。 | 要問い合わせ | 民間建築の数量拾いではなく、自治体や国交省の土木入札積算の精度とスピードを向上させたい土木事業者。 |
ツールを選定する際の判断基準として、まず業務上のボトルネックが「図面からの部材数量・面積の算出(拾い出し)」にあるのか、それとも「単価や歩掛を当てはめて見積書・内訳明細書を組み立てる作業」にあるのかを切り分ける必要があります。図面の拾い出し作業に1日〜数日を要しており、残業や人的ミスの原因となっている場合は、図面計測に特化したヒロイくんIIIの導入が有効です。
一方で、数量の拾い出し作業はすでに別手段で解決しており、見積書の階層管理や発注書作成、社内承認フローを整えたい場合は、建築みつも郎などの見積作成ソフトが候補となります。また、図面の数量拾い出しから見積内訳書の作成までを一気通貫でデータ連動させたい場合は、ヒロイくんIIIと楽王をセットで運用することで、転記作業を排除した運用体制を構築できます。
土木工事における電子入札や予定価格の積算を主目的に据える場合は、建築向け数量拾いツールではなく、歩掛や最低制限価格の算出に対応したゴールデンリバーのような土木専用積算ソフトを検討する必要があります。
料金・プラン
| プラン名 | 初期費用 | 月額利用料 | 備考 |
|---|---|---|---|
| サブスクリプション版 | 10,000円(税込) | 3,800円(税込) | 初期費用は初回インストール・操作指導費用。利用しない月は事前連絡により休止可能。 |
| パッケージ版(買い切り) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(一括購入方式) | 必要なライセンス数やカスタマイズの有無に応じて個別見積。 |
ヒロイくんIIIのサブスクリプション版は、月額3,800円(税込)という低価格から利用を開始できる料金体系が採用されています。初回導入時のみ、インストールや初期の操作指導費用として10,000円(税込)の手数料が発生します。使わない期間が発生する場合は、事前連絡によって契約を一時休止できる運用が用意されているため、季節による業務量の変動が大きい事業者でも無駄なコストを抑えて利用を継続できます。パッケージ版の導入費用については個別見積となっているため、提供元への問い合わせが必要です。
導入事例・実績
株式会社ダイエックス(機械設備工事 / 従業員数31名)
従来は紙図面を広げ、三角スケールと電卓を使って配管や設備部材の数量を手拾いしていました。1案件の拾い出しと検算に丸1〜2日を費やしており、他の管理業務を圧迫する要因となっていました。ヒロイくんIIIを導入したことで、画面上でのクリック操作による自動計測が可能となり、作業工数が半日以下に短縮されました。手作業による転記や計算の手間が省けたことで、1日分以上の業務時間が削減されています。
株式会社エイチ・ビー(大規模修繕工事)
受注案件の増加に伴い、外壁や共用部の塗装・補修面積を拾い出す業務が見積作成全体のボトルネックとなっていました。また、担当者によって計測手順や開口部の減算方法が異なり、積算根拠の個人差が社内の課題となっていました。ヒロイくんIIIの導入により、拾い出し業務の工数を50%削減することに成功しました。色分けされた図面軌跡によって確認作業が容易になり、拾い作業の標準化と属人化の解消を実現しています。
西澤建設株式会社(足場工事・大規模改修)
月間50件超、金額にして数億円規模におよぶ見積依頼への対応に追われ、手作業での拾い出し作業が見積担当者の長時間残業を招いていました。手拾いからヒロイくんIIIによるシステム処理へ移行した結果、図面計測にかかるスピードが大幅に改善され、日付が変わるまで続いていた見積担当者の残業が激減しました。短納期での見積提出が求められる状況下でも、精度の高い数量データを安定して算出できる体制が整いました。
導入前に知っておきたいこと
ヒロイくんIIIの導入を検討する際は、以下の実務上の留意点を把握しておく必要があります。
- 元図面のデータ形式と解像度への依存
CADデータ(DXF)や鮮明なベクターPDFであれば高い精度で線を読み取り計測を行えますが、紙図面を複合機等でスキャンした低解像度のPDFや画像データの場合、線の端点認識や縮尺設定が難しくなる傾向があります。自社で頻繁に扱う図面データの形式で十分な計測精度が得られるか、無料デモなどを通じて事前に確認しておくことが推奨されます。 - 部材マスタや計測ルールの初期登録負荷
導入後すぐに社内実務へ定着させるためには、自社で扱う建具や部材の仕様、拾いルールを事前に設定する必要があります。2,000通り以上のルール登録が可能である反面、初期のフォルダ分けや部材名称の整理を行うための準備工数を見込んでおく必要があります。 - 画面操作への慣れと習熟期間
長年紙図面とスケールで作業を行ってきた職人やベテラン担当者の場合、画面上での拡大・縮小やマウスによる線引き操作に慣れるまで一定の練習期間を要します。導入初期には社内でのフォロー体制を整えることが定着へのポイントとなります。
導入の流れ・期間
ヒロイくんIIIの導入は、概ね以下のステップで進められます。具体的な導入所要期間は自社の準備状況や運用規模により変動するため、ベンダーへの事前確認が必要です。
- 問い合わせ・無料オンラインデモ
公式サイトのフォーム等から問い合わせを行い、製品説明や無料のオンラインデモンストレーションを受けます。自社の図面データを提示し、実際の業務に適した計測が可能かを検証します。 - プラン選定・見積もり
サブスクリプション版またはパッケージ版のいずれかを選択し、利用ライセンス数に応じた見積もりを確認します。 - 契約・利用申し込み
利用規約に同意し、導入手続きおよび支払方法の設定を行います。 - インストール・初期設定・操作指導
利用するWindows PCへソフトウェアをインストールし、ライセンス認証を行います。初回手数料に含まれる操作指導を通じて、基本的な計測手順や図面読み込みの指導を受けます。 - 実務運用開始
自社の拾いルールや部材設定を行い、実際の見積・積算実務での活用を開始します。導入後も電話やリモートサポートによる問い合わせが可能です。
よくある質問(FAQ)
- スマートフォンやタブレット、Mac環境でも利用できますか?
- ヒロイくんIIIはWindows PC向けのデスクトップインストール型ソフトウェアです。対応OSはMicrosoft Windows 10および11となっています。スマートフォンやタブレット(iOS/Android)、Mac OSでの単体稼働には対応していません。
- 導入前に実際の画面や操作感を試すことはできますか?
- はい、アークシステムによる無料のオンラインデモンストレーションが実施されています。担当オペレーターが画面を共有しながら、実際の図面を用いた計測の流れや機能を実演形式で確認できます。
- 繁忙期と閑散期がある場合、契約の一時休止は可能ですか?
- サブスクリプション版では、利用しない月がある場合に事前連絡を行うことで、月単位での休止が可能です。業務量の波に合わせて運用コストを柔軟に調整できます。
- パソコン操作に不安がある場合、導入後のサポート体制はどうなっていますか?
- 電話やメールでの問い合わせ窓口に加え、オペレーターが利用者のPC画面をインターネット経由で確認しながら操作案内を行う「リモートサポート」が用意されています。画面を見ながら直接指導を受けられるため、トラブル時も迅速に解決できます。
- 計測した数量データを他社の見積ソフトやExcelに移行できますか?
- はい、集計された数量表や色分けされた軌跡図面はExcel形式で書き出し可能です。また、同社の見積ソフト「楽王」シリーズ(楽王3/楽王Link/楽王Crew)であれば、書き出しの手間なく直接データを連動させることができます。