GENBA-Remoteとは?
GENBA-Remoteは、インフラ向けロボット開発を手掛ける株式会社イクシスが提供する、土木・建設現場の段階確認や立会検査に特化した遠隔臨場レンタルサービスです。国交省の遠隔臨場要領に準拠したFull HD映像と1秒未満の低遅延通信を実現し、移動や立ち会い待ちによる施工管理者の業務負担を解消します。通信回線やウェアラブル機器一式が同梱され、届いたその日から運用できる利便性を備えています。
主な機能
GENBA-Remoteは、公共工事やインフラ維持管理における「段階確認」「材料確認」「立会」の実務手順に最適化された機能を備えています。汎用的なビデオ通話ツールとは異なり、現場側の操作負荷を最小限に抑えつつ、監督員側の検査精度を担保する設計が施されています。
ハードウェア・通信インフラ
- オールインワン機材レンタルパッケージ
ウェアラブルカメラ、ハンディカメラ、タブレットPC、骨伝導ヘッドセット、接続ケーブル、LTEデータ通信回線(月間30GB標準)など、遠隔臨場の実施に必要な機材一式が専用ケースにパッケージ化されて届きます。現場側で個別に機材やSIMカードを手配・キッティングする手間を省き、機材受領後すぐに検査環境を立ち上げられます。 - Full HD・低遅延リアルタイム伝送
解像度1920×1080以上(Full HD・カラー)、フレームレート30fps以上、通信タイムラグ1秒未満の映像伝送仕様を備えています。国交省の「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領」で求められる標準スペックに適合しており、現場作業員の細かな動きや測定機器の数値変動をタイムラグなく遠隔地から視認できます。 - 骨伝導ヘッドセットによる騒音耐性
重機や発電機が稼働する騒音環境下でも確実なコミュニケーションが行えるよう、骨伝導タイプのヘッドセットを採用しています。耳を塞がずに周囲の環境音を察知できるため作業員の安全性を確保しつつ、指向性マイクにより周囲のノイズを低減した明瞭な音声を監督側へ伝達できます。
現場検査・監督支援機能
- 遠隔キャプチャ・録画機能
現場作業員がタブレットやカメラを操作することなく、遠隔地にいる監督員(発注者や本部技術者)側のPC画面からワンクリックで静止画撮影や動画録画(MP4形式)を実行できます。高所作業中や両手が塞がっている配筋検査などの現場作業を中断させずに、必要な検査記録を遠隔側で確実に収集できます。 - 監督側共通バージョン(1対N接続切り替え)
発注者や統括管理者の端末1台に対し、異なる工区や異なる受注者の現場端末を紐付け、画面上でシームレスに切り替えて臨場を行える「監督側共通ver.」を提供しています。複数の工事現場を抱える監督員が現場ごとにシステムを再起動・再ログインする煩雑さをなくし、連続した遠隔検査業務を効率化します。 - 電子小黒板重畳・計測アタッチメント(オプション)
配信中の映像画面上に工事名・工種・測点などの情報を記載した電子小黒板をリアルタイムで重ねて表示・記録する機能や、レベル(水準器)やスタッフ(標尺)へカメラを固定する専用アタッチメントなど、現場検査に特化した計14種類のオプションを展開しています。検尺作業のブレを抑え、発注者協議や出来形確認の手戻りを防ぎます。
データ管理・外部連携
- BIM/CIMモデル属性連携
遠隔臨場で取得した録画データや静止画、検査記録を、株式会社イクシスが展開するデータ基盤やBIM/CIMモデルの属性データと紐付けて一元管理する機能を備えています。施工段階の確認記録を3次元モデル上に空間情報として蓄積できるため、工事完成後の維持管理フェーズへのデータ引き継ぎが円滑化されます。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
公共工事の遠隔臨場要領への完全適合と機材調達の手間削減を求める建設企業
- 発注者協議で求められる通信・映像スペックのクリア
国交省直轄工事等の仕様書で指定されるFull HD解像度・30fps・低遅延といった機材スペックを満たす通信機器一式が標準パッケージ化されており、発注者との事前協議用資料作成や機材選定にかかる手戻りを防げます。 - 自社での通信SIMやモバイル端末の個別管理負担
LTE通信回線(月間30GB)が最初からセットされた状態で最短当日発送されるため、急な段階確認の日程決定に対しても、現場側で通信容量の残量管理や個別契約を行うことなく速やかに臨場体制を整えられます。
1人の技術者や発注者監督員が広範囲の複数現場を効率的に統括したい組織
- 複数現場への立ち会い移動に伴う時間的制約
「監督側共通ver.」を利用することで、本部の監理技術者や自治体の監督員が1台の端末から別会社の請け負う複数工区へ次々に接続を切り替えられ、往復の移動時間を削減して手待ち時間を解消できます。 - 両手を使う高所・危険作業時の撮影操作の安全性確保
ウェアラブルカメラと骨伝導ヘッドセットの併用により現場側を完全ハンズフリー化し、録画や静止画の取得指示はすべて遠隔側のPC操作で完結するため、作業員の安全性を損なわずに立会検査を完了させられます。
向いていない企業・現場
日常的な社内コミュニケーションや工程打ち合わせが中心の企業
- 単なる社内会議での利用におけるオーバースペック
GENBA-Remoteはミリ単位のスケール目盛り判読や公的検査を前提とした専用設計とハードウェア構成になっているため、現場詰所と本社間の定例打ち合わせや簡単な進捗報告のみを用途とする場合は、TeamsやZoomなどの一般的なWeb会議ツールや汎用施工管理アプリを活用した方がコストを低く抑えられます。
常時オフライン環境となるトンネル坑内や携帯電話圏外の山間部現場
- 携帯キャリアの4G LTE回線に依存する現場
標準パッケージは携帯キャリアのLTE通信網を前提としているため、電波不感地帯ではStarlink(低軌道衛星通信)や現場内Wi-Fi網などの仮設通信インフラを別途自前で構築・検証する必要があり、機材を届けてそのまま即座に運用するというパッケージの利点が十分に発揮されません。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| GENBA-Remote | Full HD・低遅延1秒未満、NETIS「VE評価」取得。通信SIM・ハードウェア一式を同梱レンタル提供。BIM/CIM連携や14種類の検査特化オプションに対応。 | 要問い合わせ(基本定価公表時: 月額39,800円〜・税抜) | 機材選定の手間を省き、国交省要領に準拠した高精度な遠隔臨場を機材レンタルで即座に開始したい土木・公共工事企業 |
| 遠隔臨場 SiteLive | KENTEM提供。汎用スマホから手軽に配信可能。電子小黒板「SiteBox」やクラウド「KSデータバンク」と密連動し、撮影写真や検査記録の整理業務を効率化。 | 要問い合わせ | すでにKENTEMの施工管理ソフト群を全社導入しており、写真整理や出来形管理の内業削減を最優先したい企業 |
| Gリポート | NETIS最高ランク「VE評価」取得。ハンディとウェアラブルを柔軟に使い分け可能。メジャーのミリ単位の目盛り視認性に強みを持つ検査特化システム。 | 要問い合わせ | 配筋検査や構造物検査において、細かなスケール目盛りの視認性と現場での扱いやすさを両立させたい企業 |
| 現場クラウド One 遠隔臨場機能 | 受発注者間情報共有システム(ASP)上で動作。発議管理画面からワンクリックで臨場を起動可能。電子小黒板表示やザクティ製カメラに対応。 | 要問い合わせ | 自治体や官公庁の指定ASPとして「現場クラウド One」を常用しており、書類発議から検査までを単一画面で完結させたい企業 |
ツール選定において最も重要な判断基準は、「ハードウェアや通信網をパッケージで一括レンタルしたいか」それとも「自社の保有するスマートフォンや既存の施工管理ASPと連携させたいか」という導入形態の違いです。
GENBA-Remoteは、ロボット開発ベンダーならではのハードウェア選定力とチューニング技術を背景に、通信回線・ウェアラブルカメラ・骨伝導ヘッドセット・タブレットPCまでが完全に動作検証された状態でパッケージ提供されます。自社で機材のスペック確認や通信制限の管理を行いたくない現場や、国交省要領の仕様をクリアした一式を即座にレンタル調達したい場合にはGENBA-Remoteが適しています。
一方で、すでに自社でKENTEMの「SiteBox」を写真管理の中心に据えている場合や、発注者との協議・書類提出に「現場クラウド One」を日常的に運用している現場では、各プラットフォームに内包された遠隔臨場機能を選択する方が、書類作成や写真帳票化のワークフローを一体化できる利点があります。
料金・プラン
GENBA-Remoteの現行利用料金は、現場の運用形態やレンタル期間に応じた個別見積(要問い合わせ)となっています。
リリース時の公表基本定価および公表されている提供形態は以下の通りです。
| プラン名 | 月額費用(税抜) | 提供構成 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 監督側・現場側セットプラン | 39,800円〜 | 監督側端末一式 + 現場側端末・カメラ一式 + LTE通信回線 | 公表基本定価。発注者用端末と施工者用端末をセットで調達する標準構成 |
| 現場側端末のみプラン | セット価格の半額相当 | 現場側ウェアラブル/ハンディカメラ + タブレット + LTE回線 | 監督員側があらかじめ共通ver.端末を配備している自治体工事等の受注者向け |
※現在の公式Webサイトでは個別見積対応となっています。レンタル代理店(株式会社レックス等)経由での貸出においては「基本契約期間3ヶ月〜」の条件が設定されているケースがあります。見積もり取得時には、最低利用期間、利用データ通信量の上限追加費用、破損・紛失時の補償オプションの有無を必ずご確認ください。
導入事例・実績
GENBA-Remoteの導入実績として、提供元の株式会社イクシスより以下の全体数値が公表されています。
- 累計導入実績
全国のインフラ・建設工事現場を中心に、累計2,500現場以上に導入されています(2025年1月 イクシス公表)。 - レンタル取扱規模
建機レンタル大手の株式会社アクトワンヤマイチなどの代理店網を通じて供給されており、同社が取り扱いを開始した2023年10月時点で、すでに200社以上の導入実績が公表されています。
なお、路体盛土工での品質立会や構造物検査など公的実証での技術活用報告は確認されていますが、民間企業個別の企業名や具体的な工数削減率(「◯◯建設で移動時間を◯%削減」など)を明記した公開事例は現時点では確認できていません。
NETIS最高ランク「VE評価」の取得と公共工事における実務的メリット
GENBA-Remoteは、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)において、登録番号「KT-230078-VE」を取得しています。
2023年7月に新規技術(末尾-A)として登録された後、実現場での継続的な活用効果調査と検証を経て、2025年1月に最高ランクである「VE評価(技術の活用効果が評価・確立された技術)」へと昇格しました。また、静岡県の新技術・新工法情報データベースにおいても登録番号1716(評価結果: レベル2)として登録されています。
公共工事における遠隔臨場の実施にあたり、NETISで「VE評価」を受けた技術を採用することは、以下の実務的メリットをもたらします。
- 総合評価方式・工事成績評定での加点評価
直轄土木工事などの入札時における総合評価落札方式での技術提案や、施工後の工事成績評定において、VE評価技術の活用は高い加点対象となります。確実な技術的裏付けがあるため、施工計画書への記載が発注者側へ受け入れられやすい利点があります。 - 発注者協議における仕様適合確認の簡略化
国交省が定める「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領」の必須スペック(解像度・フレームレート・遅延時間など)をクリアしていることがNETIS上で公認されているため、事前協議における機器スペック証明の負担を大幅に軽減できます。
BIM/CIMモデル連携と構造物データの一元化機能
GENBA-Remoteが他のビデオ通話型遠隔臨場システムと大きく異なる点として、3次元施工管理基盤(BIM/CIM)との連携機能が挙げられます。
従来の遠隔臨場では、録画された動画や静止画ファイルがローカルフォルダや独立したストレージに保存され、後日の維持管理や他工区のデータと分断される課題がありました。GENBA-Remoteでは、取得した立会映像や静止画データを、イクシスが手掛けるロボット計測データや3次元点群・CIMモデルの属性情報と結びつけて管理できます。
これにより、施工段階で実施した「どこで」「いつ」「どの品質が確認されたか」という立会記録が3次元空間モデル上にインデックス化され、竣工後の構造物点検や維持修繕計画へシームレスにデジタルデータを引き継ぐことが可能となります。
導入前に知っておきたいこと
公的機関の技術資料や各自治体の留意事項において、GENBA-Remoteを含む遠隔臨場システムを運用する上での現場課題や注意点が報告されています。
- 現場環境に応じた防水・防塵対策
静岡県の新技術情報(留意事項)において、降雨時や粉塵が激しく舞う現場環境下では、機材保護のために別途防水・防塵性能を備えたケースや機材の選定・準備が必要であることが示されています。 - 夏期の直射日光による通信端末の熱暴走リスク
国土交通省の遠隔臨場活用技術資料によると、直射日光が当たる猛暑の屋外環境下では、通信端末やタブレットが高温化し、安全装置による通信停止やバッテリー劣化の原因となる場合があります。長時間の立会が想定される現場では、日よけフードの装着や冷却ファンの併用といったハードウェア面での熱対策が必要です。 - 携帯不感地帯における衛星通信回線の手配と費用対効果
キャリア通信が届かないトンネル坑内や深山幽谷の現場では、LTE通信パッケージ単体では接続できません。低軌道衛星通信(Starlink等)や現場内Wi-Fi環境を別途構築して接続する必要があり、通信安定性の事前テストや回線調達コストの精査が求められます。 - 微小目盛りや亀裂を視認するための撮影ノウハウ
クラックスケールや標尺(スタッフ)の微細な目盛りを遠隔から誤認なく読み取るには、カメラのアングル選定、ピント合わせ、ズーム機能の使い分けなど、現場撮影者側の一定の習熟と操作ノウハウが必要となります。
導入の流れ・期間
GENBA-Remoteの導入は、問い合わせから最短当日出荷という迅速なスケジュールに対応しています。一般的な導入手順は以下の通りです。
- 問い合わせ・現場要件ヒアリング
公式サイトの専用フォームや取扱代理店より問い合わせを行います。工事種別、適用したい確認作業(段階確認、立会など)、現場の通信環境、必要なオプション(電子小黒板、アタッチメント等)について要件を確認します。 - 構成確定・見積もり提示
「監督側・現場側セット」または「現場側端末のみ」の構成を選択し、利用期間(工期)に応じた見積もりが提示されます。 - 契約・機材発送
契約締結後、キッティング済みの機材一式が全国の現場へ発送されます。在庫状況等に応じ、最短で当日発送に対応しています。 - 現場到着・事前通信テスト
届いた専用ケースを開封し、同梱されているタブレットやカメラの電源を入れます。発注者や監督側のPCとの間で接続テストを実施し、音声や映像の遅延、画面の見え方を確認して本番の臨場に備えます。
※現場の工期や代理店ごとの在庫状況によってリードタイムが異なる場合があるため、具体的な納入期間は事前にお問い合わせください。
よくある質問(FAQ)
- 遠隔臨場のために現場で特別なアプリケーションのインストールや初期設定は必要ですか?
- 基本パッケージには、あらかじめ専用の通信設定やソフトウェアがセットアップされたタブレットPCおよび通信SIMが同梱されています。そのため、現場側で面倒なアカウント設定や通信設定を行わずに、電源を入れて手順書に従うだけですぐに通信を開始できます。
- 発注者(監督員)側のパソコンにはどのような利用環境が必要ですか?
- 監督側はインターネットに接続された一般的なPCのWebブラウザからアクセスして利用可能です。「監督側共通ver.」を使用することで、専用の特別な高性能ワークステーションを用意しなくても、画面上から現場側カメラの切り替えや遠隔録画操作を行えます。
- 1ヶ月だけといった短期工事でのレンタル利用は可能ですか?
- 工期に合わせたレンタル提供を行っていますが、取扱代理店(レックス等)によっては「基本契約期間3ヶ月〜」といった最低利用期間の規定が設けられている場合があります。短期利用を希望される場合は、見積もり取得時に契約期間の条件をご確認ください。
- 無料トライアルやデモ機の貸し出しは実施していますか?
- 事前の機材動作確認や実機デモの可否については公式Webサイト上に一律の記載がないため、見積もり・問い合わせ窓口より個別にご相談ください。
- 現場でのトラブルや故障時のサポート体制はどうなっていますか?
- 平日9:00〜18:00の電話保守窓口が整備されており、機材の取り扱いや接続不良に関するサポートを受けられます。また、アクトワンヤマイチ等の大手建機レンタル会社経由で調達している場合は、代理店のネットワークを通じた代替機手配などの対応が可能です。
- トンネルや山間部など、携帯キャリアの電波が届かない場所でも使えますか?
- 付属のLTE回線が圏外となる現場では、そのままでは通信できません。ただし、現場側にStarlinkなどの衛星通信回線やWi-Fiアクセスポイントが整備されている環境であれば、Wi-Fi経由でシステムを接続・運用することが可能です。