建レコとは?
建レコは、一般財団法人建設業振興基金が公式に提供する、建設キャリアアップシステム(CCUS)標準の就業履歴登録アプリケーションです。パソコンやiPad、iPhoneにインストールし、認定ICカードリーダーまたは端末内蔵のNFC機能を用いて技能者カードを読み取ることで、現場での就業履歴をCCUSサーバーへ直接登録・蓄積できます。現場事務所への機器常設運用から通信圏外でのオフライン打刻まで、CCUSの就業履歴蓄積における基本インフラとして開発されています。
主な機能
カード読み取り・認証機能
- 認定ICカードリーダーによる就業履歴登録
国土交通省および建設業振興基金が認定したICカードリーダーを端末に接続し、技能者が所持するCCUSキャリアアップカードをタッチすることで、瞬時に就業履歴を記録します。入場時や退場時にカードをかざすだけの直接的な操作体系となっており、IT機器の操作に不慣れな技能者であっても戸惑うことなく打刻作業を行えます。 - iPhone内蔵NFCによる単体読み取り
外付けのICカードリーダーを用意することなく、NFC機能を搭載したiPhone端末単体で技能者カードを直接かざして読み取ることができます。巡回管理が中心となる現場や、カードリーダーを固定設置するスペース・電源が確保できない小規模現場において、端末1台のみで打刻環境を構築可能です。
現場運用・オフライン対応機能
- オフライン環境下でのデータ一時蓄積
電波の届かない地下構造物、トンネル、山間部などの施工現場であっても、事前に端末側でログインと現場情報の取得を済ませておくことで、通信圏外のままカード読み取りが可能です。記録された就業データは端末内に安全に一時保存され、現場事務所や通信環境の整った場所へ戻った際にCCUSサーバーへ一括送信できます。 - リーダー単体でのロギング機能
ロギング機能に対応した特定の認定カードリーダー(BNR01やDragon_BLEなど)を接続して運用する場合、リーダー機器本体の内部メモリに最大2,730件などの就業履歴を一時保存できます。打刻時に常時PCやタブレットを起動し続ける必要がなく、作業終了時などにまとめて建レコを立ち上げてデータを吸い上げる運用が可能です。
管理・データ送信機能
- CCUSサーバーへの履歴自動・手動送信
読み取った就業履歴データは、通信環境が確立されている状態であれば所定のスケジュールに従ってCCUSへ自動送信されるほか、現場管理者の任意のタイミングで手動一括送信を実行できます。送信ステータスや蓄積件数も画面上で確認できるため、日々の打刻データの送信漏れを現場側で確実にチェックできます。 - 現場・施工体制情報の取得と紐付け
建レコへCCUSの管理者IDまたは現場管理者IDでログインすることにより、CCUS上に事前登録された現場情報や施工体制データを直接取得します。技能者の所属事業者や職種情報と現場が正確に紐付いた状態で就業データが記録されるため、後からの手作業によるデータ照合作業を大幅に削減します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
現場事務所に端末を常設し、機器費用を抑えて確実にCCUS履歴を蓄積したい施工会社
- 月額のソフトウェア利用料をかけずにCCUS対応を義務付けられた現場を運用したい
建レコは建設業振興基金が公式に無償提供しているアプリケーションであるため、民間SaaSのような月額のシステム利用料が発生しません。認定カードリーダーを用意すれば即座に稼働できるため、余計なランニングコストを抑えて公共工事等のCCUS活用指定現場の要件を満たしたい施工会社に適しています。 - 現場事務所に管理用PCやiPadが既に配備されている
既存の現場管理用WindowsパソコンやiPadに建レコをインストールし、数千円から数万円程度の認定カードリーダーをUSB接続またはBluetooth接続するだけで環境が整います。専用の高額なゲート設備や顔認証端末を新設することなく、手元にある資産を活かして最小限の初期投資で打刻体制を確立できます。
電波が届きにくい山間部や地下工事など、過酷な通信環境下にある現場
- キャリア電波の届かない施工環境で打刻漏れが頻発している
建レコはオフラインでの一時蓄積仕様およびロギング対応カードリーダーとの連携に対応しています。通信が途絶する切羽付近や地下作業場であっても問題なくカードのタッチ履歴を保持し、作業終了後に通信可能な環境で一括同期できるため、通信インフラの制約を受けずに安定した就業記録を残せます。
向いていない企業・現場
Android端末での運用を想定している、または作業員自身のスマートフォンで完結させたい企業
- 支給端末や作業員の私物端末がAndroid端末で統一されている
建レコはWindowsおよびiOS・iPadOSのみの対応となっており、Android OS向けのアプリは提供されていません。社内端末としてAndroidスマートフォンやタブレットを標準採用している場合、建レコを動かすためだけに別の対応端末を調達する必要が生じます。作業員各自のスマートフォンから打刻させたい場合は、マルチプラットフォーム対応の認定連携サービスを検討した方が円滑です。
安全書類の作成や日々の出面集計、労務費管理までを一元化したい会社
- CCUSへの就業履歴送信だけでなく、作業員名簿や下請管理の事務工数も同時に削減したい
建レコはCCUSへの「就業履歴の登録・送信」に特化した単機能ツールです。労務安全書類(グリーンファイル)の作成機能や、日報・出面データに基づく労務費の自動計算といったバックオフィス連動機能は備えていません。施工体制台帳の編冊や作業員名簿の自動更新、勤怠・労務管理の一元化までを求める場合は、民間事業者が提供するAPI連携型の統合建設DXツールの導入が適しています。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| 建レコ | CCUS公式提供の標準就業履歴登録アプリ。ICカードタッチおよびiPhone単体読み取りに対応し、オフライン蓄積が可能。 | 無料(※CCUS利用料・機器代は別途) | 費用をかけずに手持ちのPCやiOS端末でCCUS就業履歴を登録したい現場 |
| 1-Touch | 現場に記録設備を常設せず、技能者のスマートフォンからのGPS位置情報付き打刻や元請の代理打刻でCCUS連携できるシステム。 | 要問い合わせ | カードリーダー設置が困難な現場や、技能者のカード不携帯を防ぎたい企業 |
| KENTEM-CareerLog | CCUSの現場・施工体制登録から履歴蓄積、各種帳票出力をWeb上で一元管理。QRコード読み取り(CareerLog for QR)にも対応。 | 要問い合わせ | ブラウザ上で施工体制や就業履歴を補正・管理し、経審加点対策を進めたい会社 |
| キャリアリンク | 現場掲示の専用番号への電話発信や顔認証によって入退場を記録し、CCUSへ自動連携する認定システム。 | 要問い合わせ | 事務所や電源のない現場、アプリ操作が困難な高齢技能者が多い現場 |
CCUSへの就業履歴蓄積ツールを選定する際、最も重要な判断基準となるのは「現場の通信・設備環境」と「どこまで業務を自動化・一元化したいか」の2点です。
現場事務所が存在し、管理者が常駐してPCやiPadを配置できる現場であれば、システム利用料が不要な「建レコ」が第一候補になります。特にオフライン機能やロギング対応リーダーを活用できる点は公式アプリならではの強みであり、通信の届かない地下・山間部工事における履歴蓄積を低コストで実現できます。
一方で、仮設事務所や電源の設置が難しい小規模・点在現場、あるいは技能者のカード持参忘れやリーダー前での混雑を避けたい場合は、アプローチを変える必要があります。スマートフォン単体でのGPS打刻を望むなら「1-Touch」、ガラケー保持者やカードレス運用を重視して電話発信や顔認証を取り入れたいなら「キャリアリンク」、就業履歴の集計に加えて施工体制台帳の連携や経審加点に向けた帳票管理まで効率化したいなら「KENTEM-CareerLog」のような民間認定SaaSを検討するのが適切です。
料金・プラン
| 費用項目 | 金額(税別・記載があるもの) | 支払先 / 備考 |
|---|---|---|
| 建レコ アプリ本体 | 0円(無料) | 一般財団法人建設業振興基金から無償ダウンロード |
| 管理者ID利用料(毎年発生) | 11,400円 / 年(一人親方は2,400円 / 年) | CCUS公式へ支払い。ログインに必要なID費用 |
| 現場利用料(元請負担) | 10円 / 人日 | CCUS公式へ支払い。現場入場時の就業履歴蓄積ごとに発生 |
| 認定ICカードリーダー代金 | 約3,250円 〜 約30,000円(機種により異なる) | 各機器メーカーまたは販売代理店から購入(実費) |
建レコ自体のダウンロードおよびソフトウェア利用料金は完全無料です。ただし、実際に運用を開始するには建レコにログインするためのCCUS管理者IDや、現場ごとに発生するCCUS現場利用料(1人日あたり10円)が別途必要となります。また、技能者自身がCCUSに登録する際の登録料(簡略型2,500円/詳細型4,900円)や、事業者の登録料がCCUS側の利用規定に基づいて発生します。
加えて、打刻を行うための認定カードリーダー機器を調達する実費がかかります。最も廉価なソニー製「PaSoRi(RC-S300等)」であれば3,000円台前半から導入できますが、iOS対応機器やオフライン蓄積(ロギング)に対応した上位モデル(BNR01やDragon_BLE等)を導入する場合は、1台あたり約30,000円前後の初期購入費用を見込む必要があります。
導入事例・実績
建レコの公開導入事例は現時点では確認できていません。最新情報は公式サイトをご確認ください。
認定カードリーダーの種類と仕様の違い
建レコを用いて就業履歴を登録する場合、運用する端末(PCまたはタブレット)や現場の電源・通信環境に合わせて適切な認定カードリーダーを選定する必要があります。認定機器は大きく分けると、低価格なWindows専用USB接続型と、iOS・ロギングに対応した多機能型の2系統が存在します。
| 機器名称(メーカー) | 接続方式 / 対応OS | ロギング機能 | 価格目安(税別) |
|---|---|---|---|
| PaSoRi RC-S300等(ソニー) | USB接続 / Windows専用 | 非対応 | 約3,250円〜3,500円 |
| Dragon_CC(サーランド・アイエヌイー) | USB接続 / Windows専用 | 非対応 | 約11,000円 |
| BNR01(TOPPAN) | BLE・USB / iOS・Windows | 対応(最大2,730件) | 約30,000円 |
| Dragon_BLE(サーランド・アイエヌイー) | BLE・USB / iOS・Windows | 対応(最大2,730件) | 約30,000円 |
| NR05-BT(ジーエルソリューションズ) | BLE / iOS専用 | 非対応 | 約30,000円 |
ソニー製のPaSoRiなどの安価なリーダーは、現場事務所のWindowsパソコンに常時接続して打刻させる定置運用には適しているものの、ロギング機能には非対応です。また、iOS端末(iPadやiPhone)と接続して現場内を持ち運んだり、通信環境のない現場でリーダー単体にデータを一時保存させたりする運用を想定する場合は、BNR01やDragon_BLEなどのBLE(Bluetooth Low Energy)およびロギング対応機器を選択する必要があります。
iPhone内蔵NFC読み取り機能の運用仕様と注意点
一般財団法人建設業振興基金は、2024年1月29日よりiOS版建レコにおいて、外付けカードリーダーを介さずにiPhone内蔵のNFC(近距離無線通信)機能でCCUSキャリアアップカードを直接読み取る機能の提供を開始しました。これにより、現場監督や巡回管理者が携行するiPhone端末がそのまま就業履歴登録端末として機能するようになっています。
本機能を利用することで、外付けリーダーの調達コストやBluetooth接続設定、バッテリー残量管理の手間を排除できる利点があります。小規模な改修現場や短期間の現場、あるいはカードリーダーを常設できない屋外現場での機動的な就業記録に適しています。
ただし、本機能を利用するにあたっては以下の運用上の注意点が存在します。
- 対応端末の制約
NFC読み取りに対応した対象世代のiPhoneである必要があり、iPad端末やAndroid端末の内蔵NFCによる読み取りには対応していません。 - 連続打刻時の現場オペレーション
朝礼時など多数の作業員が短時間に一斉入場する現場においては、iPhone端末の背面NFCアンテナ位置にカードを1枚ずつ正確にかざす必要があり、据え置き型の大型リーダーに比べて読み取り位置合わせに慣れが求められます。朝の入場ラッシュが発生する中規模以上の現場では、据え置き型リーダーを併用するなどの工夫が必要です。
導入前に知っておきたいこと
建レコの導入にあたっては、実務上で報告されている仕様上の制約や運用トラブルについて事前に把握しておくことが不可欠です。
第1に、対応プラットフォームの制約です。建レコはWindowsとiOS/iPadOS専用のアプリケーションであり、Androidスマートフォンおよびタブレットには対応していません。現場監督や管理担当者が私物端末や社給端末としてAndroidを使用している場合、建レコを直接インストールして運用することは不可能です。
第2に、Bluetooth(BLE)接続型リーダーを利用する際の通信干渉です。iPad等とワイヤレスリーダーを現場事務所で併用する場合、現場内に設置されたWi-Fiルーターや電子レンジ、仮設プレハブの金属壁面などの影響を受け、ペアリングが途切れたり接続不良が発生したりする事例がQ&A等で報告されています。安定した通信を確保するためには、障害物の配置に配慮するか、有線接続が可能なWindows環境を併用するなどの対策が推奨されます。
第3に、ログイン権限と運用フローの縛りです。建レコへのログインには、CCUSの「事業者管理者ID」または「現場管理者ID」が必須となります。一般的な「技能者ID」ではログインができないため、元請または下請の現場管理責任者が端末のログイン・立ち上げ管理を行う必要があります。また、就業履歴の自動送信予定時刻を任意の時間帯に変更することはできず、カードのタッチ忘れや不携帯が生じた際には、別途CCUSのWeb画面からマニュアルで就業履歴の修正・登録申請を行う必要があります。
導入の流れ・期間
- CCUSへの事業者登録および現場登録
建レコを利用する前提として、元請企業および下請企業がCCUSの「事業者登録」を完了している必要があります。さらに元請企業側で当該施工現場の基本情報や施工体制をCCUSシステム上に登録し、現場管理者IDを発行します。 - 対応機器および認定カードリーダーの調達
現場で稼働させるWindows PC、iPad、またはNFC対応iPhoneを用意します。外付けカードリーダーを用いる場合は、用途(ロギングの要否、iOS対応の要否など)に合致した認定カードリーダーをメーカーや代理店から購入・調達します。 - 建レコアプリケーションのインストールと設定
Windows端末の場合はCCUS公式サイトからインストーラーをダウンロードし、iOS/iPadOS端末の場合はApp Storeから「建レコ」をインストールします。インストール完了後、認定カードリーダーのドライバ設定や端末のBluetoothペアリングを完了させます。 - ログインおよび現場情報の同期
管理権限を持つCCUS IDで建レコにログインし、打刻を行う対象現場のデータをアプリ側へ読み込みます。通信圏外で運用する場合は、この段階で事前に現場情報を同期しておく必要があります。 - 現場での打刻開始・運用定着
朝礼時や現場入退場時に技能者へカードタッチを促し、履歴を蓄積します。オフライン運用の場合は定期的に通信環境へ接続してデータ送信を行います。
建レコアプリ自体はダウンロード後すぐに利用可能ですが、CCUS自体の事業者登録や技能者カードの発行審査には通常数週間から1ヶ月以上の期間を要するため、現場着工の時期から逆算した計画的な事前登録が必要です。
よくある質問(FAQ)
- AndroidスマートフォンやAndroidタブレットで建レコは使えますか?
- 利用できません。建レコはWindows 10/11、およびiOS/iPadOSのみの対応となっており、Android端末向けのアプリは提供されていません。Android端末を活用したい場合は、Android対応の民間認定API連携ツールの導入を検討してください。
- 建レコを利用するのに費用はかかりますか?
- 建レコアプリ自体のダウンロードおよび利用は無料です。ただし、CCUSのシステム利用に伴う「管理者ID利用料(年額)」や「現場利用料(1人日10円)」、ならびに端末に接続する認定カードリーダーの購入代金が別途発生します。
- インターネット環境のないトンネル内や山間部でも打刻できますか?
- 打刻可能です。事前に通信環境のある場所で建レコにログインし現場情報を取得しておけば、オフライン環境下でも端末内またはロギング対応リーダー内に履歴を一時保存できます。作業終了後に通信可能な環境で送信操作を行えばCCUSサーバーへ反映されます。
- 無料トライアルやデモ画面はありますか?
- 建レコ自体が無償配布されているアプリケーションのため、有料SaaSのような期間限定トライアルという概念はありません。CCUSのログインIDと対応リーダー等の環境が揃っていれば、いつでも即座に検証・運用を開始できます。
- 技能者がカードを現場に忘れた場合、建レコで代理打刻できますか?
- 建レコアプリ単体でのカード不携帯者に対する直接の代理打刻はできません。カードがない場合は、後日CCUSのWeb管理画面(ブラウザ)へログインし、現場管理者が手動で就業履歴の直接登録・修正申請を行う運用フローとなります。
- 操作方法や不具合に関するサポート窓口はありますか?
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)公式サイト上に詳細な操作マニュアルやFAQが公開されているほか、建レコ専用のお問い合わせフォームによるオンラインサポート窓口が設置されています。