建築みつも郎とは?
建築みつも郎は、コベック株式会社が開発・提供する中小工務店やリフォーム業者、専門工事業向けのオンプレミス型建築見積作成ソフトです。Excelや手作業による見積業務で課題となりやすい計算ミスや多階層データの破損、原価管理の形骸化を解消することを目的に設計されています。直感的な操作画面を備え、建築業界特有の深い階層構造や、目標粗利率からの逆算調整、法定福利費の内訳明示に対応しています。買い切り型のライセンス形態を採用しており、月額費用を抑えながら自社専用の見積書式や実行予算管理を定着させたい企業に活用されています。
主な機能
階層見積・金額シミュレーション機能
- 最大6段階層・6万行の明細編集
工事種別、部位、部屋別といった複雑な工事内訳を最大6階層まで体系的に整理し、1件あたり最大6万行(20行換算で約3,000ページ分)の明細を作成できます。単価99億円、総金額9,999億円までの入力に対応しており、小規模な修繕から大規模な建築工事まで単一のシステムで網羅的に管理できます。 - 粗利率からの見積金額自動逆算
目標とする粗利率や指値の請負金額を入力するだけで、各工種の利益率を保持しながら全体の単価や金額を自動で逆算・調整できます。材料費や労務費の積み上げ後に発注者との値引き交渉が発生した場合でも、手作業による再計算を介さず迅速に採算分岐点を割り出せます。 - 印刷対象外の代価表作成(隠れ階層機能)
社内管理用の原価内訳や特殊な歩掛計算を「隠れ階層」として保持し、提出用の見積書印刷時には自動で非表示に設定できます。発注者へ提示する対外的な明細の体裁を崩すことなく、社内でのみ共有すべき調達コストや積算根拠を同一ファイル内に保持できます。
法令対応・原価統制機能
- 簡易法定福利費の自動算出・明示
見積書内に法定福利費(労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金等の事業主負担分)を自動で算出・明記できます。建設業法および国土交通省のガイドラインに沿った適正な労務費・諸経費の内訳提示をシステム主導で完結させ、ダンピング受注の抑止やコンプライアンス遵守を支援します。 - インボイス対応書式の標準搭載
適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応した帳票レイアウトを30種類収録しています。登録番号の印字や単一税率10%に基づく消費税額の明確な区分表示があらかじめ組み込まれており、帳票設計に手間をかけることなく法制度に準拠した提出書類を出力できます。 - 実行予算書および発注書の分割作成
見積書で入力した数量や単価に対し、実際の調達数量と仕入れ単価(実行単価)を並行入力することで、着工前に実行予算書を自動生成できます。さらに協力会社や資材店ごとに明細を切り分け、業者別の発注書として個別に分割出力することが可能です。
データ連携・案件管理機能
- 約230種類の帳票出力と電子押印連携
見積書、請求書、内訳明細書、合計請求書など約230種類の書式パターンを標準装備しており、Excel出力やPDFダイレクト出力が可能です。また、シヤチハタ「パソコン決裁」との連携に対応しており、社内承認印や会社角印を電子上で押印したPDF見積書を即座に発行できます。 - 案件ステータスチェックと工事コメント機能
引き合いから見積提出、成約、着工、完了に至る案件の進捗ステータスを一覧で管理できます。工事ごとの特記事項や商談メモ、ToDoを備忘録として蓄積できる「工事コメント機能」により、担当者不在時でも過去の経緯を社内で共有できます。 - 工事台帳システム「建設原価ビルダー」連携
コベックが提供する別売の工事原価管理システム「建設原価ビルダー」とのデータ連携に対応しています。建築みつも郎で作成した見積・実行予算データを直接受け渡すことで、二重入力を排除し、完工時の原価集計や未成工事支出金の管理へ円滑に移行できます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
月額課金を避け、社内完結の買い切りライセンスでコストを固定化したい中小工務店
- 毎月のSaaS利用料負担を抑えたい
建築みつも郎はスタンドアロン版が80,000円(税別)の一括購入(パッケージ/ダウンロード)で導入でき、月額の固定費用が発生しません。毎月のランニングコストを抑えつつ、法定福利費の算出やインボイス対応といった最新の実務要件を満たした見積環境を整備できます。 - 過去の見積データを資産化して再利用したい
宛名マスタ60,000件対応や用途別名称マスタの一括切り替えにより、過去に施工した同規模案件の明細をそのまま引用して新規見積を作成できます。担当者の経験則に頼っていた単価設定を標準化し、積算にかかる初動時間を短縮できます。
複雑な多階層見積と実行予算の連携を少人数で迅速に行いたい専門工事業者
- 工事部位や部屋別の階層構造を正確に管理したい
最大6段階層・6万行に対応した明細編集機能を活用することで、工種別・下請別の取り合い区分を明確にした積算が可能です。印刷対象外とする代価表を「隠れ階層」に設定できるため、対外的な見栄えを保ったまま社内の原価根拠を1つのデータに集約できます。 - 成約後の発注業務や予算化を手作業で二重入力したくない
見積入力画面から実行数量と実行単価を打ち込むだけで実行予算書を策定でき、さらに業者ごとの発注書へ明細を分割出力できます。見積から着工準備に至る書類作成工数を圧縮し、発注漏れや資材の手配ミスを抑止できます。
向いていない企業・現場
完全テレワークや現場からのタブレット入力など、クラウドSaaSでのリアルタイム共有を求める企業
- 外出先や現場でのモバイル端末運用を重視している
建築みつも郎はWindows OS搭載PCにインストールして利用するデスクトップアプリケーションであり、iOSやAndroid、ブラウザからの直接操作には対応していません。現場監督がスマートフォンからリアルタイムに単価を確認したり、クラウド上で複数人が同時編集する運用を前提とする場合は、クラウドネイティブな積算SaaSの検討が適しています。 - 複数拠点をVPN等のWAN環境で一元接続したい
LAN対応版が提供されているものの、同一セグメントの社内LAN環境が前提となっており、拠点間をまたぐWAN接続や仮想環境は動作保証外とされています。本社・支社間でデータを常時同期させたい場合は、拠点間通信に標準対応したクラウド型システムの選定が必要です。
飲食料品など軽減税率(8%)対象品目が混在する見積書を作成する必要がある事業者
- 複数税率が同一案件内に発生する商取引を行っている
建築みつも郎17のインボイス対応書式は単一税率(10%のみ)を前提とした仕様となっており、10%と軽減税率8%が混在する見積書の作成には非対応です。建材販売や関連物販などで軽減税率対象商品を取り扱う企業は、複数税率計算に対応した汎用販売管理システム等の併用を検討する必要があります。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 建築みつも郎 | 最大6段階層対応、買い切り型ライセンス、法定福利費自動計算、約230種の標準書式 | スタンドアロン版:80,000円(税別) LAN Express 3ライセンス:240,000円(税別) |
ランニングコストを抑え、社内PCで本格的な建築階層見積・実行予算管理を行いたい中小工務店 |
| 楽王 | 建築・電気・空調衛生設備に対応、Excelライクな操作性、サブスク版とエンタープライズ版を展開 | 要問い合わせ(サブスクリプションプラン等あり) | 工種が多岐にわたり、内訳明細や総括表の作成効率化をクラウドや柔軟な契約形態で進めたい企業 |
| ヒロイくんIII | PDF・CAD図面からのマウス操作による部材・長さ・面積自動計測に特化、楽王連携対応 | 要問い合わせ | 見積入力の前段階である図面からの数量拾い出し作業をデジタル化・自動集計したい企業 |
| Kensuke Neo | PDF・Excel見積書の取り込みやAI-OCR連携、躯体・仕上積算ソフトとの一気通貫連携 | 要問い合わせ | 他社から受領した見積データの取り込みや、仕上・躯体積算と連動した一貫処理を求める中堅・大規模企業 |
建築みつも郎は、ソフトウェアの利用料金を月額ではなく「買い切り(一括購入)」で完結させたい企業にとって有力な選択肢となります。スタンドアロン版が80,000円(税別)と明瞭に設定されており、初期費用のみで長期にわたり安定稼働させることが可能です。また、最大6階層・6万行の明細や粗利率逆算機能など、建築実務に特化した編集機能が単体パッケージ内に凝縮されています。
一方で、図面からの数量計測(拾い出し作業)自体の自動化や、仕上・躯体の専門積算エンジンとのシームレスな連動を最優先する場合は、専用の拾い出しツールであるヒロイくんIIIや、積算シリーズ連携に強みを持つKensuke Neoの導入が適しています。また、空調・衛生・電気設備など専門性の高い歩掛マスタを重視する場合はPlanestのような設備特化型、複数工種を包括しながらクラウドやサブスクリプション形態での全社展開を狙う場合は楽王が有力な比較対象となります。
料金・プラン
| 製品・プラン名 | 本体価格(税別) | 税込価格 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 建築みつも郎17 スタンドアロン版 | 80,000円 | 88,000円 | PC1台で運用するDVD-ROM版パッケージ(ダウンロード版も同等) |
| 建築みつも郎17 LAN Express 3ライセンス | 240,000円 | 264,000円 | 社内LAN環境で3台の端末から同時利用・データ共有可能なライセンス |
| 建築みつも郎17 LAN Express 5ライセンス | 350,000円 | 385,000円 | 社内LAN環境で5台の端末から同時利用・データ共有可能なライセンス |
| 建築みつも郎17 LAN for SQL / サイトライセンス | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 7ライセンス、20ライセンス等の大規模運用向けライセンス体系 |
※記載の金額はコベック株式会社が公表しているメーカー希望小売価格(2026年9月確認時点)に基づきます。
※スタンドアロン版からLAN製品へのステップアップや、追加ライセンスの導入条件、年間保守サポートの有無についてはメーカーへの直接確認が必要です。
導入事例・実績
建築みつも郎の公開導入事例(企業名、導入規模、工数削減率等の定量的成果がすべて揃って公表されているもの)は現時点では確認できていません。最新の導入実績やユーザーの活用事例については公式サイトをご確認ください。
インボイス制度対応と法定福利費の自動明示機能
近年の建設業界における法改正や取引適正化の流れを受け、建築みつも郎では「法定福利費の明示」と「インボイス制度への適合」を標準仕様としてサポートしています。
建設業法および国土交通省のガイドラインでは、社会保険への加入徹底と技能労働者の処遇改善を図るため、元請・下請間の取引において法定福利費(健康保険、厚生年金保険、雇用保険の事業者負担分)を内訳として明示した見積書の提出が強く推奨されています。建築みつも郎には「簡易法定福利費算出機能」が組み込まれており、労務費や法定福利費率を設定することで、複雑な手計算を行うことなく見積書上に適正な法定福利費を自動表示できます。これにより、下請取引における不当な指値発注やダンピングの防止、法令遵守の徹底が図れます。
また、2023年10月に施行された適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応した専用の帳票レイアウトが30種類収録されています。適格請求書発行事業者の登録番号や税率ごとの内訳表示が組み込まれており、帳票設計を一から行うことなく、法令に準拠した見積書・請求書を即座に出力することが可能です。ただし、対応税率は建築工事の標準である単一税率(10%のみ)に限定されており、軽減税率8%との混在には非対応である点に留意する必要があります。
導入前に知っておきたいこと
建築みつも郎を検討するにあたり、以下の仕様制限およびユーザーから報告されている注意点を事前に確認しておく必要があります。
- 印刷レイアウトと文字数の制限
約230種類の豊富な書式パターンが提供されている一方で、レイアウト変更において列の幅調整は可能であるものの、「規格欄のみを2行で表示する」といった行単位の柔軟な変更や、2行を1行として扱う属性設定には対応していません。また、名称欄や規格欄に文字数制限が設けられているため、長文の商品名や特殊な仕様説明を記載する際には文字を分割するなどの運用上の工夫が求められます。 - ディスプレイ表示倍率の制限(4K非推奨)
画面解像度は1024×768以上に対応していますが、OS側のテキスト拡大縮小設定は「100%」のみ対応となっています。近年の高解像度ディスプレイ(4Kモニターや高精細ノートPC)において拡大率を125%や150%に設定している場合、文字のぼやけやレイアウトの乱れが発生する可能性があるため、解像度環境の事前確認が推奨されます。 - ネットワーク接続環境の制約
複数台でデータを共有するLAN版を導入する場合、同一セグメントの社内有線・無線LAN環境が必須となります。VPN等を経由した拠点間接続(WAN環境)や、Hyper-V等の仮想環境での運用はメーカーの動作保証外となっているため、複数拠点での利用を想定している企業は運用体制の確認が必要です。
導入の流れ・期間
建築みつも郎の具体的な導入期間は要問い合わせとなりますが、オンプレミス型デスクトップアプリケーションとしての一般的な導入手順は以下の通りです。
- 動作環境の確認・問い合わせ
導入予定のPCスペック(Windows 11/10 64bit、CPU、空き容量6.5GB以上等)および利用台数(スタンドアロンまたはLAN)を確認し、メーカーまたは取扱販売店に問い合わせを行います。 - 製品購入・納品
DVD-ROMパッケージまたはダウンロード版を購入します。LAN版を導入する場合は、ライセンス数に応じたパッケージを手配します。 - インストールおよび初期設定
利用するPCにプログラムをインストールし、シリアル番号の認証(ユーザー登録)を実施します。社内LAN製品の場合は、データベースを配置する親機および各クライアントPCの設定を行います。 - マスタ設定・既存データ整備
自社の顧客情報(宛名マスタ)や、よく使用する資材・工種の単価マスタを登録します。付属のサンプルマスタを活用して初期構築を効率化することも可能です。 - 運用開始
過去データや登録マスタを引用しながら実際の見積書作成を開始します。不明点が生じた場合は、ユーザー登録者向けに提供されている電話・FAX・Webフォームのサポート窓口を活用できます。
よくある質問(FAQ)
- スマートフォンやiPadなどのタブレットから利用できますか?
- いいえ、利用できません。建築みつも郎は日本語Microsoft Windows 11/10(64bit)専用のインストール型デスクトップアプリケーションであり、iOSやAndroid向けのモバイルアプリやWebブラウザ版は提供されていません。
- 無料体験版やデモ版は用意されていますか?
- 体験版の提供状況については、コベック株式会社の公式サイトまたは窓口への直接問い合わせを推奨します。導入前に操作感を確認したい場合は、メーカーが提供する資料や案内をご確認ください。
- 問い合わせやサポート窓口の体制はどうなっていますか?
- ユーザー登録を行ったユーザー向けに、電話・FAX・Webフォームによるサポート窓口が提供されています。電話サポートの受付時間は、土・日・祝日・休業日を除く10:00〜11:30および13:00〜18:00となっており、問い合わせ時には製品のシリアル番号の提示が必要です。また、公式サイト上から最新アップデートプログラムを無償でダウンロードできます。
- 複数拠点の事務所間でデータを共有することは可能ですか?
- 公式の動作環境上、LAN製品は同一セグメントの社内LAN環境が前提となっており、VPN等を用いたWAN経由の接続や仮想環境(Hyper-Vなど)での運用は動作保証外とされています。拠点間での共有を希望する場合は、ファイルの個別受け渡しを行うか、メーカーへ運用方法の確認が必要です。
- 軽減税率(8%)を含む飲食料品などの混在見積は作成できますか?
- いいえ、作成できません。建築みつも郎17のインボイス対応書式は単一税率10%のみを前提とした設計となっており、1つの見積書の中に10%と軽減税率8%の明細が混在する形式には非対応です。
- 契約期間や解約に伴う違約金などはありますか?
- 建築みつも郎の基本ライセンスは買い切り(一括購入)のソフトウェアであるため、月額契約のような利用期間の拘束や解約手続き・違約金はありません。ただし、有償の年間保守契約等を利用する場合は、更新条件についてメーカーへの確認が必要です。